あしなが王子様は失恋する

高校の体育祭。体操着が短く、へそを出していた槙かなえは、同級生の永峯玲央から「貧しいのか？」とバカにされる。頭にきたかなえは、ずっと同じクラスだったが彼を無視し続けた。かなえの家は母子家庭で、小さな妹もいるため、高校も辞めようかと考えるほど経済的に余裕がなかった。そんなかなえの学費を匿名で援助してくれる人が現れた。かなえはその人をあしながおじさまと呼び、一人前になったらおじさまに恩返しすると決めていた。大学を卒業し、N&Dカンパニーに就職が決まったかなえは、卒業と就職先をおじさまに手紙で報告した。そして入社式の日。同僚が社長のジュニアも同期なのだと騒いでる中、社長ジュニアと思わしき男がかなえに近づき「久しぶりだな」と声を掛ける。それは、高校時代にかなえを怒らせたあの永峯だった。スーツ姿のかなえを見て「今度はサイズがあっていて良かった」とまたよけいなことを言う。負けずに「あんたがジュニアとわかっていたらこの会社を受けなかった」と返すかなえ。その後も永峯の失礼な態度にかなえは腹をたてる。仕事を始めてしばらくしたある日、かなえの母の不注意で、家が全焼。母と妹は母の彼氏の家でしばらく世話になることに。かなえは友達の家に長居はできず、漫画喫茶で寝泊まりしていた。すると高そうな車に乗ったひげのおじいさんが「あなたがおじさまと呼ぶ人に頼まれて、迎えにきた」とかなえを大きなお屋敷に連れて行った。やっとおじさまに会えるとかなえは期待に胸を膨らませた。庭に大きな犬と男性のシルエットが見えたかなえは、駆け寄ってあいさつをした。するとそこにいたのは、世界一腹のたつ男、永峯玲央だった。彼はかなえに「君はここに住むんだ」と言い出し、反発するかなえにキスをした。そして「君のあしながおじさんなんていない。援助をしていたのは僕だ。僕と結婚するか、援助した金をすべて返すかどちらかだ」と乱暴なことを言い出した。大切なおじさまと大嫌いな男が同一人物だったことにショックを受けたかなえ。自分に逆らうのは不可能だと言う永峯に対し、かなえは「好きにすればいい。でも心だけはあげない」と泣きながら永峯をにらみ返した。こうしてかなえは永峯の豪邸で彼といっしょに暮らすことになった。庶民的で人懐っこいかなえは、お手伝いさんたちとはすぐに打ち解けた。しかし、横暴で口の悪い永峯とは相変わらず言い争いばかり。しかし、金で人を支配することしかできない不器用な彼をしだいに理解し始め、自分に援助してくれたのはなぜなのか、永峯のことが気になり始めるかなえだった。