アクセル・ワールド

アクセル・ワールド

人間が生活の大部分を仮想ネットワーク内で行えるようになった21世紀半ばの社会で、極秘裏に広まる対戦ゲーム「ブレイン・バースト」をめぐって少年少女がゲームの内外を行き来しながら様々な戦いを体験していく。川原礫による同名のライトノベルを原作としており、同原作者の代表作『ソードアート・オンライン』とは一部共通する世界設定を持つが、同一世界かどうかは不詳となっている。

正式名称
アクセル・ワールド
ふりがな
あくせる わーるど
原作者
川原 礫
漫画
ジャンル
その他SF・ファンタジー
レーベル
電撃コミックス(KADOKAWA)
巻数
全8巻完結
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概要・あらすじ

いじめの対象になっていた中学生・有田春雪は、謎めいた生徒会副会長・黒雪姫から思考が千倍に加速される対戦ゲーム「ブレイン・バースト」の世界に誘われる。デュエルアバター・「シルバークロウ」となった春雪は黒雪姫の指導を受けながらバーストリンカーとしての実力をつけ、幼なじみの黛拓武倉嶋千百合も仲間に加えながら、様々な戦いをくぐり抜けて絆を深めていく。

登場人物・キャラクター

有田 春雪 (ありた はるゆき)

梅郷中学校に通う男子中学生。背が低く太り気味で、クラスメイトの荒谷達からいじめを受けていた。現実から逃避するかのように校内のネットワークでゲームに没頭するうち、黒雪姫からブレイン・バーストに誘われる。校内ネットワークでのアバターはピンク色の子豚だが、ブレイン・バースト内での分身であるデュアルアバターは、スリムで飛行能力を持つ「シルバー・クロウ」。 一時期溝ができていた幼なじみ・倉嶋千百合、黛拓武との仲も修復し、黒雪姫をマスターとするレギオン・「ネガ・ネビュラス」の中心的存在になっていく。

黒雪姫 (くろゆきひめ)

梅郷中学校の生徒会副会長を務める女子中学生で、有田春雪の一学年上。春雪の素質を見出し、ブレイン・バーストに誘った。校内では「黒雪姫」という通称で呼ばれており、本名は隠している(旧友のフーコからは「サッちゃん」と呼ばれていた)。校内ネットワークでのアバターは、自身の姿とほぼ変わらぬ美少女に黒アゲハチョウの意匠を加えたもの。 ブレイン・バースト内ではかつて純色の七王に数えられた凄腕のバーストリンカーであり、切断能力に優れるデュアルアバターの「ブラック・ロータス」を持つ。現実世界の千倍に加速されるブレイン・バーストの世界に魅了されるあまり、かつての仲間であった他の七王とは敵対したが、同志と認めた春雪に強い愛着を見せる。 常に冷静で中性的な口調だが、春雪には感情を露にすることがあり、身を挺して春雪を庇い重傷を負ったことさえある。

倉嶋 千百合 (くらしま ちゆり)

梅郷中学校に通う女子中学生で、有田春雪の幼なじみ。同じく春雪の幼なじみである黛拓武とは恋人としてつき合っているが、三人での友情を保ちたいという気持ちが強く、拓武が別の中学に進学したこともあり、普段は春雪を気づかっていた。校内ネットワークでのアバターは、子猫を擬人化したような姿。元々はゲームへの関心が薄く、当初はブレイン・バーストに対しても蚊帳の外にいたが、春雪や黒雪姫に参加を訴えたところインストールが成功。 極めて稀な回復能力を持つデュエルアバター・「ライム・ベル」を得る。

黛 拓武 (まゆずみ たくむ)

有田春雪、倉嶋千百合とは幼なじみの、男子中学生。幼い頃からの英才教育で学業、スポーツとも優秀であり、春雪と千百合が通う梅郷中学校とは別の中学に通っているが、千百合とは恋人として交際していた。しかし、千百合は三人での昔のような関係を望んでいること、千百合が学校でいじめに会う春雪の世話を焼き続けていることに、屈折した想いを抱いていた。 剣道部に所属し、先輩から誘われてブレイン・バーストに参加。所属するレギオンでの地位を得るため、先輩から渡された不正なプログラムでブラック・ロータス(黒雪姫)の正体を暴こうとしていた。その目的のため、千百合のニューロリンカーに無断で介入し情報を得るも、それが春雪に見破られるきっかけとなる。 鎧騎士風のデュエルアバター・「シアン・パイル」をもってブレイン・バースト内で春雪と一騎打ちするが、激しい感情をぶつけ合った末に敗れ、和解。ブラック・ロータスがマスターを務めるレギオン・ネガ・ネビュラスに加わった。さらに梅郷中学校へ転校し、黒雪姫や春雪を補佐する参謀役となる。

上月 由仁子 (こうづき ゆにこ)

有田春雪(シルバー・クロウ)のハトコを名乗って有田家に現れた、小学5年生の少女。正体はブレイン・バーストで純色の六王の一角を占める「赤の王」であり、レギオン・「プロミネンス」のマスター。春雪に近づいたのはネガ・ネビュラスの協力を得てクロム・ディザスターを破壊する目的のためであった。現実世界では何の権力もない孤児だが、小学生の立場を利用してシルバー・クロウの正体を突き止めるなど、大人顔負けの知恵や態度を見せる。 デュエルアバター・「スカーレット・レイン」の本体は少女のように華奢だが、巨大な重火器の外装を出現させ遠距離砲撃を得意とする。クロム・ディザスター狩りで協力し合ったことで春雪には一目置き、ネガ・ネビュラスとは無期限の停戦関係を結んだ。

荒谷 (あらや)

梅郷中学校に通う男子中学生で、有田春雪のクラスメイト。春雪に対するいじめの中心人物であり、巧妙に証拠を残さない形で暴行や恐喝を続けていたが、黒雪姫の入れ知恵を受けた春雪の挑発に逆上し、暴力沙汰が発覚して処分を受ける。さらに違法アプリ関係の余罪が大量に発覚し警察沙汰となって少年院行きも確実とされていた。 しかし、春雪と黒雪姫を逆恨みした末、一時保釈の隙に自動車を暴走させ二人を轢こうとする。結果、春雪を庇った黒雪姫に重傷を負わせ、逮捕されていった。

カレン

ブレイン・バースト内で低レベルのバーストリンカーを守る「用心棒」と噂される、謎の人物。レベルアップの手順を間違えて危機的状態に陥った有田春雪(シルバー・クロウ)の依頼を受け、対面した。正体は、春雪よりやや年上の眼鏡をかけた少女だったが、本名などは不明。「カレン」とは名乗ったが、デュエルアバター名の「アクア・カレント」から採った偽名と思われる。 アクア・カレントは純粋な水で出来ており、光線や電撃などの特殊な攻撃に強い耐性を示してシルバー・クロウをサポートした。人間の記憶を操作する能力があり、春雪との別れ際、自分に関する記憶を封じてから別れていった。原作においては、本名や黒雪姫との関係が明らかになっている。

クロム・ディザスター (くろむでぃざすたー)

元々はブレイン・バースト内の、残忍さで知られたバーストリンカーだったが、多くの者から恨みを買い、討伐を受けて倒された。しかしその時装備していた鎧が、討伐に加わった者の一人へ強制的に所有権を移動。以後、所有した者の意識を乗っ取り、殺戮を続けては討伐され、また自分を倒した者から一人を選んで新たな所有者とするようになった。 よって現在は、次々と所有者を変える鎧型のアイテムが「クロム・ディザスター」と呼ばれるようになっている。第五代目の所有者は、かつて上月由仁子をブレイン・バーストに誘った「親」であり、現実世界においては2つ上の友達だった。由仁子とネガ・ネビュラスの共闘によって破壊されるが、秘かに所有者が有田春雪(シルバー・クロウ)へ移ったことが示唆されている。

能美 征二 (のうみ せいじ)

有田春雪たちが進級すると同時に入学した、新一年生の男子生徒。春雪と黛拓武にバーストリンカーの可能性を疑われ、調査されるが、巧妙な罠を仕掛けて逆に春雪や倉嶋千百合の弱みを握る。ブレイン・バースト内では「ダスク・テイカー」というデュエルアバターを使っており、シルバー・クロウから飛行能力を奪い自分のものとした。 邪悪かつ狡猾な上、違法なチップを脳に埋め込むことで能力を高めており、春雪や拓武を何度も翻弄したが最終的に敗れてブレイン・バーストから姿を消すことになった。以上は黒雪姫が修学旅行で沖縄に行っている一週間での出来事であり、この漫画版『アクセル・ワールド』においては春雪が顛末を黒雪姫に説明するという形でダイジェスト的に描写された。 バーストリンカーの資格を失った後はブレイン・バーストに関する記憶を全て失っており、普通の穏やかな中学生として過ごしているという。

フーコ

かつて黒雪姫と共にネガ・ネビュラスで活動していたバーストリンカー。デュアルアバターは車椅子に座った少女のような姿の「スカイ・レイカー」。ブレイン・バーストを離れた現実世界でも黒雪姫と仲が良かったが、現在は疎遠になっていた。能美征二との抗争で飛行能力を失った有田春雪に接触し、心意システムを教えた上、ロケットブースター状のパーツを貸し与えた。 後に春雪のとりなしで黒雪姫と再会し、改めてネガ・ネビュラスに加入。積極的な参戦には抵抗があるようで、ネガ・ネビュラスの領土防衛戦にのみ参加している。原作においては本名が判明しているが、漫画版においては明記されておらず黒雪姫にのみ「フーコ」と呼ばれている。

桐ヶ谷 和人 (きりがや かずと)

『アクセル・ワールド』の時代の21年前(2026年)にバーチャルリアリティの実験機でゲーム世界に入ったところ、ブレイン・バーストの世界に出てしまう。そこで出会ったシルバー・クロウ(有田春雪)と対戦して好勝負をくり広げるも、回線エラーによって引き分けに終わった。

集団・組織

ネガ・ネビュラス (ねがねびゅらす)

黒雪姫(ブラック・ロータス)がマスターを務める、ブレイン・バースト内の軍団。かつてはブレイン・バースト内の一大勢力だったが、ブラック・ロータスの失踪などにより事実上消滅していた。だが黒雪姫が有田春雪(シルバー・クロウ)と出会い、黛拓武(シアン・パイル)も加わったことで軍団としての活動を再開。後に倉嶋千百合(ライム・ベル)、フーコ(スカイ・レイカー)を加えてメンバーは5人。 メンバーの大半が通う梅郷中学校が東京都杉並区にあるため、ブレイン・バースト内でも杉並エリアを拠点としている。

場所

梅郷中学校

有田春雪や黒雪姫たちが通う、私立中学校。所在地は東京都杉並区。学内にローカルネットを設けており、校内の生徒たちは常時接続が義務となっている。生徒用にバーチャルリアリティ空間が開放されており、それぞれがアバターとして活動ができるようになっていることもあって、自由度の高い開放的な校風となっている。

その他キーワード

ブレイン・バースト (ぶれいんばーすと)

7年前、一部の少年少女に配布されたアプリケーションソフト、およびソフトによるゲーム世界。一般には流通しておらず、存在さえ公にはされていない。リンクした者は現実世界を模した広大なバーチャル空間の中で、固有のデュエルアバターを駆使して戦い合う、いわゆるMMO(大規模多人数同時参加型オンラインゲーム)。最大の特徴は、リンクした者の思考を千倍に加速させることで、現実の千倍の時間を体験できることにある。 参加者はバーストリンカーと呼ばれ、一定のルールで戦い勝利することでポイントを獲得する。ポイントは敗北などで減少し、0になれば強制的にソフトをアンインストールされ永久に参加権を失うため、多くの者は純色の六王など強力なバーストリンカーの庇護のもと、効率のよいポイント入手に勤しむ。 配布元などの情報は、今なお謎に包まれている。

デュアルアバター

ブレイン・バーストに参加したバーストリンカーが得る、ゲーム世界での身体。プログラムによってバーストリンカーの深層心理から欲望・恐怖・強迫観念が汲み取られ、基本となる姿や能力が形成される。

ニューロリンカー

ネットワークと脳細胞とを、量子レベルでの無線通信によって接続する端末。人間の五感すべてをサポートしており、バーチャルリアリティなどの技術を誰でも容易に活用できる時代をもたらした。2030年代の第一世代から順調に普及し、『アクセル・ワールド』の舞台となる2047年にはほぼ全国民が所持。個人の認証や情報管理などあらゆる場面に利用されている。 ネットワークを介さず個人と個人でダイレクトにケーブル接続(直結)することも可能だが、プライベートな情報に触れ合うことも可能であるため、公共の場でこれを行う者はかなり親密な関係と周囲に認識されることになる。

バーストリンカー

アプリケーションソフト・ブレイン・バーストに参加している者の総称。ゲーム内でデュアルアバターによる戦闘を行いポイントを上下させるが、ポイントが0になると永久に参加資格を失い、さらにブレイン・バーストに関する記憶を失うとも言われていたため、多くの者はポイントを失うことを非常に恐れている。ブレイン・バースト内では現実世界の千倍の時間を過ごすため、実年齢に似合わぬ大人びた人格や能力を備えている者も多い。

リアル割れ (りあるわれ)

ブレイン・バーストのゲーム世界内で、互いにデュアルアバターとして交流するバーストリンカーが、現実世界での名前や住所などの個人情報を知られてしまうこと。敵対する個人や軍団に弱みを握られることにもなりかねないため、ほとんどのバーストリンカーはリアル割れを避けるよう対策を施し、慎重に行動する傾向にある。

軍団 (れぎおん)

複数のデュエルアバターで形成される集団。それぞれが自分たちの占領するエリアを持ち、その維持や拡大、そして利益の確保を目的としている。特に純色の六王がマスターを務める軍団は「六大(または七大)レギオン」と呼ばれており、原則として不可侵条約を結び合っている。条件を満たせば新規に軍団を興すことも、他の軍団と合併することも可能。

親子 (おやこ)

ブレイン・バーストにおける、バーストリンカーの間で生まれた俗語。ブレイン・バーストに誘った者と誘われた者の関係であり、一例としては、主人公の有田春雪は黒雪姫の「子」であり、黒雪姫が春雪の「親」ということになる。ブレイン・バーストは一般に流通していないため、新規参加者(子)は必ず、既に参加している者(親)から誘われる形となる。 現実世界で直接会ってニューロリンカーを直接接続する必要があるため、多くの場合は精神的に強い結びつきを持った関係となっている。

心意システム (いんかーねいとしすてむ)

ブレイン・バーストでも一部の者しか知らないとされている、デュエルアバターの能力強化技術。バーストリンカーがイメージによってアバターの操作を補助する機能をもとに、意志を研ぎ澄ませてゲームシステムを超えた現象を起こすことをも可能にしている。謎が多く全容が不明なシステムだが、有田春雪は既にこれを体得していたフーコ(スカイ・レイカー)の特訓によって剣や槍にも似た鋭い手刀の攻撃を身につけた。

純色の六王

ブレイン・バースト中で、圧倒的な能力を持った数名のバーストリンカーの総称。かつては7人が数えられ「純色の七王」と呼ばれていた。それぞれが巨大な軍団を従え、2年前には上限であるレベル10寸前に達していたが、レベル10となるためのリスクを知ってレベルアップを諦め、不可侵条約を結んだ。しかし、そのうちの一人であった黒雪姫(ブラック・ロータス)が異を唱え、不意打ちで一人の王を倒し、残りの王に追われるように行方をくらました。 現時点では残った五人の王に、上月由仁子(スカーレット・レイン)を新たな「赤の王」として、「純色の六王」と呼ばれている。

クレジット

キャラクターデザイン

HIMA

原作

川原 礫

書誌情報

アクセル・ワールド 全8巻 KADOKAWA〈電撃コミックス〉

第1巻

(2011-07-27発行、 978-4048706308)

第2巻

(2011-07-27発行、 978-4048706346)

第3巻

(2012-08-27発行、 978-4048864213)

第4巻

(2013-02-27発行、 978-4048913980)

第5巻

(2014-02-27発行、 978-4048663892)

第6巻

(2015-02-27発行、 978-4048692861)

第7巻

(2016-07-27発行、 978-4048921077)

第8巻

(2017-07-27発行、 978-4048932967)

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