それが声優!

それが声優!

三人の新人女性声優を中心とした、声優業界における「あるあるネタ」を描くコメディ作品。実在の声優がキャラクターとして登場する事もある。もともとは同人誌に発表された作品だが同作品のアニメ化に際して、アニメ製作委員会に参画したローソンHMVエンタテイメントによって商業出版された。

正式名称
それが声優!
ふりがな
それがせいゆう
原作者
あさの ますみ
作画
ジャンル
ギャグ・コメディ
関連商品
Amazon 楽天

あらすじ

第1巻

新人声優・一ノ瀬双葉は、さまざまなオーディションを受け続けていたが、なかなか合格に至らず悩んでいた。そんな中、声優仲間の萌咲いちご小花鈴からもらったアドバイスがきっかけで、アニメ番組でのモブキャラクターの仕事を得る。さらに、いちごや鈴と共にWEBラジオの出演も決定。双葉は慣れないラジオの仕事に四苦八苦しながらも、なんとか仕事をこなしていく。そして、かつて双葉がドラマCDで声優参加した作品のアニメ化が決定するが、双葉が演じたキャラクターは、アニメ版では鈴が演じる事となってしまう。役を取られた事で落ち込む双葉は、鈴といっしょにラジオ番組を続けるかどうか迷うが、先輩声優・汐留ヒカリの言葉を受け、ラジオを聴いてくれるリスナーのためにがんばり続ける事を決意する。

第2巻

新人声優・萌咲いちごは、ゲームでの仕事が決まった事がきっかけでイベントステージに出演する事となる。髪型や衣装に迷う中、緊張しながらもいちごはなんとかステージを終える。しかし、自分の不甲斐なさにいちごは落ち込む。そんな中、イベントで初めてのファンレターをもらった事により勇気づけられたいちごは、一歩ずつでも頑張って行く事を心に誓う。一方、いちご、一ノ瀬双葉小花鈴の三人が担当しているWebラジオで、ユニットデビューする事が決定する。三人はそれぞれユニット内での自分の立場に悩みつつも、なんとか練習やレコーディングをこなしていく。しかし、ユニットのデビューイベントのチケットが500枚に対して、1週間でわずか12枚しか売れず開催の危機に陥っていた。

第3巻

一ノ瀬双葉はユニット「イヤホンズ」としてデビューが決まったにもかかわらず、そのデビューイベントのチケットが1週間で12枚しか売れず、ピンチに陥る。しかし、双葉とユニット仲間の萌咲いちご小花鈴の三人はできる事から始めようと、歌の振り付けなどの練習に励んでいた。そんな中、声優でありながらも学生でもある鈴は、高校の進学先について悩んでいた。今後も芸能活動を続けるのであれば芸能科のある高校への進学を教師に薦められる。しかし、それでは親友のサヨと離れ離れになってしまう。子役から流されるままに芸能活動をしてきた鈴は、今後も芸能活動をしていくべきかどうか悩み始める。声優仲間や先輩声優の意見を聞いて考えた末、鈴は声優を一生の職業とすべく頑張る事を誓い、芸能科のある高校へ進学する事を決める。一方、ユニットでのデビューイベントを控える中、ユニットメンバーの萌咲いちごがケガをしてしまう。デビューイベントを中止にしたくないいちごは、双葉と鈴にケガの事を口止めする。しかし、まともに動けない事を見かねた双葉は、悩んだ末にいちごに対しケガの事を周囲の人達に正直に話すよう提案する。

第4巻

一ノ瀬双葉萌咲いちご小花鈴の三人によるユニット「イヤホンズ」のデビューイベントは成功し、双葉は声優としての自信を少しだけ取り戻す。そんな中、いちごと鈴はそれぞれ個別に音楽活動が決まり、二人のスケジュールを合わせるのが厳しくなってきた事から「イヤホンズ」の今後の活動が危ぶまれていた。一方、双葉は相変わらず声優の仕事がなく、バイトの時間の方が長い生活を余儀なくされていた。そして、双葉は若手人気声優・樹ヒナタと知り合いになる。彼女に声優の仕事の事を相談した双葉だったが、彼女から「売れない人には、売れないだけの理由がある」と厳しく諭されてしまう。しかし、双葉は努力不足であった自分を改め、前向きに努力を始める。

第5巻

人気声優・樹ヒナタは多忙な生活が災いし身体を壊してしまったが、周囲の期待に応えたいという思いから、その事をひた隠しにしていた。しかし、だんだんと症状が悪化し、耳が聞こえなくなってしまう事態に陥る。ついに心身共に限界を感じたヒナタは、声優業を休業する事を決意する。その姿を間近で見ていた一ノ瀬双葉は、人気声優になったとしてもすべてが報われるとは限らない事を知り、声優という職業に疑問を感じてしまう。だが、考える内に初心に返り、声優への強い想いに気づいた双葉は懸命に努力を続け、ついに人気声優への仲間入りを果たす。

登場人物・キャラクター

一ノ瀬 双葉 (いちのせ ふたば)

新人声優の女性。ショートカットの髪型で、眼鏡をかけている。駆け出しという事もあって声優の仕事にはまだ恵まれておらず、アルバイトなどで生活費を賄っている。アルバイトの仕事ぶりは有能だが、不定期に入る声優の仕事を理由に頻繁に休むため、結果的にクビになる事が多く、職を転々としている。声優業においては、当初は女の子役を中心にこなしていたが、声優仲間の萌咲いちごや小花鈴からのアドバイスにより、男の子役も積極的にこなすようになった。 これが功を奏してアニメのレギュラーキャラクター役を獲得し、その後、いちごや鈴と三人でWEBラジオ番組の仕事も獲得。さらにこの番組内で、いちごや鈴と「イヤホンズ」という三人組ユニットを結成した。しかし不器用でダンスの振り付けの覚えも悪く、何かと苦労している。 親しくしている先輩声優・汐留ヒカリからは、「いつもあたふたしている」という理由で「フタフタ」というあだ名を付けられた。以後、これがファンのあいだでも定着し、一ノ瀬双葉自身も「フタフタ」と名乗るようになる。声優を目指したのは、かつて大学3年生の時、就職難だったため「どうせなら自分の夢の中で一番難しい仕事にチャレンジしよう」と思い立った事がきっかけ。 アニメ「息の根コロリちゃん」が大好きで、その登場キャラクターであるコロリちゃんのぬいぐるみを宝物としており、それに声を当てて話すのが癖になっている。

萌咲 いちご (もえさき いちご)

新人声優の女性で、ツインテールの髪型をしている。歌って踊れるアイドル声優を目指し、日々努力している。声優業のほかに工場でアルバイトしており、その収入で生活費を補っている。苺が大好きな事から、声優として表舞台に立つ際には苺模様のグッズなどを積極的に用いて、「いちごキャラ」を前面に出してアピールしている。そのためにかかる費用は「いちご代」と称し、出費を惜しまない。 プロ意識が非常に高く、一ノ瀬双葉、小花鈴と三人で結成したユニット「イヤホンズ」では、振り付けにも妥協を許さない。これによりケガを負った際にも、ライブを中止させないために、周囲に公表はしなかった。かつてその名前から、いちご農家のゆるキャラであるいちごん役の声優に抜擢された。 しかし、いちごんの人気が低迷し、テコ入れによっていちごんが悪の怪獣役に追い込まれたという過去を持つ。なお、「萌咲いちご」は芸名だが、自身が担当したキャラクターのイメージを守るために、双葉ら親しい者にすら本名を明かしていない。声優を志した理由はアニメや漫画、ゲームなどが好きだったからと単純明快。

小花 鈴 (こはな りん)

新人声優の女性。ロングヘアで、背が低い。まだ15歳の中学3年生で、声優業と学校生活を両立させている。5歳の時に子役として芸能界デビューしたため、芸歴は10年を超える。声優としては新人ながら、高い演技力を誇る。声優として初めて出演したアニメで、同じく新人声優だった一ノ瀬双葉や萌咲いちごと知り合った。その後、三人でWEBラジオ番組を担当する事となり、その番組内で「イヤホンズ」というユニットを結成。 ユニット内ではセンターを任されている。子役としてデビューしたきっかけは、幼い頃に引っ込み思案である事を心配した母親に、演劇を勧められたため。その後、流されるまま芸能活動を続けてきたため、高校進学に際し、芸能活動を続けるかどうか悩む事となった。 最終的には声優の仕事に全力で向き合いたいと考え、芸能科のある高校の受験を決意する。

汐留 ヒカリ (しおどめ ひかり)

声優として活躍している女性。ロングヘアで、物腰の柔らかい人物。声優歴は14年を数え、アニメやゲーム、ラジオ、吹き替えと幅広く活躍している。大人気ラジオ番組「ヒカリ★電波局」のパーソナリティを務めており、少々毒のあるトークが人気を博している。世話好きな性格で、同じ事務所の新人声優である一ノ瀬双葉にもアドバイスを送ったりしてかわいがっている。 だが冗談を言ってはからかったりと、悪戯好きな一面も見せる。

樹 ヒナタ (いつき ひなた)

声優として活躍している女性。ロングヘアで、クールな雰囲気を漂わせている。売れっ子の超人気声優で、年末年始すら休日がないほど多忙を極めている。近所のコンビニでアルバイトをしていた一ノ瀬双葉と出会い、その後、声優の仕事で顔を合わせた事をきっかけに、親交を深めていく。双葉から声優業に関して相談を受けた際に「売れない人には売れないだけの理由がある」と辛辣な物言いをするなど、自分にも他人にも厳しい性格。 のちに多忙がたたって体調を崩した際、周囲への迷惑を考えてその事を隠していた。その結果、一時的に耳が聞こえなくなるほどに症状を悪化させ、声優を休業する事になる。

小鳥遊 翼 (たかなし つばさ)

声優として活躍している男性。中性的なイケメンで、同期の中では一番の売れっ子。漫画やアニメ、ゲームをこよなく愛し、仕事以外の時間はすべてそれらの趣味に費やしている。昔、かなりのレベルの中二病を患っており、小鳥遊翼自身は現在は克服したと語っているものの、時おり無自覚でおかしな言動をする事があり、実際は克服しきれていない。 声優としてはBLの仕事に携わる事が多い。

(あつまり)

一ノ瀬双葉が所属する声優事務所で、マネージャーを務める女性。ロングヘアで、眼鏡をかけている。敏腕マネージャーとして見事な仕事ぶりで、声優やタレントなど複数の担当を掛け持ちしている。普段の言動はクールだが、紺野あおいの入社歓迎会ではウサギの衣装を着てみせるなど、ユーモアあふれる人物。

紺野 あおい (こんの あおい)

一ノ瀬双葉が所属する声優事務所に中途採用された、新人マネージャーの女性。黒髪をショートカットにしている。新人である事に加えて、マネージャー業が低収入である事から、いつもお腹を空かせている。まじめで一生懸命に仕事に取り組んでいるが、どうしても表情が硬くなってしまい、密かに笑顔の練習をしている。背が低いため仕事用の大きなバッグを持つとよろついてしまうが、その事を周囲に気づかれないよう、気丈に振る舞っている。

小花 円美 (こはな まるみ)

小花鈴の姉で、髪をポニーテールにしている。世間知らずでのんびりした性格をしており、短大を卒業したあとは家業の和菓子屋を手伝いながら自堕落に過ごしていた。のちに樹ヒナタのファンクラブの事務員として就職した。ヒナタに関する些細な個人情報もいっさい漏らさないように厳命されており、家族にすら何の仕事をしているか秘密にしている。 ファンクラブの運営にあたって写真などを撮る機会が多いため、カメラや撮影機材に詳しい。

サヨ

小花鈴の幼なじみの少女。黒髪をロングヘアにしている。鈴とは4歳の頃から友人で、彼女の芸能活動を応援している。鈴がユニット「イヤホンズ」を結成してライブを行う事になった際は、グッズなどを手作りして応援に駆けつけた。学校はエスカレーター式で大学まで受験がなく、鈴とずっといっしょにいられると喜んでいたが、のちに鈴は芸能科のある別の高校を受験する事となった。 その報告を聞いた際にはがっかりしたものの、その決断を応援するなど、鈴のよき理解者。

海原 (かいばら)

レコード会社で、プロデューサーを務めている男性。黒髪で眼鏡をかけ、口ひげを生やしている。一ノ瀬双葉らのユニット「イヤホンズ」のプロデュースを担当している。しかし見切り発車でライブを決めたり、ライブ後の展開を何も考えていなかったりと、少々頼りないところがある。年下の天王寺からタメ口で話される事を気にしているが、仕事で結果を出せていないため、言い返す事ができないでいる。

天王寺 (てんのうじ)

レコード会社でプロデューサーを務めている男性。短髪で鋭い目つきをしている。30歳にして数々のアーティストを超売れっ子にした実績を持つ敏腕プロデューサーで、樹ヒナタを売れっ子に仕立て上げたのも天王寺の功績の一つ。仕事においてはいっさい手を抜かない熱い性格で、それゆえに相手が年上でも物怖じせず、海原には苦手意識を持たれている。 一方で、自分の担当ではないにもかかわらず、一ノ瀬双葉らのユニット「イヤホンズ」にゲームの挿入歌の仕事を取って来たうえ、その功績を海原に譲るなど、懐の深いところもある。

その他キーワード

息の根コロリちゃん (いきのねころりちゃん)

一ノ瀬双葉が、6歳の時に放映していたオリジナルアニメ。全52話の予定で始まったが、子供向け作品であるにもかかわらずブラックユーモアを多用しすぎたため、いまひとつ人気が振るわず2クールで打ち切りになった。双葉はこのアニメが好きで、登場キャラクター「コロリちゃん」のぬいぐるみを宝物として大事にしている。

クレジット

原作

あさの ますみ

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