キミとだけは恋に堕ちない

キミとだけは恋に堕ちない

シスコンの兄2人に囲まれて育った箱入り娘の女子高校生が、初めての恋人である同級生男子と、実は血が繋がっていなかった次男の間で心を揺らす姿を描いた学園ラブストーリー。「りぼん」2015年11月号から2017年7月号にかけて連載された作品。

正式名称
キミとだけは恋に堕ちない
ふりがな
きみとだけはこいにおちない
作者
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あらすじ

第1巻

星崎透星崎航という、優秀でシスコン気味な2人の兄を持つ高校1年生の星崎すばるは、高校進学後も兄たちの意向により、自由に遊ぶのも難しい日々を送っていた。そんなある日、すばるは、お調子者のクラスメイト、吉田新の気遣いにより、初めて兄たちに内緒で、クラスの集まりに参加することになる。思わずはしゃぐすばるだったが、帰り道、親しい男子の佐倉と歩いていたところを、柄の悪い男たちに絡まれてしまう。そこですばるを助けたのは、佐倉ではなく、なんと新であった。すばるにとって「この人とだけは恋に落ちない」と思っていたはずの新は、その日から次第にすばるの心を占める存在になっていく。

第2巻

星崎すばるは、困っているところを吉田新に何度も助けられ、次第に新を意識するようになっていた。そんなある日、すばるたちが街で遊んでいると、新の小学校時代の友人である小橋璃奈が声をかけてくる。そして、璃奈が新を現在の「吉田」姓ではなく「笹本」姓で呼んだため、すばるは新の複雑な家庭事情を知ることとなる。それと同時に、新と親しい璃奈に強い嫉妬心を抱き、すばるは新への恋心を自覚する。

第3巻

小橋璃奈との一件がきっかけで、お互いを深く知ることとなった星崎すばる吉田新は、交際を始めた。カップルとして過ごす夏が楽しみでならないすばるだったが、新がテストで赤点を取り、退学の危機に瀕してしまう。しかし、偶然巻き込まれた星崎航が新に勉強を教えたのをきっかけに、新は無事に追試をクリア。こうしてすばる、新、航、星崎透の4人は親しくなっていく。だが、ようやく迎えた夏休みに、新はすばるを介して知り合った山代夏希から、星崎家に関する衝撃の事実を知らされる。実は星崎三兄妹の中で航だけは養子であり、他の2人とは血が繋がってないのだという。その日から新は、航もまたすばるに想いを寄せているのではと疑うようになる。

第4巻

義妹である星崎すばるへの想いを断ち切るため、星崎航早坂光と交際をすることを決める。しかし、光はすばると航の関係を怪しむあまり、2人の距離が離れるよう、間接的にすばるに意地悪をするようになっていく。さらに学園祭の夕方、航が眠るすばるにキスしているのを目撃した光は、その現場を写真に撮ってばらまき、すばると航を追い詰めていく。

第5巻

早坂光からの嫌がらせがきっかけで、星崎すばるは、星崎航と自分は血が繋がっておらず、さらに航から想いを寄せられていたことを知る。一方、星崎家にいられないと考えた航は、吉田新を頼り、一時的に吉田家で暮らすことになる。航の深い想いを知り、悩むすばる。新はそんなすばるを見かねて別れることを提案し、すばるは新と航のどちらを選ぶか、選択を迫られることとなる。しかし、すばるが決意を固めたその当日、新は交通事故に遭ってしまう。

登場人物・キャラクター

星崎 すばる (ほしざき すばる)

星崎3兄妹の長女。星崎透の妹で、星崎航の義妹。英集高校1年A組に所属しており、保健委員を務めている。誕生日は3月27日で、血液型はO型。身長は148cmで体重は36kg程度。前髪を眉の高さで切りそろえ、腰まで伸ばした茶色のロングウェーブヘアにしている。非常に小柄で、吉田新にとっては、注意していないと視界に入らないほど背が低い。 透からは「すーちゃん」、新からは「すばるちん」と呼ばれている。明るく元気いっぱいだが、親しい男性に対してはなかなか素直になれないツンデレな性格。父親はおらず、母親は弁護士という職業柄、非常に忙しく、家では基本的に3兄妹で生活している。結果、透と航という2人の優秀な兄が常にそばにいる環境で育ち、星崎すばる自身は無自覚だが、男性に対して非常に目が肥えている。 さらに、過保護な航の意向から、高校生になっても門限は6時半という箱入り娘で、やや世間知らず。そのため男性とは縁の薄い日々を送ってきた。しかし高校入学直後、自分とは別世界の住人のような新に、一度は苦手意識を持つものの、何度も助けられ、関心を持つ。そのため、親切で心優しい人間なのか、それとも、何事にも本気にならないちゃらちゃらした人間なのかわからない、新の複雑な人間性に次第に惹かれていく。 3兄妹の中で航だけ血が繋がっていないことは、航がやってきた当時まだ幼かったので知らずに育ち、3人は実の兄妹だと思っている。そのため、航から想いを寄せられていることにも気づいていない。

吉田 新 (よしだ あらた)

星崎すばるのクラスメイト。すばると同じ高校の1年A組に所属している。誕生日は12月23日で、血液型はAB型。身長は177cmで体重は55kg。前髪を目が隠れそうなほど伸ばして右寄りの位置で斜めに分けた、癖のある紫色のショートカットヘアにしている。いつも笑顔で明るく、おちゃらけた雰囲気の、親しみやすい性格。さらに周囲の状況に敏感で、困っている人をさりげなくサポートできる優しい一面もある。 そのため、異性・同性を問わずにもてるが、何に対しても本気にならず、一歩引いた場所から接する、冷めた一面も持ち合わせている。すばるとは同じクラスだが、入学式に派手な髪色で出席したという理由から早々に停学になったため、他の生徒たちとは一週間ずれて知り合った。 母親と二人暮らしで、惚れっぽい母親が結婚するたびに何度も名字が変わっており、現在の「吉田」も含めて、これまで7つの苗字で呼ばれてきた。また、今の地域には小学5年生の頃に引っ越して来ている。小橋璃奈とは引っ越す前の小学校で知り合っており、璃奈からは再会直後、旧姓の1つである「笹本」と呼ばれていた。小学生の頃は今とは異なり、何事にも一生懸命でまっすぐな性格で、ミニバスケットボールチームに所属し、上級生に混じって活躍するほどのスター選手だった。 しかし、母親に付き合って転校を繰り返すうち、すべてに対して熱意を持てなくなってしまい、現在のちゃらちゃらした、何事にも深入りしない性格になってしまった。中学時代は双葉第二中学校に通っていた。 やんちゃなことで有名で、「中学1年次に、隣町の不良高校生たちと十対一の喧嘩をして勝った」「中学校の廊下を、盗んだバイクで走った」など、とんでもない噂が絶えない。そのため、同じ中学出身の佐倉からは快く思われておらず、すばるからも、出会った当初は「自分とは生きている世界の違う、宇宙人のような存在」と認識され、敬遠されていた。 しかし、困っているすばるを放っておけず、何度も助けるうちに次第に親しくなり、交際を始める。交際経験は多いが、これまでは深入りしたくないという考えから、浅い付き合いばかりをしていた。そのため、自分から告白したのもすばるが初めて。交際開始後は、自分自身の意外なほど嫉妬深い一面に悩まされるようになる。バスケットボールをはじめスポーツ全般は得意だが、転校を繰り返してきたため勉強は苦手。

星崎 航 (ほしざき わたる)

星崎3兄妹の次男。実は星崎航本人だけ血が繋がっておらず、星崎すばるの義兄で、星崎透の義弟である。英集高校2年E組に所属している。誕生日は11月7日で、血液型はA型。身長は176cmで体重は54kg。前髪を目が隠れそうなほど長く伸ばして左寄りの位置で斜めに分け、首が隠れるほど伸ばした金色のショートカットヘアにしている。 透からは「わーくん」、すばるからは「航兄」、あるいは「鬼」と「お兄さま」をかけて「鬼ーサマ」、吉田新からは「わたるん」と呼ばれている。さらに雛からはひそかにアイドル視されているため、アイドル的に「航ちゃん」と呼ばれている。美形で成績優秀だが、生真面目な堅物。すばるに対しては非常に過保護で、重度のシスコンでもある。 そのためすばるが遅い時間に出歩いたり、新のようなちゃらちゃらした男性と仲良くすることを非常に嫌う。幼い頃、実の父親から暴力を振るわれて苦しむ航を、星崎聡子が助ける形で、星崎家に引き取られた。それ以降、すばるに想いを寄せるようになる。しかし、すばるは自分を実の兄だと思い込んでいるのを知っており、すばるが高校生になっても、義兄であることを明かさず、あくまで兄として接している。 自分を引き取った聡子に恩を感じており、学費は自分で捻出したいと考えている。そのため、高校入学以降は毎日のようにアルバイトをして多忙である。中学時代はバスケットボール部に所属し、エース級の活躍をしていたが、高校ではアルバイトを優先し、部活には所属していない。 男子バスケットボール部からの誘いを断ったため、一部の男子バスケットボール部員から恨まれている。実父に振るわれた暴力により、背中に大きな傷跡がある。低血圧のため、寝起きは非常に不機嫌。苦手なものはピーマン。

星崎 透 (ほしざき とおる)

星崎3兄妹の長男。星崎すばるの兄で、星崎航の義兄。誕生日は9月22日で、血液型はO型。身長は182cmで体重は58kg。前髪を眉上で短く切って右寄りの位置で斜めに分けた、ストレートショートカットヘアに眼鏡をかけている。背が高く、細身の体型。すばるからは「透兄」、常連となっているスーパーの店員、千尋からは「星崎少年」と呼ばれている。 無表情なため一見冷たく見えるが、実際は穏やかで落ち着いた性格。特技は料理と裁縫。父親がおらず、母親の星崎聡子が不在にしがちな星崎家において家事全般を担当し、母親のような役目を担っている。航が星崎家にやってきた当時のことを覚えており、航が義弟であることを理解している。しかし、家族の意向からすばるには隠し、実の兄妹として暮らしてきた。 行きつけのスーパーで働いている千尋にひそかに想いを寄せているが、千尋は既婚者であるため、想いは伝えずにいる。特技を活かして、インターネットショップで自作のウサギのぬいぐるみを販売している。

佐倉 (さくら)

星崎すばるの友人。英集高校1年B組に所属する男子。前髪を目の上で切って左寄りの位置で斜めに分けた、ストレートショートカットヘアにしている。穏やかで落ち着いた雰囲気で、雛によれば、容姿や雰囲気が星崎航に似ているらしい。クラスでは保健委員を務めており、すばるとは委員会が一緒になったので親しくなった。そのため、すばるのことを何かと気にかけているが、すばると一緒にいた際に柄の悪い男性に絡まれた際には、すばるを置いてすぐに逃げ出してしまった。 その後、すばるとは別の女性と交際を始め、恋人からは「秀ちゃん」と呼ばれている。吉田新と同じ双葉第二中学校出身で、悪い噂の絶えない新のことを快く思っていない。

(ひな)

星崎すばるの友人。英集高校1年A組に所属する女子で、クラスメイト。前髪を目の上で切り、胸まで伸ばしたロングヘアにしている。明るくミーハーな性格で、恋愛話が好き。星崎航に密かに憧れており、本人の前では「航先輩」と呼ぶが、いない場所ではアイドル的に「航ちゃん」と呼んでいる。星崎透と航という優秀過ぎる兄がいるすばるを、「目が肥えすぎている」と評しており、そのせいで恋愛と縁遠いすばるに同情している。

小橋 璃奈 (こはし りな)

吉田新の友人。藤林(とうりん)女子高校に通う1年生の女子。前髪を目が隠れそうなほど伸ばし、カールさせて左寄りの位置で斜めに分け、肩につく長さの内巻きセミロングヘアにしている。明るく親しみやすい性格だが、やや思い込みが激しく押しが強い。新とは小学校時代に知り合い、非常に親しかった。さらに当時、新から間接的に告白されており、両想いでもあった。 しかし、告白の返事をしようとしたところ、新が突如転校してしまった。そのため、気持ちを伝えられず仕舞いで、高校生になっても新への想いを引きずっていた。ある日、街で新に偶然再会したのをきっかけに、積極的にアプローチをするようになる。しかしその後、星崎すばるもまた新に想いを寄せていることを知り、自分の方が新を想っていた期間が長いのだから、すばるは自分に新を譲るべきだと言い出す。 さらに、現在の新のちゃらちゃらした行動言動を許せず、無理に矯正しようとする。しかし、最終的には一方的な言動の数々を新に諫められて反省し、新と交際することを諦める。

山代 夏希 (やましろ なつき)

星崎すばるの友人。星崎家と家族ぐるみで親しい少女。すばるたちの祖母が住む田舎に住んでいる。前髪を眉が見えるように切ったラウンド前髪にし、胸まで伸ばした内巻きロングヘアにしている。すばるからは「なっちゃん」と呼ばれている。星崎航に想いを寄せているが、航がすばるばかり構うためあまり相手にされておらず、どうにかしてもっと航と近づきたいと思っている。 そのため、夏休みに、すばる、航、吉田新が祖母宅へ遊びに来た際、新に「航とより親しくなりたいので協力してほしい」と持ち掛ける。その際、新に航が養子であり、すばるとは血が繋がっていないことを教えた。

早坂 光 (はやさか ひかり)

星崎航の友人。英集高校2年A組に所属する女子。前髪を目が隠れそうなほど伸ばして左に向かってカールさせ、腰まで伸ばしてゆるく巻き、段をつけて切ったロングヘアにしている。学校では才色兼備で知られ、文化祭では文化祭実行委員会委員長を務めている。一見非の打ちどころのない人物だが、実際は腹黒く意地悪な性格。優秀な男性と交際したいと考えており、航に目をつけてアプローチをしていた。 航が星崎すばると吉田新の交際開始を機に、すばるへの想いを断ち切るため交際をOKしたため、文化祭準備期間から航と交際を始めることになる。しかし、交際開始後も、自分よりもすばるを優先する航に腹を立て、すばるが航と距離を置くように、「忠告」という形で意地悪を繰り返すようになる。 しかし、友人らとすばるを中傷している現場を新に目撃されて焦り、新にまで嫌がらせの矛先を向けたため、航に愛想を尽かされる。さらに早坂光はあくまで優秀な男性と付き合いたいだけで、航自身のことはさほど好きでもないということも見抜かれてしまう。その後、逆恨みをし、文化祭で偶然、航がすばるにキスをしているところを目撃し、それを撮った写真をばらまく。

星崎 聡子 (ほしざき さとこ)

星崎すばると星崎透の母親で、星崎航の義母。職業は弁護士で、常に飛び回っており、家にはほとんど帰ってこない。前髪を左寄りの位置で斜めに分け、肩につくほどの高さで内巻きにしたセミロングヘアにしている。実父である「広瀬知貴」からの暴力に苦しんでいた幼い頃の航を、保護する形で養子に迎えた。以後、本当の親子同然に暮らしており、特に当時幼かったすばるに対しては、航が養子であることも伝えていなかった。

吉田新の母親 (よしだあらたのははおや)

吉田新の母親。前髪を目の上で切って真ん中で分けて左右にカールさせ、肩につくほどのセミロングヘアをゆるくウェーブさせた髪型をしている。恋愛をすると周りが見えなくなる、自分最優先の身勝手な性格で、これまでに7回結婚している。そのため、婚前の姓と、現在の「吉田」姓に加え、「工藤」「広瀬」「渡辺」「二階堂」「矢野」「笹本」の姓を名乗っていたことがある。 常に恋人優先のため、新には無関心。結果、恋人のために新の苗字が何度も変わったり、住む場所が頻繁に変わっても一切心を痛めなかった。ゆえに、新の父親が誰なのかも正確に把握していないが、2番目の夫である「広瀬知貴」との子供なのではと考えている。知貴とは家庭内暴力が原因で別れたが、知貴にはもう1人妻がいたことを知っている。 そのため、のちに星崎航が知貴に瓜二つであることに気づき、航と新が異母兄弟である可能性を指摘する。

千尋 (ちひろ)

星崎透が通うスーパーで、週3回働くパートタイマーの若い女性。前髪を左寄りの位置で斜めに分け、腰まで伸ばしたロングウェーブヘアを首の付け根の高さで1つにまとめている。職業柄、頭にバンダナを巻き、エプロン姿でいることが多い。明るく活発な性格で、スーパーによく買い物をしにやって来る透を「星崎少年」と呼び、顔を合わせては世間話をしている。 既婚者で、透に想いを寄せられていることには気づいていない。

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