愛…しりそめし頃に…

愛…しりそめし頃に…

『まんが道』の続編で、トキワ荘時代の出来事を随所にフィクションを織り交ぜた藤子不二雄Ⓐの自伝的作品。『まんが道』では二人の成長譚が描かれたが、『愛…しりそめし頃に…』はほぼ満賀道雄の視点で描かれている。またラストのコマでは余韻を出す効果として詩が引用されているが、これは一部を除いて藤子不二雄Ⓐが創作したものである。2014年に『まんが道』と共に第18回手塚治虫文化賞特別賞を受賞している。

正式名称
愛…しりそめし頃に…
ふりがな
あい しりそめしころに
作者
ジャンル
自伝・伝記
レーベル
ビッグ コミックス(小学館)
巻数
既刊6巻
関連商品
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概要・あらすじ

漫画家としての道を着実に歩み続ける満賀道雄。トキワ荘の仲間達との交流や恋愛など青春を謳歌しながら、漫画家としても『海の王子』『シルバー・クロス』『怪物くん』など数々のヒット作を生み出していく。

登場人物・キャラクター

満賀 道雄 (まが みちお)

才野茂とのコンビ満才茂道として活躍。宇宙冒険モノから西部劇、アクション漫画、ギャグ漫画など多彩なジャンルの作品を描く。編集者や寺田ヒロオ、園山俊二らと飲みに行ったり、風森やすじ、永田竹丸らと女性を交えて遊びに行くなどアウトドア志向でもある。 モデルは実在の漫画家、藤子不二雄Ⓐ。

才野 茂 (さいの しげる)

満賀とのペンネーム満才茂道の名で活動する。日本初の週刊少年漫画誌『週刊少年サンデー』では合作で『海の王子』を執筆するが、この頃から満才茂道は別々に描くことが多くなり、才野は『てぶくろてっちゃん』や『すすめロボケット』などを講談社と小学館の学年誌で連載する。 モデルは実在の漫画家、藤子・F・不二雄。

手塚 治虫 (てづか おさむ)

満賀と才野の憧れの漫画家で、トキワ荘に住む全ての漫画家達の目標とする人物。時々トキワ荘を訪れてはみんなと交流する。少年漫画界を牽引する第一人者であり、漫画の未来についても真剣に考えている。またアニメーションを作りたいという夢も持っている。モデルは実在の漫画家、手塚治虫。

寺田 ヒロオ (てらだひろお)

トキワ荘メンバーの兄貴分。結婚してトキワ荘から渋谷のマンションへ引っ越す。『漫画少年』のような良質な雑誌を理想としており、派手なアクションシーンばかりの作品には否定的である。自分の漫画がそのような作品と同じ雑誌に載ることに耐えられず自ら連載を降りてしまう。

石森 章太郎 (いしもり しょうたろう)

トキワ荘に住む漫画家で、描くスピードが速いため別冊付録を何冊も執筆する人気作家。姉と一緒にトキワ荘で暮らしていたが、その姉が亡くなってしまい、ショックで一時スランプに陥ってしまう。モデルは実在の漫画家、石森章太郎。

赤塚 不二夫 (あかつか ふじお)

トキワ荘に住む漫画家。ギャグ漫画を描きたいのだが、その願いがかなわず苦悩する。金銭的にも行き詰まったため、トキワ荘を出て漫画家を辞める決心をしたが、寺田ヒロオの援助で思いとどまる。その後、穴埋め原稿として描いてた『なまちゃん』が連載・ヒットしたのをきっかけにギャグ漫画家として売れっ子となる。 モデルは実在の漫画家、赤塚不二夫。

風森 やすじ (かぜもり やすじ)

新漫画党の漫画家。女の子とデートしたりコーラスに参加したりと人生を大いに楽しみ「青春は短い。あとで遊んでおけばと後悔しても遅い」と満賀をたびたび遊びに誘う。その後故郷の岡山に帰って漫画を描き続ける。モデルは実在の漫画家、森安なおや。

つのだ じろう

『愛…しりそめし頃に…』の登場人物で新漫画党の漫画家。新宿十二社の自宅からスクーターに乗って毎日のようにトキワ荘へ通う。8ミリで西部劇の撮影や昇仙峡への旅行、満賀と一緒に空手を習いにいくなど、仕事以外での付き合いも多い。また満才茂道に3万円の格安テレビを紹介した。モデルは実在の漫画家、つのだじろう。

鈴木 伸一 (すずき しんいち)

元トキワ荘の住人。漫画家を目指し上京したが、アニメーターに転向。横山隆一が主宰する鎌倉のおとぎプロでアニメーターとして働く。その後独立を決意。自主制作短編アニメ『ひょうたん』を制作する。モデルは実在のアニメーション作家、漫画家の鈴木伸一。

永田 竹丸 (ながた たけまる)

『愛…しりそめし頃に…』の登場人物で新漫画党の漫画家。師匠の芳賀まさおの娘・恵子と結婚、仲間内では一番最初に家庭を築いた。モデルは実在の漫画家、永田竹丸。

園山 俊二 (そのやま しゅんじ)

早稲田大学在学中に漫画研究部を立ち上げる。新宿の「浜や」という飲み屋で偶然満賀と出会い、交流が始まる。毎日小学生新聞で『がんばれゴンべ』を連載しているが、大人漫画にもチャレンジしている。モデルは実在の漫画家、園山俊二。

富江 道宏 (とみえ みちひろ)

『愛…しりそめし頃に…』の登場人物で講談社の編集者。『ぼくら』では『ロケットくん』、『たのしい四年生』では『わが名はXくん』の連載を担当する。また付録の『漫画の描き方』を満才茂道に頼むなど、様々な仕事で二人と携わっている。

壁岩 大造 (かべいわ たいぞう)

秋田書店の雑誌冒険王の編集者で満賀の描いた読切『ハリケーン・ロックの決闘』『ロンリーガン』を担当した。大柄な体格で喧嘩っ早くて怒ると怖い。しかし男気があり、街でチンピラに絡まれていた若者を助けたこともあった。『週刊少年チャンピオン』の名物編集長といわれた壁村耐三がモデル。

小鷹 洋子 (こだか ようこ)

永田竹丸の妻・恵子の高校時代の友人で、その縁で満賀達とグループ交際を始める。社長令嬢であり、父親を介して満賀にインタビューやポスターの仕事を依頼するなど満賀とは親しい間柄となる。満賀は小鷹に対して好意を抱いており、小鷹の方もまんざらではない様子であったが、結局父の会社の関係の人と結婚した。

リリー

新宿歌舞伎町にあるキャバレー・上海ローズのナンバーワンホステス。牛坂編集長に連れて来られた満賀が彼女に一目惚れしてしまい、その後満賀は上海ローズに何度か通うことに。満賀にはキャバレーに入り浸ると堕落するから一人で店には来ないようにと言い、電話番号を書いた名刺を渡す。

小野寺 由恵 (おのでら よしえ)

石森章太郎の姉でトキワ荘のマドンナ。反対する父親を説得するなど、弟が漫画を描くのを応援しており、漫画家としてやっていけるのかをいつも心配していた。幼い頃から体が弱く喘息の持病があり入院や療養を繰り返していたが、21歳の若さで亡くなった。

しのぶ

トキワ荘の近所のラーメン屋松葉の看板娘。明るい性格でトキワ荘の漫画家達とも仲が良く、おしゃべりしすぎて怒られることもしばしば。ヌードモデルのアルバイトもしている。

書誌情報

愛…しりそめし頃に… 新装版 6巻 小学館〈ビッグ コミックス〉

第1巻

(2018-09-28発行、 978-4098601103)

第2巻

(2018-09-28発行、 978-4098601110)

第3巻

(2018-10-30発行、 978-4098601127)

第4巻

(2018-10-30発行、 978-4098601134)

第5巻

(2018-11-30発行、 978-4098601141)

第6巻

(2018-11-30発行、 978-4098601158)

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