わたしたちの田村くん

わたしたちの田村くん

高校生の3人が織り成す、恋と友情と葛藤を描く。作中の多くのシーンで、過去と現在が交互に描かれる、という手法を採っている。また、コミックス各巻の巻末には、本編とは別に、スピンオフの短編や番外編、設定資料集が収録されている。「月刊コミックガオ!」2006年7月号から11月号、2007年1月号に掲載された作品。原作は竹宮ゆゆこ、キャラクターデザインはヤス。

正式名称
わたしたちの田村くん
ふりがな
わたしたちのたむらくん
原作者
竹宮 ゆゆこ
作画
ジャンル
青春
関連商品
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概要・あらすじ

高校入試を明日に控えた田村雪貞は、家族とのにぎやかな夕食を終えて、自分の部屋で試験勉強を始めた。勉強が思うように進まず手を止めた雪貞は、遠い街に引っ越したかつての同級生・松澤小巻に想いを馳せる。時計の針が0時を回った頃、雪に気づいて部屋の窓を開けると、突然彼の額をチョコレートの箱が直撃する。雪貞が窓の外を見ると、そこには真剣な表情をした見知らぬ少女が立っていた。

登場人物・キャラクター

田村 雪貞 (たむら ゆきさだ)

中学3年生の男子。田村家の次男で15歳。高校入試を翌日に控えている。両親と、田村雪貞本人を含めて3人の男兄弟の5人で暮らしている。自己紹介が苦手でシャイな性格。松澤小巻をずっと想い続けている。相馬広香の個人的な問題の解決にも、力を貸すようになる。昆虫に詳しく、小学生の頃には、観察日記で表彰を受けた経験もある。 また鎌倉時代にも詳しく、自ら「鎌倉博士」を名乗ることもある。

松澤 小巻 (まつざわ こまき)

田村雪貞の中学の同級生。当時は祖母と2人暮らし。毎朝、校庭のトラックを走って陸上の自主練習をしている女子生徒。肩の上で切りそろえられた髪が快活な印象を与えるが、感情を表に出すことが少なく、周りをどこか一歩退いた目で見ている。不思議な言動をしたり、突飛な進路希望を提出したことが、クラスに知れ渡って、少々浮いた状態にある。 その後、中学3年生の夏休みに、遠い街に引っ越し、転校した。雪貞に一方的に自主練習に同行され、戸惑って拒絶する。しかし、引っ越しが決まった後は、お互いに手紙をやりとりする仲になり、転校後もその関係は続いている。現在は雪貞とは別の高校に進学している。

相馬 広香 (そうま ひろか)

田村雪貞の高校の同級生。高校入学早々に、クラスメイトの視線を一身に集めてしまうほどの美少女。好き嫌いがはっきりした性格。きつい物言いをすることがあり、誤解されやすく敵を作りやすい。雪貞とは高校で正式に知り合うが、高校入試前夜に雪貞に誤ってチョコレートの箱を投げつけたため、入学以前から面識はあった。これを覚えていた雪貞に、高校で再会したときに挑発されて以来、雪貞とは話をするたびに言い争うようになる。 一方で、図書準備室の片付けを手伝ったり、雪貞の分の弁当を準備したりと、何かと雪貞を意識している様子を見せる。「氷の女王様」「悪の権化」とは、雪貞が広香を例えて称した呼び名だが、広香を直接この名で呼ぶことはない。

田村 直 (たむら なお)

田村雪貞の兄。田村家の長男。眼鏡をかけた、涼しげな顔立ちの二枚目。頭が良く、情に流されず冷静に物事を考えられる男性。かつて相馬広香の家庭教師をしていたことがある。辞書をすぐ失くすという奇妙な癖があり、すでに何冊も失くしている。雪貞の学校まで車で迎えに行くこともあるが、これは免許を取ったばかりの田村直が、ただ車に乗りたかったから。

田村 孝之 (たむら たかゆき)

田村雪貞の弟。田村家の三男。明るく活発な中学生で、サッカー部に所属している。その実力は確かなもので、選抜選手にも選ばれるほど。夕食でエビフライだけを選んで食べていたり、台所でつまみ食いをしたりと、まだ子供っぽいところもあるが、どうやら彼女がいる様子。

田村雪貞の母 (たむらゆきさだのはは)

田村雪貞、田村直、田村孝之の母親。43歳。松澤小巻と相馬広香のことで悩む雪貞に声をかけるなど、基本的に面倒見のいい性格。軽い調子であからさまに言いすぎたせいで、逆に雪貞に相手にされないなど、少し間の抜けたところもある。

蜂谷先生 (はちやせんせい)

田村雪貞と相馬広香の通う高校の女性養護教諭。シニヨンにまとめた髪型に眼鏡をかけ、白衣の下にタイトなファッションを身に着けた美女。雪貞と広香がたびたび保健室に来るため、2人をよく理解している。2人の相談相手となっていろいろアドバイスをしている。「青い果実」とは、雪貞が、若々しい色気を漂わせる蜂谷先生を例えて称する呼び名。

松澤小巻の祖母 (まつざわこまきのそぼ)

松澤小巻の祖母。家族のいなくなった小巻を引き取り、2人で暮らしていた。小巻が中学3年生の夏、病院に入院していたが亡くなってしまう。中学校の連絡網に連絡が回り、田村雪貞をはじめ、小巻のクラスメイトの多くが葬儀に参列。その後、小巻が引っ越したため、2人の家には、今は誰も住んでいない。

松澤 博嗣 (まつざわ ひろつぐ)

松澤小巻の父親。歯科医師として働いていた。小巻の夢に松澤瑤子、松澤和人と共に登場する。おねだりをする幼い頃の小巻を見守る姿が、回想として描かれ、優しい父親であったことが窺える。小巻が12歳の秋、家族旅行中に交通事故を起こして亡くなった。享年44歳。

松澤 瑤子 (まつざわ ようこ)

松澤小巻の母親。小巻の夢に松澤博嗣、松澤和人と共に登場する。小巻の回想のなかで、幸せそうな笑顔を家族に向けている。小巻が12歳の秋、博嗣が家族旅行中に交通事故を起こした際、車に同乗していたため亡くなった。享年43歳。

松澤 和人 (まつざわ かずと)

松澤小巻の兄。小巻の夢に松澤博嗣、松澤瑤子と共に登場する。小巻によれば、夢のなかでは、博嗣や瑤子と月で暮らしているのだという。小巻が12歳の秋、博嗣が家族旅行中に交通事故を起こした際、車に同乗していたため亡くなった。享年18歳。

高浦 真一 (たかうら しんいち)

田村雪貞の中学校の同級生。当時クラス委員長をしていた男子。地元有数の名家の息子で、妹の玉井伊欧を、とても大切に思っている。名簿に丸を付けたり線を引いたりしたクラスの交際表を見せて、雪貞に彼女を作るように勧めてきた。松澤小巻に興味を抱いた雪貞に、当初は「やめておけ」といさめていた。しかし、それは本意ではなく、のちに小巻が毎朝校庭のトラックを走っていることを、雪貞に教えた。 雪貞とは別の高校に進学したが、その後も雪貞と小巻の仲を応援している。

玉井 伊欧 (たまい いお)

高浦真一の腹違いの妹。魔術やオカルトにハマっていて、家の離れで怪しげな儀式をしている。恋愛に関して極端に潔癖な考え方を持っており、不潔と言い切って嫌悪する。母親の玉井麗子を毛嫌いし、1つ屋根の下には住まず、母屋と同じ敷地内の離れで暮らしている。巻末のスピンオフの短編にのみ登場する。

玉井 麗子 (たまい れいこ)

玉井伊欧の母親。元々は高浦真一と伊欧の父親の愛人で、真一の実の母親が家を出て行った後に、高浦家に入った。現在は内縁の妻として家を仕切っている。母屋と同じ敷地内の離れにこもる伊欧を、気難しく面倒くさいと思っている節があり、伊欧の相手は真一に丸投げしている。派手で蓮っ葉な女性で、潔癖な伊欧とはまるで違うタイプに見える。 しかし、麗子本人は、伊欧は昔の自分にそっくりだと語っている。巻末のスピンオフの短編にのみ登場する。

小森 (こもり)

田村雪貞の親友の男子。雪貞が相馬広香に気に入られていることを、羨ましがっている。雪貞と広香の関係を興味津々で見ているところがあり、時に雪貞を冷やかすこともある。広香のこともクラスメイトとして気にかけており、雪貞に彼女の状況を尋ねたりもする。

橋本 (はしもと)

田村雪貞の親友の男子。女子同士で群れない相馬広香を、他の女子よりずっと高く評価している。雪貞に対する広香の行動を客観的に見たうえで、雪貞が正式に彼女と付き合っていないことを疑問に思っている。比較的冷静で真面目な性格だが、時にはとぼけたことも言う。

女子学生たち (じょしがくせいたち)

相馬広香の教室に現れた、他のクラスの2人の女子。彼女たちを見た広香は、突然黙り込み、田村雪貞を連れて教室を飛び出した。桐谷二中出身で、中学校時代の広香を知っている。広香を見せ物扱いにして、陰で友人と笑いあっている。

笹原 (ささはら)

相馬広香の中学校の同級生。クラスの人気者の男子。女子生徒の間では、その人気の高さからモテ男だと思われている。中学時代に広香に告白をし、断られた。その理由は、笹原のことが嫌いなわけではないが、積極的に付き合いたいわけでもない、というものだった。

中学校の同級生たち (ちゅうがっこうのどうきゅうせいたち)

田村雪貞の中学校の同級生たち。カラオケボックスで行われた同窓会で、久しぶりに集まった。中学校卒業後、松澤小巻に会っている者はいないが、小巻の高校受験の結果は女子全員が知っていた。その後の小巻の進学先のことも、雪貞は女子の1人から聞いて知ることとなる。

黒川 立夏 (くろかわ りっか)

松澤小巻の高校の同級生の女子。幼なじみの田村航とは、小さい頃から姉貴分と弟分の関係だったが、次第に航を男性として見るようになっていた。高校の入学式の日に、航にウザいと言われてから、自分から航を避けるようになる。小巻が田村雪貞に宛てた書きかけの手紙を偶然見てしまい、小巻と航の関係を気にするようになる。巻末の番外編にのみ登場する。

田村 航 (たむら わたる)

黒川立夏の幼なじみで、立夏と同じ高校に入学した男子。誕生日が立夏より2か月遅い。小さい頃は怖がりで泣き虫な少年で、姉貴分の立夏に守られてばかりだった。好みのタイプはいい匂いのする女の子。巻末の番外編にのみ登場する。

加瀬 美代子 (かせ みよこ)

黒川立夏の友人の女子。美術部員で、松澤小巻と同じ中学校出身の部活仲間がいるため、小巻の高校入学前の志望校を知っている。田村航への恋心と小巻への複雑な感情に揺れる立夏の話し相手となり、友人としてその成り行きを見守る。巻末の番外編にのみ登場する。

場所

高井中 (たかいちゅう)

田村雪貞、松澤小巻、高浦真一の出身中学校。小巻は中学3年生の夏休みに転校したため、この中学の卒業生ではない。小巻と雪貞が走っていた校庭のトラックは、雪貞の夢に、小巻との記憶と共に現れる。雪貞と小巻にとって、この学校の校庭は、2人の思い出の場所である。

桐谷二中 (きりやにちゅう)

相馬広香の出身中学校。校舎の建て替えのため工事が行われており、旧校舎は取り壊される予定。広香は中学校について、良い思い出を持っていない様子。地元マンションの屋上で校舎を眺めながら、「ざまみろ」とつぶやいている。

地元のマンション (じもとのまんしょん)

ありふれた普通のマンション。相馬広香が、寄り道の最後に田村雪貞を連れて行った場所。雪貞と広香が、高校の帰りに立ち寄れる程度の距離の近さにある。広香にとっては、雪貞を寄り道に誘った日、一番行きたい場所だった。屋上からは桐谷二中の建物と敷地を見渡せる。屋上で大きな音を出すと、下の階の住人に聞こえてしまう。

陸上競技場 (りくじょうきょうぎじょう)

大きな陸上競技場。田村雪貞の住む街の隣町にある。雪貞の街からあまり遠くなく、バスを使えば15分ほどで行ける距離にある。全国規模の陸上大会も開かれ、大会開催時には出場選手の高校生たちが全国各地から集まり、非常に賑やかになる。

高浦家の敷地 (たかうらけのしきち)

地元有数の名家・高浦家の有する敷地。高浦真一、玉井伊欧、玉井麗子の住む母屋と離れがある。建物はやや古さを感じる西洋建築。敷地内にはうっそうとした森があり、離れにたどり着くには、森の藪をかき分けて行かなければならない。

クレジット

原作

竹宮 ゆゆこ

キャラクターデザイン

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