いばらの冠

いばらの冠

幼い頃から不思議なものが見える霊感の強い女子高生・深海のばらと、のばらの前に突如として現れたイケメン悪魔・ルシ男の最凶コンビが織り成す、少し不思議なドタバタスクールライフを描く。「別冊マーガレット」2013年5月号から2014年4月号にかけて連載された作品。

正式名称
いばらの冠
ふりがな
いばらのかんむり
作者
ジャンル
学園
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概要・あらすじ

女子高生の深海のばらは、幼い頃から霊感が強く、他人には見えないものが自分だけには見えてしまう体質を持っていた。16歳の誕生日を迎える3か月前に、突如としてのばらの前に現れた悪魔・ルシ男とともに、登校すると、同学年の女子生徒・深海が、クラスメイトに誘われてもいない合コン場所のセッティングや、学級日誌を職員室に運ぶといった、面倒な役割を押し付けられている姿を目にする。

のばらはそんな深海の様子にイライラし、「世話好きの物好きなんだね」と喧嘩腰で一方的に話しかけた後、「今日は授業をサボって帰る」と学校の外へと出て行ってしまう。すると深海はのばらの後を追いかけて来て、これからもずっと誰かの脇役のような人生を送りたくはないと本音を語る。

クラスメイトにも人気の高いバスケ部の吉川先輩に、密かに恋心を抱いていたことも打ち明ける。深海の話を聞いたのばらは、クラスメイトよりも先に告白をして吉川先輩を奪ってしまえばいいと助言する。のばらの話に戸惑いながらも深海は再び学校に戻り、のばらに言われた通りに地味な眼鏡を外して化粧をし、放課後の校門で吉川先輩が下校するのを待つのだった。

登場人物・キャラクター

深海 のばら (ふかみ のばら)

高校生の少女。肩までの黒髪で前髪を中分けにしている。両親は大阪に住んでおり、1人で大きな屋敷に住んでいる。幼い頃から霊感が強く、他人には見えないものが見えてしまう体質を持ち、ずっと頭の中に何者かが話しかける声が聞こえていた。その声の主は深海のばらに取り憑いている悪魔のルシ男。のばらが16歳になる誕生日の3か月前に突如として現れ、やむを得ず共同生活を送ることになってしまう。 自己主張が激しく、気が強い。言いたいことははっきりと言わないと気がすまない性格。特殊な体質の影響もあり、学校ではのばらに話かける者は少なく、クラスでも孤立している。そのため「いばら」というあだ名を付けられている。しかし、幼なじみで同級生の辺見誠一郎とだけは家族ぐるみで仲が良い。 ルシ男が実体化して見えるようになって以来、人が生み出す負の感情から、黒い珠を作り出す特殊能力を身につけている。

ルシ男 (るしお)

深海のばらに取り憑いている男性悪魔。金髪で背が高く容姿端麗、黒い胸元の開いたワイシャツに、黒いジャケットとスラックスを着用している。5歳の誕生日の時にのばらの心臓が停止し、その時にそばにいたのばらの祖父が、自身の命と引き換えにのばらを生き長らえさせるようルシ男と取引した。そのため、のばらに取り憑いている。 のばらが幼い頃は実体化することができず、話かけるのみだった。のばらが16歳になる誕生日の3か月前から、実体化できるようになった。その後、両親のいない屋敷で一人暮らしをするのばらと、共同生活を送ることになる。記憶障害があり、自分の名前すらわからないため、のばらからは「ルシファー」から引用して「ルシ男」と呼ばれている。 高慢なナルシストで、気が強いのばらとは頻繁に対立してはいるものの、仲は決して悪くはない。のばらを介して手に入れることのできる黒い珠を主食としており、背中から黒くて大きな羽根を生やして空を飛ぶことが可能。

辺見 誠一郎 (へんみ せいいちろう)

黒髪の高校生の少年。同級生の深海のばらとは幼なじみで、幼い頃から現在に至るまで家族ぐるみで仲が良い。明るく、誰とでも打ち解けて仲良くなれる性格で、特殊な体質を持っているために周囲から避けられがちなのばらに対しても、親しく接している。実はリーに取り憑かれている。のばらがルシ男に抱かれて空を飛んでいたところを目撃し、のばらも自分と同じく悪魔に取り憑かれていることを知る。 リーに取り憑かれて以来、人が生み出す負の感情から、黒い珠を作り出す特殊能力を身につけている。

リー

辺見誠一郎に取り憑いている男性悪魔。長い黒髪で背が高く容姿端麗。胸元にボタンの付いた丸首の白い長袖シャツを着用している。同じ悪魔のルシ男からは「破壊の悪魔」と呼ばれており、リーに取り憑かれた人間は、将来的に死ぬか悪魔になるかの2択を迫られることとなる。表向きは品行方正な好青年といった雰囲気を醸しだしているが、実際は強欲で、取り憑いた人間が生命の危機にさらされるほどに黒い珠を搾取しようとする。 人間を道具のように扱う、非情で冷酷な性格をしている。

深海 (ふかみ)

高校生の少女。茶髪の長い髪を左右に分けて三つ編みのおさげにしている。容姿だけでなく、性格も地味で控え目なので、同級生の女子には、面倒臭い役を押し付けることのできる都合の良い存在だと思われている。それでも深海自身は、話しかけて接してくれるだけありがたいと思っている。深海のばらとはクラスは違うが同学年で、やがて親しくなり、自分の性格や見た目を変えるきっかけを与えてもらうこととなる。

のばらの祖父 (のばらのそふ)

深海のばらの祖父。白髪の短髪で、ワイシャツの上からVネックのセーターを着用している。優しく孫思いで、幼いのばらをとても可愛がっていた。しかし、のばらが5歳の誕生日の時に突然心臓が停止してしまうという出来事があり、その時に偶然に呼び寄せてしまった悪魔のルシ男に、自分の命と引き換えにのばらを助けて欲しいと願った。 しかし、のばらの祖父の残りの寿命だけでは、のばらは18歳までしか生き延びることはできないと告げられ、やむなくルシ男がのばらに取り憑くことを条件に、のばらを生き長らえさせることに成功する。

辺見のおばさん (へんみのおばさん)

辺見誠一郎の母親。茶髪の短髪で、花柄のシャツにジーパンを着用し、ローカットのスニーカーを履いている。深海のばらが誠一郎の幼なじみだったため、のばらの両親とも交流があった。のばらとは現在も良好な関係を続けており、家族と離れて一人暮らしをしているのばらを、度々家に招いてはともに食事をしている。飼っている柴犬の散歩を日課にしている。

吉川先輩 (よしかわせんぱい)

深海のばらと同じ高校に通う男子。のばらの先輩にあたり、バスケットボール部に所属している。茶色の短髪で、目が大きい。明るく活発な性格で、容姿も端麗なので男女ともに人気がある。その人気は他の学年にもおよび、深海など後輩も含めて、彼に密かに恋心を抱いている女子は少なくない。

その他キーワード

黒い珠 (くろいたま)

嫌悪、退屈、強欲、怠惰、嫉妬といった、人間の持つあらゆるネガティブな感情を形にしたもの。ルシ男やリーをはじめとする悪魔たちの主食となっている。取り憑いた人間がネガティブな感情を相手に与えるか、または自分が抱くことによって生み出される。個体差はあるが、黒い珠を生み出すには相当な体力を消耗するため、人によっては生命の危機にさらされることもある。

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