もうひとつの神話

もうひとつの神話

清水玲子の初期のSFファンタジーのひとつ。太陽系惑星がすべて滅び、人類の希望を託した1つの凍結受精卵が、それを守る数体の人間型ロボットとともに宇宙に送り出された。人間の少女を愛し、守ろうとするロボット達の献身的な愛情が、切ない読後感をもたらす短編。1985年(昭和60年)、『LaLa DX』3号誌上に掲載された。

正式名称
もうひとつの神話
ふりがな
もうひとつのしんわ
作者
ジャンル
ロボット
関連商品
Amazon 楽天

概要・あらすじ

6人の若い男女を乗せて航行する宇宙船の中で、ある日、イブが「妊娠した」という。しかし、イブは知らないが、彼女以外は全員、精工な人間型ロボットだった。166年前、太陽系の惑星が全滅したとき、凍結された1つの受精卵と4体の人間型ロボットが宇宙に送り出された。受精卵の凍結の限界である150年目にイブは生まれ、その夫としてアダムが造られた。

ただ1人の人間であるイブを愛し、守ってきたロボットたちは、想像妊娠であろうイブのために、何が彼女にとって本当の幸せなのかを考え始める。

登場人物・キャラクター

アダム

男性の人間型ロボット。地球が滅び、宇宙船の中で保存されていた凍結受精卵からイブを誕生させるとき、イブの夫役としてカインによって造られた。イブの事を深く愛している。

イブ

太陽系の惑星が全滅したとき、宇宙に送り出された宇宙船の中で唯一の人間。太陽系惑星が滅亡するとき、受精卵の状態で宇宙に送り出された。凍結の限界である150年目に誕生させられ、16年を過ごす。ロボット達に宝物のように守られて育った純真無垢な少女。他のメンバーがロボットだとは知らされず、アダムを夫として愛し、赤ちゃんを欲して想像妊娠をする。

カイン

男性の人間型ロボット。宇宙に送り出された宇宙船内ではリーダー的な存在。イブの本当の伴侶となりうる人間の男性を探し、宇宙を航行する。想像妊娠で喜ぶイブを失望させないため、流産という事実をつくろうとする。イブのためだけに存在し続ける。

アベル

男性の人間型ロボット。長髪の巻き毛で、ユニセックスな外見を持つ。宇宙に送り出された宇宙船内では長男的な役割。イヴの想像妊娠を、もしかしたら本当に生まれるのではないかと、一瞬、期待する。

セツ

男性の人間型ロボット。子供好きで心優しい男性。妊娠していると思い込んでいるイブのために、宇宙船内でレモンを栽培する。

リベカ

女性の人間型ロボット。宇宙に送り出された宇宙船内では医療を担当している。ドライな性格だが、想像妊娠したイブに対し、その思い込みの強さが人間の素晴らしいところだと好ましく思っている。

SHARE
EC
Amazon
logo