しらたまめぐり

しらたまめぐり

極度のビビりで引っ込み思案な女子高校生の白坂光希は、幼少期に楽しんだ卓球との再会、そしてパートナーの玉澤杏珠との出会いを通して、自らの殻を打ち破っていく。祖母の代から続く奇跡の運命と温かい仲間たちに導かれ、成長していく光希の姿を描いたハートフル卓球漫画。「月刊ビッグガンガン」2018年Vol.06からVol.12にかけて連載され、有馬ツカサにとって初めて書籍化された作品でもある。

正式名称
しらたまめぐり
ふりがな
しらたまめぐり
作者
ジャンル
卓球
 
友情
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あらすじ

第1巻

白坂光希は、熱中するものがなくただ流されるだけの自分を変えたいと、地元から少し離れた県立柳台高等学校に進学した。しかし迎えた登校初日、光希は周囲に見知った顔がまったくいない高校での新生活に、さっそく委縮してしまう。下校時、部活の新入部員勧誘で学校の正門側がにぎわっていることに気づいた光希は、無理やりに入部させられては困ると裏口からこっそり学校を抜け出す。だが、慣れない道で回り道を強いられ、気づくと柳台卓球センターの前に立っていた。幼い頃に祖母の要子と卓球をしたことを思い出していると、そこにクラスで光希の後ろの席に座っていた玉澤杏珠が現れる。卓球クラブの体験入会とカンちがいした杏珠に招き入れられた光希は、まとめ役の岩瀬仁次郎をはじめとするほかのメンバーにも温かく迎えられる。そして、柳台卓球センターで楽しい時間を過ごし、同時に卓球を本気で楽しむ杏珠の姿にあこがれを抱くのだった。そんな楽しい卓球クラブの活動後に、光希は自分が要子からもらったリボンとまったく同じものを、杏珠がカバンに付けていることに気づく。光希と同じく、杏珠もまた祖母からもらったというそのリボンは、仁次郎にとっても見覚えのあるものだった。仁次郎によれば、光希の祖母である要子と、杏珠の祖母であるかんなは今からおよそ60年前に柳台卓球センターに通っており、この二つのリボンは当時、必勝のおまもりとして要子とかんなが持っていたものだという。一同があまりの偶然に驚いていると、そこに柳台卓球センターの管理人の花恵が姿を現す。そして一連の事情を聞いた花恵は、要子とかんな、リボン、そして卓球大会にまつわる当時の話を一同に話し、祖母同士が叶えられなかった約束を代わりに光希と杏珠で果たすため、ダブルスを組んで卓球の大会に参加してはどうかと提案する。

登場人物・キャラクター

白坂 光希 (しらさか みつき)

県立柳台高等学校に通う1年生の女子。黒髪のセミロングで、つねにオドオドビクビクしている小心者の陰キャラ。その気の小ささは、道端で野良猫があくびをしただけでビクッとするほど。また、おとなしい性格の人見知りで、自分を出せずに何かにつけて人にゆずってしまうところがある。白坂光希自身も、高校進学を機に何か夢中になれるものがあれば、そんな自分を変えられるかもしれないと淡い期待を抱いていたが、一歩を踏み出せずにいた。そんな中、学校帰りに偶然見かけた柳台卓球センターでクラスメートの玉澤杏珠と出会い、彼女に誘われて卓球を始める。そして、杏珠と共に卓球の練習をしたり大会に出たりするうちに、自分の殻を破って前向きになっていく。実は5歳の頃に祖母の要子に卓球を教えてもらって、台所でいっしょに楽しんでいたが、母親の白坂真理子の反対に遭い、半年ほどでやめてしまった過去がある。その経験から、卓球の基礎はできている。要子が大事にしていたリボンを、重要なときに勇気を出せるおまもりとして受け継ぎ、キーホルダーとしてカバンに付けている。杏珠には「ミツ」、ほかの柳台卓球センターのメンバーには「みっちゃん」と呼ばれている。

玉澤 杏珠 (たまさわ あんじゅ)

県立柳台高等学校に通う1年生の女子。パッツン前髪の金髪ストレートロングで、卓球をするときは髪をまとめてポニーテールの髪型にしている。非常に背が高い。明るく気さくな性格の何かとテンションの高い陽キャラで、物をすぐになくしたりメールの送り先をまちがえたりと、天然気味なところがある。卓球が大好きで、柳台卓球センターに通っており、たまたまそこで出会った白坂光希を体験入会とカンちがいして誘い、いっしょに卓球を楽しむようになった。幼い頃から習字やピアノにバレエ、水泳などもやっていたが、全然続かずに唯一卓球だけは小学4年生の頃からずっと続いている。技術は確かながら、上下関係に厳しい体育系気質を嫌っており、中学1年生の時に先輩ともめて3日で退部して以来、部活で卓球をやろうとは考えていない。非常に寛容で人の失敗などを責めることはいっさいないが、一方で思い入れのある卓球で手を抜くことに対しては怒りをあらわにする。高校3年生の兄、中学2年生の弟、小学4年生の弟がおり、彼らに卓球を勧めようとしたが、まるで興味を持たれずに玉砕した過去がある。祖母のかんなが大事にしていた手作りのリボンを受け継ぎ、キーホルダーとしてカバンに付けている。ロックバンド「ミイラキャット」の大ファンで、スマホケースからTシャツまで、身につけるものはミイラキャットのグッズであふれている。ニックネームは「アン」。

要子 (ようこ)

白坂光希の母方の祖母で、5年ほど前に亡くなった。優しく穏やかな性格で、幼い頃の光希に卓球を教えた人物。しかし半年ほどたったところで、娘の白坂真理子が光希が卓球をするのに反対したため、以降は卓球をすることはなくなった。60年ほど前、女学生時代に柳台卓球センターに通っており、当時は黒髪をお下げにした、地味で小柄ながら穏やかで優しい印象の少女だった。その当時の様子を、口の悪い花恵には「地味で冴えないの」と評されている。ダブルスでペアを組んでいたかんなが作ったおそろいのリボンを必勝のおまもりとして大事にしていたが、初めての試合を前に引っ越すことになったため、試合への参加は叶わなかった。

かんな

玉澤杏珠の祖母で故人。本名は「かんな」。生前は夫を亡くしてから、謎の外国人と海外で暮らすようになり、まるで魔女のような派手で奇抜な格好をしていることを、杏珠に憂慮されていた。60年ほど前、女学生時代に柳台卓球センターに通っており、当時は金髪ショートヘアで非常に背の高い、勝気な見た目の少女だった。その当時の様子を、口の悪い花恵には「背の高いガサツなの」と評されている。手芸が得意で、おそろいのリボンを作ってダブルスでペアを組んでいた要子に渡し、必勝のおまもりとして大事にしていた。しかし、初めての試合を前に要子が引っ越すことになったため、試合への参加は叶わなかった。

白坂 真理子 (しらさか まりこ)

白坂光希の母親で、ホテルのフロント係として働いている。光希が5歳の頃に夫と離婚して以来、女手一つで光希を育ててきた。離婚当時はいろいろと余裕がなかったこともあり、勉強の妨げになると、光希に卓球をさせないように母親の要子に願い出ていた。現在は生活が軌道に乗っていることもあって落ち着きを取り戻しており、あらためて光希が卓球をやりたいと言い出した時にはすんなりと許可を出し、応援している。

岩瀬 仁次郎 (いわせ じんじろう)

柳台卓球センターで活動する卓球クラブのメンバーの男性。航太の祖父で、年齢は75歳。白髪交じりの頭を短髪に整えた元気な老人で、柳台卓球センターには60年も前から通っており、管理人の花恵との付き合いも長い。現在は、柳台卓球センターで活動する卓球クラブのまとめ役を担っている。卓球クラブではよく航太の相手をしているが、さすがに小学5年生の体力にはついていけず、すぐにスタミナが切れてしまう。航太がテストで悪い点数を取った際には、卓球ばかりしているからだと彼の母親に連座で叱られたりと、どこかちゃめっ気があって憎めない人物。また、白坂光希の祖母の要子や、玉澤杏珠の祖母であるかんなの若い頃のことを知っており、岩瀬仁次郎が卓球を始めたきっかけにも、要子とかんながかかわっている。ちなみに子供時代の姿は、航太とそっくり。

航太 (こうた)

柳台卓球センターで活動する卓球クラブのメンバーで、小学5年生の男子。岩瀬仁次郎の孫で、年齢は10歳。黒髪ショートカットのやんちゃな少年で、生意気で口が悪く、年齢を問わず相手のことを呼び捨てで呼ぶ。小学生ながら卓球の腕はかなりのもので、仁次郎や玉澤杏珠とも対等に渡り合うほどの実力を誇る。別の卓球クラブに所属するクラスメートの結城陽芽歌に思いを寄せられているが、航太自身は色恋沙汰にはまったく興味がなく、彼女の気持ちにも気づいていない。卓球のほかに、ゲームが大好き。

安西 多江子 (あんざい たえこ)

柳台卓球センターで活動する卓球クラブのメンバーの女性で、年齢は44歳。明るい色の髪をお団子にまとめ、前髪をピンで留めている。明るく陽気な性格で、柳台卓球センターを訪れた白坂光希にさっそく「みっちゃん」とニックネームを付け、温かく迎え入れた。以来、光希と玉澤杏珠の様子を何かにつけて「青春」と評して見守りながら、ほっこりしている。卓球では、佐野朝美とダブルスのペアを組んでいる。

佐野 朝美 (さの あさみ)

柳台卓球センターで活動する卓球クラブのメンバーの女性で、年齢は36歳。ダークブラウンの髪をセミロングのボブヘアにし、つねに穏やかな笑みを浮かべている。落ち着いた優しい性格で、柳台卓球センターを訪れた白坂光希にさっそく「みっちゃん」とニックネームを付け、温かく迎え入れた。以来、光希と玉澤杏珠の様子を何かにつけて「青春」と評して見守りながら、ほっこりしている。卓球では、安西多江子とダブルスのペアを組んでいる。

花恵 (はなえ)

柳台卓球センターの管理人を務める老女で、年齢は83歳。髪を紫色に染めてサイドを刈り込んだ、派手でファンキーな容姿をしている。60年ほど前に夫と共に柳台卓球センターを継ぎ、経営に携わってきたため、要子やかんなの学生時代のことをよく知っている。卓球のことについてはあまり詳しくないが、柳台卓球センターに来る人たちを優しく見守り、その人生経験からくる含蓄ある言葉で、白坂光希や玉澤杏珠を導く。

真夏 (まなつ)

安西多江子の姪で、真秋の姉。大学に通っており、年齢は21歳。明るい色の髪をセミロングヘアにした、あか抜けた女性。現在は卓球から離れているが、高校まで卓球部に所属していた経験もあってその腕は確かで、白坂光希や玉澤杏珠の卓球クラブが大会に出ることになった際、練習相手として呼ばれた。真秋との姉弟仲は非常によく、兄と弟のいる杏珠に驚愕されたほど。光希たちの練習相手を務めたことをきっかけに卓球熱が再燃し、のちに同じく卓球部だった高校の友達を誘って卓球を再開する。実は高校時代までは、お下げ髪で眼鏡を掛けた地味な風貌だった。

真秋 (ましゅう)

安西多江子の甥で、真夏の弟。大学に通っており、年齢は20歳。明るい色の短髪を無造作に整えた、あか抜けた青年。現在は卓球から離れているが、高校まで卓球部に所属していた経験もあってその腕は確かで、白坂光希や玉澤杏珠の卓球クラブが大会に出ることになった際、練習相手として呼ばれた。真夏には「シュウ」と呼ばれており、姉弟仲が非常によく、兄と弟のいる杏珠に驚愕されたほど。実は高校時代までは、黒髪で眼鏡を掛けた地味な風貌だった。

結城 陽芽歌 (ゆうき ひめか)

小学5年生の女子で、航太のクラスメート。年齢は10歳。航太とは別の卓球クラブに所属している。艶やかな黒髪のロングヘアを頭の右側で一つにまとめ、前髪を二つのピンで留めている。勝気な見た目の美少女で、そのかわいらしさから玉澤杏珠には「スーパースペシャル小学生」と評され、全力で愛でられている。結城陽芽歌自身は杏珠のことを、航太を巡る恋のライバルと見なしてあからさまに敵視しており、同時に最近何かと航太の口にのぼるようになった「ミツキ」(白坂光希)なる人物に対し、杏珠に並ぶ新たな脅威として敵意を募らせている。ただし、杏珠にはそんな姿すらかわいがられ、妹にしたいとまで言われている。見た目どおりの生意気な性格で、目的のためには手段を選ばないところがあり、卓球の試合中に平常心を失わせようと相手をあおることも厭わない。しかし短気なことから、陽芽歌自身が挑発されることについては耐性が低い。なお、卓球はかなりの腕前で、杏珠らの卓球クラブのメンバーにも、その名を知られている。周囲からは「ヒメちゃん」と呼ばれている。

桜田 穂莉

小学5年生の女子で、航太のクラスメート。年齢は10歳。明るい色の髪をポニーテールにして、垂れ目で優しそうな顔立ちをした少女。結城陽芽歌と同じ卓球クラブに所属しており、陽芽歌とはダブルスでペアを組んでいる。卓球を始めてまだ半年だが、陽芽歌も認める技術を持ち、その実力はシングルスで大人の安西多江子に圧勝するほど。小学生らしいごくふつうの女の子だが、非常にマイペースな性格で、暴走しがちな陽芽歌をうまくフォローしている。

場所

柳台卓球センター

玉澤杏珠たちが所属する卓球クラブが活動している卓球場。60年ほど前から花恵が管理人を務めており、岩瀬仁次郎はその頃から柳台卓球センターに通っていた。当時は卓球台が2台あるだけの小さな卓球場だったが、現在は建て替えられて大きな建物となっている。かつて、白坂光希の祖母である要子や、杏珠の祖母であるかんなも、柳台卓球センターに通って卓球をしていたことがある。

その他キーワード

リボン

白坂光希の祖母である要子や、玉澤杏珠の祖母であるかんなが持っていたリボン。二人が卓球の大会に参加して初めての試合に臨むことになった際、手芸の得意なかんなが、必勝のおまもりとして手作りした。二つあり、それぞれ要子とかんなが一つずつ持っていた。要子の引っ越しによって大会に出ることができず、初めての試合に勝つという二人の夢はかなわなかったが、その後も二人は再会を約束した証として、このリボンを大事に持ち続けていた。現在はそれぞれの孫である光希と杏珠に受け継がれており、60年の時を経て二つのリボンは再会を果たすこととなった。

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