ひげを剃る。そして女子高生を拾う。

ひげを剃る。そして女子高生を拾う。

しめさばの小説『ひげを剃る。そして女子高生を拾う。』のコミカライズ作品。サラリーマンの吉田は、5年間片思いをしていた相手に失恋をした日の帰り道、家出少女を拾ってしまう。北海道から来たという女子高校生の荻原沙優は、泊めてもらう対価に初対面の吉田に簡単に自分の体を差し出そうとするが、吉田はそんな沙優の誘惑を拒絶し、その甘ったれた根性を叩きなおしてやると豪語し、二人は不思議な共同生活を開始する。家出女子高校生と独身サラリーマンが紡ぐ、心温まる人間ドラマ。「月刊少年エース」2019年1月号から掲載の作品。2021年4月、原作小説版がTVアニメ化。

正式名称
ひげを剃る。そして女子高生を拾う。
ふりがな
ひげをそるそしてじょしこうせいをひろう
原作者
しめさば
漫画
ジャンル
サラリーマン
 
ヒューマンドラマ
レーベル
角川コミックス・エース(KADOKAWA)
巻数
既刊11巻
関連商品
Amazon 楽天

あらすじ

失恋と出会い

サラリーマンの吉田は、この日人生最大の失恋を経験する。吉田は入社してから約5年間、2歳年上の上司、後藤愛依梨を思い続けてきた。意を決して誘ったデートは、昼は動物園に行き、夜はオシャレなフレンチでディナーという吉田的には気合の入ったもの。愛依梨の反応もよく、最後に自宅へと誘ったものの、返事はまさかのノー。挙句の果てには5年前から付き合っている彼氏がいるという衝撃の発言まで飛び出す。吉田はショックのあまり、ヤケ酒で泥酔した帰り道で、深夜にもかかわらず路上にしゃがみ込む制服姿の女子高校生、荻原沙優を目にする。そして沙優は、ヤらせてあげるから家に泊めてとあっけらかんと言い放ち、吉田をドン引きさせる。しかし、高校生をこのままにしてはおけないと考えた吉田は、帰るところがないという沙優を、仕方なく自宅に泊めることにした。沙優は泊めてもらう対価を自分の体で払おうとし、何かにつけて色仕掛けをしてくるが、吉田はそれをすべて突っぱね続ける。すると沙優は、自分が北海道の旭川から来たと打ち明け、ここにいられなくなったら、また次の家を探すと曇った表情で語る。吉田は、その甘ったれた考えの沙優に腹を立てるが、家から追い出すこともできず、自分の代わりに家事をすることを条件に、この家に滞在することを許可する。吉田は、家出少女を自宅に住まわせるという大きなリスクを抱え、沙優との共同生活が始まる。

信頼

最近吉田が出張を断りがちなことを、遠藤は彼女ができたからに違いないと推測していたが、三島柚葉が問いただすと、当の吉田は違うの一点張り。詳しく知りたい気持ちはあるものの、これ以上聞くことができない柚葉は、意を決して吉田を映画に誘う。会社帰りに映画館に寄った二人は、柚葉がチョイスした恋愛映画を観ることとなる。その映画のテーマは運命の出会い。吉田は、映画を観ながら、荻原沙優との出会いに思いを馳せる。その後柚葉は、高まった気持ちを伝えたい一心で、吉田に抱き付き、積極的なアプローチを試みたことで、吉田を意識させることに成功。その後、吉田が帰宅すると家の中は真っ暗で、いるはずの沙優の姿がない。誰かが沙優を連れて行ってしまったのかと焦る吉田は、沙優を探すため、あわてて外へ飛び出す。一方沙優は、一人で吉田の帰宅を待っているあいだに、吉田のことを考えていた。今まで自分とかかわる男性はみんな自分の体を求めてきた。しかし吉田はそれを要求しないだけでなく、見返りを求めない優しさで自分を包んでくれている。しかし、吉田に特定の彼女ができたら自分たちの関係は一体どうなってしまうのかと考えると、沙優は居ても立ってもいられなくなってしまったのだ。不安になった沙優は、時間を見計らって映画館まで吉田を迎えに行くことにしたが、そこで沙優が目にしたのは、女性に抱き付かれている吉田の姿だった。沙優はショックを受け、涙を流すと同時に自分が嫉妬し、吉田を独占したいと思っていることに気づく。このままでは自分の存在が、吉田が幸せになるための足かせになってしまう。そう思った沙優は、もう吉田の家には戻れないと、夜の公園でしゃがみ込んでしまっていた。そんな沙優の前を偶然にも通りかかったのは、映画帰りの柚葉だった。夜も更けた公園で女子高校生を見つけた柚葉は、思わず沙優に声をかける。そして柚葉はベンチに腰を下ろして沙優の悩みを聞きながら自分の恋愛観について語り始める。沙優はその相手が吉田であることを察し、複雑な心境を抱えながらも、まっすぐで真剣な柚葉の言葉を受け止め、少しずつ前向きになっていく。

アルバイト

吉田荻原沙優は、互いを認め合うことで改めて真の意味での共同生活をスタートさせた。そんな折、沙優はアルバイトをしたいと吉田に願い出る。吉田は二つ返事でその申し出を快諾し、以前よりも前向きな様子の沙優を見て、彼女自身が変わろうとしていることを実感する。そして沙優は、近所のコンビニエンスストアでのアルバイトが決まり、勤務初日に同じ年の先輩、結城あさみと出会う。ギャル系女子高校生のあさみは押しが強く、遠慮なくズケズケとした物言いで沙優を質問攻めにし、知り合ったばかりにもかかわらず沙優の家に遊びに行きたいと言い出す。沙優はそんなあさみの頼みを断り切れず、吉田に了解を得たうえで連れて帰ることにした。あさみは、沙優の同居人である吉田について興味津々の様子。血のつながっていないお兄さんだという吉田を、沙優にとって害のない人物なのか、実はあさみは真剣に沙優を心配し、吉田に会おうとしていたのだ。帰宅した吉田を待ち構えていたのは、疑いの目を向けるあさみの厳しい視線だった。しかし、ふたを開けてみればオッサンだの無害そうだの、あさみは言いたい放題言って、吉田を沙優の同居人として認める。一方の吉田と沙優は、終始自由すぎるあさみのペースに振り回されっぱなし。しかし吉田は、そんなあさみのキャラクターが、意識的に作られたものであること、そして彼女にも何か触れられたくないことがあることに気づく。

愛依梨の告白

この日の仕事終わり、吉田後藤愛依梨に誘われ、二人で焼き肉店を訪れた。愛依梨は、最近の吉田の言動が気になっていたのだ。なぜ定時に帰るようになったのか、三島柚葉と付き合っているのではないか、それに加えて業務中に携帯電話をいじる頻度が増えたのはなぜなのか、出張の依頼を断るのはどうしてなのかなど、日常の細かな変化について、愛依梨は吉田に矢継ぎ早に疑問をぶつける。吉田は、どうして自分の行動をそんなに気にするのか、疑問に思って愛依梨に尋ねる。すると、愛依梨から返ってきた言葉は驚きのものだった。それは吉田のことが好きだからというもので、吉田は自分の耳を疑い、冗談なのかと問いただす。なぜなら吉田は、付き合っている人がいるという理由で、愛依梨からフラれたばかりだったから。自分のついた噓と、当時の心境について切々と語り始めた愛依梨は、自分が周囲に思われているような成熟した女性ではないことを明かす。そして自分は非常に慎重な性格で、恋愛経験も浅かったため、あの日の吉田の誘いを受け入れることができなかったというのだ。その言葉に動揺する吉田だったが、愛依梨の告白を簡単に信じることはできなかった。押し問答の末、吉田は愛依梨が本当の意味で自分が必要な時が来るのを待つことにした。そして話は最近の吉田の変化についての話に戻る。吉田は、自分の家に女子高校生の同居人がいること、そのために長期間家を開けられないことを明かす。すると愛依梨は二人の関係を危ぶみ、その現状を危惧し始める。吉田はそんな愛依梨の言葉をすべて否定し、男女の関係になることはありえないと言い切る。すると愛依梨は、荻原沙優に会わせて欲しいと告げる。吉田はそんな愛依梨の頼みを断ることができず、愛依梨を自宅に連れて行くことにする。

再会

矢口恭弥は、ちょっと変わった価値観の持ち主で、特に女性に関しては理解されないことが多い。当時彼は、七人の女性と同時に交際をしており、彼女たちを分け隔てなく愛していた。恭弥はそうすることで、恋人たち全員が喜んでいると信じていたのだ。しかし、交際している女性の中でも一番賢く、物わかりのいい恋人にそれを打ち明けると、彼女の表情は一変。食べていたパンケーキ用のナイフで切りかかられてしまう。これをきっかけに、恭弥の環境は一転し、絶妙なバランスで成り立っていた七人の恋人たちとの関係は、すべて破たんしてしまう。その後、一度きちんと自分を見つめ直すべきだと感じた恭弥は、茨城から東京へと引っ越し、コンビニエンスストアでアルバイトを始める。しかし、恭弥はそこで思わぬ人と再会を果たすことになる。その子の名前は「みゆき」で、引っ越す前に偶然拾った女子高校生だった。当時、たまたま立ち寄ったコンビニエンスストアの前に座り込んでいた家出少女で、宿に困っていると話したために家に連れて帰った。みゆきはそのお礼にと簡単に体を許すが、彼女の存在が七人の恋人たちとの関係に支障を生じそうになったため、恭弥は彼女を数日間泊めたあと、追い出してしまう。恭弥は、バイト先のコンビニエンスストアの新人、荻原沙優が「みゆき」と同一人物であることに気づく。沙優も同時に、当時のことを思い出すが、人違いだと必死に否定しようとする。しかし恭弥は、沙優の気持ちなどおかまいなしに再会を喜ぶ。同僚の結城あさみに過去のことを知られたくない思いから恐怖で体が震えている沙優に気づいたあさみは、一旦恭弥を沙優から引き離す。その後は何事もなく時間が過ぎ、沙優が安堵したのも束の間、仕事が終わって沙優が店を出ると、そこには帰ったはずの恭弥の姿があった。

星空と未来

荻原沙優は、矢口恭弥に追い詰められたものの、吉田が帰宅したことで間一髪救われる。翌日、バイト中の沙優と恭弥の違和感に気づいた結城あさみは、恭弥を直接問いただし、何があったのかを聞き出した。あさみは、沙優の分まで怒りを顕(あらわ)にし、沙優の気持ちを代弁。事の重大性を理解していない恭弥を平手打ちにし、沙優に謝るように命じる。さすがの恭弥も自分が強引すぎたことを認め、沙優に謝罪。その日、吉田が仕事で帰宅できないことを知ったあさみは、沙優を一人にしてしまうことを心配する吉田に、自分が一晩沙優の面倒を見ると伝える。あさみは仕事終わりに沙優の手を引き、自転車を取りに自宅へと向かう。するとそこは、大きな門構えの立派な一軒家だった。あさみはバツが悪そうに自転車を引いて出て来ると、沙優を後ろに乗せて走り始める。沙優は、あさみに抱き付きながら、自分は何者なのか、吉田と出会った時のこと、その後に出会った人たちのことなど、今まで話せないでいたことをすべて話した。あさみはいつもどおりに明るく相槌(あいづち)を打ち、茶化すことなく沙優の話を聞いていた。そんな二人が訪れたのは、丘の上自然公園。頭上に星空が広がった頃、二人は草むらに並んで寝転ぶと、あさみはここがお気に入りの場所だと沙優に打ち明ける。そしてあさみが語り始めたのは、自分の家族のことや、自分の夢についてだった。政治家の父親と弁護士の母親のもとに生まれたあさみは、幼い頃から寂しい思いをし、家族に対してさまざまな思いを抱いていた。今のあさみがギャルの格好をしているのもその葛藤の現れであり、両親の気を引きたいがための策の一つだった。あさみが将来小説家になるために文学部に進学したいことを打ち明けたことで、娘を弁護士にしたい母親と大喧嘩になったこと、そしてその後、父親に連れて来られたのが、この丘だったことを沙優に明かす。沙優が自分自身の過去や未来について悩んでいることを知ったあさみは、自分が感じたことを沙優に語り、沙優の気持ちに寄り添いながら、すべてのことには絶対意味があるから大丈夫と沙優を勇気づける。そして心が通じ合ったことを実感した二人は、星空の下で大声で泣くのだった。

関連作品

小説

本作『ひげを剃る。そして女子高生を拾う。』は、しめさばの小説『ひげを剃る。そして女子高生を拾う。』を原作としている。原作小説版はKADOKAWA 角川スニーカー文庫より刊行され、イラストは第1巻から第3巻はぶーたが、第4巻以降は本作の作者でもある足立いまるが務めている。また文庫未収録の短編に、書き下ろしを加えたしめさばの短編集『ひげを剃る。そして女子高生を拾う。 Each Stories』も2020年12月に刊行されている。

メディアミックス

TVアニメ

2021年4月から、本作『ひげを剃る。そして女子高生を拾う。』の原作小説版『ひげを剃る。そして女子高生を拾う。』のTVアニメ版『ひげを剃る。そして女子高生を拾う。』が、TOKYO MXほかで放送された。監督は上北学、キャラクターデザインは野口孝行が務めた。キャストは、荻原沙優を市ノ瀬加那が、吉田を興津和幸が演じている。

登場人物・キャラクター

吉田 (よしだ)

会社勤めのサラリーマンの男性。年齢は26歳。ぶっきらぼうで口は悪いが、正義感が強く優しい性格をしている。入社してから5年間、上司の後藤愛依梨に思いを寄せており、ある日、意を決して愛依梨をデートに誘った。昼は動物園、夜はオシャレなフレンチレストランでディナーをして、帰り際には愛依梨を自宅へと誘った。しかしその段になって恋人がいることを明かされ、あえなく失恋。意気消沈してヤケ酒をあおり、ぐでんぐでんに酔って帰宅する途中、深夜にもかかわらず路上に座り込む女子高校生の荻原沙優を発見する。彼女を放っておけず、自宅に連れて帰ったものの、何かと色気を使って吉田を誘惑し、自らの体で宿泊の対価を払おうとするため、拒絶し続けた。沙優が宿泊の対価を払えないことを気にしたため、仕事で忙しい自分の代わりに家事をすることを条件として、しばらくのあいだ自宅に滞在することを許した。それ以来、シャツにはきちんとアイロンがかかり、無精ひげも毎日剃るようになり、心なしか身ぎれいになった。また、自宅で沙優が待っていることを考えると、自然と定時ぴったりに帰宅するようになり、職場では、吉田に彼女ができたのではないかと噂されるようになる。仕事では、新入社員の三島柚葉の教育係を任されており、何かとミスの多い柚葉を怒ってばかりの日々を送っている。しかし柚葉からはなぜか好意を持たれ、映画に誘われたり、抱き付かれたりしているにもかかわらず、彼女の気持ちにはまったく気づいていない。沙優との共同生活の中で、何かと遠慮がちだった二人の関係は次第に変化し、信頼関係を築くようになり、互いを思いやる気持ちが強くなっていく。そして沙優がいることで、家が居心地のいい場所であることに気づき、早く帰りたいと思うようになる。さらに日々の寂しさを埋める大切な存在として沙優を意識するようになる。のちに愛依梨から吉田への思いを打ち明けられるが、愛依梨が身も心も自分といっしょになりたいと思えるようになるまでは現状を維持することを二人で決めた。女子高校生の結城あさみとは、沙優を介して知り合うことになる。最初は失礼な態度を取られるが、徐々にあさみを信頼するようになり、互いにいい関係を築いていく。

荻原 沙優 (おぎわら さゆ)

女子高校生。年齢は17歳。年齢にしては肉付きもよく、かなりの巨乳でFカップを自称している。顔を含めて自分の外見にはある程度の自信を持っている。北海道旭川の自宅から家出し、一人で上京した。携帯電話も持っておらず、服も着ている制服だけ。使っていた携帯電話は、クラスメートからの連絡がしつこかったため、海に投げ捨てた。頼る伝(つて)もなくお金もないため、見ず知らずの男性に自分の体を差し出すことで家に泊めてもらい、日々過ごしている。求められることで自分の存在価値を見出してきたが、ある時行くあてがなくなり、夜中に路上で座り込んでいた際に、酔っぱらって帰宅途中の吉田に声をかけられた。最初はこれまでと同様に吉田に自分の体を差し出して、宿泊の対価を払おうとするが、吉田からは拒絶され続け、最終的には家事をすることで家に住まわせてもらえることになった。自分の体を対価として欲しない吉田との距離感に悩み、吉田に対して気を遣いすぎたり、変に笑ってごまかそうとすることが多かったが、吉田への信頼感が深まるにつれ、関係は徐々に変化していく。そして、いつしか吉田を独占したいという気持ちになる。吉田と出会うまでは何の要求もせずに自宅に泊めてくれる人はおらず、自分の体を求める男性ばかりだった。そのため、荻原沙優にとって複数の男性と関係を持った事実は、自分の中でトラウマとなっており、心に暗い影を落としている。吉田との共同生活を始めてしばらく経った頃に働く決心をして、近くのコンビニエンスストアでアルバイトを始めた。そこで知り合った結城あさみとなかよくなり、互いに悩みを打ち明ける関係へと進展していく。その後、以前みゆきという偽名を使って、体の関係と引き換えに家に滞在させてもらった矢口恭弥との再会や、吉田の思い人である後藤愛依梨の訪問が、沙優自身を見つめなおすきっかけにつながる。吉田に対しては、強い安心感と信頼感を持っており、彼の存在が非常に大きなものとなっている。

後藤 愛依梨 (ごとう あいり)

吉田と同じ会社で専務を務める女性。年齢は28歳。吉田の直属の上司であり、年齢は吉田の二つ上。胸はIカップの巨乳で、左目元にほくろがある。ある日、吉田からデートに誘われて昼は動物園、夜はオシャレなフレンチレストランでディナーという本気のデートコースを1日かけて楽しんだ。帰り際に吉田から自宅に来ないかと誘われるが、5年前から交際中の恋人がいることを明かし、その誘いを断った。しかしそれ以来、何かと吉田に干渉するようになり、最近の吉田の変化にも目ざとく気づき、定時で帰ることや身ぎれいになったことから、彼女ができたのではないかと疑っている。自分を好きだと言っていたのに、もう別の彼女ができたのかという悔しい思いを抱いている。同じ部署の三島柚葉が吉田に好意を持っていることを察しており、二人の関係を怪しんでいる。実は後藤愛依梨自身に彼氏がいるという話は噓で、以前から吉田に思いを寄せていた。しかし恋愛には慎重になるタイプで、吉田から告白された時は、今承諾してもうまくいかないのではないかと警戒し、断ってしまった。見た目とは違って恋愛経験は浅く、未だ処女。のちに吉田と食事に行った際、自分の気持ちを打ち明けたが、互いの思いを確認したのち、本当の意味で吉田のものになりたいと思うようになるまでは、現状を維持することになった。さらに、吉田に同居している女子高校生がいることを知り、荻原沙優と直接顔を合わせ、沙優に厳しくも優しく寄り添うように話をした。そして、いつかは自宅へ帰らなければならないという言葉を沙優自身の口で言わせることに成功した。この時点で沙優と吉田が互いに恋愛感情を抱いていないことは確認できたものの、いつ状況が変化するかわからないという懸念を抱き、二人の今後を見届けるまでは吉田を欲しないことを心に誓った。沙優とは連絡先を交換し、友達のような姉妹のような関係を築く。

橋本 (はしもと)

吉田と同じ会社に勤務する同僚の男性。既婚者で、毎日愛妻弁当を持参している愛妻家でもある。吉田が家出中の女子高校生、荻原沙優を自宅に住まわせていることを知っており、吉田が彼女に入れ込み過ぎるのではないかと心配している。時には茶化したりすることもあるが、二人を優しく見守るよき理解者。

三島 柚葉 (みしま ゆずは)

吉田と同じ会社に勤務する新卒の女性。同じ部署の吉田が教育係を任され、日々仕事を教わっているが、ミスが多く怒られてばかりいる。いつまでも女子大学生感が抜けない自由奔放さを活かして怒ってばかりの吉田をのらりくらりとかわし、まったく気にしている様子はない。実は入社してすぐの頃、自分は周囲から「世話のかかるかわいい新人」という役を求められていると自覚。しかし、吉田のプロジェクトに異動して以来、そのスタンスはことごとく打ち砕かれることとなった。吉田からは「できない自分」を正当に評価されて怒られ続けたが、それが本当の自分を見てもらえたようで嬉しく感じ、さらに磨きをかけて「できない自分」を演じ続け、まるで子供のように吉田の反応を楽しんでいる。それでも心折れずに指導を続ける吉田に対し、いつしか恋心を抱くようになる。そのため、日常的に自分を叱ってくれる吉田との時間は、もはや至福の時となっている。趣味は映画観賞で特にラブストーリーを好み、ヒマさえあれば一人で映画館に通っている。一方で、恋愛に関してはもともと淡泊なタイプで、自分にはまったく関係のないことと考えていたが、吉田に恋してからは、作中のセリフ一つ一つをかみしめるようになった。吉田に対しては臆することなく積極的に立ち回り、食事や映画に誘ったり、時には大胆にハグしたりして、後藤愛依梨に思いを寄せている吉田の気持ちを、自分に向かせようと努力している。荻原沙優とは、吉田と映画を観た帰り道にばったり遭遇。悩んでいる様子の沙優から話を聞きながらも、沙優が吉田といっしょに暮らしているとは知らず、三島柚葉自身の吉田への思いを吐露した。その後、沙優と吉田が同居していることを知り、心中は複雑ながらも二人の動向を見守っている。

小田切 (おだぎり)

吉田の直属の上司で、課長を務める中年男性。後藤愛依梨の部下。出張を吉田から断られることが多くなり、仕事への意欲をなくしたのではないかと心配している。その後、三島柚葉から吉田の母親が体調不良で定期的に実家に帰っていることを知り、そういう事情なら仕方がないと納得した。

遠藤 (えんどう)

吉田と同じ会社に勤務する同僚の男性。上司に対してため口をきくこともあり、仕事を任せるのに少々不安が伴うチャラ男キャラ。いつもなら、出張を二つ返事で承諾していた吉田が、なぜか渋っているのを見て、自分が代わりに出張に行くと申し出た。吉田に特定の彼女ができたから、出張に行きたくないんだろうと誤解している。

結城 あさみ (ゆうき あさみ)

浅黒い肌に金髪のギャル系女子高校生。年齢は17歳。コンビニエンスストアでアルバイトをしており、新人として入って来た荻原沙優と出会った。何でもずけずけと遠慮のない物言いで、押しはちょっと強め。口調はイマドキの高校生で、何かと「ウケる」を連発する。ゴメンはゴメソ、ちゃんはチャソに変換し、パネェ、ヨロなどの言葉を多用するため軽薄感は否めない。沙優に興味を持ち、沙優の自宅が自分の家から徒歩10分圏内にあると知ると、知り合ったその日に遊びに行くと言い出した。沙優が同居している相手を見極めると言い張り、仕事から帰宅した吉田を隅々まで品定めした。最初は、オッサンで無害そうだと失礼な発言を連発したが、最終的にはいい人っぽいと認め、沙優の同居相手として吉田に合格点を出した。一見、何も考えていないように思われがちだが、しっかりした洞察力を持ち、沙優が意識的に笑顔を使い分けていることに気づき、友人として本気で心配している。これをきっかけに、沙優や吉田とは信頼関係を築き、何でも相談できる関係となる。実は政治家の父親と弁護士の母親のもとで育ち、大きな門のある立派な一軒家に住んでいる。つねに忙しい両親に育てられたため、子供の頃はいつも寂しい思いをしていた。ある時、そんな両親の気を引きたい一心でギャルの格好を始めたが、いまだに理解は得られていない。ギャル口調も意識的に行っているが、感情がたかぶるとふつうの言葉に戻ってしまう。将来自分を弁護士にしたいと考える母親からの勧めで、勉強だけはしっかり続けているが、弁護士にはまったく興味はない。将来は小説家になりたいと考えており、大学は文学部を目指している。同じバイト先で働く矢口恭弥に対しては、気を許したら取って食われそうなタイプと評し、妙に落ち着きがある恭弥に違和感や危機感を感じている。

矢口 恭弥 (やぐち きょうや)

コンビニエンスストアでアルバイトをしている男性。以前、茨城に住んでいた時、「みゆき」と名乗る家出中の女子高校生、荻原沙優を拾って帰り、宿泊させる対価として彼女の体を求めた。沙優を数日間家に泊めたものの、当時交際中の恋人との関係に支障が出そうになったため、出て行ってもらった。沙優に対しては、自分との行為中のわざとらしい演技や、心ここにあらずな感じが見え見えで、当時はどちらかといえば不快感を抱いていた。もともと結婚願望はなく、その当時、七人の女性たちと同時に交際していた。それに対する違和感や罪悪感などはまったくなく、自分としてはどの女性のことも分け隔てなく真剣に愛しているつもりでいた。しかし七人の中で、一番賢く物わかりがいいと思っていた女性にそれを打ち明けたところ、女性に逆上されてパンケーキ用のナイフで切りかかられてしまう。それをきっかけに、ほかの恋人にも会う気になれず、絶妙なバランスで成り立っていた七人の女性たちとの交際関係は破たんすることとなった。その後、一度人生をやり直すべきだという思いに駆られ、引っ越しを決意。現在は東京でアルバイトをしながら一人で暮らしている。貯金は十分にあり、お金には困らない状態だが、日を追うごとに一人で過ごす寂しさを強く感じるようになり、別れた七人の女性たちとの日々や、当時追い出した「みゆき」に思いを馳せるようになる。そんな折、バイト先で沙優と再会し、過去を引き合いに出して、強引に家を訪問。無理矢理体の関係をせまろうとしたが、吉田が帰宅して未遂に終わる。その後、結城あさみから叱責され、今後は沙優にいっさい手出しはしないと約束した。一般的な感覚とはかなりずれているため、話の通じない人物と思われがちだが、約束はしっかり守る律儀なところもある。

クレジット

原作

しめさば

キャラクター原案

ぶーた

書誌情報

ひげを剃る。そして女子高生を拾う。 11巻 KADOKAWA〈角川コミックス・エース〉

第1巻

(2019-05-25発行、 978-4041083512)

第3巻

(2020-05-26発行、 978-4041094525)

第6巻

(2021-08-26発行、 978-4041117071)

第8巻

(2022-07-26発行、 978-4041127216)

第9巻

(2022-12-26発行、 978-4041132685)

第10巻

(2023-06-26発行、 978-4041138281)

第11巻

(2024-02-26発行、 978-4041145531)

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