おかゆネコ

おかゆネコ

創作おかゆをテーマとした、コメディ要素あふれるグルメ漫画。菊川八郎の家にやって来た猫のツブがさまざまなおかゆを作って八郎の食生活を支えながら送る日常を、レシピやコラムを交えながら描く。「週刊ビッグコミックスピリッツ」2012年18号から2016年39号にかけて連載された作品。

正式名称
おかゆネコ
ふりがな
おかゆねこ
作者
ジャンル
グルメ
関連商品
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あらすじ

第1巻

一人暮らしの青年サラリーマンの菊川八郎は、長期海外旅行に行くことになった両親から、猫のツブを預けられる。しかし一見ふつうの猫であるツブは、奇病「しゃべり病」にかかっており、八郎の前で人語をしゃべり始める。さらにツブは八郎の両親から、一人暮らしで生活習慣が乱れた彼の面倒を見るように頼まれた世話係であった。かつて自分の飼い主だった故人の菊川一乃によくおかゆを作ってあげていたツブは、その経験を生かして新しく主人となった八郎に、冷蔵庫に残っていた干しタラを使ったおかゆを振る舞う。しかし猫舌なために味見ができないツブが作ったおかゆは、予想以上にしょっぱい仕上がりになっていた。味を薄めながらおかゆを食べていた八郎は、タラの小骨をのどに引っかけてしまう。それはツブの爪が伸びていたために、小骨を除く細かな作業ができなくなっていたからだった。そんなツブとの今後の生活に不安を覚えながら仕事に向かった八郎は、上司で愛猫家の多田を連れて帰宅する。そして猫の爪切りを得意とする多田は、ツブの爪をきれいに切りそろえるのだった。

第2巻

中年格闘技大会に向けて減量に励む多田は、公園でガツに遭遇する。次の日の夜、菊川八郎は多田と居酒屋に行くが、多田は炭水化物を省いたメニューばかり食べていた。多田はガツの勧めもあり、米やパンなどの炭水化物を避ける「糖質制限ダイエット」を始めていたのである。それを知ってショックを受けたツブは、主食を抜くのは不自然だとガツに指摘。しかしガツはツブを論破したうえに、いずれは周囲の人間を「主食抜き主義」に導くと宣言する。そこに現れた多田は、糖質制限に引っかからない、豆腐と納豆昆布のみを使ったおかゆ料理をツブに依頼。依頼どおりのおかゆを作って多田を満足させたツブは安心するが、炭水化物を禁じたままの多田の食生活に不安は消えなかった。次の日、ツブは俵孝子もガツに勧められて糖質制限を始めたことを知る。見かねたツブはガツに対し、健康的な人間にまで糖質制限をさせるべきではないと指摘。ガツは再びツブを論破しようとするが二匹の前に桃井きび夫が現れ、糖質制限理論にこだわるガツを諭そうとする。きび夫の説得でガツは反省するが、多田は変わらず糖質制限を続けていた。ツブはそんな多田を心配して説得を試みるが、そこに胃沢がかんぴょう巻きを持って現れる。

第3巻

夏のアウトドアをそれなりに楽しんでいた菊川八郎だったが、秋になってからは仕事が多忙になり、山登りや行楽に行けない日々が続いていた。さらに営業先の深町から「ビルの階段登り同好会」の活動に付き合わされるようになった八郎は、ますますアウトドアから遠ざかり、元気をなくしてしまう。見かねたツブは、色々なおかゆを作ったり俵孝子と協力して八郎を励まそうとしたりするが、彼が行楽に行けない状況は変わらなかった。そんなある日、久しぶりに予定が空いた八郎は、ツブを連れて行楽に行くことになる。しかし出発直前に深町から電話が入り、ビル登りの最中に体調を崩した彼を助けに向かうはめになってしまう。深町の救出に成功したものの予定が狂ってしまった八郎は、その後も行楽に行くことは叶わず、ストレスでやつれてしまう。そんな中、ツブは好奇心に負けて田部井ジュンの山登りに同行。後日、アウトドアを楽しめない八郎を差し置いてツブが山や海に出かけていたことが知られ、嫉妬した八郎はツブを置いて家出する。ツブは八郎が家出した桃井きび夫の家を訪ねるが彼と直接会うことは叶わず、遠くから様子をうかがう。こっそり覗いたツブが見たのは、ガツが作った焼き餅を食べ続けて太った八郎の姿だった。

第4巻

ビール会社「コトリビール」の「カレー部」に入部した菊川八郎は、部長を任されて毎日カレーを食べるようになる。八郎はカレーの食べ過ぎで胃炎になるが、部長としてのプライドを守るために無理してカレーを食べようとしていた。そんな八郎を心配するツブだったが、八郎は出勤前に胃痛を訴えて倒れてしまう。ツブは慌てて八郎を縄山先生の動物病院に連れて行くが、獣医の彼は人間の八郎を診ることはできなかった。ツブの必死の訴えを聞き入れ、八郎を救う決意をした縄山先生は応急処置を施し、八郎は体調を取り戻す。しばらくカレーを控えるように先生に言われた八郎は、ツブにスパイスを使わないカレーっぽいおかゆを作ってもらうことにし、ツブは茶がゆ文化圏の食べ方を参考にした「茶がゆのつけご飯」を作る。胃炎から回復した八郎は、カレー部の部員たちから、コトリビール山岳地帯保養所で開かれるカレーパーティーに誘われる。ツブにカレーを食べないように言われる八郎だったが、部員たちの好意をむげにできないと保養所へ向かう。一方その頃、八郎の到着を待つカレー部の多田細山、米良は多田が持ってくるはずだった自家製らっきょうを忘れたことで、トラブルになっていた。

第5巻

ふだんからツブ菊川八郎に飼われているが、実は「別宅」と称して、時折通ったり泊まったりしている家があった。それはリョウの先輩でもある宝田もり夫の家で、猫好きのもり夫は父親と共に、時々遊びにやって来るツブに「チョッピー」と名付けてかわいがっていた。しかしツブは「たまにはふつうの猫としてかわいがられたい」という理由から、もり夫たちにはしゃべり病であることを隠していた。しかし、ある出来事をきっかけに、もり夫たちにしゃべり病であると明かしたツブだったが、もり夫たちは人間並みの知能を持つ猫を溺愛していたことを恥じてショックを受ける。それでもこれまでかわいがってくれたもり夫たちに感謝するツブは、彼らをフォローしつつ、庭から妙な匂いがしていることに気づく。もり夫の父親は庭に銀杏があると言うが、庭に落ちていたのは銀杏ではなく、よく似た別の植物だった。庭にある木がずっとイチョウだと思っていたもり夫の父親は、ショックを受ける。ツブは彼を励ますために、チョッピーとして過ごしていた時は封印していた料理を解禁。もり夫の協力を得ながら、銀杏のおかゆを作るのだった。ツブの料理の腕に感動したもり夫たちだったが、今までチョッピーと呼び続けたツブを、本名で呼ぶれるのは慣れないと悩む。そしてもり夫たちは、「チョッピー」と「ツブ」を合わせた新しい名前を考え始める。

第6巻

夏休みに休暇を取った菊川八郎は、ツブと共に沖縄旅行を満喫していた。宿の手配をツブに任せていた八郎だったが、ツブが手配したのはしゃべり病のヤモリが経営している宿屋「壁這い荘」だった。壁這い荘はオーナーのヤモリ以外にも多数のヤモリが壁を這い、虫を徹底駆除するのが売りだった。隣人が作った夕食を食べる八郎は、泡盛とともに素朴な味を楽しんでいた。しかし次の日の朝、八郎は泡盛の飲み過ぎで体調を崩してしまう。そこでツブは昨夜の夕食に入っていた青パパイヤからヒントを得て、肝臓にいいとされる青パパイヤのおかゆを作る。その後、体調が回復した八郎は沖縄旅行を満喫して帰宅し、会社の同僚たちに沖縄土産を渡す。そんな中、八郎の沖縄旅行を知った胃沢は、格闘家のあこがれの地でもある沖縄に行った八郎や、その土産をもらった多田に嫉妬していた。暑気払いも兼ねて八つ当たりするように多田に勝負を挑んだ胃沢は、独自に工夫した沖縄空手で多田に攻撃。まったくひるまない多田に、胃沢はハブの作り物を頭に乗せて威嚇する。その様子を見ていた沖縄帰りのツブは、二人の仲裁に入る。同時にツブは本物の沖縄の味を再現しようと、二人に沖縄の雑炊「ボロボロジューシー」を振る舞うのだった。

第7巻

ツブ爪子と海外旅行に行ったままなかなか帰ってこない、菊川三雄菊川米子を心配していた。そんなツブたちの前に、謎の犬型ロボットが出現。このロボットは嫉妬博士が作り出したもので、その場に嫉妬博士も現れ、ロボットを使ってツブを捕まえようとする。嫉妬博士の目的は、ツブを人質にして三雄たちの研究内容を聞き出すことだった。しかし犬型ロボットのゼンマイの巻きが戻ったことで、嫉妬博士はツブの捕獲をあきらめて立ち去る。苦難を逃れて帰宅したツブは、ゼンマイからヒントを得てゼンマイ(山菜)のおかゆを作る。しかし、嫉妬博士の脅威は完全に去ったわけではなく、彼は次のターゲットを俵孝子に定める。新商品の開発案をツブに相談していた孝子は嫉妬博士のスカウトを受けるが、彼の目的は孝子と菊川八郎の仲を裂いて、八郎をがっかりさせることだった。嫉妬博士の本当の目的を知った孝子は、スカウトの話を断る。その出来事をツブから聞いた八郎は嫉妬博士に呆れつつ、今まであまり気にしていなかった孝子を意識するようになってしまう。そんな中、ツブがまた高校生と山に出かけたのを知ってヘソを曲げた八郎は、ツブが作った料理をすべて拒否して外食ばかりしていた。

登場人物・キャラクター

菊川 八郎 (きくかわ はちろう)

ビール会社「コトリビール」の営業部に勤める青年サラリーマン。頭部には悪魔のツノのような形をした、尖った癖毛がある。実家を出て独身生活を謳歌していたが、菊川三雄と菊川米子から預けられたツブを飼うようになり、彼から食事をはじめとする世話を受けながら暮らしている。不規則で乱れがちな食生活を送っていたが、ツブの作るさまざまなおかゆを食べることで健康を取り戻していく。しかし無類の酒好きで、ビール会社の営業とは別によく酒を飲んでおり、ツブに止められることもある。当初はしゃべったり料理を作ったりするツブにとまどっていたが、彼と過ごすうちに打ち解けていき、ペットや主従を超えたよき相棒ともなっている。趣味はアウトドアで、休日はよくツブを連れて海や山に出かけている。このため、外に出られない梅雨は嫌いで、ジメジメした雨の日が続いてノイローゼになったこともある。ふつうのサラリーマンだが少々向こう見ずなところがあり、しょっちゅう二日酔いで体調を崩したり、アウトドアでむちゃをしたりしてはツブや俵孝子を心配させている。同僚で近所に住む孝子に思いを寄せられていることに気づいておらず、彼女の行動を奇妙に思うことが多い。三雄と米子が住む実家は菊川アルティメット研究所でもあるが、彼らの研究内容はよく知らない。また科学者の両親を持つものの、菊川八郎自身はあまり勉強が得意ではない。

ツブ

菊川八郎の両親から預けられ、彼の家で飼われることになったオス猫。名前の由来は「ご飯粒」からで、通称「おかゆネコ」。胴や尻尾には海苔を巻いたような黒く四角い模様がある。「しゃべり病」にかかっているために人語を話すことが可能で、料理を作ることもできる。この特技を生かして新たな主人となった八郎の食事を作るようになり、創作おかゆを中心に手料理を振る舞っている。しかし、猫舌であるために味見はできない。見た目はふつうの猫でありながら、世話焼きでしっかり者。また食材や料理の知識を中心にかなりの博識で、しゃべり病の影響もあってつねに知的好奇心旺盛。一人暮らしで生活習慣や食生活が乱れがちな八郎の世話を彼の両親から任されており、毎日さまざまなおかゆ料理を作ることで、彼の食生活を支えている。元は菊川一乃に飼われていた猫だったが、一乃にもさまざまなおかゆを作って世話していた。最期まで自分をかわいがってくれた一乃のことは、今でも慕っている。しゃべり病であることは特に隠しておらず、初対面の人間相手でもふつうに話し掛けている。時折外出しては八郎の近所に住む人や同僚などにも食生活のアドバイスをしたり、それぞれの悩みに合わせた料理を作ったりしている。八郎のために作ったおかゆを食べることもあるが基本は肉食なため、栄養バランスが崩れるという理由でキャットフードを主食としている。

俵 孝子 (たわら たかこ)

ビール会社「コトリビール」の開発部に勤める女性。菊川八郎の同僚で、近所に住んでいる八郎に並々ならぬ好意を抱き、孝子の父が取ってきた珍しい食材を八郎におすそ分けしている。しかし八郎には素直になれず、奇妙な行動に走ることも多いため、鈍感な八郎には思いが届かず、不思議に思われている。また、時折八郎の自宅を窓からのぞくなど、ストーカーのような行動を取っている。仕事では斬新なビールや発泡酒などの新製品の開発を担当しているが、むちゃな新製品案を出しては失敗したり、上司からむちゃな命令を出されて悩まされたりしている。料理は得意ではないが父親の影響で食材に詳しく、ツブと知り合ってからは料理をする機会が増えた。またツブの口車に乗せられ、反発しながらもツブを手伝ったり、力仕事や味見を任されたりと、いいように使われることが多い。当初はツブを生意気に思っていたが、彼の手料理を食べたり八郎へのアプローチを助けられたりするうちに打ち解けていく。小学生の頃から長いおさげを自在にあやつる「操鞭術」と呼ばれる古武術を使うことができ、縄のように使って物をつかんだり縛ったりもできる。「ボブ」という名のトカゲを飼ってかわいがっていたが、脱走したボブに彼女ができたのを知り、ボブを自然に放して別れを告げた。一時は嫉妬博士の陰謀に巻き込まれるが、彼の物忘れと高性能ロボットに助けられて危機を脱する。

多田 (ただ)

ビール会社「コトリビール」の営業課長を務める中年男性。菊川八郎の上司でもある。無類の猫好きで、愛猫の爪子を溺愛し、八郎を通して知り合ったツブのことも気に入っている。爪が伸びすぎて細かい作業ができないと悩んでいた、ツブの爪を切りそろえた。中年格闘技に燃えるアマチュア格闘家で大会にも出場しているが、小太りな体形でなかなか減量できないのが悩み。また冷え性のため、時折ツブに減量のためのおかゆを作ってもらっている。減量のために禁酒にも励んでいるが無理なダイエットを行い、周囲に心配されることもある。実はバツイチで、別れた妻に引き取られた息子の富忠とは離れて暮らしている。現在でも富忠のことは大切に思っており、彼に新しい父親ができたのを複雑に思いつつも、時々会って愛情を注いでいる。一時はガツの勧めで糖質制限ダイエットに没頭して減量にも成功していたが、ライバルの胃沢には結局勝てず、ツブに諭されて元の食生活に戻った。のちにコトリビールの「カレー部」の部員となる。

爪子 (つめこ)

多田が飼っているメス猫。長毛種で、カールした白い毛を持つ。しゃべり病ではないがツブと会話することができ、ボーイフレンドとなった彼と時々いっしょに遊んでいる。主人のことは「多田」と呼び捨てにしているが、彼の体調や気苦労を心配するなど、主人思いな一面もある。ツブと友達になってからは、多田と会話するときはツブに通訳を頼んでいる。クールな性格で、料理には詳しくないものの、おかゆのことで悩んでいるツブに助言し、励ますことも多い。

孝子の父 (たかこのちち)

俵孝子の父親。孝子が菊川八郎にいつもおすそわけする食材を調達している張本人でもある。厳しい妻の影響でさまざまな食材を自ら調達する習慣がつき、孝子が八郎に好意を寄せていることを知ってからは、孝子の恋を応援するために山や海に出かけて珍しい食材を調達している。昔から孝子に対してはかなりおせっかいで、彼女の夏休みの宿題を代わりにやろうとするなど、過保護なところもある。

胃沢 (いさわ)

多田のライバルで、中年格闘家の男性。妻と浪人生の息子、胃沢粘との三人暮らし。中年格闘大会で多田に勝利してからは、ライバルの彼を見下したり対抗心を燃やしたりしている。次の大会に向けて減量や特訓をする多田の前に現れては、食べ物をちらつかせて減量の失敗に誘導するなど、たびたび嫌がらせをしている。本気を出すと、頭に羊羹や巻き寿司などを乗せてちょんまげ風にする「侍モード」になる。格闘技が盛んな沖縄に、強いあこがれを抱いている。

胃沢 粘 (いさわ ねん)

胃沢の息子で、浪人生。次の大学受験に向けて勉強に励んでいるが、同室の父親がトレーニングしている時はなかなか集中できないのが悩み。しかし、ツブに作ってもらったレンコンのおかゆを食べ、集中力を取り戻す。その後も父親のトレーニングで集中できないことに悩まされていたものの、のちに大学に無事合格した。

目白 富三 (めじろ とみぞう)

ビール会社「コトリビール」の社長を務める中年男性。平らな盆状になった頭には、いつも小鳥を乗せている。当初はおかゆを病人食や老人食だとバカにしていたが、ライオン和尚の教えを受けてツブのおかゆを食べたことで、おかゆへの理解を示すようになった。一時は朝ビールがやめられないことに悩んでいたが、ツブが作ったおかゆで克服した。息子の目白鞠夫や目白粉夫から次期社長の座を狙われており、特に鞠夫とは確執があるが、なんだかんだで息子たちのことは甘やかしている。

菊川 三雄 (きくかわ みつお)

菊川八郎の父親で、科学者。母親の菊川一乃が飼っていたツブを八郎に預け、妻と共に長期海外旅行に出ている。若い頃はある研究施設の科学者をしていたが、結婚してからは研究施設を出て菊川アルティメット研究所に住んでいる。実は妻と共に、メイドロボット「M-16子」に一乃の人格を移植する実験に成功しており、その研究内容を解明しようとする嫉妬博士から狙われている。海外旅行に出たのも、嫉妬博士から逃亡するためだった。のちに嫉妬博士からの追跡を逃れ、妻と共に日本に帰国する。

菊川 米子 (きくかわ よねこ)

菊川八郎の母親で、科学者。夫と共に長期海外旅行に出ている。実は夫と共にメイドロボット「M-16子」に一乃の人格を移植する実験に成功しており、その研究内容を解明しようとする嫉妬博士から狙われている。海外旅行に出たのも、嫉妬博士から逃亡するためだった。のちに嫉妬博士からの追跡を逃れ、夫と共に日本に帰国する。

菊川 一乃 (きくかわ いちの)

菊川八郎の父方の祖母で、故人。夫(八郎の祖父)もすでに亡くなっている。孫の八郎のことは「八ちゃん」と呼んでかわいがっていた。八郎によく似た悪魔のツノのような癖毛がある。ツブのもともとの飼い主で、生前に捨てられていた子猫のツブを拾い、とてもかわいがっていた。ツブにとってはしゃべり病にかかる前からの親代わりで、大切な主人でもあった。ツブがしゃべり病になってからは、亡くなる直前までツブの作ったおかゆを食べるなど世話を受けていた。ひな祭りなどの行事や祭りが好き。実は菊川アルティメット研究所のメイドロボット「M-16子」の電脳に生前の人格が丸ごとコピー移植されており、肉体の死後も精神はM-16子の中で生き続けている。ただし、つねに一乃の人格が現れるわけではなく、M-16子自体は基本的にふつうのロボットとして過ごしている。食べ物の味を感じ取れなくなったのをツブに心配されていたが、実はM-16子の機能で味覚をシミュレーションして、味を感じ取ることができる。和食を中心に家庭料理が得意で、生前にツブにさまざまな料理を教えた人物でもある。しかし夫が毎年のように餅をのどに詰まらせていたことがトラウマになっており、正月でも餅料理は避けている。

畝子 (うねこ)

菊川八郎の近所に住む主婦で、幼い息子のムっ君を育てている。外出していたツブと偶然知り合い、残ったご飯を無駄にしていることを彼に叱られる。これをきっかけにツブとたびたび会っては、おかゆを作ってもらったり助言を受けたりするようになる。産後太りに悩み、夫のムツオにダイエットを命じられて困っていたところで、ツブにダイエットランチになるおかゆを作ってもらった。それ以来、たびたびツブの新作おかゆの試食役になったり、お礼として食材を提供したりしている。気難しい性格で健康の悩みも抱えるムツオには手を焼いており、毒のある発言をしたり厳しい態度を取ったりすることもある。

ムっ君 (むっくん)

畝子とムツオの息子で、本名は「ムツキ」。乳幼児の頃は「おぱーい」以外の言葉を話すことができなかったが、成長とともに少しずつほかの言葉も発するようになる。ムツオにダイエットを命じられた畝子の監視役を務めている。ツブとは親友のような関係で波長が合うため、離れていても交信を交わして、自分のもとへ呼び出すこともできる。のちに複数の蚊に襲われていたところを俵孝子に助けられ、おさげで蚊を失神させた彼女にあこがれて「先生」と慕っている。幼稚園の年長生になってからもツブとの交流は続けているが、非常に照れ屋な性格に育った。

ムツオ

畝子の夫で、ムっ君の父親。厳しい母親のもとで育ったために気難しい性格で、なれなれしい人が苦手。畝子には産後ダイエットや手作りおやつなどを命じることがあり、姑のように接することがある。身内にも他人にも厳しくプライドも高いため、世話焼きなツブや菊川八郎のことも心底嫌っている。潔癖で神経質な面もあり、アウトドアやフグなどの毒魚も苦手。好物はニンニクたっぷりのスタミナ料理で、高血圧をはじめとする健康の悩みをいくつか抱えている。

ライオン和尚 (らいおんおしょう)

アフリカ宗総本山「キリマンジャロ寺」の住職をしている、きまじめなライオンのおじいさん。しゃべり病歴は10年と長く、ツブにとってはしゃべり病の先輩でもある。ライオンながら和尚でもあるため、むやみな殺生(狩り)は自分自身にも禁じている。また妻子にも狩りを禁じていたため、怒った妻が子供を連れてアフリカに帰ってからは、独り身で暮らしている。それでも狩りをすることなく、主食はおかゆ中心。このためおかゆの悪口を言う者は、人間や動物問わず許さない。ストイックな生活をしているもののライオンとしての本能や煩悩は捨てきれておらず、時々無理をしては心配したツブに助けられている。畑を荒らすシカやイノシシを檀家の依頼で追い払うなど、ライオンらしい仕事もこなしている。若い頃の愛称は「シッシー」で、鳩田先生と共にサーカス団の花形を務めていたことがある。サーカス時代は団長の娘である坂井に片思いし、若き日の鳩田先生とは彼女を巡って争っていた。

リョウ

亀の手中学校に通う男子で、俵孝子の従弟。趣味は漬物作りで、特にぬか漬けに夢中になっている。ぬか漬けに欠かせない乳酸菌を大切にしており、ペットのようにかわいがっている。友人がおらず部活もしていないため、家にこもりがちで中学生らしい趣味を持たないことを、母親に心配されている。ぬか漬けを持ち出して外出していたところで、ぬか漬けに興味を持ったツブと知り合う。ぬか漬けへの熱意が強い一方、おとなしく気の弱い性格で、先輩の田乳や宝田もり夫に振り回されがちな苦労人。

桃井 きび夫 (ももい きびお)

菊川米子の弟で、菊川八郎の叔父。無造作にはねた黒髪のカツラを頭に乗せている。妻に先立たれた独居老人で、愛犬のガツの世話を受けながら暮らしている。ガツがしゃべり病にかかってからは、彼が作るおかず料理を中心に食べている。ツブを飼うようになってから肉や魚をあまり食べず、おかゆばかり食べている八郎を心配している。絵画だけでなくデザイン家具なども手掛ける世界的な芸術家で、家には変わったデザインの家具がたくさん置かれている。定期的に体を張ったライブドローイング会を開催しているが、年齢的に無理があるためにガツたちに心配されている。八郎がツブとケンカして家出した際は、彼に部屋を貸している。

ガツ

桃井きび夫が飼っているオス犬で、通称「おかずイヌ」。きび夫のことは「パパ」と呼んで慕っている。しゃべり病にかかっており、肉料理や魚料理を中心としたおかず料理を得意とする。きび夫の甥である菊川八郎のことも慕っており、作りすぎたおかずを彼におすそ分けすることもある。おかゆ料理中心のツブに強い対抗心を抱き、ライバルとなってからは会うたびにきび夫や八郎の食事を巡ってケンカしている。食べ物の匂いを嗅ぎ分けるのが得意で、食後の人間の匂いだけで食べた料理の種類や食材を推察することも可能。カゼを引いた八郎にも肉料理を出すなど、おかずにはただならぬこだわりがあり、おかゆも粗食だと言い張って見下している。一時は主食を排除する糖質制限理論にこだわり、減量やダイエットに興味がある多田や俵孝子に糖質制限ダイエットを勧めていた。見かねたツブやきび夫の説得を受けて反省し、主食への見解を改める。その後もツブの前に現れては嫌味を言ったり邪魔をしようとしたりするが心根は優しく、とても主人思い。また、趣味を楽しめないストレスから家出した八郎の世話を担当し、焼き餅ばかり食べる彼のことを心から心配していた。

滝子 (たきこ)

俵孝子の大学時代の後輩で、大金持ちのお嬢様。縄文時代など古代人の生活や食事に、強い興味を持つ。また古代人ごっこを趣味としており、縄文時代風の食器をはじめとした古道具もそろえている。家の敷地にリアルな自然を再現したエリアを作り、温水や地熱を利用して冬でも古代人ごっこを楽しんでいる。恵まれた環境でありながら、自然の中で生きていた古代人の農耕や食生活にあこがれている。

ゲルハルト主任 (げるはるとしゅにん)

ビール会社「コトリビール」の生産部に勤める中年男性。ドイツから来たビール職人で、ドイツ人として、ビール職人としてのプライドが高い。「ビール職人が口にしていい苦みはビールのホップのみ」と言い張り、部下の細山にもコーヒーやゴーヤなどを禁止している。フキノトウを巡って細山とケンカするが、仲介に入ったツブが作ったフキノトウのおかゆを食べて和解した。きまじめな性格だが、時々ホームシックに陥っては仕事を放棄してドイツに帰りたがることがあり、その都度ツブにドイツ料理に近いおかゆを作ってもらうことで克服している。夏でも涼しいドイツ出身なため日本の猛暑が苦手で、気候以外でも日本文化に苦言や疑問を漏らすことがある。ドイツ料理をこよなく愛し、日本料理も食べられるが納豆は苦手。

細山 (ほそやま)

ビール会社「コトリビール」の生産部に勤める細身の青年。菊川八郎の後輩で、八郎の実家近くにあるコトリビール独身寮に住んでいる。ゲルハルト主任の部下として修業に励む、ビール職人見習いでもある。ゲルハルトからは飴と鞭による厳しい指導を受けているが、感覚や価値観が合わない彼とは時折ケンカすることもある。まじめそうに見える一方で、図々しい面や無神経な面を見せることもある。好物はフキノトウ。のちにコトリビールの「カレー部」の部員となるが、ほかの部員よりもカレーへの熱意が強い。

目白 鞠夫 (めじろ まりお)

目白富三の息子で、ビール会社「コトリビール」の総務部長を務めている。いずれ父親を社長の座から蹴落とし、自らが社長になろうともくろんでいる。時には富三の失脚を狙って薬を盛ろうとしたりするが、いつも富三に先回りされて失敗している。同年代だからという理由で菊川八郎に謎の対抗心を抱き、ライバルを自称している。八郎が連れているツブを奪おうともくろみ、ツブを鯛料理で誘惑するが失敗する。かなり自己中心的な性格だが、部下の田村曰く「悪い人ではない」。リッチな生活をしているにもかかわらず、ブルジョワが知らない庶民の味を求めることがあり、ツブに悩み相談をしたり料理を頼んだりすることもある。毎年枕元に富三からのクリスマスプレゼントをもらい続けているため、30代になってからもサンタクロースを信じ続けている。

目白 粉夫 (めじろ こなお)

目白富三の次男で、オリンピックを目指すスポーツ好きのニートの青年。父親の富三には甘やかされがちで、ひそかにビール会社「コトリビール」の次期社長の座を狙っている。ソチオリンピックへの出場を目指してスケートリンクに通っていたが詐欺に遭い、出場を逃してしまう。その場に偶然居合わせた富三に励ますように依頼されたツブに、ビーツのおかゆを作ってもらって元気を取り戻す。その後もニートのままで、オリンピックやワールドカップへの出場を夢見ている。

田部井 ジュン (たべい じゅん)

亀の手高校に通う女子。山や海で修行を重ねて神通力を得ようとする「行者部」に所属し、活動時は修験者のような格好をしている。山で行者ニンニクの採集に来ていたところで、登山をしていた菊川八郎とツブに出会う。行者部の厳しい活動を必死にこなそうとするものの、自然を楽しんだり行者部部長の厳しいしごきに耐えたりすることができず、八郎たちからは「行者に向いてない」と評されている。実は行者部以外にも、部員が二人しかいない弱小野球部のマネージャーを掛け持ちしている。料理は得意ではなく、料理を任せられたときなどはツブに頼っている。

行者部部長 (ぎょうじゃぶぶちょう)

亀の手高校に通う男子で、田部井ジュンの先輩。「行者部」の部長を務め、古風な口調で話す若き天才修験者。修験者の格好をしているが、顔は真っ黒にぬりつぶされたようになっている。実はこれは幻術によるもので、ニキビ顔を隠すために結界を張り、他人に顔を見せないようにしている。ほかにも高度な幻術をいくつも使い、目の前の景色を変えたり、人間の見た目を動物に変えたりもできる。高校生とは思えぬほどの威厳と幻術の腕を持つため、ツブや菊川八郎からは年齢を疑われることもある。修行のためにストイックな生活を送っているように見えるが、意外とふつうの男子高校生らしい一面を見せることもある。のちに高校を卒業し、行者部を田部井たちに託す。大学に入学後はフォークダンスサークルに入って青春を謳歌している。

シンジ

ビール会社コトリビールが所有する保養所近くの海に住んでいる、ウニの少年。しゃべり病にかかっており、口にはおしゃぶりをくわえ、丸い顔に細いトゲが何本か生えた赤ん坊のような姿をしている。のんびりとしたマイペースな性格で、ウニ料理にはこだわりがある。海で出会ったツブのことは、兄のように慕っている。まだ幼いが、時折子供とは思えないシビアな発言をすることがある。ふだんは漁業協同組合の人に保護されているが、たびたび街に出掛けて菊川八郎の家に遊びに行ったりしている。

深町 (ふかまち)

リカーショップ「ビル屋」を営む、眼鏡をかけた中年男性。菊川八郎が世話になっている得意先でもある。ビルを山に見立てて階段をのぼる「ビルの階段登り同好会」のリーダーにして唯一のメンバーで、ビルに強いこだわりを持つ変わり者。しかしビルのぼりの理解者が身近におらず、何かと八郎を同好会に引き込もうとしたり、活動に付き合わせたりしている。妙なこだわりを持つ面倒な性格なために八郎には心底嫌がられているが、彼にとっては得意先であるため、なかなか逆らえない厄介な相手となっている。幼少期から特撮が大好きで、特に『ゴジラ』などの巨大怪獣や、『ウルトラマン』などの巨大ヒーローを好む。のちに山の地下道などを探検する「地底愛好会」に入会し、今度は地底探検に八郎を付き合わせるようになる。

鳩田先生 (はとだせんせい)

公園に住むしゃべり病の鳩のおじいさん。軍人気質で戦争や軍事の知識が豊富で、記憶力が高い。鳩が軍用動物として使われていたことに誇りを持ち、同じく軍用動物の一種である犬のガツのことは、軍用仲間扱いしている。ガツがしゃべり病にかかったばかりの頃には、彼の先生となってさまざまなことを教えた。保存食や戦闘糧食などのミリタリー飯に詳しい「ミリ飯オタク」で、乾パンなど軍事に活用されている保存食を粗末にする者は、容赦なく叱りつけている。ライオン和尚とは旧友で、若い頃は彼と共にサーカス団の花形として活躍していた。頑固で自己中心的な性格の一方で戦闘力は高く、「ハト神拳」などの奥義を使ってライオン和尚や多田も圧倒できる。

田乳 (たぢち)

亀の手中学校の生徒会長を務める男子。自宅や休日でも制帽を被り、体操シャツを着ている。乳酸菌や健康食が大好きで、ヨーグルトのスプーンをいつも持ち歩いている。漬物好きのリョウに親近感を抱き、半ば無理やり友人になろうとする。きまじめで押しが強い性格で、学業や規律などにもこだわりがあり、生徒会長であることにも誇りを持っている。

縄山先生 (なわやませんせい)

縄山ペットクリニックで獣医を務める男性。ツブや爪子の主治医でもある。眼鏡をかけ、頭には猫の面を付けている。健康診断のたびに、ツブがおかゆの味見のために人間の調味料などを食べているのを心配している。祖父が戦時中に捕虜にゴボウを与えたことで罰せられたこともあり、犬猫に害のあるゴボウには強い恨みを抱いていた。ツブや爪子の説得を受け、ツブの作ったゴボウのおかゆを食べてゴボウへの恨みを克服する。両親はすでに亡くなっており、動物病院での収入の一部は、弟の縄山節夫の生活費や学費に充てている。生前の母親が作ってくれたクリームシチューには特別な思い出があり、シチューといっしょにご飯も食べるのが大好き。

宝田 もり夫 (たからだ もりお)

亀の手中学校に通う男子で、風紀委員を務めている。ツブが「別宅」と称して通ったり泊まったりしている宝田家の長男。中学生だが厳つい老け顔で、体も大きい。かなりの猫好きで、時々遊びにやって来るツブに「チョッピー」と名付け、父親と共にかわいがっていた。しかし、ふつうの猫としてかわいがられたいツブがしゃべり病を隠していたため、ツブが人語をしゃべった時はショックを受けていた。それでもツブのことをかわいがり、今までと変わらず時折家に招いている。ツブが多田に付き合って中年格闘技大会の観戦に行っていることを知り、ツブにかっこいいところを見せるために、マスクを被って格闘家のふりをしながら参加したことがある。風紀委員であることに強い誇りを持ち、進学予定だった亀の手高校に風紀委員がないことにショックを受け、別の高校に進学しようとしていた。

嫉妬博士 (しっとはかせ)

人型機械の研究をする科学者の男性。菊川三雄がかつて所属していた研究機関の恩師で、かなり嫉妬深い老人として知られている。研究機関を出て菊川米子と共に研究所を設けて実績を上げた三雄に嫉妬し、時折研究所に乗り込んでは研究内容を聞き出そうとしたり、ドローンを使って妨害したりしていた。現在も研究に成功した三雄に嫉妬して妨害し、彼が米子と共に海外に逃げる要因となった。さらに菊川八郎の家を調べ上げ、家に閉じ込めて三雄の研究を聞き出そうとするなど、八郎とツブを狙うようになる。「三雄と米子に迷惑をかけること」を生きがいとしているが、老齢のため少々忘れっぽく、三雄の妨害という目的すら一時的に忘れてしまうことがある。三雄に嫉妬する一方で科学者としての実力は高く、高性能AIを持つお手伝いロボットをはじめ、さまざまなロボットを作っている。このため、八郎からは「これほど技術があるなら他人に嫉妬する必要はない」と評されている。

縄山 節夫 (なわやま せつお)

縄山先生の弟で、貧乏に苦しむ清貧大学生。両親を早くに亡くしており、大学に通い、アルバイトをしながら、安いアパートで一人暮らしをしている。生活費の一部は兄から支給されているが節約をつねに欠かさず、贅沢は避けて節約レシピのみで生活している。しかし炊飯器がないという理由で自炊はしていなかったため、ツブに鍋で自炊した方がいいと指摘されてからは、鍋でおかゆやご飯を炊いている。その後も金欠で空腹に陥ったときは、ツブにおかゆを作ってもらったり、節約のアドバイスを受けたりしている。

種田 (たねだ)

ビール会社「コトリビール」の総務課に勤める女性。俵孝子の同僚でもある。髪を大きなお団子状にまとめ、長いリボンを結んでいる。このリボンは自在にあやつることができ、時折孝子のおさげと小競り合いを繰り広げている。美肌やアンチエイジングに強い関心を持ち、コラーゲンの多いフカヒレなど、美肌にいい食べ物にはとても敏感。孝子からは勝手に独り身仲間だと思われていたが、実は彼氏がいる。ツブを魅了するようなねこじゃらしさばきが得意。しゃべり病の猫と遊びたいという彼氏の要望を叶えるために、ツブをねこじゃらしで誘惑するが、嫉妬した孝子に妨害されて失敗に終わった。

田七 (たしち)

菊川八郎がよく利用しているキャンプ場を営むおじいさん。となり町に嫁いだSNS好きの娘がいる。高級もやしをはじめとするさまざまな食材を作っており、孝子の父とも知り合い。ふだんはおだやかで優しい老人ながら酒癖は悪く、禁酒中の八郎を巻き込もうとするなど、酔うと人が変わったようになる。先祖代々続く標高高い位置にある田で米作りをしており、田植えの際は全裸に近い姿になる「裸植え」をしている。

雑魚助 (ざこすけ)

シンジの知り合いで、しゃべり病にかかった魚。名付け親はシンジ。出世魚にあこがれており、漁師に見向きされない自分を変えるために、しゃべり病を生かして出世したいと考えている。ツブを通して菊川八郎と出会い、彼らに目白富三を紹介するように依頼する。富三には断られて出世は叶わなかったが、ツブの作ったブリのおかゆで励まされた。

武田 信玄 (たけだ しんげん)

ツブがタイムスリップ先の戦国時代で出会った、武田軍を率いる戦国武将。多田によく似た小太りの中年男性で、未来からやって来たツブの事情をすぐに把握し、「おばく」と呼ばれる大麦のおかゆを振る舞った。隠し湯をはじめ、なんでも隠す癖がある。実在の人物、武田信玄がモデル。

虫皇帝 (むしこうてい)

ツブが出会った、地下に住む虫。しゃべり病にかかったことでさまざまな虫で構成される多種族国家を作り、虫たちをまとめる皇帝となった。人間に嫌われやすい立場であるため、犬や猫のように人間に愛される動物にあこがれを抱く。学習帳から虫の写真が消えたことや、戦隊シリーズに虫戦隊がないことに不満を抱く。ツブを地下に連れ出し、人間と虫をつなぐ猫になるように依頼する。

ミホ

桃井きび夫の孫で、菊川八郎の従妹。ケンカばかりしている不良中学生で、髪形はリーゼントのように見えるが、実は帽子を被っている。父親を早くに亡くし、母親に彼氏ができたことでグレてしまった。ケンカを繰り返して荒んでいたところで心配したガツと再会し、彼の作った大根料理を食べてからは、ケンカを控えるようになる。

場所

コトリビール

菊川八郎の勤務先で、小さなビール会社。正式名称は「コトリビール株式会社」。ビールを中心に、変わった発泡酒などさまざまな商品を開発している。社員による運動会など、社内イベントも盛んに実施されている。ライバル会社である大手ビールメーカー「巨鳥ビール」とは、新商品を出すたびにシェアを争っている。

菊川アルティメット研究所 (きくかわあるてぃめっとけんきゅうじょ)

菊川三雄と菊川米子が住む研究所で、菊川八郎の実家でもある。三雄と米子が海外旅行に行ったあとは、留守番を務めるメイドロボットのM-16子によって守られている。実は三雄と米子によって、菊川一乃の精神をM-16子にコピーする研究が行われていた。たびたび三雄に嫉妬した嫉妬博士によって刺客が差し向けられたり、ドローンやロボットの襲撃を受けたりしている。

その他キーワード

しゃべり病 (しゃべりびょう)

ツブがかかっている奇病。人間以外の動物が突如高い知能を持ち、人語を話すようになる。猫や犬だけでなくライオンからウミガメ、さらには虫や魚まであらゆる動物に発症し、同族や人間以外の生き物とも会話が可能。またしゃべり病にかかった動物は知識欲旺盛になるため、自然と物知りになる。一般人にも広く知られるメジャーな奇病になりつつあり、近年はテレビCMのイメージキャラクターとしてしゃべり病の動物が起用されることもある。

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