エル婚! ～ぼっちエルフの婚活日記～

独身一人暮らしのエルフ族のエルフィーは、派遣社員として働く88歳。アラウンドナインティという年齢は、エルフとしては結婚適齢期ギリギリであった。満員馬車に揺られて出勤し、上司からは小言を言われ、サービス残業は当たり前。酒を飲みながら家に帰ると、疲れ切って寝てしまう。そんな毎日に疲れ果てたエルフィーは、ある夜「結婚して幸せになりたい!!」と泣き叫ぶ。すると、窓辺にあった花が、妖精に変身。ルーシーと名乗る妖精は、エルフィーの荒んだ生活を見かねたのだといい、彼女に婚活を勧める。突然の提案に戸惑うエルフィーだったが、ルーシーに押し切られて婚活パーティーに参加することになった。翌日、エルフィーは婚活会場の個室で男性陣を待っていた。スライム、ゴーレムとの見合いを終え、次に現れたのは魔王デュランダルであった。ドクロの仮面に黒マント、魔王のただならぬ雰囲気に、エルフィーはすっかり萎縮してしまう。するとそこへ伝説の勇者を名乗る男が現れた。勇者は魔王の部下であるスライムを人質に、魔王に襲いかかる。しかし魔王はあっさりと勇者を倒し、スライムを救出した。「最底辺でクソ雑魚の自分のために」と感謝するスライム。しかし魔王は「自分の部下にクソ雑魚などはいない。同じ志を持つ仲間だ」と言い切った。その様子を見ていたエルフィーは胸をときめかせて魔王に告白する。「自分の上司になってください」と。強くて部下に優しい魔王を見たエルフィーは、婚活のことをすっかり忘れていたのであった。