とはずがたり

とはずがたり

後深草院二条が記したとされる鎌倉中期の古典作品『とはずがたり』のコミカライズ作品。多くの男性と愛し合った二条の半生を描く。一部原作に改変を加えた部分もあり、特に物語の結末は大きく異なる。1995年5月に「マンガ日本の古典」シリーズの第13巻として描き下ろされた作品で、本シリーズは平成9年度文化庁メディア芸術祭マンガ部門の大賞を受賞した。

正式名称
とはずがたり
ふりがな
とはずがたり
原作者
後深草院二条
作者
ジャンル
時代劇
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概要・あらすじ

4歳の時から後深草院の後宮で暮らしている二条には、秘密の恋人・西園寺実兼がおり、成長した暁には妻にしてもらうことを約束していた。しかし、二条は14歳になった年、後深草院に心ならずも妻の1人にされてしまう。だが、既婚者となった後も、二条は実兼への思いを断ち切れず、波乱の人生を送ることになるのだった。

登場人物・キャラクター

二条 (にじょう)

源雅忠の娘。兄弟姉妹が大勢いる中で、父親に一番愛され甘やかされて育った。そのため、気位が高く、自身の家柄に誇りを持っている一方で、わがままで奔放なところがある。母親の典侍大が後深草院に仕えていた縁で、4歳の頃に、後深草院の後宮で育てられることになった。宮廷の華やかな文化の中で成長していき、西園寺実兼と恋人になるも、14歳になった春に、無理やり後深草院の妻にされてしまう。 ただし父親の身分が低かったため後深草院の正式な妃にはなれず、名目上は妃でも妻でもない「女房」の1人でありながら、事実上は妻という宙ぶらりんな立場にある。多くの男性を魅了する美貌を持ち、宮廷内で多くの恋愛遍歴を重ねていく。実在の人物、後深草院二条がモデル。

後深草院 (ごふかくさいん)

先代の天皇で、二条の事実上の夫。父親の後嵯峨法王に嫌われており、若くして弟の亀山天皇に無理やり帝位を譲らされた。父親の愛を受けられず、権力も弟に奪われたことで、鬱屈した思いを抱えており、その気持ちを癒すために多くの女性と関わりを持つ。初恋の相手は二条の母親である典侍大であったが、思いを伝える間もなく彼女は結婚してしまった。 その後も初恋を忘れられず、典侍大の娘である二条を4歳の時に自身の後宮に引き取り、好みの女性になるように育て上げた。そして、二条が14歳になった春に、無理やり妻とする。二条を苦しめることに快楽を覚える傾向にあり、他の男に彼女を貸し出したり、自身が他の女と関係を持っているのを無理に見せつけたりする。 実在の人物、後深草天皇がモデル。

西園寺 実兼 (さいおんじ さねかね)

名家である西園寺家の当主。琵琶の演奏を得意としており、琵琶が縁となって二条と出会う。二条の初恋の相手で、二条とは相思相愛の関係にあり、結婚の約束もしていた。しかし、二条が幼かったこともあり、その交際は清いものだった。二条を心から愛しており、彼女が後深草院の事実上の妻となっても思いを断ち切ることができず、後深草院に二条が苦しめられるたびに優しく慰め、肉体的に愛し合うことで癒していた。 包容力に富み、機知の利いた受け答えを得意とする。実在の人物、西園寺実兼がモデル。

亀山天皇 (かめやまてんのう)

後深草院の弟で、今上天皇。性格は陽気で明るい。父親の後嵯峨法王に愛されており、後深草院から帝位を奪った。後深草院を挑発するような行動を取ることが多く、隠居を勧めることもあるなど兄弟仲は険悪そのもの。後深草院が二条を特別に愛しているのを見て、奪いたいと考え、熱心に言い寄るようになる。最初はからかい半分だったものの、二条の美貌や機知ある態度を見て、本気で愛するようになっていく。 実在の人物、亀山天皇がモデル。

阿闍梨 (あじゃり)

仁和寺の高僧。後深草院の腹違いの弟で、兄弟関係は良好。二条の姿を宮廷内で見て一目惚れし、女犯の罪を恐れながらも、二条に言い寄る。幼い頃に出家をし俗世から離れていたため、恋愛には不慣れ。二条を困惑させることもあるが、その想いは大変真摯なものである。後深草院に、二条への恋心を不憫がられ、彼女を好きにしても良いという許可をもらう。 実在の人物、性助入道親王がモデル。

近衛の大殿 (このえのおおとの)

摂政太政大臣という高い身分にある老人。二条の美貌に目をつけ、いつかは肉体的に愛し合いたいと考えていた。父親を亡くして経済的に困窮しつつあった二条に、どんな贅沢でもさせてやると援助を申し出、その見返りとして肉体関係を要求する。政治的手腕も持ち、後深草院からの信頼も厚い。後深草院には二条に言い寄っていることを面白がられており、二条を好きにしても良いと許可をもらっている。 実在の人物、藤原兼平がモデル。

源 雅忠 (みなもとの まさただ)

二条の父親。身分は大納言。子供には多く恵まれたが、その中でも二条を特別に愛し、常に二条の幸福を考え行動している。二条が15歳になった年に病没するが、最期まで二条を案じ続けており、この世に我慢できないことがあれば、出家をして自分の好きなように奔放に生きるようアドバイスを遺した。実在の人物、源雅忠がモデル。

典侍大 (すけだい)

二条の母親で、後深草院の乳母。後深草院が成人する時に、性の手ほどきをした。後深草院の初めての相手であり初恋の人でもある。主人である後深草院を大切にし、熱心に仕えていたが、彼の愛に気づくことは生涯なかった。同じく後深草院に仕えていた源雅忠と結婚して二条を生むが、彼女が2歳の時に病没。これにより後深草院にとって永遠の憧れの女性となり、後深草院が二条に異常なまでに執着するきっかけを作った。 実在の人物、後嵯峨院大納言典侍がモデル。

後嵯峨法王 (ごさがほうおう)

後深草院や亀山天皇の父親。後深草院の一代前の天皇。亀山天皇を愛し、えこひいきをすることが多い。一方で後深草院のことは理由なく嫌っており、後深草院のすることはすべて批判し、彼の前では喜ぶ姿を滅多に見せない。後深草院が天皇の位にあった際には、亀山天皇を天皇にしたいと考え、権力を振りかざして後深草院を退位に追いやった。 後深草院は後嵯峨法王を慕っており、何とか喜ばせようと努力していたが、決して彼を認めることはなく、後深草院の性格を歪ませる一因となった。実在の人物、後嵯峨法王がモデル。

大宮院 (おおみやいん)

後深草院と亀山天皇の母親。後嵯峨法王の中宮。後嵯峨法王と同様に後深草院を愛さず、亀山天皇をえこひいきする。亀山天皇には心ある優しい態度を取るのに対し、後深草院には打ち解けることがまったくなく、冷たい態度を取り続けている。母親としての愛情を見せることはなく、後深草院の性格を歪ませる一因となった。実在の人物、大宮院がモデル。

東二条院 (ひがしにじょういん)

後深草院の11歳年上の正妻。後深草院との間に子供もいるが、容姿の衰えもあり、夫婦関係は冷め切っている。後深草院は彼女を愛していないのに対し、彼女は後深草院に未練があり、夫婦関係をやり直したいと思っている。そのため、二条が後深草院から愛され特別扱いされていることに嫉妬し、権力を振りかざして嫌がらせをする。だがそれが、後深草院の心がより離れていく原因となっている。 実在の人物、東二条院がモデル。

斎宮 (さいぐう)

後深草院の腹違いの妹で、後嵯峨法王の娘。長く神に仕えていたため、俗事に疎いところがある。特に、恋愛に関してはうぶで、男性に憧れる気持ちはあるものの、どのように行動すべきかが分からない。成熟した神々しい美貌の持ち主で、実の兄である後深草院に一目惚れされ、愛されることとなる。のちに、2人の秘密の関係の橋渡しを二条に頼む。

クレジット

原作

後深草院二条

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