ふろがーる!

ふろがーる!

食品会社に勤める生実野早夜子は生粋のお風呂愛好家で、自宅での入浴術はもちろん、銭湯巡りや温泉への遠出など、お風呂を楽しむためにはどんな労力も惜しまない。そんな無類の風呂好きOLが、かけがえのない友人と出会い、風呂を通じて世界を広げていく姿を描く、極楽湯巡りストーリー。「週刊ビッグコミックスピリッツ」2015年第37・38合併号から2016年第52号にかけて不定期に掲載された作品。

正式名称
ふろがーる!
ふりがな
ふろがーる
作者
ジャンル
バイク
 
友情
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あらすじ

都内の食品会社で経理を務める生実野早夜子は、仕事をテキパキとこなしながらも、彼女は今夜の風呂のことで頭の中が埋め尽くされていた。無類の風呂好きである早夜子は、数日前に思い立った入浴術を早く実践したくてたまらなくなっていたのである。定時になると同時に帰宅した早夜子は、さっそく花屋で購入してきた桜の切り枝から花を丁寧に摘み取り始める。漢方薬局で購入した桜皮はあらかじめ煮出し、沸かしておいたお風呂の湯へと投入して、摘み取った桜の花を浮かべる。最後に生けた桜の枝を浴室に飾り、日本古来から伝わる季節の薬湯「桜の湯」が完成する。ゆず湯やしょうぶ湯ほど有名ではないが、これもれっきとした季節の湯であり、風呂に入るだけで、実際に煎じて飲むのと同様の効能が得られるという桜皮の薬湯は、香りも香ばしい。そのうえ目でも楽しめるため、まるで満開の桜の木の下にいるような心地よさが味わえる。自宅でのちょっぴり凝った入浴術が、早夜子の日々の疲れを癒すのだった。(第1話「桜風呂」)

都内の食品会社で営業部のセールスマネージャーを務めている冬馬町子は、社員旅行で熱海のホテル水葉亭に来ていた。社員旅行の幹事となった町子は上司としても、この旅で社内コミュニケーションの活性化を図ろうと、つねに周囲に気を配っていた。中でも、最近経理部から異動してきたばかりの生実野早夜子を気にかけていた。一見クールな早夜子は、きっと社員旅行をうっとうしいと思っているだろうと考えた町子は、上司の自分がケアしてあげねばとはりきっていた。しかしそんな町子の心配をよそに、早夜子は社員旅行を全力で楽しんでいた。宴会場では食事をおいしくいただき、宴会芸ではしっとりと歌い上げて拍手喝采を浴びる彼女の姿に、町子は疑問を感じ、本心を見せないようにしているのだろうと、早夜子を気遣う姿勢を崩さない。幹事としての気疲れから、よく眠れないまま迎えた翌日、町子は早朝に早夜子と顔を合わせる。そして、相模の海を一望できる「眺望大露天風呂」の景観を楽しむなら早朝しかないと熱く語る早夜子に付き合い、町子は同行することにした。素晴らしい景色と開放感の中で風呂を堪能した町子は、早夜子との会話の中で、彼女が風呂好きであることを知る。その後、社員旅行は無事解散となって熱海駅までの帰り道、町子は早夜子から、このあと温泉に行かないかと誘いを受ける。町子は思いがけないことに驚くが、早夜子が幹事を終えた自分を労ってくれていることを理解し、社員旅行での疲れも吹っ飛んでしまう。そして二人は、これをきっかけにプライベートでも親しくなっていく。(第23話、第24話「静岡県熱海市の海辺風呂(前後編)」)

生実野早夜子は、シローと共に沖縄旅行に来ていた。そして二人は、ジェットスキーやシュノーケリング、チューブライディングなど、さまざまなアクティビティを体験し、美しい海を堪能する。そこでシローは、インストラクターの男性が川崎から移住してきたことを知り、沖縄移住に興味を持ち始める。インストラクターの男性は周りの反対を押し切り、勢いで決めた移住だったと語るが、一回きりの人生だからやりたいことをやるべきだと笑顔を見せる。そんな彼の言葉に感銘を受けたシローは、その日の夜、沖縄に移住することを決め、自分の気持ちを早夜子に打ち明ける。しかし、シローの気持ちを知った早夜子の心中は複雑だった。翌日も沖縄での暮らしについて熱く語るシローの様子に、現実的に可能なのかと、早夜子は不安を抱いていた。その夜、沖縄に残ると言い出したシローの顔は、真剣そのものだった。移住計画を具体的に語るシローの熱い気持ちを知った早夜子は、寂しい気持ちをぐっとこらえ、シローを応援することを決意する。そして、自分のやりたいことをして、嫌になったら戻ってくればいいと、シローに寄り添っていくことを伝える。翌日、早夜子は帰りの空港で、シローと別れる寂しさに耐えようとするあまり、涙をこらえていた。シローはそんな早夜子の心中を察し、早夜子をぎゅっと抱きしめる。(第40話、第41話「沖縄の湯(前後編)」)

メディアミックス

テレビドラマ

2020年7月16日から8月20日にかけて、本作『ふろがーる!』のTVドラマ版『ふろがーる!』が、テレビ東京系列で放送された。キャストは、生実野早夜子を桜井日奈子が演じている。

登場人物・キャラクター

生実野 早夜子 (おゆみの さよこ)

東京都中野区にある食品会社「株式会社ハヤタ食品」に勤める女性で、年齢は25歳。現在は一人暮らしで、黒猫のサリーと共に生活している。関西弁でクールな雰囲気を漂わせており、所属の経理部内ではまじめで仕事が早いと高い評価を受けている。住まいは古い木造アパートながら、浴室だけはリフォームされている。そのため、仕事が終わると決まって定時に帰宅し、お気に入りの浴室でさまざまな入浴術を楽しむのが日課となっている。特に日本古来からある季節の湯に関して造詣が深く、毎月ごとに季節の湯を楽しむ習慣がある。頭の中は日々入浴のことでいっぱいで、ほとんどの場合、突然入浴術についての着想が降って湧き、衝動を高めて実行に移している。勤務時間中でも、その着想にとりつかれると居てもたってもいられず、定時になるや否や足早に帰宅することも少なくない。テレビで紹介された絶景、秘境の露天風呂に入りたい一心でバイクの免許を取得し、いとこのトモヤから中古のバイクを格安でゆずり受ける。その後、教習所で知り合ったシローと、ツーリング先の山梨で偶然再会して意気投合。それ以来、いっしょに温泉に出かけたり、遠方へのツーリングをしたりして行動を共にすることが増えていく。そんな中、営業部の部長から強く異動を勧められ、しばらく悩んだのちに異動を決める。この異動によって新たな出会いもあり、特に直属の上司である冬馬町子とはプライベートでもなかよくなり、シローと三人で遠出することもある。また、お風呂を通じて知り合ったハイケとも親交を深め、ドイツ旅行に行くなど、人付き合いがどんどん広がっていく。もともとマンガやゲームが好きで、天気が悪い週末などには、一日中漫画やゲームでヒマを潰すこともある。

シロー

生実野早夜子の通う教習所に来ていた女性。講習を受けていた早夜子が、転んでばかりで落ち込んでいた際に声を掛け、一度もエンストしていないのだからバイクのセンスはあるとなぐさめた。無事免許を取得したのち、ツーリング先の山梨で偶然に早夜子と再会して意気投合。それ以来、いっしょに温泉に出かけたり遠方へツーリングしたり、行動を共にすることが増えていく。早夜子からは言葉が荒っぽく、さっぱりした性格のために当初は男性だとカンちがいされていたが、温泉に入って女性だと認識された。風呂も好きだがビールが大好きで、風呂はビールをおいしく飲むためにあるという考え方の持ち主。そのため、日帰りの予定で来たはずなのに、ビールの誘惑に負けてバイクに乗れなくなり、翌日まで帰れなくなってしまったこともある。のちに、早夜子から冬馬町子を紹介され、三人で温泉や旅行に行くようになる。性格が正反対な町子とは、初対面時にはギクシャクしていたが、あいだを取り持ってくれた早夜子のおかげで、わだかまりもなくなった。さらに町子とはサッカー観戦という共通の趣味が判明し、早夜子が複雑な気持ちになるほどサッカーの話で盛り上がり、親睦を深めていく。早夜子と二人で沖縄旅行に行った際には、沖縄の魅力に心奪われ、インストラクターの話から沖縄で暮らしたい衝動に駆られる。結局、帰るはずの予定日に帰るのをやめ、早夜子に了承を得たうえで一人沖縄に残り、沖縄移住計画を進める。早夜子の応援のかいもあって、のちに沖縄への移住が決定する。

大家 (おおや)

生実野早夜子が住むアパートの大家で、酒好きの老人。持病の薬をもらうため、病院に行っているあいだ、孫娘の恋来を早夜子に預けて世話を頼んだ。恋来を溺愛しており、恋来は賢くていい子だと親バカならぬジジバカぶりを発揮している。

恋来 (ここ)

生実野早夜子が住むアパートの大家の孫娘。まだ幼く、言葉も片言だがかなり口が悪い。大家にとっては賢くてかわいい孫ながら、我が強すぎて大人の言うことを聞かない、わがままな性格をしている。祖父が病院に薬をもらいに行っているあいだ、早夜子に預けられ、早夜子と二人で過ごすことになる。しかし早夜子に暴言を吐いたり、早夜子が大事にしている入浴剤コレクションを床にばらまいたりと、好き放題して早夜子を困らせる。泥だらけで汚れたワンピースを着ており、実は化粧品や美容に関して強い反感を持っていることが原因だった。早夜子といっしょに泥湯のお風呂に入った際、このお湯で早夜子のようにきれいになれるのかと尋ね、一生懸命顔に泥をぬっていた。そして早夜子に、きれいになったと褒めてもらうと、とたんに彼女に懐いた。

トモヤ

生実野早夜子のいとこ。早夜子のアパートの近くに住んでおり、時々連絡を取り合っている。早夜子から、お風呂に使うためのドクダミを手に入れてほしいと言われた際に素直に応じたり、中古のバイクを格安で買ってほしいと打診したりするなど、互いにいい関係を築いている。ゲームが大好き。

ハイケ

ドイツ人の女性。子供の頃にドイツで日本のアニメを見て、日本が大好きになった。現在日本で日本語を勉強中。日本を堪能しようと訪れた銭湯が閉館となり、困っていた際に生実野早夜子から声を掛けられた。同じ風呂好きということもあり、早夜子といっしょに別の銭湯へと向かうことになった。のちに、別のスーパー銭湯で早夜子と偶然再会。話が盛り上がり、早夜子を自国のドイツに招待し、案内することになる。もちろんドイツ旅行の目的はお風呂で、歴史を辿りながらドイツのお風呂事情に触れること。明るくてフレンドリーな性格をしている。日本語は堪能で、銭湯に入る際のマナーについても自分で調べており、よく勉強している。早夜子の紹介で、シローや冬馬町子とも親しくなるが、のちに実家の店を継ぐため、ドイツへの帰国が決まる。

冬馬 町子 (とうま まちこ)

東京都中野区にある食品会社「株式会社ハヤタ食品」の営業部でセールスマネージャーを務めている女性。年齢は28歳。頼りがいがあり、かわいらしい先輩タイプ。熱海の社員旅行の幹事役を任され、社員旅行の意義を社内のコミュニケーションの活性化と考えている。特に生実野早夜子の直属の上司として、経理部から営業部に異動してきたばかりの早夜子をサポートしてあげようとしている。しかし、早夜子のことを根本から誤解してイメージしているため、何をしても空回りしている。だが、これがきっかけで早夜子から個人的に温泉に誘われることになり、プライベートでも親しくなっていく。その後、早夜子からシローを紹介され、三人で温泉や旅行にも行くようになる。もともと几帳面な性格で、礼儀正しいため、正反対の性格のシローとは、初対面時にはギクシャクしていたが、あいだを取り持ってくれた早夜子のおかげで、わだかまりもなくなる。さらにシローとは、サッカー観戦という共通の趣味が判明し、早夜子が複雑な気持ちになるほどサッカーの話で盛り上がり、親睦を深めていく。のちに占い師に占ってもらったことがきっかけで、結婚が決まって寿退社した。

西岡 (にしおか)

東京都中野区にある食品会社「株式会社ハヤタ食品」の営業部に所属している男性。生実野早夜子の先輩でもある。早夜子の指導役として、つねに彼女をフォローしている。情熱的な性格で、オネエ言葉を話す。

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