パンプキン・シザーズ

パンプキン・シザーズ

帝国とフロスト共和国の停戦から三年を経てなお帝国各地に残る戦災を解決に導くため、お気楽部隊とも揶揄される帝国陸軍情報部第三課パンプキン・シザーズの面々が奮闘する姿を描く。岩永亮太郎のデビュー作。

正式名称
パンプキン・シザーズ
ふりがな
ぱんぷきん しざーず
作者
ジャンル
戦争
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概要・あらすじ

帝国とフロスト共和国は長い戦争をした後、停戦条約を結ぶ。停戦から三年経ってなお、帝国では未だ難民や兵隊の夜盗化などの戦災は続いており、社会混乱は収まる気配を見せなかった。帝国はこれに目をつけ戦災復興を目的とした帝国陸軍情報部第三課の設置を決める。しかし戦災復興というのは名目上の目的に過ぎず、実際には帝国陸軍の資金繰りのために設立された形式的なものだったが、陸情三課の面々は真面目に戦災復興に取り組んでいた。

そこへ書類上存在しない部隊からやってきたという退役軍人ランデル・オーランドがやってくる。

登場人物・キャラクター

ランデル・オーランド

階級は伍長。退役軍人となって各地を放浪していたところ、戦災復興部隊パンプキン・シザーズとして活動していたアリス・L・マルヴィン達と出会う。顔にある大きな縫合跡を初めとして体全体に無数の傷跡がある大男。外見や体格とは裏腹に暴力が性に合わない優しい性格で、普段は争いごとに臆病で人を殺すなどもっての外であるが、腰につけた青い光を放つランタンを点灯させると一切の苦痛や恐怖を感じなくなり殺意を増幅させ、戦車をも単身で破壊する殺戮兵器と化す。 元々苗字はなく生まれた土地である0番地区(オーランド)からとった。

アリス・L・マルヴィン (ありす・れい・まるゔぃん)

階級は少尉。帝国陸軍情報部第三課、通称パンプキン・シザーズの実働部隊の隊長であり、拝命十三貴族の一つマルヴィン家の第三公女にして次期当主。庶民的な感覚や女の子らしい感情が欠落していて、武家貴族らしい勇猛な性格で真面目に戦災復興に取り組もうとするが空回りすることも多い。 また自身がランデル・オーランドに向ける感情の正体を自分で理解できていない武家貴族の次期当主として幼い頃から剣に打ち込み、相当の剣の腕前を持つ。良し悪しを問わず何かが起きる予兆として首の後ろがムズムズすることがある。

オレルド

階級は准尉。金髪の男性で、色男だが軽薄とも言える性格をしており、時と場所を選ばず女性を口説く無類の女好き。同じ帝国陸軍情報部第三課の仕事仲間であるマーチスとは幼馴染でよくつるんでいる。前述のとおりおちゃらけた性格をしているが戦災復興には真面目に取り組んでいる。

マーチス

帝国陸軍情報部第三課のメンバーで階級は准尉。童顔で眼鏡という見た目通りの真面目な性格だが、正反対の性格のオレルドとは幼馴染でよくつるんでいる。車の運転技術や整備技術に優れていて情報部技術班との交流もある。当初は得体のしれないランデル・オーランドを恐れていた節があったが次第に仲間として彼を受け入れていくようになる。

ステッキン

帝国陸軍情報部第三課に所属する小柄な女性で階級は曹長。天然な性格でいつもドジをすることが多い。普段は二桁の数字の計算も間違えるにもかかわらず、統合見解者(スクリプター)と呼ばれる能力者で多数の帳簿を一見しただけで不正経理を見抜いたり大量の手紙から普通の手紙に偽装された情報部の暗号文書を解読出来たりする。

ハンクス

帝国陸軍情報部第三課の課長であり階級は大尉。お気楽部隊の課長と見くびられ昼行燈の中年男性といった風貌だが、情報収集力に秀でており軍内部の広範囲に顔が利く。かつては憲兵部隊で綱紀粛正の為数多くの拷問や処刑を行っており、八つ裂きハンクスの名で呼ばれたことがある。

コネリー

帝国陸軍情報部第一課の課長であり、階級は少佐。国家公安をになう第一課の故に高い権限を有し、第一課の有する様々な部隊を使いこなす。目的の為ならば時として人命すら犠牲にする冷徹な部分を持っている。ハンクスとは旧知の仲。

ウェブナー

帝国陸軍情報部技術班の主任であり、階級は技術中尉。長身で巨乳の女性であり、技術班の荒くれ共をまとめ上げる姉御肌。マーチスのことを好いている。技術的優位に胡坐をかいている帝国に対し危機感を持っている。

ミュゼ・カウプラン

科学研究機関であるカウプラン機関の医療開発部の女性主任。帝国の異常なまでの技術水準に貢献したカウプランの高弟であり、医療のカウプランとしてランデル・オーランドの過去や不可視の9番(インビジブル・ナイン)にも関与しており、被験体であるランデル・オーランドの治療や手術を行うこともあった。 冷酷で情というものがなく、ランデル・オーランドを被験体のネズミ同然に思っている。

レオニール・テイラー

政財界の若獅子とも呼ばれ、ビジネスや武術、社交に至るまで非の打ちどころの無い美男子。帝国の裏で暗躍する組織銀の車輪のメンバーで、アリス・L・マルヴィンの婚約者でもある。幼い頃から有り余る才能故に自分と対等に張り合う相手に出会ったことがなく、人間としての倫理観を身につけないまま成長したとのこと。 その為か時折子供のような一面をのぞかせる。

セッティエーム・ローデリア

ローデリア王国第七子の王女で9歳。幼さはあるが天才的な頭脳明晰さと相手を利用する狡猾さを持っている。多数の言語をマスターしており他国の外交官と親しく交流出来る。兄弟同士で王座をめぐって争わせるローデリア家の風習で毒見役のメイドが死んだことをトラウマとしている。帝国の弱みを握るため訪問した際にマーチスと出会ったことをきっかけに、利用するのではなく信頼を勝ち取っていく人との関わり方も身につけていくといった心境の変化があった。 またその時からマーチスのことを非常に気に入っている。またアリス・L・マルヴィンとも親しい。

ヴィッター

諜報活動を専門とする帝国陸軍情報部第二課の所属で階級は少尉。異常なほどに規律を厳守し、常に冷静な性格をしている。数々の諜報任務をこなしてきたエリートだが、女性問題で名が知られているという諜報員として致命的な問題を起こしている。

集団・組織

帝国陸軍情報部第三課 (ていこくりくぐんじょうほうぶだいさんか)

『パンプキン・シザーズ』に登場する組織。ランデル・オーランドやアリス・L・マルヴィン達が所属しており戦災復興が主任務。元は軍の資金繰りと国民に対する戦災復興のハリボテとして設立されたが、当人たちは真面目に真摯に各地の戦災復興の任に就いている。戦災、あるいは人災の主な原因たる腐敗した既得権益者のかぼちゃの皮のような分厚い権力を切り裂いて人々を救うため、パンプキン・シザーズという名がついた。

901対戦車猟兵部隊

『パンプキン・シザーズ』に登場する部隊。不可視の9番(インビジブル・ナイン)のうちの一つで、ランデル・オーランドが戦時中に所属していた部隊であり、歩兵によって戦車を破壊することを目的として運用されていた。ATTとはAnti Tank Trooperのこと。腰につけた青い光を発するランタンを点灯することで恐怖心を消し去り、戦車とゼロ距離戦闘をする。

不可視の9番 (いんびじぶる・ないん)

『パンプキン・シザーズ』に登場する部隊の総称。不可視の9番(インビジブル・ナイン)と呼ばれ部隊は皆公式文書には掲載されていない上、どれも通常の部隊とは一線を画した科学技術によって強化され、非人道的な運用がされている。9は帝国では忌数とされ、公式文書や部隊名ではまず用いられない。

場所

帝国 (ていこく)

『パンプキン・シザーズ』に登場する国家。皇帝を国家元首として元老院があったり封建的な貴族制度が残っていたりと社会制度は中近世ヨーロッパのような古いものであるが、技術水準は異常に高く、酷く近代的で社会が技術の進歩に追いついていない。税務署や郵便制度などの社会インフラや軍のシステムも近代的だが国政は全て前時代的な貴族が担っている。 フロスト共和国との長い戦争を経て疲弊しており、停戦から三年経っても復興が滞っている。

0番地区 (ぜろばんちく)

『パンプキン・シザーズ』に登場する町。帝国にいるギャングたちを閉じ込めておくための帝国内にある無法地帯でランデル・オーランドの出生地。ギャングたちには居心地がよく独自の社会が形成されている。

その他キーワード

ドア・ノッカー

『パンプキン・シザーズ』に登場する兵器。ランデル・オーランドの所持する、13mm対戦車拳銃の名前で、901ATTの標準装備。人の扱える重さ、反動の限界ギリギリの大口径銃だが、それでもゼロ距離戦闘でもしない限りは戦車とまともに戦えない。

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