りゅうおうのおしごと!

りゅうおうのおしごと!

白鳥士郎の小説『りゅうおうのおしごと!』のコミカライズ作品。史上最年少の16歳で将棋界の最高位「竜王」となったプロ棋士の九頭竜八一を中心に、棋士達の栄光と苦悩、挫折などが丁寧に描かれている。「ヤングガンガン」2015年20号から連載の作品。

正式名称
りゅうおうのおしごと!
ふりがな
りゅうおうのおしごと
原作者
白鳥 士郎
作画
ジャンル
将棋
関連商品
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あらすじ

プロ棋士・八一への弟子入り(第1巻~第2巻)

史上最年少で将棋界の最高位である「竜王」となったプロ棋士の九頭竜八一は、称号に見合った将棋を打たなければならない、というプレッシャーに押し潰されてスランプに陥り、公式戦で11連敗を重ねていた。そんな中、八一のもとを小学生の雛鶴あいが訪れ、弟子にしてほしいと申し出る。当初は追い返すつもりであいと将棋を指した八一は、彼女の異常ともいえるほどの将棋の才能に触れ、春休みのあいだだけという条件で彼女を内弟子にする事を決めた。その後、八一は帝位戦リーグでライバルの神鍋歩夢との対局に臨む事になる。絶好調の歩夢相手に八一は苦戦を強いられるが、八一はあいが対局を観ている事に気づく。周囲の誰もが決着がついたと思うほどに歩夢に有利な局面にありながら、あいは八一の勝利を信じ、彼の勝つ手順を考えながら応援していたのだ。そんなあいの前で無様な姿を見せられないと、八一はこれまでの考え改めて、「竜王」に相応しい綺麗な将棋を捨て、汚くとも勝利をあきらめない泥臭い将棋を打ち始める。そして戦後最長手となるほどの長期戦の末、八一はついに歩夢に勝利。自分の勝利を最後まで信じてくれていたあいに感謝の念を抱きながら、八一は自身がスランプから脱出した事を実感するのだった。

あいの研修会入会試験(第2巻~第3巻)

雛鶴あいは、あこがれのプロ棋士、九頭竜八一の内弟子として修行の日々を送る中、プロ棋士となる登竜門の一つである研修会試験を受ける事になる。その受験日の前日、あいを連れ戻すために、八一のもとへ両親がやって来る。だが、あいは両親の言う事を聞き入れず、そんなあいの態度に根負けした母親は、あいが研修会試験で全勝できれば将棋を続ける事に異論を挟まないと約束する。そして迎えた研修会試験では、2局して2勝を収める。しかし、あいの最後の対局相手となったのは、八一の姉弟子にして対女流棋士戦で無敗を誇る空銀子だった。銀子は圧倒的な実力に加え、番外戦術と呼ばれる手法まで用いて、あいを徹底的に追い詰めていく。最後まであきらめずに挑むあいだったが、ついに銀子に敗北。だが、観る者の心を熱くさせるような素晴らしい2人の対局を見た八一は、あいを弟子にしたいと考え、彼女の母親に土下座して将棋を続けさせてほしいと頼み込む。あいと八一の思いに打たれた両親は、あいに将棋を続ける事を許し、あいは晴れて八一の内弟子となるのだった。

八一への二人目の弟子入り(第3巻~第5巻)

九頭竜八一は内弟子の雛鶴あいと共に将棋漬けの日々を送っていたが、あいがかわいすぎるあまり、師匠として厳しく接する事ができず、頭を悩ませていた。そんな中、八一は尊敬するプロ棋士の月光聖市から、新たに小学生の弟子を取ってほしいと頼まれる。その弟子候補の少女、夜叉神天衣に、あいと同様の才能を認めた八一は、レッスンという形で天衣を指導する事を決める。その真意は、あいのために天衣をライバルとして育てようというものであった。しかし、新たな弟子の出現に嫉妬したあいは、八一のもとから家出してしまう。それでも八一はあいのためを思い、天衣の指導を続ける。一方、八一の指導を受けた天衣は、めきめきと将棋の腕前を上達させていく。

あいVS天衣戦(第5巻)

九頭竜八一は、予想以上の成長を遂げた夜叉神天衣に、研修会試験を受けさせる事を決めた。天衣が研修会試験で周囲も驚くほどの才能を見せつける中、彼女の研修会試験最後の対局相手が雛鶴あいに決定する。驚異的ともいえる「読み」の深さを持つあいに対し、「読み」を外す力に長けた天衣は天敵ともいえる相手であり、あいは惜しくも敗北してしまう。天衣が勝利に酔いしれる中、対局を振り返った研修会幹事の久留野義経は、対局途中であいが一手「読み」を間違えなければ、あい必勝の局面となった事を2人に伝える。実力で勝りながら、対局中に心が折れた事で敗北したあいは、勝利に対する貪欲さを覚え、八一に対してより一層の厳しい指導を願い出るのだった。

八一VS永世名人戦(第5巻)

九頭竜八一には、夜叉神天衣に将棋のレッスンを施す中、彼女が時おり悲しそうな表情を浮かべる事が気になっていた。実は天衣は両親を事故で亡くしており、彼女にとって将棋とは両親との幸せな思い出を振り返るための手段であった。それを知った八一は、心の孤独を深めていく天衣を放っておけず、師匠と弟子という関係を通し、天衣に家族を作ってあげたいと考えるようになっていく。そして八一は、天衣の師匠でもあり、同時に自身も尊敬するプロ棋士の月光聖市に対し、天衣の師匠の座を賭けて勝負してほしいと願い出る。その願いを聞き入れた聖市は、八一と帝位リーグの舞台で雌雄を決する事になる。相手のミスも手伝い、八一は聖市との対局に勝利。こうして八一は正式に天衣を弟子に取る事となった。そして八一は、天衣が本当は昔から八一の弟子になりたがっていたという真実を知る。

研究会(第6巻~第7巻)

清滝桂香は、女流棋士になるためには27歳までに研修会でC1クラスに上がる必要がありながら、26歳で未だC2クラスにいる事に焦りを感じていた。そんな中、桂香にD1クラス転落の可能性がある降級点がついてしまう。降級点を消すために、桂香はプライドを捨てて同門の空銀子に頭を下げ、いっしょに研究会を行なってほしいと願い出る。そんな桂香の必死さを受け入れた銀子は、自身にはメリットがない事を理解しながらも、桂香と研究会を行う事を決める。一方、九頭竜八一は苦手な山刀伐尽に勝つため、振り飛車戦法の第一人者である生石充のもとを訪れていた。充は彼の願いを聞き入れ、八一と彼の弟子である雛鶴あいに振り飛車の指導を始める。充の指導によって振り飛車戦法を習得したあいは、将棋仲間である水越澪との研修会対局で圧倒的な勝利を収めるが、それにより澪を深く傷つけてしまう。この出来事であいは勝つ事の苦しみを知り、八一は勝負の場ではその苦しみすら捨てなければならないと、あいに伝える。

八一VS山刀伐尽戦(第7巻)

九頭竜八一は、苦手意識を持つ山刀伐尽との対局に臨んでいた。八一は生石充直伝の「ゴキゲン中飛車」戦法を仕掛け、相手の意表を突くが、当の尽自身はその戦法にガッカリした様子を見せていた。尽は研究によって「ゴキゲン中飛車」戦法は居飛車必勝であると結論づけており、どうあがいても八一に勝ち目はないと口にする。その言葉通りに尽は、八一をどんどん追い詰めていき、誰が見ても八一の敗北は必至だと思われた。だがそんな中、八一は持ち時間をすべて使いきって、誰も考えないような勝利の手筋を見出し、逆転勝利を収めるのだった。その対局を観ていた清滝桂香は、凡人がどれだけ研究を重ねて努力をしようが、八一のような天才には敵わないのではないかとあきらめの感情を抱く。しかし、八一との才能の差を痛感しながらも、彼に勝つために努力を重ねてきた空銀子は、そんな桂香の考えを否定。そんな銀子の前向きな考え方に共感した桂香は、今度こそ自分を信じ、自らの棋士人生を賭けて研修会の対局に臨む。

桂香の研修会対局(第7巻)

研修会の対局の日。いつもは優しい清滝桂香が、この日に限っては誰にも話し掛けずに威圧的な雰囲気を漂わせ、周囲の対局者達を委縮させていた。そんな中、桂香の研修会対局の相手が夜叉神天衣雛鶴あいに決まる。まず桂香は、天衣との対局において数々の番外戦術を見せ、彼女に実力を発揮させないままに勝利を収める。一方で、桂香の置かれた立場を知るあいは、そんな彼女を相手に勝っていいものかと悩んでいた。そんなあいに対し、桂香はいっさいの手心を加えずに追い詰めていく。そんな中、あいは師匠である九頭竜八一に対するあこがれと、将棋を好きだという初心を思い出し、迷いを捨てて桂香を倒すための決意を固める。そんなあいの将棋に対する純粋な気持ちを悟った桂香もまた、改めて本気で勝ちをもぎ取りにいくのだった。

登場人物・キャラクター

九頭竜 八一 (くずりゅう やいち)

プロの将棋棋士である短髪の少年。性格は優柔不断なお調子者で、恋愛の機微には疎く、空銀子をはじめとした数々の女性から好意を抱かれているにもかかわらず、その気持ちにはいっさい気づいていない。史上4人目の「中学生棋士」として、15歳3か月でプロ入りを果たしたあと、勢いも手伝って勝ち進み、史上最年少の若さで将棋界の最高位の1つ「竜王」の称号を獲得した。 しかしその後は、称号の重さに押し潰されるように調子を落とし、公式戦では泥沼の11連敗を喫していた。そんな中、9歳の少女である雛鶴あいを将棋の内弟子とする事となり、彼女の将棋に対する真摯な思いに感化されて調子を取り戻していく。師匠である清滝鋼介のもとで6歳の頃から内弟子として修行に励んでおり、幼い頃から類稀な将棋の才能を発揮し、鋼介にもその才能を高く評価されていた。 プロ棋士となってからは将棋雑誌である「将棋世界」が企画した対局で鋼介と対戦し、見事勝利を収めている。将棋の棋風は居飛車戦法を得意としており、特に相掛かりや一手損角換わりなどの戦法においては、スペシャリストと評価されるほどの腕前を有している。 また、A級のプロ棋士、山刀伐尽との対局に勝つために「玉将」のタイトルを保有するプロ棋士の生石充のもとで振り飛車戦法の指導を受けており、それからは振り飛車も若干ながら指せるようになっている。ちなみに中学卒業後は高校には通わずに、現在は棋士としての生活を中心に送っている。

雛鶴 あい (ひなつる あい)

石川県にある老舗の温泉旅館「ひな鶴」の一人娘。小学3年生の少女。黒髪を、おさげの髪形にしている。整った容姿で天真爛漫で負けん気が強く、嫉妬深い性格の持ち主。特に将棋の師匠である九頭竜八一が、自分以外の女の子となかよくしていた時は大きく機嫌をそこねてしまう。また、温泉旅館の一人娘として旅館のお手伝いをしていた経緯から家事全般が得意。 中でも金沢カレーを作るのが得意で、それを食べた八一があまりの美味しさに気を失ってしまうほどだった。ちなみに普段は標準語でしゃべっているが、怒った時は「だら」「だらぶち」など金沢弁で文句を言う。温泉旅館「ひな鶴」によって行われた竜王戦第7局において、対局していた八一の姿に強いあこがれを抱いた事がきっかけで、将棋を始めた。 その3か月後、一人で大阪にある八一の自宅まで押し掛けて、自分を弟子にしてもらえるように八一に頼み込んでいる。その後は八一の内弟子として彼の自宅に住んでいる。将棋を始めて3か月ながらその才能は抜きん出ており、プロ棋士である八一にもその実力を認められている。特に「読み」の力に秀で、詰め将棋においては師匠である八一をも凌ぐほどの実力を有しており、詰め将棋の難問「将棋図巧」の問題をすべて解いてしまうほど。 一方で将棋の序盤戦が不得手で、八一の内弟子となった時点では、彼の得意戦法である相掛かり戦法しか知らなかった。八一の内弟子となったあとは、彼の指導を受けて将棋の研修会試験を受験し、晴れて研修会入りしている。八一による指導以外でも、同年代の将棋仲間である水越澪、貞任綾乃、シャルロット・イゾアール達といっしょに研究会などを開くなど、将棋に関しては非常に勉強熱心。 この研究会は小学生中心のメンバーで構成されている事から、師匠の八一により「JS研」という名前が名付けられた。

空 銀子 (そら ぎんこ)

九頭竜八一と師匠を同じくする姉弟子。将棋の奨励会員である14歳の少女。銀髪で、ショートカットの髪形をしている。整った容姿で、その美貌から将棋界のみならず各界から絶大な人気を獲得している。性格はクールで負けん気が強く、八一を相手に暴力を振るう事もしばしば。実は八一に恋心を抱いているが、彼にはその思いにまったく気づかれていない。 また偏食家で、なんにでもソースをかけて食べる癖がある。将棋のプロ入りはまだ果たしていないものの、奨励会二段に在籍しているほどの実力者であり、すでに女流棋士になる資格を有している。なお、対女流棋士戦においては47戦47勝という成績を収めており、その積み重ねた白星の数を称えて「浪速の白雪姫」の異名で呼ばれている。 2歳で将棋の駒の動かし方を覚え、4歳からプロ棋士である清滝鋼介のもとで内弟子として将棋の修行に明け暮れている。その後、研修会入りしてA2クラスになった時点で、その上位組織である奨励会の入会資格を得たため、そのまま奨励会入りを果たした。また11歳の時点で、奨励会員でありながら、女性棋士なら誰でも参加可能な将棋タイトル「女王」「女流玉座」の2冠を獲得している。 その後は「女王」「女流玉座」としての対局をこなしながら、奨励会員としてプロ棋士を目指している。女性としては圧倒的な将棋の才能を有しながら、女性と男性とのあいだにある歴然とした棋力の差に苦しんでおり、その事実を冷静に受け止めながらも努力を重ねている。なお、現在は中学校に通いながら、将棋の修行に明け暮れている。

清滝 桂香 (きよたき けいか)

プロ棋士である清滝鋼介の一人娘。年齢は26歳。おっとりとした雰囲気の女性で、肩に掛かるほどの長さの茶髪を頭後ろで一本に束ねている。また、かなりの巨乳でスタイル抜群の身体つきをしている。世話上手な一面があり、父親の内弟子として自宅に住んでいた九頭竜八一や空銀子が幼い頃の世話を買って出ていた。幼い頃に父親から将棋を習っていたが、その厳しい指導に耐えられず、一度は将棋をやめていた時期がある。 本格的に将棋の勉強を再開して、女流棋士を目指し始めたのは高校3年生になってから。女流棋士になるためには27歳までに研修会でC1クラスに上がる必要があるが、現在はまだC2クラスのため、女流棋士になれるかどうかは瀬戸際の状況にあり、焦りを感じている。 血統の割には将棋の才能に恵まれていない事にコンプレックスを抱いており、才能あふれる銀子に嫉妬し、彼女を毛嫌いしていた時期がある。

夜叉神 天衣 (やしゃじん あい)

実業家の夜叉神弘天の孫娘。年齢は9歳。真っ黒なストレートヘアで、真っ黒い服装を好んで着用している。その性格は高飛車にして自信家で、どんな相手にも物怖じせずに、言いたい事をハッキリと言う毒舌家。幼い頃、交通事故により両親を亡くしており、現在は祖父である弘天と共に暮らしている。両親が亡くなってからは、その悲しみから喪服を模した黒い服装しか着用しなくなっている。 父親が将棋のアマチュア名人で、母親もまた将棋好きであった事から、家族との団らんの一環として将棋に慣れ親しんでいた。両親を亡くしてからは、1人で将棋に触れながら両親との幸せな記憶を思い出していた。九頭竜八一のもとで将棋を習う内に、徐々に前向きな姿勢で将棋に向き合うようになっていく。 実は亡くなった父親が八一の熱心なファンであり、幼い頃から八一に弟子入りするものだと思いながら育ってきた。そのため、八一の指した将棋の棋譜を両親といっしょに並べる機会が多く、八一の得意戦法である一手損角換わりに対しては特に思い入れが強い。しかし最初に八一と出会った時は、素直でない性格も相まって、彼に素っ気ない態度で接してしまう。 類まれなる将棋の才能を持ち、相手の攻めを受け止めてカウンターを狙う「受け将棋」を得意としている。中でも序盤戦法への理解と応用力は並大抵のものではなく、八一からは、このまま棋士として成長すれば、序盤戦法に革命的な変化をもたらすかも知れないと期待されている。八一と出会った当初は「受け将棋」を使いこなすだけの心の強さがなかったが、それも八一の指導により改善され、現在では大人相手に老獪さを見せるまでに成長を遂げている。 だが、清滝桂香の番外戦術で冷静さを欠いて敗北してしまうなど、年相応に精神的に未熟な面も未だ多く見受けられる。

清滝 鋼介 (きよたき こうすけ)

九頭竜八一と空銀子の師匠であるプロ棋士。黒髪短髪で眼鏡をかけており、口ひげと顎ひげを蓄えている老齢の男性。普段は威厳のある言動を見せているが、将棋に負けた際に、その悔しさから常識外れの行動を取ってしまうなど、情けない態度を露呈する事も多い。将棋の指導対局がきっかけで八一や銀子にあこがれを持たれ、その結果、幼かった彼らを内弟子に取る事となった。 プロ棋士としての段位は九段であり、順位戦A級在籍の経験もある偉大な棋士だが、タイトルの獲得経験はない。そのため幼い頃の八一の才能を手に余ると感じ、八一の師匠を名人のタイトル獲得者である月光聖市に譲ろうとした事がある。しかし、その際に聖市に諭され、八一の才能と向き合って彼を丁寧に指導した。

神鍋 歩夢 (かんなべ あゆむ)

プロ棋士の短髪の少年。年齢は18歳。同年代のプロ棋士である九頭竜八一をライバル視している。美意識が強く、将棋の対局などにもマントを羽織ってくるなど独特のファッションセンスの持ち主。また、服装に関しては妥協を許さず、お気に入りブランドの新作発表会なども小まめにチェックしている。いわゆる「厨二病」と呼ばれるような言動が目立ち、自らの名前を「ゴッドコルドレン」と呼び、「神鍋」と呼ばれた際はその都度、訂正を求めている。 年度の連勝賞と勝率1位賞が確定しているなど高成績を維持しており、若手の有望株として活躍を期待されている。また、香車を用いた攻めに定評があり、八一との帝位戦リーグ対局では、その駒を利用した新手を披露して彼を追い詰めた。しかし夜遅くまでの対局を苦手としており、その弱点を突かれて敗北を喫した。 その理由は、昔から東京の下町にある実家の豆腐屋を朝早くに起きて手伝っていたという生活習慣によるものだが、神鍋歩夢自身は自らをイギリス紳士だと主張している。

水越 澪 (みずこし みお)

小学3年生の少女。雛鶴あいの友人。あいとは学校のクラスメイトで、いっしょに将棋の研究会「JS研」を結成している。ショートカットの髪型で、スポーティな外見をしている。元気いっぱいで、「JS研」ではみんなを引っ張っていく立場にある。研修会にも所属しているため将棋は決して弱くはないが、あいの成長スピードを前にして、自分には将棋の才能がないのではないかと焦りを感じている。

貞任 綾乃 (さだとう あやの)

雛鶴あいの友人の少女。将棋の研究会「JS研」のメンバー。また、あいとは研修会を同じくする将棋仲間でもある。長い黒髪を頭後ろで1つに束ねており、眼鏡をかけた知的な雰囲気が漂う外見をしている。控えめでおとなしい性格をしており、言動も礼儀正しい。

シャルロット・イゾアール (しゃるろっといぞあーる)

雛鶴あいの友人の少女。将棋の研究会「JS研」のメンバー。年齢は6歳で、京都にあるフランス人学校に通っている。金髪をツーサイドアップにしている。天真爛漫な性格の甘えたがり屋で、九頭竜八一の事を慕っている。貞任綾乃の師匠が主催している将棋教室に通っており、その関係で綾乃を通してあいと知り合う事となった。

月光 聖市 (つきみつ せいいち)

日本将棋連盟の会長を務めている男性。現役のプロ棋士で、年齢は50代だが、若々しい外見を保っている。A級に在籍している実力者で、「永世名人」の有資格者でもある。かつて史上2人目の中学生棋士として華々しいプロデビューを飾った人物で、将棋界の最高位である「名人」も史上最年少で獲得している。その後、病により失明したが、なお棋士のトップクラスであるA級に留まり続けており、周囲からは「盲目の天才棋士」と呼ばれている。 アマチュア名人であった夜叉神天衣の父親と現「名人」としての記念対局を行った事があり、その時の経緯から、天衣が九頭竜八一の指導を受けられるように取り計らった。失明しているため、会長としての業務などを行う際は秘書である男鹿ささりの助けを借りている。

男鹿 ささり (おが ささり)

月光聖市の秘書を務めている女性。黒髪で、ショートカットの髪形をしている。眼鏡をかけており、理知的な外見をしている。盲目の聖市をサポートするため、献身的に彼に仕えている。

山刀伐 尽 (なたぎり じん)

プロ棋士の男性。黒髪短髪で、毛先が外はねしている。男色家であるような言動をする事が多く、その態度は真剣な対局の際にも変わらない。段位は八段で、順位戦A級序列第四位に在位しているトッププロ。棋界有数の研究家として知られており、あらゆる最新定跡を網羅している。その棋風は居飛車戦法、振り飛車戦法のどちらも指しこなすオールラウンダーで、その事から「両刀使い」という異名が付けられている。 しかし、九頭竜八一には男色家である事から、その名が付いているのではないかと訝しげに思われていた。今でこそA級に在位するトッププロだが、もともとは将棋の才能に乏しく、生石充からは同年代の中でも一番才能がないと揶揄されていた。しかし、何度負けてもめげないほどに根性があり、どれだけこっぴどく負けようが、その都度相手を研究した結果、現在の地位まで上り詰めた努力家である。 名人の研究仲間でもあり、日々名人の途轍もない才能に触れながら将棋の研究に勤しんでいる。ちなみに八一のプロデビュー戦で対戦相手を務めており、その際は史上4人目の中学生棋士である八一に、圧倒的な実力差を見せつけて勝利を収めている。

生石 充 (おいし みつる)

プロ棋士の男性。黒い短髪で、無精ひげを生やしている。極度のヘビースモーカーで、会話中もタバコを手にしている事が多い。「玉将」のタイトルを保持しており、順位戦A級在位12期目を誇るトッププロ。居飛車戦法を使うプロ棋士が多い中、数少ない振り飛車戦法の使い手で、振り飛車を愛するファンから絶大な人気を得ており、「捌きの巨匠」「振り飛車党総裁」などの愛称で親しまれている。 基本的に他人との研究会を行わない主義を貫いているが、九頭竜八一に頼まれ、彼に振り飛車戦法を指導した。大事な対局などを控えた際は、護摩行に出掛けるのが毎年の通例としている。大阪府にある京橋駅付近の銭湯「ゴキゲンの湯」を経営しており、銭湯の2階では将棋道場も経営している。

生石 飛鳥 (おいし あすか)

生石充の一人娘。年齢は17歳。黒髪のショートカットの髪型で、目が隠れてしまうほど前髪が長い。また、胸が大きい。幼い頃は、父親から将棋の指導を受けていたが、将棋の才能がないために、途中でその指導は打ち切られてしまった。それは厳しい将棋の世界を知るがゆえの親心だったが、生石飛鳥自身はまだ将棋に未練があり、父親に隠れて家の将棋道場に通う客に将棋を教えてもらっていた。 のちに、充にもう一度将棋を指したいと頼み込み、将棋の指導を再開してもらう事となった。普段は実家で経営している銭湯「ゴキゲンの湯」の手伝いをしている。

久留野 義経 (くるの よしつね)

プロ棋士の男性。黒髪短髪で、頬がこけるほどの細面。順位戦B級1組に在籍する実力者で、将棋の研修会では幹事として研修会員を指導する立場にある。研修会では幼い子供を指導する事も多く、子供の扱いに長けている。雛鶴あいの研修会入会試験では彼女と駒落ちで対局して、その類まれなる才能を痛感する事となった。本気で対局に臨む際は冬であっても半袖になったり、対局室に私物である空気清浄機を持ち込むなど、独自のスタイルの持ち主。

名人 (めいじん)

プロ棋士の男性。将棋のタイトル戦の中で、最高位である「名人」の称号を持っている。将棋界では最強と謳われるほどの実力を持ち、ほかの棋士達からは畏敬の念を込めて「神」とまで呼ばれているほど。名人と対局した棋士は、その圧倒的な才能を目の当たりして、勝っても負けてもその後は調子を崩すといわれている。その棋風は、居飛車戦法を基本としながら振り飛車戦法も指しこなせるオールラウンダーで、棋風の似ている山刀伐尽とよく研究会を行っている。

月夜見坂 燎 (つきよみざか りょう)

女流棋士の少女。赤髪で、不良ぽい荒々しい雰囲気を醸し出しており、乱暴な口調でしゃべる。女流棋士のタイトルの中で、「女流玉将」のタイトルを保持している実力者。超攻撃的な棋風を得意としており、将棋ファンからは「攻める大天使」の愛称で親しまれている。

供御飯 万智 (くぐい まち)

女流棋士の少女。現在は大学の文学部に通っている。黒髪のロングヘアで胸が大きく、抜群のスタイルを誇っている。実家が京都の公家というお嬢様で、普段は運転手つきの車で移動している。女流棋士のタイトルの中で、「山城桜花」というタイトルを保持している実力者。守りの堅い棋風を得意としており、笑顔で相手の攻めと希望を断つ激辛な指し回しをする事から「嬲り殺しの万智」という異名で知られている。 文才にも長け、将棋のコラムなど、文筆業も多数こなしている。

池田 昌 (いけだ あきら)

夜叉神天衣のボディーガード兼世話係を務めている女性。黒髪のロングヘアを後頭部でまとめ、額を大きく出している。普段は真っ黒のスーツに身を包み、黒いサングラスをかけている。天衣に悪意を持つ者に対しては容赦がなく、拳銃を向ける事もいっさいためらわない。ただし、それが本物の銃であるかどうかは不明。天衣が将棋の研修会に通うようになってからは、池田昌自身も将棋を指すようになったが、棋力はかなり低く、小学生相手にも負けてしまうほど。 その事を内心では悔しく思っており、供御飯万智が連載しているコラムに、どうすれば将棋で勝てるようになるかという質問を送っていた。

雛鶴 亜希奈 (ひなつる あきな)

雛鶴あいの母親。石川県にある老舗の温泉旅館「ひな鶴」の女将。黒髪を後頭部で団子状にまとめている。貞淑ながら厳しい性格で、温泉旅館の一人娘であるあいを厳しく躾けていた。あいがプロ棋士の九頭竜八一に弟子入りするために家出した際には、彼女を連れ戻すために大阪までやって来た。どうしても将棋を続けたいというあいに対して、研修会試験で全勝すれば将棋を続けていいと厳しい条件を提示した。 その後、あいは条件を満たせなかったものの、土下座して頼み込む八一に免じて、あいが将棋を続ける事を許した。ただし、その際もあいが将来女流タイトル保持者になれなかった場合は、八一に雛鶴家の婿となってもらうという条件を提示している。

雛鶴 隆 (ひなつる たかし)

雛鶴あいの父親。石川県にある老舗の温泉旅館「ひな鶴」で板前を務めている。短髪で、顎鬚を生やしている。雛鶴家の婿養子であり、妻の雛鶴亜希奈には頭が上がらない。亜希奈と共に家出したあいを連れ戻そうと大阪までやって来たが、将棋を続ける事があいの将来の財産になると考え、あいの選択を応援した。

鬼沢 談 (おにざわ だん)

眼鏡をかけた白髪の好々爺。官能小説家で、神戸に豪邸を構えているベストセラー作家。昔から九頭竜八一に目を掛けており、彼が奨励会員の頃から、将棋の出張レッスンなどに呼んで小遣い稼ぎをさせていた。その一方で、八一が弟子の雛鶴あいを連れて自宅を訪ねて来た際には、アダルトグッズなどをわざと玄関に置いてからかうなど、悪戯好きな一面も持つ。 あいの将棋の才能を見抜いたうえで、彼女の成長のためには壁となるライバルが必要だと、八一にアドバイスを送った。

夜叉神 弘天 (やしゃじん こうてん)

夜叉神天衣の祖父。実業家である白髪の老人。九頭竜八一いわく、肌を刺すような気をまとった威圧的な雰囲気の持ち主。神戸の一等地に大きな屋敷を構えるほどの資産家でもあり、その自宅にはとても堅気には見えない者達が多数出入りしている。月光聖市によれば、過去はどうであれ、現在の夜叉神弘天は真っ当な実業家であるらしい。 天衣の両親が交通事故で他界してから、天衣を引き取って育てているが、天衣の事を甘やかしがちで、どう育ていいか悩んでいる。彼女の幸せを願っており、八一に天衣の将棋における指導役をお願いする際には、彼に礼を尽くした。

クレジット

原作

白鳥 士郎

構成

カズキ

キャラクター原案

しらび

監修

西遊棋

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