カラダ探し 解

カラダ探し 解

ウェルザードの原作小説を村瀬克俊がコミカライズした『カラダ探し』の続編。謎の少女に死を告げられ、呪いのデスゲーム「偽のカラダ探し」に巻き込まれていく、柊留美子をはじめとした高校生たちの姿を描いたサバイバルホラー。集英社「少年ジャンプ+」で2017年12月29日から2019年1月25日にかけて配信された。

正式名称
カラダ探し 解
ふりがな
からださがし かい
原作者
ウェルザード
漫画
ジャンル
ホラー
レーベル
ジャンプコミックス(集英社)
巻数
既刊1巻
関連商品
Amazon 楽天

あらすじ

新たなカラダ探し

11月28日、相島美雪の計画が失敗した瞬間に世界は砕け散り、「カラダ探し」が存在しなかった世界が再構築される。このままでは逢魔高校に閉じ込めていた「赤い人」が、世界に解き放たれてしまうことを恐れた小野山美紀は、他人の意識の中に構築された別の世界で、小野山家の末裔(まつえい)として転生を果たす。美紀はルールを再構築して新たなカラダ探しを作り上げ、柊留美子をはじめとするメンバーを集めて「赤い人」に対抗しようとする。そんなことも知らぬまま平和な日常を送る留美子、美雪、袴田あゆみの三人はある日、入れた覚えのない道具がカバンの中から出てきたことに気づく。原因を探る中で聞いた「赤い人」の怪談は、「赤い人」がどこかに置いた謎の「ぬいぐるみ」を見つけても触ってはいけない、触った者は殺されるという内容だった。半信半疑な留美子たちだったが、先輩の森崎明日香たちと遊んだ帰り道に、美雪がゴミ捨て場で噂(うわさ)のぬいぐるみを発見し、美雪はそれに吸い込まれるように触れてしまう。後日、いつもの日常を送っていた留美子は、校門近くで謎の少女、小野山美紗から死を告げられ、この日をきっかけに留美子たちは美沙の目論見と「赤い人」の呪いに巻き込まれていくことになる。明日香たちが卒業してからしばらく経ったある日、美雪、杉本健司池崎龍平、あゆみの五人でカラオケに行っていた留美子は、その帰り道に再びぬいぐるみに遭遇し、過去に似たような怪奇現象に遭遇したことを思い出す。夜になると留美子たちの部屋にはぬいぐるみが姿を現し、次の瞬間に現れた「赤い人」に殺された彼女たちは、夜の逢魔高校の玄関前に来ていた。同じく学校に来ていたのは、先日現れて留美子に死を告げた美沙だった。美沙はさらに、この場所が呪いの力で作られた死の狭間(はざま)であることを告げ、「偽のカラダ探し」に挑んで7日以内に、それぞれの「カラダ」を見つけるよう告げる。何もわからぬままで校内に入った留美子たちは、ショーケースに自分たちの生首が並べられているのを見つけ、逃げ出そうとする中で「赤い人」に殺害されてしまう。

歪んだ世界

柊留美子たちの平穏な高校生活はぬいぐるみが出現したその日を境に崩れ出し、逢魔高校に伝わる「赤い人」の怪談は現実となり、留美子たちに襲いかかる。残された時間はたったの7日間、複数に分けられたそれぞれの「カラダ」をすべて見つけられなければ死ぬという厳しい条件の中、留美子たちによる命懸けの「偽のカラダ探し」が始まった。「カラダ」の捜索が難航する中、池崎龍平のある行動が原因で、留美子は親友の相島美雪と仲違(なかだが)いしてしまう。後悔のままに2日目を終えてしまった留美子は翌朝、自分たちを偽のカラダ探しに巻き込んだ小野山美紗を訪ねるが、彼女は突然目の前で倒れてしまう。目を覚ました美沙は、留美子たちを巻き込んだ偽のカラダ探しの本当の目的を語り出す。それは、かつて小野山美子の呪いで世界が歪(ゆが)められた影響で生じた「歪んだ世界」を元に戻し、すべてを「本当の世界」に返すことであった。しかし世界を元に戻した代償として、「本当の世界」に存在しなかった美沙と龍平は存在自体が消え、美雪と袴田あゆみは死んでしまうという。大切な友達を失う可能性に苦悩し、動揺を隠せない留美子は、何気ない一言でさらに美雪との溝が深まってしまう。さらに杉本健司も自分勝手な単独行動に走るなど、「カラダ」の捜索は思ったように進行しないまま、時間だけが過ぎていく。それでも呪いを解く手がかりを求めて奔走を続ける留美子たちは、事情を知った伊勢高広たちの助けを得ながら、メンバー同士の協力体制を整えていく。

本当のカラダ探し

小野山美紗と対面した伊勢高広の協力を得られるようになった4日目、恋人の相島美雪の様子を不審に思った浦西翔太から柊留美子に連絡が入る。美沙と初対面した翔太は、美雪たちが巻き込まれている「偽のカラダ探し」について知り、おぼろげながら「本当の世界」で体験した記憶の一部を思い出していた。一方、留美子たちが偽のカラダ探しを進めていくうちに、毎晩「赤い人」に惨殺されているのが、留美子をはじめとする参加メンバーだけでなく、美沙もその一人であったことが判明する。新たな事実に戦慄が走る中、美沙は「歪んだ世界」が創造された秘密と、「本当の世界」で「カラダ探し」に参加していたメンバーとの関係を語り出す。実は「歪んだ世界」は、「本当の世界」が崩壊する直前に小野山美紀が逃げ込んだ先で、森崎明日香をはじめとするカラダ探しメンバーのうちの誰かの意識の中に作られた世界だった。「歪んだ世界」の主は、異物のような存在である美沙を警戒すると共に留美子たちの動きに気づき、排除しようと動き出していた。そんな危機的状況の中で、高広と翔太以外のカラダ探しメンバーを警戒するよう留美子に告げる美沙だったが、袴田あゆみが危険なことに巻き込まれていると気づいた袴田武司が、留美子や池崎龍平に強い疑いの目を向ける。その日は龍平によって返り討ちにされる武司だったが、その凶行は次第にエスカレートしていき、とうとう留美子と龍平は武司にナイフで刺されてしまう。

この世界の主

袴田武司が「歪んだ世界」の主である可能性があるという、新たな脅威に怯(おび)えたままで、「偽のカラダ探し」は5日目を迎えていた。「赤い人」に殺された直後、留美子は「本当の世界」を空から見ているような夢を見る。留美子が目を覚ました時には、小野山美紗は留美子の部屋にぐったりした状態で座っていた。二人はいっしょに逢魔高校に向かうが、妹を守りたいという強い思いを「歪んだ世界」に反映させた武司こそが主だと確信した美沙は、彼の意識の影響を受けた住人から監視されるようになってしまう。それでも「偽のカラダ探し」は、それぞれが見つけるべき「カラダ」が残りわずかなところまで進行していた。一方、自分の「カラダ」がなかなか見つからずに一人で悩んでいた杉本健司は、今までの身勝手な行動を改め、留美子や相島美雪に頭を下げて協力を求める。メンバー同士の結束が深まる一方で、武司の監視はさらに狂気を増していき、留美子と池崎龍平の二人が武司に殴り殺された次の瞬間、6日目の偽のカラダ探しが始まる。美沙は留美子たちとは別行動を取り、校内のどこかにある小野山美子の心臓を探し始める。実は美沙が探し続けていた美子の心臓こそが、この惨劇の数々を終わらせるために必要な、すべての鍵を握っていたのだ。留美子は龍平の「カラダ」の場所を教えたうえで、美雪の「カラダ」を回収し、さらに屋上では袴田あゆみもすべての「カラダ」を集めることに成功。一方で必死に「カラダ」を探していた健司は「赤い人」に見つかり、美沙が助けに入るも彼は殺されてしまい、残りのメンバーも殺されたことでその日の捜索は終了となる。偽のカラダ探しを通して龍平と留美子は絆(きずな)を深めていくものの、「歪んだ世界」の終わりは確実にせまりつつあった。

想いをつないで

柊留美子への思いとすべての勇気と振り絞った池崎龍平は、袴田武司に勝負を挑み、彼の目を覚まさせることに成功する。進行と共に増していく世界の歪みと戦慄の中で迎えた最終日、龍平から告白された留美子は、いずれ存在が消えてしまう彼の言葉にためらいながらも、「偽のカラダ探し」を終わらせることで幸せな世界へ導くと決意を固めるのだった。「歪んだ世界」に渦巻く呪いを解くために必要な小野山美子の心臓を探し続ける小野山美紗は、留美子や相島美雪の意識にわずかに残る「本当の世界」の記憶を頼りに、中庭の捜索に最後の望みを懸ける。しかし同じ頃、「カラダ」をすべて集め終えた杉本健司の意識が、美子を守ろうと動き出した山岡泰蔵の亡霊に乗っ取られてしまう。数々の異変に翻弄されながらも、健司が「赤い人」に立ち向かっていくスキに、中庭で美子の心臓を手に入れたメンバーは、なんとか偽のカラダ探しを終了させることができた。小野山邸まで急ぎ、地下室の壺(つぼ)に心臓を収めようとする留美子だったが、「赤い人」に追われた袴田あゆみ、健司、美雪は死亡する。龍平の協力を得ながら必死に壺を心臓に収めることに成功した留美子は、その瞬間に意識が薄れていき、消えゆく美沙や龍平たちへの思いを胸に「本当の世界」へと旅立つ。留美子が目を覚ました先では、「本当の世界」の森崎明日香たちが美子の呪いを解こうと、団結して行動している最中だった。留美子は美沙から聞いていた話を明日香に伝えて中庭に急行し、岩の下に隠されていた美子の心臓を発見する。異なる二つの世界が連なり重なる時、最後の戦いに挑んだ留美子たちの強い思いとつながりが、世界を忌まわしき因縁と呪いから解放していく。

登場人物・キャラクター

柊 留美子 (ひいらぎ るみこ)

県立逢魔高校に通う女子。「偽のカラダ探し」のメンバー。クラスメイトの相島美雪、袴田あゆみとは親友同士。茶髪のロングヘアで、気が強く物事をはっきりと言う性格の持ち主。時にはそんな性格が問題を招くこともあるが、面倒見がよく友人思いな姐御肌(あねごはだ)でもある。「本当の世界」では「カラダ探し」のメンバーで、森崎明日香や伊勢高広とは同級生だった。その時の記憶ははっきりと残っていないものの、「本当の世界」で体験した出来事の一部を断片的に覚えている。小野山美紗によって偽のカラダ探しに巻き込まれて以来、池崎龍平の不埒(ふらち)な行為とはっきり言う性格が災いし、一時期は美雪とは仲違いしかけるが、「カラダ」の捜索が進むと同時に彼女とは和解していく。また、当初はスケベなことばかり考えている龍平を快く思っていなかったが、自分を守るために男らしさを見せるようになった彼のことを見直し、次第に絆を深めていく。やがて最終日が近づく頃には龍平に恋心を抱くようになり、「歪んだ世界」の消滅後はいっしょに消える運命にある彼のことを心配するようになる。また、友人思いなことから、龍平といっしょに消えてしまう美沙や、「本当の世界」では死んだことになっている美雪やあゆみの運命を悲しみ、時には偽のカラダ探しの進行をためらこともあった。しかし、龍平に告白され思いが通じ合ったのをきっかけに、幸せな世界にしてみせると決意を固めたうえで、最終日に挑む。最終日が近づいて「歪んだ世界」の歪みが増していくと共に、偽のカラダ探しの途中で「本当の世界」の夢を見るようになった。当初は偽のカラダ探しに巻き込んできた不気味な美沙のことを嫌っていたが、偽のカラダ探しを通して彼女とは友情を深めていく。実は「本当の世界」が崩壊する直前に袴田武司と共に気を失っていたことから、偶然にも小野山美紀に巻き込まれる形で「歪んだ世界」に送られていた。最終日に仲間と共に見つけた小野山美子の心臓を小野山邸の壺に収めたあとは、美沙たちに関する記憶を保持した状態で、「本当の世界」に帰還する。

小野山 美紗 (おのやま みさ)

県立逢魔高校に通う女子。柊留美子のクラスメイト。黒のロングヘアの美少女で、その容姿は「赤い人」とどこか似ている。少々大仰な言い回しを好み、いつもクールでミステリアスな雰囲気をまとっている謎多き人物。その正体は、「本当の世界」で小野山美子に殺されかけていた小野山美紀の亡霊が、人間として「歪んだ世界」に転生した姿。「本当の世界」では流産して生まれてこなかった美紀と、美子の弟の娘として生まれた小野山家の末裔でもあり、美紀と美子にとっては姪(めい)にあたる。美紀として行動していた頃の記憶は残っており、小野山家の過去はもちろん、「本当の世界」での「カラダ探し」をはじめとする事情もよく知っている。ふだんは実家である小野山邸にて一人暮らしをしている。世界に解放されてしまった美子を止めるために、留美子をはじめとするメンバーを集結させ、カラダ探しのルールを再構築した「偽のカラダ探し」で「赤い人」に挑む。当初は留美子たちに対して冷たい態度を取ることが多かったが、偽のカラダ探しを通して、彼女たちと友情を深めていく。「歪んだ世界」の中で偽のカラダ探しを維持するためにカロリーを大幅に消費するため、かなりの大食いであり、食べ物を前にした時は上機嫌な笑顔を見せることもある。しかしどれだけ食べても、スタイルのよさは保っている。留美子たちと同様に偽のカラダ探しの最中に「赤い人」に殺害されることがあり、偽のカラダ探しを維持する力が足りずに、次の日もダメージが残ったままの状態になっていることがある。この際は、大量の食事を摂(と)ることで回復が早まる。当初は留美子たちの偽のカラダ探しを手伝うこともあったが、途中からは美子の呪いを解く鍵となる美子の心臓を探すようになる。ふだんはクールかつ冷静に振る舞っているが、本音では「歪んだ世界」と共に消滅する自分の運命を恐れており、留美子の前では年相応の少女らしい一面を見せることがある。

池崎 龍平 (いけざき りゅうへい)

県立逢魔高校に通う男子。柊留美子のクラスメイト。伊勢高広や袴田武司の舎弟で、二人にあこがれを抱いている。茶髪の短髪で、左耳にピアスをしている。基本的にお気楽で能天気な性格のお調子者だが、いざという時は漢気(おとこぎ)や勇敢な姿を見せる。実は空手の有段者で、武司とは同じ空手道場に通っていたことがあり、ケンカも強い。かなりのスケベで、女の子はみんな大好きと公言したり、女子の下着をのぞき込もうとすることもある。留美子たちと共に「偽のカラダ探し」に巻き込まれるも、相島美雪の「カラダ」を見つけた際に胸を触るなど、不謹慎な行為に走っていた。それを聞いた留美子からは軽蔑され、一時期は死んでも構わない奴とまで嫌われて関係がこじれていた。しかし、偽のカラダ探しを通して成長していき、留美子を守るために体を張ることも多い。当初は美雪や小野山美紗たちにも下心を見せていたが、留美子と行動するうちに一途(いちず)な思いを寄せるようになる。実は「本当の世界」には存在していない人物で、偽のカラダ探しが終わったあとは「歪んだ世界」と共に存在が消え去る運命にある。当初はそれを嘆いていたことがあったものの、前向きに考えながら留美子たちのためと思って「カラダ」の捜索を続けている。「カラダ」の捜索が進行した頃には、すべてが終わったらキスをしてもらうという約束を留美子と交わしており、彼女にとっては守る気のない空約束だったものの、果たすために命懸けで奮闘するようになる。また、狂気に包まれ正気を失った武司と1対1の勝負を挑み、真正面からぶつかることで彼を正気に戻すことに成功している。留美子と交流を重ねるうちに思いが通じていき、「カラダ」の捜索が終わる頃には彼女と両思いになった。

杉本 健司 (すぎもと けんじ)

県立逢魔高校に通う男子。柊留美子のクラスメイト。前髪が長めの短髪にしている。無口でおとなしい性格ながら、冷静に状況を判断できる賢さを持っている。留美子たちと同様に「偽のカラダ探し」に巻き込まれるが、「歪んだ世界」が元に戻るのを望まず、自分だけが生き残った状態を維持するために、誰かを犠牲にしてでも偽のカラダ探しを終結させないようにしようと目論む。そのため、ほかのメンバーに協力はせずに単独行動を取ることが多く、仲間の「カラダ」を発見しても教えないなど、仲間に対しても冷酷で狡猾(こうかつ)な一面を見せることがある。「本当の世界」では「カラダ探し」のメンバーで、森崎明日香や伊勢高広とは同級生だった。その時の記憶ははっきりと残っていないものの、本当の世界で体験した出来事のごく一部を断片的に覚えている。仲間を無視して独自に「カラダ」の捜索を進めるも、途中で行き詰まることが多くなっていき、メンバーの中でもっとも「カラダ」が集まっていない状況にあった。さらに、誰か一人でも「カラダ」を見つけられなければ全員が殺されるというルールを知って当初の目的をあきらめ、結局は自分の「カラダ」を見つけられぬまま、留美子たちに頭を下げて協力を受ける羽目になる。最終日にすべての「カラダ」を集め終えた瞬間、山岡泰蔵の亡霊に精神と体を乗っ取られてしまう。

相島 美雪 (あいしま みゆき)

県立逢魔高校に通う女子。柊留美子のクラスメイトで親友。黒のショートヘアで、おとなしいが生真面目な性格の持ち主。先輩の浦西翔太と交際している。「本当の世界」では「カラダ探し」のメンバーで、森崎明日香や伊勢高広とは同級生で、友人が少なく気弱な性格だった。その時の記憶ははっきりと残っていないものの、「本当の世界」で体験した出来事のごく一部を断片的に覚えている。「偽のカラダ探し」に巻き込まれるも、当初は池崎龍平のある行為が原因で彼や留美子と仲違いし、気まずい雰囲気になっていた。しかし「カラダ」が見つかっていくうちに留美子と和解していき、彼女とはさらに強い友情で結ばれていく。実は袴田あゆみと同様に、「本当の世界」では死亡しており、偽のカラダ探しが終わったあとは「歪んだ世界」の消滅と共に死亡する運命にある。その事実を聞かされたあとは苦悩していたものの、留美子たちの幸せを願って「カラダ」の捜索を積極的に進め、すべての「カラダ」を集め終えることに成功した。また、「本当の世界」で小野山美紀の亡霊と会話をしたり小野山美子の呪いを解こうと奔走した時の記憶がわずかながら残っているため、それらの記憶は美子の心臓を見つける手がかりにつながった。ふだんはおとなしいが、いざという時は勇気のある行動を見せ、持ち前の観察力や洞察力の高さもあって、留美子たちからも頼りにされている。

袴田 あゆみ (はかまだ あゆみ)

県立逢魔高校に通う女子。柊留美子のクラスメイトで親友。ロングヘアをツーサイドアップにまとめており、明るい性格をしている。兄の袴田武司を慕っているため、周囲からブラコン扱いされることもある。また、武司からも溺愛され、友人の少ない彼が心を許す数少ない相手となっている。「本当の世界」では留美子たちよりも年下で同じ学校には通っておらず、「カラダ探し」の進行と共に現れた呪いの影響を受けて病死している。このため、偽のカラダ探しが終結したあとは、相島美雪と同様に死亡する運命にある。「歪んだ世界」の主として暴走した武司が、留美子や池崎龍平に暴力を振るうようになってからは、二人に申し訳なく思い何度も謝罪しているが、その一方で大切な武司のことを信じたいと願っていた。のちに、さらに暴走した武司によって部屋に閉じ込められるようになるが、龍平によって武司が改心したことに安心し、「カラダ」をすべて探し終えることができた。

小野山 美紀 (おのやま みき)

小野山美子の双子の姉。血染めでない赤い服を着用した黒のロングヘアの少女。「本当の世界」では少女時代に死亡して亡霊と化し、「カラダ探し」のルールや世界を構築しており、「赤い人」を逢魔高校に封じ込める存在と化している。生前に赤い服を巡って美子とケンカに発展し、その次の日に彼女が殺害されたあと、不可解な死を遂げた。「本当の世界」の相島美雪の計画が失敗し、「赤い人」が解放された際にある人物の意識に逃げ込んでおり、そこから生じた「歪んだ世界」では小野山美紗として転生し、カラダ探しのルールを作り直すことで美子の呪いに対抗しようとする。

袴田 武司 (はかまだ たけし)

県立逢魔高校に通っていた青年。柊留美子たちの先輩。袴田あゆみの兄で、森崎明日香や伊勢高広の友人。明るい茶髪のモヒカン頭で、耳と口にピアスをしている。池崎龍平があこがれを抱く先輩で、彼とは同じ空手道場に通っていたことがあり、ケンカも強い。乱暴な性格から友人は少ないが、妹のあゆみを溺愛しており、彼女に対してはシスコンな一面を見せる。「本当の世界」では「カラダ探し」のメンバーで、その時の記憶ははっきりと残っていないものの、「本当の世界」で体験した出来事の、ごく一部を断片的に覚えている。実は小野山美紗が以前から警戒している「歪んだ世界」の主であり、「本当の世界」が崩壊した瞬間に、小野山美紀が袴田武司の意識に逃げ込んだことで「歪んだ世界」が生まれていた。あゆみが生きていることを強く願っていた武司自身の意識は「歪んだ世界」に強く反映されており、異分子である美沙のことを監視するようになっていく。当初は「偽のカラダ探し」には干渉していなかったが、あゆみを守りたいという思いから、龍平や留美子が彼女を危険に巻き込んでいる元凶だと疑うようになる。さらには正気を失ったままで、一方的に殴りかかったり留美子と龍平をナイフで刺殺することもあった。のちに留美子への思いを決意したうえで挑んできた龍平に倒され、正気を取り戻していった。

小野山 美子 (おのやま みこ)

「赤い人」の正体。「歪んだ世界」だけでなく「本当の世界」でも「赤い人」として行動している。ぬいぐるみを探してさまよっており、「偽のカラダ探し」が始まると参加メンバーたちを探して校内を回り、当初はぬいぐるみと共に参加メンバーの部屋に現れることも多かった。生前は小野山美紀の双子の妹として生まれ、50年前に起こった事件で殺害されており、犯人によってバラバラにされた遺体は、柊留美子たちが現在通っている県立逢魔高校の建設中の校舎に隠されていた。遺体を集めた美紀の父が呪いの儀式に手を出したことが原因で、黒い人に取り憑(つ)かれてからは、呪いに包まれた「赤い人」と化してさまざまな惨劇を起こすようになる。その呪いを解く鍵は、小野山美紗が探している小野山美子の心臓にあり、心臓は逢魔高校のどこかに隠されている。また、美紀と共に逢魔高校の中庭で楽しそうに遊んでいる幻が留美子によって発見されており、心臓の在り処(か)を示す重要な手がかりとなった。のちに留美子や相島美雪の記憶をヒントに、心臓の隠し場所が生産棟中庭にあると判明する。偽のカラダ探しを終えたうえで、心臓を小野山邸の地下室にある壺に収めると呪いは解かれ、「歪んだ世界」は消滅する。

伊勢 高広 (いせ たかひろ)

県立逢魔高校に通っていた男子。柊留美子たちの先輩。森崎明日香とは幼なじみで、ケンカが強く漢気にあふれることから、池崎龍平のあこがれの人物でもある。茶髪の短髪で、長身のイケメン。両耳に丸いピアスを付けている。女性からかなりモテているが、昔から明日香一筋で、現在は彼女と付き合っている。当初は「偽のカラダ探し」と無関係だったが、コンビニで留美子と小野山美紗に遭遇したのをきっかけに偽のカラダ探しについて知り、留美子たちに協力するようになる。実は「本当の世界」では「カラダ探し」のメンバーで、留美子たちとは同級生だった。その時の記憶ははっきりと残っていないものの、「本当の世界」で体験した出来事のごく一部を断片的に覚えている。

森崎 明日香 (もりさき あすか)

県立逢魔高校に通っていた女子。柊留美子たちの先輩。伊勢高広とは幼なじみで、高校卒業後も彼と交際している。温厚で友人思いな性格で、茶髪のロングヘアをポニーテールにまとめている。実は「本当の世界」では「カラダ探し」のメンバーで、留美子たちとは同級生だった。その時の記憶ははっきりと残っていないものの、「本当の世界」で体験した出来事のごく一部を断片的に覚えている。当初は「偽のカラダ探し」と無関係だったが、留美子たちの様子がおかしいことに気づいて心配したり、「本当の世界」での記憶をわずかながら思い出したりしている。

浦西 翔太 (うらにし しょうた)

県立逢魔高校に通っていた青年。柊留美子たちの先輩。後輩の相島美雪と交際中で、高校卒業後も彼女と付き合っている。茶髪の短髪で眼鏡をかけており、成績優秀な頭脳派。当初は「偽のカラダ探し」と無関係だったが、美雪の異変に気づくうちに彼女を心配し、留美子を問い詰めたのをきっかけに、彼女たちに協力するようになる。実は「本当の世界」では「カラダ探し」のメンバーで、留美子たちとは同級生だった。その時の記憶ははっきりと残っていないものの、「本当の世界」で体験した出来事のごく一部を断片的に覚えている。

美紀の母 (みきのはは)

小野山美紀と小野山美子の母親。かつては静かな場所にある一軒家で、美紀の父、愛娘の美紀、美子と共に平和に暮らしていた。しかし生まれてくるはずだった美紀と美子の弟が流産してしまったことや、美子が殺されたのをきかっけに精神を病んでいき、小野山邸は次第に呪いに包まれていく。

美紀の父 (みきのちち)

小野山美紀と小野山美子の父親。かつては静かな場所にある一軒家で、妻、愛娘の美紀、美子と共に平和に暮らしていた。美子の死を悲しみ、バラバラになった彼女の遺体を集めたうえで、よみがえらせるために地下室で怪しい降霊術に手を出していたが結局は失敗に終わる。さらには亡霊化した美子が闇に取り込まれ、おぞましい悪霊「赤い人」と化してしまった。これらが原因で小野山邸は次第に呪いに包まれていき、生き残っていた美紀すらも「赤い人」と化した美子の呪いで死亡してしまう結果となった。

黒い人 (くろいひと)

小野山邸の地下室に潜む不気味な悪霊。全身に黒い瘴気(しょうき)をまとった、真っ黒な怪人のような姿をしている。正式な呼び名は「黒くて怖い人」。約50年前に小野山美子が殺されたあとに、美紀の父が美子を生き返らせようと降霊術に手を出したのをきっかけに美子に取り憑くようになり、闇と呪いに包まれた「赤い人」を生み出した。

場所

本当の世界 (ほんとうのせかい)

「歪んだ世界」とは異なる本来の世界。「偽のカラダ探し」のもととなった「カラダ探し」が行われている世界でもあり、柊留美子をはじめとする人物の生い立ちや関係性にはいくつかの違いがある。また、「歪んだ世界」のみに存在する小野山美紗と池崎龍平は存在しておらず、相島美雪と袴田あゆみは死亡している。「本当の世界」の美雪の計画が失敗し世界が崩れたあと、カラダ探し参加メンバーのうち誰かの意識に小野山美紀が逃げ込んだ際に、「歪んだ世界」が形成された。

歪んだ世界 (ゆがんだせかい)

「本当の世界」で「赤い人」に殺されそうになった小野山美紀が、消滅寸前に逃げ込んだ別世界。美子の呪いで世界が歪んだ影響で生じた不安定な世界でもあり、「本当の世界」で「カラダ探し」に参加していたメンバーのうちの誰かの意識に構築されており、その人物こそが「歪んだ世界」の主となっている。このため主である人物の思いや願望により、「本当の世界」とのあいだにさまざまな違いが起こり、不思議な現象も多発している。また、主の意識はさまざまな現象に限らず住人たちの行動にも反映されることがあり、主が不穏分子と判断した小野山美紗の監視を強めたことで、彼女は住人たちから監視されるようになった。「偽のカラダ探し」が終結し小野山美子の呪いが解けたあとは、「本当の世界」に収束され消滅する運命にある。このため、「カラダ」の捜索が進行すると共に、空間のあちこちに留美子たちにしか見えないヒビが生じている。

その他キーワード

偽のカラダ探し (にせのからださがし)

小野山美紗として転生した小野山美紀が、「歪んだ世界」で新たにルールを再構築する形で生み出した新しい「カラダ探し」。参加メンバーは柊留美子、相島美雪、袴田あゆみ、池崎龍平、杉本健司の五人。基本的なルールは「本当の世界」のカラダ探しと同様だが、探すべき「カラダ」の総計が増えていたり、依頼者となった人物ではなく参加メンバー自身の「カラダ」を探すことになるなど、細かいルールが異なっている。「赤い人」が参加者を探しながら校内をうろついており、「赤い人」を見た場合は決して振り返ってはならない。期限は7日間で、誰か一人でも「カラダ」を集められなければ、全員が「赤い人」に殺されてしまう。正式な参加者ではない美沙もサポート役として参加しているが、「偽のカラダ探し」を維持している張本人である彼女が死亡した場合は、参加メンバーが生きていてもその日の探索は強制的に終了となる。

ぬいぐるみ

県立逢魔高校に伝わる「赤い人」の怪談に登場する、ウサギのぬいぐるみ。「赤い人」がつねに探しており、どこかでぬいぐるみを発見しても決して触ってはいけない、触ると、ぬいぐるみを取り返そうと「赤い人」がやって来る、という噂がある。相島美雪が、このぬいぐるみをゴミ捨て場で発見して触れた約1年後、再び柊留美子たちの前に現れたのをきっかけに、小野山美紗によって作られた「偽のカラダ探し」が始まる。これ以降は、偽のカラダ探し開始直前に参加メンバーの部屋に出現し、取り戻しに来た「赤い人」に参加メンバーが殺された次の瞬間に、その日の偽のカラダ探しが始まるようになっている。「赤い人」からは「ミサちゃん」と呼ばれていることがある。

カラダ

「偽のカラダ探し」で参加者が集めなければならない肉体のパーツ。「本当の世界」の「カラダ探し」と同様に、断面は真っ黒になっており、血などはまったく付いていない。各自が見つけなければならない「カラダ」は、胸・腰・右腕・左腕・右脚・左腕の六つ。首から上の頭の部分だけは、五人分の生首という形で、最初から校内のショーケースに置かれている。「本当の世界」のカラダ探しとは異なり特定の場所に収める必要はなく、「カラダ」の持ち主が近づけば、自然と持ち主に吸収される。

クレジット

前作

カラダ探し (からださがし)

ウェルザードの小説『カラダ探し』のコミカライズ作品。50年前に発生した殺人事件を発端とした、夜の高校校舎内で行われるサスペンスホラー。殺人鬼でもある死霊「赤い人」と、強制的に参加させられた高校生達の命... 関連ページ:カラダ探し

書誌情報

カラダ探し 解 1巻 集英社〈ジャンプコミックス〉

第1巻

(2018-04-04発行、 978-4088814841)

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