毒虫小僧

毒虫小僧

醜悪な怪物・毒虫小僧に変身した小学5年生の日の本三平。人間の心を失った彼は、家族や人間への怒りから猟奇殺人を繰り返す。最後は父親に猟銃で撃たれ、死を受け入れる。

正式名称
毒虫小僧
ふりがな
どくむしこぞう
作者
ジャンル
ホラー
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概要・あらすじ

醜い風貌の小学5年生・日の本三平は学校にも家庭にも居場所がなく、秘密の隠れ家に入り浸る。春休みのある日、日の本三平は激しい吐き気に襲われて口から赤い毒虫を吐き出す。その毒針に指を刺されて全身が溶ける奇病に冒され、最終的に巨大な毒虫毒虫小僧に変身。家族は毒虫小僧日の本三平の部屋に閉じ込めた後、殺そうとするのだった。

毒虫小僧は地中を掘ってマンホール(下水道)に逃げ、そこで気楽に過ごす。しかし、やがて孤独に堪えかねて海辺に赴き、そこでゴン太に捕われる。ゴン太ら村人を毒針で殺した毒虫小僧は自分の力に気づき、人間への復讐を開始。徐々に記憶を失った毒虫小僧は快楽殺人を繰り返すようになる。

あるとき、懐かしい匂いに引かれて日の本家に立ち寄った彼は、幼かった頃の記憶を取り戻して落涙。だが、家では父親・日の本太郎が猟銃を持って待ち構えており、毒虫小僧の全身に銃弾を浴びせる。毒虫小僧は再びマンホール(下水道)に逃げ込むが、次第に衰弱。死を悟って下水の流れに身を任せ、ドブ川から太平洋の彼方へ消えていく。

登場人物・キャラクター

日の本 三平 (ひのもと さんぺい)

新町小学校5年1組の小学生。小動物を愛する心やさしい一面を持つが、教室にイモ虫やヘビを持ち込むなどして気味悪がられる。成績はオール1、逆上がりもできない運動音痴。学校の行き帰りに3人組のいじめっ子にいじめられている。兄・日の本秀一と妹・日の本花子はいずれも秀才なため、家庭でも常に両親から叱られていた。 工場裏の空き地のゴミ捨て場に作った秘密の隠れ家にこもり、学校をサボることもしばしば。赤い毒虫の毒針に刺されて手足、頭髪、歯などが腐り落ちた後、数十日間のミイラまたはサナギのような段階を経て毒虫小僧に変身する。

毒虫小僧 (どくむしこぞう)

日の本三平が変身した姿。人間サイズの巨大なイモ虫。地中を掘り進んで移動する能力を持つ。頭、背中の各節、尾に毒針があり、人間を刺し殺す能力を有する。日の本家では日の本三平の部屋に閉じ込められ、残飯を与えられていた。やがて日の本太郎の出世の邪魔になるとして、毒を盛られ庭に埋められる。 だが地中で蘇生し、トンネルを掘ってマンホール(下水道)に逃げた。日の本三平だった頃の復讐心から人間を襲うが、やがて記憶が薄らいで快楽殺人に耽るようになる。

日の本 太郎 (ひのもと たろう)

日の本三平の父親。サラリーマン。庭付きの一軒家に妻と3人の子供と暮らしていた。動物を愛する日の本三平のやさしさを知っているが、それだけでは世の中を渡っていけないとして叱責する。部長昇進のチャンスを控えて会社の重役が家を訪れることになり、世間体のため毒虫小僧となった日の本三平を葬ろうとした。 家では和服で過ごし、猟銃を所持している。後に毒虫小僧となった日の本三平が快楽殺人を重ねていることを知り、改めて家族の手で殺そうと決意。

お母さん (おかあさん)

日の本三平の母親。幼い頃は日の本三平をかわいがったが、やがて夫とともに冷たく接するようになる。奇病に冒され自室で寝たきりとなった日の本三平の世話をしていた。日の本三平が毒虫小僧に変身した後は、残飯を食事として与える。

日の本 秀一 (ひのもと しゅういち)

日の本三平の兄。翌年に高校受験を控えた中学生。オール5の秀才。日の本三平が奇病に冒された際、勉強せずに遊んでいたからバチが当たったと言う。毒虫小僧となった日の本三平が殺人を重ねていることを知り、弟からの復讐を恐れる。

日の本 花子 (ひのもと はなこ)

日の本秀一、日の本三平の妹。オール5の秀才。日の本三平に同情的な面もあるが、最後はいつも両親や兄に従う。

ゴン太 (ごんた)

毒虫小僧となった日の本三平が居着いた海辺近くの村の住民。肉体労働者風の若い男性。毒キノコを食べて体が麻痺した毒虫小僧を捕まえるが、村人には激しい格闘で倒したと嘘をつく。木製の檻を破って逃げた毒虫小僧を追いつめた際、ほかの村人5名とともに毒針に刺されて死ぬ。

いじめっ子 (いじめっこ)

日の本三平が通っていた新町小学校の児童。3人組。学校の行き帰りに日の本三平をよくいじめていた。日の本三平が毒虫小僧となって自分の毒針の力を知った時、真っ先に復讐の標的にされる。いずれも夜、窓を破って自宅内に侵入した毒虫小僧に刺されて死んだ。

女性教師 (じょせいきょうし)

丸い眼鏡をかけた中年女性。算数の授業中、日の本三平が教室に持ち込んだイモ虫とヘビを見て失神する。「ざます」口調。

毒虫 (どくむし)

『毒虫小僧』に登場する赤いイモ虫。日の本三平の吐瀉物とともに体内から出てきた。毒虫小僧となった日の本三平と姿形が似ている。二股に分かれた尾の毒針で日の本三平の右手人差し指を刺した。失神した日の本三平がベッドの上で目を覚ますと、消えていた。

場所

マンホール

物語中では下水道網全体がマンホールと呼ばれる。毒虫小僧となった日の本三平が住処とする。やがて毒虫小僧が快楽のために殺した人間の死体で山ができた。

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