あ、夜が明けるよ。

あ、夜が明けるよ。

人生からオカルトまで、さまざまなテーマを描いた短編集。要領が悪いため生きづらさを感じている女性や、過去の恐怖体験がトラウマになっている男性など、さまざまな事情を抱える主人公を力強い独自のタッチで、丁寧な心理描写がされている。「月刊!スピリッツ」2017年8月号に掲載された作品、WEBサイト「恐ろし屋」で配信された作品、浦部はいむのTwitterで発表された作品に加え、コミックス刊行にあたり描き下ろしのエピソードも収録されている。

正式名称
あ、夜が明けるよ。
ふりがな
あ よがあけるよ
作者
ジャンル
ホラー
 
ヒューマンドラマ
関連商品
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概要・あらすじ

何をやっても要領の悪い一ノ瀬サツキは、職場の先輩たちからのイジメに遭い、自信を失くしていた。そんな中、サツキは高校時代の同級生のあおいと偶然再会する。あおいは、朝と夜にポスティングのアルバイトをしており、疲れて大変だと愚痴をこぼす。そしてあおいは、デスクワークのサツキがうらやましいと言ったことで、サツキは自分の過酷な環境を知りもしないのにと激怒する。その後、サツキは心労から退職したものの、なかなか次の仕事が見つからないでいた。そんなある日、ふらりとコンビニエンスストアに立ち寄ったサツキは、再びあおいと出会う。元気のないサツキを見たあおいは、いっしょにポスティングのアルバイトをしてみないかと誘う。(エピソード「あ、夜が明けるよ。」)

登場人物・キャラクター

岡田 (おかだ)

エピソード「ゴキブリハウス」に登場する。居酒屋「おいでやす」のホールスタッフをしている男性。実家で両親と共に暮らしている。虫が大の苦手で、ゴキブリを見ただけで悲鳴をあげ、母親に退治してもらっている。「おいでやす」に新しく入ってきたスタッフの中川に一目ぼれし、積極的にアプローチを開始する。

パチンコ屋の女 (ぱちんこやのおんな)

エピソード「31日の本音」に登場する。パチンコ店のホールスタッフをしている若い女性。心優しい性格をしている。人間関係に恵まれているため、仕事にやりがいを感じており、お金を貯めて両親に孝行したいと考えている。しかし、両親がパチンコ店で働くことを反対しそうだからと、職場を隠しているため、母親から言動を怪しまれている。

無職の女 (むしょくのおんな)

エピソード「素敵な笑顔の裏」に登場する。高校を中退した女性。アルバイトもせず毎日ネットサーフィンをして時間を潰している。散歩したり、うるさい環境の方がかえって落ち着くからとパチンコ屋で読書をしたりと、定期的に外出するように心がけている。同じ年の女子高校生たちが楽しそうな笑顔で談笑しているのを見かけると、うらやましくて仕方がなくなる。

そう

エピソード「僕はトイレが怖いんです。」に登場する。30代の既婚者の男性。妻の茜と共に暮らしている。小学生の頃、近所の公園に併設されている公衆トイレで恐怖体験をして以来、トイレが怖くなり、ドアを閉めて用を足すことができなくなる。その恐怖体験の際、気を失った自分を助けてくれたことで同級生の茜と親しくなり、のちに結婚した。

ケイタの母 (けいたのはは)

エピソード「僕は心から感謝する」に登場する。シングルマザーの女性。ケイタと二人で暮らしている。金銭的な余裕がなく、ケイタに何も買ってあげられないことを気にしているが、ケイタが何も言わないために物欲がないと思い込んでいる。しかし、ケイタがクリスマスの日の朝、サンタクロースに人気ゲーム機をおねだりしていることを知る。

星川 (ほしかわ)

エピソード「震えてる??」に登場する。ゲームやマンガなどサブカルグッズを買取・販売する店舗でアルバイトをしている青年。アルバイト初日、周囲から孤立している羽田を見て、自分にはないミステリアスな雰囲気に魅せられ、親しくなろうと接近する。明るく人懐っこい性格で、周囲からはいじられキャラとして愛されている。

マサル

エピソード「カクゴの違い」に登場する。バンドで成功することを夢見る男性。年齢は30歳で、就職したことはなく、年老いた両親に養ってもらっている。同窓会に参加し、今の現状を周囲から失笑されたものの、学生時代に軽音楽部でいっしょだったよしのぶだけは認めてくれている。マサル自身も危機感を抱いており、将来をどうするべきか思い悩んでいる。

アニメ好きの大人 (あにめずきのおとな)

エピソード「バレンタインチョコを貰ったことのない30代男性の話。」に登場する。一般企業に勤務している独身男性。年齢は30代。人付き合いが苦手で、事務的な会話はできるが、社交的に振る舞うことがまったくできない。これまで女性と交際した経験もなく、バレンタインデーにチョコレートをもらったこともない。趣味はアニメ鑑賞で、女児向けアニメなども幅広くチェックしている。

谷川 かな (たにがわ かな)

エピソード「私というメイワク。」に登場する。小学5年生の女子。自己主張を抑えて周囲に遠慮ばかりしているため、同級生のあいだで浮いた存在になっている。気を使っているつもりが、行く先々で迷惑扱いされている。母親との関係も最悪であることから、家庭にも自分の居場所がない。谷川かな自身も自分の居場所はどこなのかを悩んでいる。

恵まれている男 (めぐまれているおとこ)

エピソード「見えてないのは近すぎるから」に登場する。一般企業に勤務している独身男性。同僚からは順風満帆な人生を送っているように見られている。しかし実際は周囲に迎合しているだけで、都合よく扱われている。心の内側にある「褒められたい」「大切にされたい」と願う本当の自分の気持ちを隠して生活を送っている。

一ノ瀬 サツキ (いちのせ さつき)

エピソード「あ、夜が明けるよ。」に登場する。最近会社を退職した女性。年齢は20代。生真面目な性格ながら要領が悪いところがあり、職場の先輩たちからのイジメで退職した。次の職場がなかなか見つからずに絶望していたところ、高校時代の同級生のあおいから、いっしょにポスティングのアルバイトをしないかと誘われる。

中川 (なかがわ)

エピソード「ゴキブリハウス」に登場する。居酒屋「おいでやす」のホールスタッフをしている若い女性。岡田から好意を寄せられているが、気づいていない。かわいらしい容姿で、厨房に出没するゴキブリも生き物だからと、殺さずに逃がすような優しい性格の持ち主。しかし、何を考えているのかわからない一面があり、つかみどころのないところがある。

(あかね)

エピソード「僕はトイレが怖いんです。」に登場する。30代の既婚者の女性。夫のそうと共に暮らしている。物静かで穏やかな性格の持ち主。小学生の頃、近所の公園に併設されている公衆トイレで気を失っていたそうを助けたことがきっかけで親しくなり、のちに結婚した。いつも目元には穏やかな笑みを浮かべており、目を開けた姿を見せることはほとんどない。

タク

エピソード「僕はトイレが怖いんです。」に登場する。30代の男性。そうと茜の小学校時代の同級生。小学生の頃に近所の公園に併設されている公衆トイレで恐怖体験に遭遇したそうが、トラウマを克服するために茜といっしょに再びその場所を訪れた際、偶然再会する。小学生の時から茜の目が怖いと感じており、二人が結婚したことを知ってそうを心配している。

ケイタ

エピソード「僕は心から感謝する」に登場する。小学生の男子。シングルマザーのケイタの母と二人で暮らしている。素直で心優しい性格の持ち主。クリスマスの日、サンタクロースに人気ゲーム機をおねだりしたものの、母親に金銭的な余裕がないことから、プレゼントをもらえずに終わってしまう。そのことを友達から、悪い子だからプレゼントがもらえなかったのだと茶化され、心に傷を負ってしまう。幼いながらも母親が一生懸命働いていることを知っているため、ワガママを言わずに我慢している。

羽田 (はねだ)

エピソード「震えてる??」に登場する。ゲームやマンガなどサブカルグッズを買取・販売する店舗でアルバイトをしている青年。星川の先輩にあたる。口数が少なくて愛想もなく、ミステリアスな雰囲気を漂わせている。そのつかみどころのなさを星川から興味を抱かれ、急速に親しくなる。ふだんは隠しているが特殊能力の持ち主で、幼い頃は自宅から出してもらえなかった過去を持つ。

よしのぶ

エピソード「カクゴの違い」に登場する。一般企業に勤務する既婚者の男性。年齢は30歳。同窓会でバンド活動をしているマサルと再会し、バンドで成功する夢を持っていたことを思い出す。マサルが現在組んでいるバンドのことも知っており、社会への不満を力強く綴った歌詞に共感している。学生時代はマサルと同じ軽音楽部に所属し、親しくしていた。

あおい

エピソード「あ、夜が明けるよ。」に登場する。ポスティングのアルバイトをしている女性。年齢は20代。一ノ瀬サツキと高校時代の同級生で、アルバイト中に偶然再会した。会社を辞めて元気をなくしているサツキに対して、いっしょにポスティングのアルバイトをしないかと誘う。明るくサバサバとした性格で、面倒見がいい。

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