アンのマゴマゴ図書之国

アンのマゴマゴ図書之国

妄想癖の女子高生が、ルーシー・モード・モンゴメリーの『赤毛のアン』の世界の主人公となり、新たな人生を歩みながらより良い結末を目指す姿を描いたメルヘンファンタジー。「花とゆめ」2014年18号から連載の作品。

正式名称
アンのマゴマゴ図書之国
ふりがな
あんのまごまごとしょらんど
作者
ジャンル
ファンタジー
関連商品
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世界観

ファンタジーが題材。大切な人の命を救うため、ルーシー・モード・モンゴメリーの『赤毛のアン』の世界の主人公となり、物語を体験することになった赤居杏音の奮闘が描かれる。「赤毛のアン」をモチーフにしつつ、杏音の個性的なふるまいが予期せぬ展開を呼ぶストーリー展開が魅力。また、一部の登場人物も「赤毛のアン」のキャラクター名をもじったものになっている。

あらすじ

極道一家の一人娘の赤居杏音は、恋に憧れ妄想癖を持つ女子高生。地元を侵略しつつある新興宗教「マゴ教」を煩わしく思いつつも、平和な毎日を送っていた。そんなある日、担任教師であり、気になる存在であった米沢が、大けがを負って瀕死の状態になってしまう。けがの原因が「マゴ教」の悪行を暴くためのものであったと知った杏音は、「マゴ教」の本拠地に向かい「マゴ教の神」を名乗るマゴと出会う。そして米沢の命を救うことを条件に、マゴの望みを叶えるため、謎の異世界「図書之国」でルーシー・モード・モンゴメリーの『赤毛のアン』の主人公として新たな人生を歩むことになる。

コラボレーション

本作『アンのマゴマゴ図書之国』1・2巻と、 樋口橘の別作品『手紙』 のコミックス同時発売を記念して、オリジナル切手シートがプレゼントされるキャンペーンが実施された。キャンペーン内容は『手紙』のコミックスを購入し、帯についている応募券を使用して応募すると『アンのマゴマゴ図書之国』あるいは樋口橘の別作品『学園アリス』のいずれかの切手シートが抽選で当たるというもの。

登場人物・キャラクター

赤居 杏音 (あかい あんね)

私立マゴ神教学園高等部1年銅(ブロンズ)組の15歳の女子。地元の極道一家の一人娘でもある。前髪を目の上で切り、胸まで伸ばした赤いストレートロングヘアを左サイドだけ小さく結んでいる。華やかな容姿と明るくまっすぐな性格ながら、極度の妄想癖があり、現実とは違う都合のいい妄想物語をノートに書き連ねたり、架空の友人の磯野タラ子を作り上げるなど頻繁に現実逃避をしている。 異性にもてず、「恋がしたい」と悩む普通の高校生活を送っていたが、マゴ教徒たちの陰謀により米沢が瀕死のけがを負ったのを機に、米沢を助けるため「読書人」の1人として、謎の世界「図書之国」に挑むことになる。

日横 美月 (ひよこ みつき)

私立マゴ神教学園高等部に通う男子で、赤居杏音の想い人。前髪を目が隠れそうなほど伸ばし、肩につくほどまで伸ばした金髪をピンでとめて後ろで1つにまとめている。クールで寡黙な性格。女性と見間違うほどの美形だが喧嘩が非常に強く、さらに情に厚く人望があることから、地域のカリスマヤンキーとして知られている。杏音同様「読書人」の1人として図書之国へ向かったものの、自身に与えられた物語を進行させる意欲が極端に薄く、杏音が主人公の『赤毛のアン』の世界に吸収されてしまう。 そこで女性キャラクターである「ダイアナ」の役割を与えられ、女装した状態で杏音と再会する。

米沢 (よねざわ)

私立マゴ神教学園高等部1年銅(ブロンズ)組に、新任教師としてやって来た若い男性。前髪を目が隠れそうなほど伸ばしたストレートショートヘアをしている。正体は潜入捜査官で、素性を教師と偽り、怪しい噂の絶えない私立マゴ神教学園の調査を行っている。そのため「米沢」は偽名であり、本名は不明。一見クールな毒舌家だが意外に親身なところがあり、調査のかたわら、不遇な立場に甘んじている1年銅(ブロンズ)組の生徒たちを、あえて挑発することで奮起させようとしている。 赤居杏音には反発されつつも交流を深めていたが、調査中に瀕死の大けがを負い意識不明の重体に陥ってしまう。実は杏音とは過去に接触していたことがあり、杏音のおじである可能性がある。

七原 嵐 (ななはら あらし)

私立マゴ神教学園高等部に通う男子で、赤居杏音の用心棒を務めている。前髪を額が見えるほど短く切った短髪をしている。煌とともに、極道一家の一人娘である杏音を、杏音を快く思わない存在から守っている。クールで落ち着いた性格だが口が悪く、杏音の発言にツッコミを入れることが多い。

(きら)

私立マゴ神教学園初等部に通う11歳の男子で、赤居杏音、七原嵐の仲間。前髪を目が隠れそうなほど伸ばし、髪全体をツンツンにはねさせている。一見無邪気でかわいらしい雰囲気だが、笑顔で物騒なことを言う危険な性格。杏音に想いを寄せており、ずっと杏音と一緒にいたいと思っていたが、図書之国では別の物語の世界へ行くことになってしまう。

赤居 流星 (あかい りゅうせい)

赤居杏音の父親で、極道の組長を務める38歳の男性。前髪を目が隠れそうなほど伸ばして、肩につくほどの長さの髪を外にはねさせ、顎ひげを生やしている。明るい性格で杏音に非常に甘い一方、組長としては頼りなく、「槙菊比古の補佐なしでは生きていけない」、「ヘッポコ系組長」と評されている。

槙 菊比古 (まき きくひこ)

赤居杏音の教育係で、赤居流星の補佐役を務める27歳の男性。前髪を目が隠れそうなほど伸ばしたストレートショートヘアで、まつげが長く、女性のように美しい顔立ちに眼鏡をかけている。非常にクールな毒舌家で、杏音にも容赦なく辛辣な言葉を浴びせたり、時には銃口を向けることもある。

赤居 舞良 (あかい まいら)

赤居杏音の義母で、赤居流星の妻の40歳の女性。前髪を真ん中で分けて額を全開にし、ロングヘアを後ろで1つにまとめている。京都弁で話す。後妻であるため杏音とは折り合いが悪く、杏音に毒物まがいの料理を食べさせたり、無理やり自分好みの服装にしようとしたりと、嫌がらせのようなことばかりしている。

若宮 姫林檎 (わかみや ひめりんご)

私立マゴ神教学園高等部2年金(ゴールド)組の女子で、赤居杏音とは幼なじみ。マゴ教信者でもある。前髪を眉上で切りそろえ、胸まで伸ばした毛量の多いロングヘアを2本の三つ編みにしてまとめている。七原嵐に密かに想いを寄せている。杏音とは幼なじみで、かつては非常に親しかった。しかし杏音狙いの誘拐事件に巻き込まれた際、結果的には無事だったものの、杏音と嵐に裏切られたと感じ疎遠になってしまった。 現在では杏音を強く恨みつつも変わらず気にかけており、距離はできたものの、嵐のことも変わらずに想っている。

ロスマリネ

私立マゴ神教学園高等部3年金(ゴールド)組の男子で、生徒会長を務めている。マゴ教信者でもある。前髪を目の上で切り、胸の下まで伸ばしたロングウェーブヘアをしている。主に「ロスマリネ」と呼ばれているがこれはあだ名で、本名は不明。非常に厳格で、規律を重んじる性格。「図書之国」においては、赤居杏音が体験する『赤毛のアン』の世界に、ロスマリネに非常によく似た容姿の人物が登場する。

桜庭 (さくらば)

私立マゴ神教学園高等部に勤める若い男性音楽教師。2年銀(シルバー)組の担任も務める。前髪を真ん中で分けて額を全開にしたストレートショートヘアをしている。温和でおっとりとした性格で、マゴ教信者だが、非マゴ教信者にも分け隔てなく接する。一方で、世間とはややずれた天然気味なところがあり、よく生徒たちを困惑させている。 「図書之国」のことを知っており、その存在を非常に恐れている。

真壁 (まかべ)

米沢とともに私立マゴ神教学園高等部にやって来た、潜入捜査官の若い男性。癖のある髪質を、前髪を目が隠れそうなほど伸ばしている。マゴ教が黒幕と推測される行方不明事件「マゴパーク行方不明者事件」を米沢と調べていたが、調査よりも赤居杏音のことを優先する米沢を不審に思っている。

マゴ

マゴ教信者たちのあがめる神様。ロンパースを着た、普通の人間の何倍もの大きさをした、巨大な赤ん坊の姿をしている。主に「マゴちゃん」と呼ばれている。姿は赤ん坊だが、舌足らずな口調で話すことができる。神様だが生まれたてであるため善悪の区別がつかず、無邪気にして残酷な性格。そのため失敗が多く、母親により、マゴ神殿にある本をすべて読み理解するまで外に出てはいけないと言い渡されている。 しかし、文字を読むことができず、読書自体も嫌い。そのため、マゴ神殿にやって来た人間を「読書人」に選出し、指定の本の世界に入れてその本の主人公と同じ人生を歩ませ、本の感動を実体験したうえで、自分にもわかるように伝えさせることにより、本の内容を理解しようとしている。

名無し (ななし)

赤居杏音に同行し、図書之国でのナビゲーターを務める神使。二足歩行の、垂れ耳のうさぎのぬいぐるみの姿をしている。舌足らずな口調で話す。神使としては幼く、非常に甘えん坊な性格。マゴのことを非常に大切に想っており、ずっとマゴ神殿内で一緒に暮らしたいと考えていた。しかし神使の役目を与えられたことで、マゴと離れざるを得なくなったことに納得がいかず、深く傷ついている。 そのため当初は杏音にも非協力的だったが、次第に心を開いていく。

伐葉 (きるは)

「図書之国」の人間で、赤居杏音が体験する『赤毛のアン』の登場人物の少年。前髪を目が隠れそうなほど伸ばし、銀髪ショートカットヘアを外にはねさせている。米沢に非常によく似ており、まるで彼が少年に戻ったような容姿をしている。3年間行方不明になっており、無事に戻ってきたもののその間の記憶を失っているため、周囲には「神隠しに遭った」と噂されている。 クールで女性に興味がないふりをしているが、実は女性全般が非常に苦手で、女性と指先が触れただけでも顔が真っ赤になってしまうほどの照れ屋。本来は心優しい性格で、杏音が川で溺れていたところを助けたのがきっかけで知り合う。

春日部 秋馬 (かすかべ しゅうま)

春日部舞羅の兄。前髪を目が隠れそうなほど伸ばし、肩の下まで伸ばしたぼさぼさの長髪を後ろで1つにまとめ、眼鏡をかけて、無精ひげを生やした人物で、赤居家に出入りしていた、赤居舞良の知人に非常によく似ている。人付き合いが苦手な内向的な性格。 ある日馬車の運転中に、空から降ってきた杏音を荷台に受け止めたことで杏音と知り合う。杏音の明るく飾らない人柄に惹かれ、身寄りのない杏音を春日部家に招く。

春日部 舞羅 (かすかべ まいら)

春日秋馬の妹で、杏音の母親である赤居舞良と同じ容姿をしており、同じく京都弁で話す。心優しく生真面目な性格だが、不器用なうえ目つきが悪いために誤解されやすく、周囲からは「怖い人間」、「変わり者」と評されている。杏音とは、秋馬が杏音を保護したのがきっかけで知り合うが、自分とかかわることで杏音の評判までが下がると考え、追い出そうとわざと冷たい態度をとる。 町一番の薬酒のつくり手だが、極端に栄養価重視であるために味が悪く、それを料理に混ぜるため、料理が苦手な人間と認識されている。

林戸 黎湖 (りんど れいこ)

春日部舞羅の知人の女性で、二足歩行のクマが洋服を着た姿をしている。舞羅が杏音を保護し、春日部家で当面面倒を見ることになったことを知り、舞羅を心配してやって来る。歯に衣着せぬ正直で辛辣な性格で、当初は出自不明で悪い噂のある杏音を快く思っていなかったが、本音で話し合ったことで打ち解ける。 料理が非常に得意。

伐葉の父親 (きるはのちちおや)

地元の網元を務め、周囲の漁師をまとめるリーダー的存在の男性。「図書之国」では伐葉の父親になっているが、容姿は赤居杏音の父親である赤居流星と同じ。春日部舞羅とは知り合いで、舞羅から身寄りのない杏音の情報を聞き、知人の経営する怪しい噂のある置屋「椿楼」に紹介しようとする。

だるマン

日横美月に同行し、「図書之国」でのナビゲーターを務める神使。小さなダルマに割りばしのような手足が生えた姿をしている。敬語で話す。赤居杏音とは、杏音と美月が『赤毛のアン』の世界で再会したのをきっかけに知り合い、名無しに代わって図書之国や「読書人」に関する情報を杏音に教える。

磯野 タラ子 (いその たらこ)

赤居杏音の空想上の友人。前髪を目の上で切りそろえ、顎の高さまで伸ばした内巻きボブヘアの、杏音と同世代の少女の姿をしている。杏音が若宮姫林檎を誘拐事件に巻き込み、姫林檎と疎遠になったことがきっかけで生まれた。初めて現れたのが、杏音の自室の棚のガラス戸に映り込んだ状態であったことから「棚のガラスの女の子」を略す形で「タラ子」と名付けられた。 常に杏音に寄り添い優しく見守りながら会話しているが、実在しないため、周囲の人間には杏音が何もないところに話しかけているようにしか見えない。

場所

私立マゴ神教学園 (しりつまごしんきょうがくえん)

赤居杏音たちが通う、小中高一貫教育の学校。もともとは別の学校名だったが、マゴ教の勢力拡大に伴って学校名や校則を大きく変え、現在では「マゴ教」信者を育成するための宗教学校となっている。各学年3クラス編成となっており、生徒個人、または生徒の身内が「マゴ教」信者として徳を積んでいるものは「金(ゴールド)クラス」、学力・芸術・スポーツなど一芸に特化したものは「銀(シルバー)クラス」に所属する。 残った生徒は「銅(ブロンズ)クラス」に所属し、校内のお荷物として軽視される状況にある。

ふれあいマゴパーク

赤居杏音たちの街にある、マゴ教信者たちが作り上げたテーマパーク。「入場するとマゴ教の信者にされてしまう」、「年に一度のスーパームーンの夜にふれあいマゴパーク内のマゴ神殿に願い事をすると叶うが、願いをかけた人間の10%は神隠しに遭う」といった悪い噂が絶えない。

マゴ神殿 (まごしんでん)

ふれあいマゴパーク内にある施設の1つで、マゴが暮らす場所。お城のような姿をした建物で、頂上にはマゴの頭を模した像が飾られている。一見すると入り口はなく中に入れないように見えるが、図書之国への入国資格のあるものだけは入り口が見える。中は巨大な図書館となっており、入国資格のある人間、つまり「読書人」は自身の願いを正確に叶える権利を得るため、マゴから課題の本を渡されて図書之国に挑むことになる。

図書之国 (としょらんど)

マゴが作り出した異世界。あらゆる本の物語世界がつながった場所で、赤居杏音たちの暮らす現世とは違う時間が流れている。入国証を受け取り入国資格を得た「読書人」のみが入ることができ、各「読書人」たちは、マゴから与えられた課題作品の物語を実際に体験する形で読む。物語を完走したものから読破したとみなされ、現世に帰ることができるが、進行速度が最下位の「読書人」は図書之国から帰れなくなってしまう。 逆に、良い順位で現世に戻り、さらに課題作品を正しく原作に沿って体験したり、独自の行動で面白くアレンジして体験した「読書人」は、報酬としてマゴに願い事を希望通りに叶えてもらえる。

その他キーワード

読書人 (ぷれいやー)

図書之国に入国し、マゴからの課題作品を実際に体験するという「物語人生」を歩むことになった人々。「読書人」たちは「出国した順位」、「物語人生の充実度」、「マゴからの評価」を競うことになり、好成績を収めた者から、願い事を高い精度で叶えてもらえるという報酬を得る。低い順位の人間でも無事出国すれば願い事は叶えられるが、その精度は低く、あいまいにしか願いは叶えられなくなってしまう。

入国証 (にゅうこくしょう)

「図書之国」への入国資格を得た「読書人」に与えられる、片コインのネックレス。コインの絵柄にはマゴが描かれている。入国した際に、コインを半分に割った片コインに、入国日と入国者の名前が刻印された状態で渡される。出国の際にもう片側が与えられ、完全なコインのネックレスとなる。つまり、片コインの状態で名前が刻印されている人間は図書之国におり、完全なコインの状態で名前が刻印された人間は、図書之国に入国したのち、無事に課題をクリアして出国した経験がある証となる。

神使 (しんし)

「図書之国」へ向かう「読書人」のパートナー。だるマンや名無しが該当する。容姿はダルマの人形やうさぎのぬいぐるみであったりとおもちゃにしか見えないが、言葉を話し意思疎通ができる。「読書人」間に不公平がないように「物語人生」進行の難易度調整を務めたり、「読書人」たちに「図書之国」の情報を与えサポートする。

春日部舞羅のブローチ (かすかべまいらのぶろーち)

春日部舞羅が所持するブローチで、紫水晶で掘られたアジサイの花の上に、カタツムリが乗ったデザインのもの。「図書之国」に存在するアイテムだが、赤居舞良もまったく同じものを所持している。舞羅にとって非常に大切なものだが、偶然拾った赤居杏音 と名無しが置き場所を間違えたことで盗難騒ぎが起きてしまう。 舞良は、同じデザインの赤居流星が特注したものを所持している。

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