ギヴン

ギヴン

ロックバンド「ギヴン」のメンバーを中心に描く青春群像劇。男性同士の恋愛を描いたボーイズラブ作品で、バンドに打ち込む個々が抱える恋心や、それに伴う複雑な人間関係が繊細に描かれている。「シェリプラス」2013年ハル号から連載の作品。2019年6月テレビアニメ化。2021年7月ネット配信実写ドラマ化。2021年11月舞台化。

正式名称
ギヴン
ふりがな
ぎゔん
作者
ジャンル
BL
 
バンド
レーベル
ディアプラス・コミックス(新書館)
巻数
既刊1巻
関連商品
Amazon 楽天

あらすじ

第1巻

平凡な毎日に退屈を覚え始めていた上ノ山立夏は、いつも昼寝場所にしていた階段の踊り場で佐藤真冬と出会う。そこで立夏は、真冬が抱えていたギターの弦が錆びていることを指摘し、真冬に変わって張り替えをしてやる。その際に立夏が鳴らしたギターの音を聞いた真冬は、彼にギターの弾き方を教えてほしいと頼み込む。人には教えられないと断る立夏だったが、あまりに真冬がしつこくせまってくるため、バンドメンバーの中山春樹梶秋彦を真冬に紹介することになってしまう。そこで立夏、春樹、秋彦の即興セッション曲を聴いた真冬はますます音楽に興味を抱き、立夏も真冬の熱意に負けてレッスンを行うことになる。ある日、立夏は真冬の歌を初めて聴き、心に響くようなその素晴らしい歌声に衝撃を受ける。そして立夏は真冬を説得し、春樹と秋彦の三人で組んでいる自身のバンドに加入させることに成功。現メンバーでの初ライブを前に、真冬は新曲用の歌詞を作ることになるが、なかなか詩が浮かんでこない。一方、立夏に恋心を寄せる笠井は、少しでも自分の方を向いてほしい気持ちから、立夏に中学時代に真冬と吉田由紀が交際していたこと、そして由紀が自殺したという噂話を流す。

第2巻

上ノ山立夏佐藤真冬中山春樹梶秋彦の4ピースバンドになってから初めてのライブが近づき、四人は練習を重ねていた。一方で、立夏は真冬が作詞をする恋愛の歌を聴きたくないという思いが日々強くなり、葛藤していた。立夏の葛藤は秋彦に伝わり、そこで初めて秋彦から「立夏は真冬に恋愛感情を抱いている」と指摘を受ける。あらためて自分の気持ちに気づいてしまった立夏は、以前のように音楽に集中できず、真冬も相変わらず新曲の作詞ができずに悩んでいた。二人の様子がおかしいことに気づいた春樹は、このまま練習しても意味がないとバンド練習を中止し、各自ライブの日まで自己練習を重ねることを提案する。時間ができた真冬は吉田由紀との交際を知られたことで、これまで避けていた幼なじみの鹿島柊に会ったりして、少しずつ自分の過去と向き合っていく。こうしてライブ当日、ギリギリまで作詞ができなかった真冬だったが、立夏の激励もあって本番ではみごとな歌声を披露する。真冬が作った恋愛の歌詞など聴きたくないと思っていた立夏だったが、迷いが吹き飛ぶほどに圧倒され、ステージ裏で真冬に初めてのキスをする。

第3巻

四人編成になって初めてのライブは無事終了。全力を出し尽くした佐藤真冬は、翌日に体調を崩してしまう。そんな中、真冬の見舞いに行った上ノ山立夏は、高熱を出して憔悴している真冬の「次は失恋ではない歌詞を作りたい」という言葉を聞き、次の恋の相手が自分でありたいと強く思うのだった。それから数日が経過し、すっかり体調が回復した真冬は、立夏、中山春樹梶秋彦とあらためて四人で話し合いの場を設け、バンド名を「ギヴン」と決めて本格的に活動を開始。春樹を中心にSNSを開設したり、ライブ動画をインターネットにアップしたりと、行動を起こしていく。そんな中、真冬は立夏に恋愛感情を抱いていることを伝え、二人は晴れて両思いとなる。二人の関係は春樹や秋彦から説教をされつつも認められ、それぞれ音楽活動や勉強、アルバイトと多忙ではあるものの充実した日々を過ごしていく。そしてある日、春樹が以前エントリーした「カウントダウンフェスアマチュアコンテスト」の最終審査に「ギヴン」が招待され、二度目のライブが決定する。

第4巻

カウントダウンフェスアマチュアコンテスト」の最終審査に招待された「ギヴン」は、激しい練習を重ねていた。音楽に詳しいとはいえない佐藤真冬は、音楽について多彩な知識を持つ梶秋彦の自宅に入り浸り、その知識や技術を吸収していく。そこに前回のライブを見て真冬を気に入っていた、秋彦の同居人で元恋人の村田雨月も加わり、真冬は雨月と急速に親しくなっていく。一方で、中山春樹は以前から自分は凡人だとは理解していたものの、才能のある上ノ山立夏と真冬と接するうちに引け目を感じるようになっていた。春樹は抱えきれなくなった思いを矢岳光司に打ち明けたところ、春樹の元彼女がサポートのベースを探していたからやってみないかと誘いを受け、バンドから抜けることは逃げではないかと思いつつも心がゆれ動く。そんな中、秋彦と雨月は衝突し、未だに未練を残している秋彦の心は荒れていく。雨月から自宅に戻ってくるなと言われた秋彦は春樹の自宅を訪れ、春樹からほかのバンドのサポートメンバーをやってみないかと、誘われた話を聞いてしまう。周囲の人間が自分から離れていく怒りと焦りに支配された秋彦は春樹を押し倒し、そのまま体の関係を持つ。

第5巻

自分の体だけを求められ、恋心は拒絶された中山春樹は心に大きな傷を負い、これまで伸ばしていた髪を短く切る。しかし、村田雨月から家を追い出された梶秋彦には住む場所がなく、仕方なく春樹は秋彦との奇妙な同居生活をスタートさせる。最初は明らかに気を使っている秋彦を見て、妙に冷めた気持ちを抱く春樹だったが、次第に以前よりもお互い対等で良好な関係を築いていく。そんな環境の中で秋彦は雨月への未練を断ち切り、二人で暮らしていた家を出る決意をする。そんな中、「カウントダウンフェスアマチュアコンテスト」の最終審査が始まり、「ギヴン」は新曲を披露する。佐藤真冬の歌詞と歌声、そして三人の高い演奏技術によって高評価は得るものの、優勝には一歩届かず敗退。その日に秋彦と雨月は正式に別れ、お互い別の道へと踏み出すことを決意する。その後、秋彦は春樹の家を出て自立し、「ギヴン」は何度かライブを重ね、穏やかな日々が続いていた。そんなある日、春樹が真冬から招待を受けたヴァイオリンのコンテストへと向かうと、そこにはまじめに音楽と向き合う秋彦の姿があった。

メディアミックス

TVアニメ

本作『ギヴン』は、2019年6月よりフジテレビ「ノイタミナ」枠において、『ギヴン Given』のタイトルでテレビアニメ化された。テレビアニメ版は全11話で、上ノ山立夏佐藤真冬の恋模様を中心とするエピソードが描かれている。制作会社はLercheで、立夏役を矢野奨吾、真冬役を内田雄馬が演じた。

劇場版アニメ

『映画 ギヴン』のタイトルで2020年8月22日公開。梶秋彦中山春樹の二人が軸となるエピソードが描かれる。

舞台

当初予定の2020年は公演中止となり、2021年11月に上演決定。

出演:上ノ山立夏役 鈴木仁 / 佐藤真冬役 さなり / 梶秋彦役 井之脇海 / 中山春樹役 柳俊太郎 / 鹿島柊役 奥野荘 / 上ノ山弥生役 八木アリサ / 吉田友紀役 小野寺晃良 / 村田雨月役 稲葉友 ほか

Web配信ドラマ

2021年7月17日からFODにて配信。全6回。

出演:上ノ山立夏役 鈴木仁 / 佐藤真冬役 さなり / 梶秋彦役 井之脇海 / 中山春樹役 柳俊太郎 / 鹿島柊役 奥野荘 / 上ノ山弥生役 八木アリサ / 吉田友紀役 小野寺晃良 / 村田雨月役 稲葉友 ほか

登場人物・キャラクター

上ノ山 立夏 (うえのやま りつか)

高校2年生の男子で、年齢は16歳。誕生日は8月1日。身長は175センチ、血液型はB型。家族構成は両親と姉の上ノ山弥生の四人暮らし。小学6年生の時に音楽好きの父親からギターをゆずり受け、うまくなりたい一心で練習を重ねる。高校生になってからは、年齢に似つかわしくない技術とセンスを身につけたものの、以前より音楽に楽しみが見いだせずにいる。大きな不満もないが平凡な毎日に退屈さを感じていた際、偶然にも学校内で佐藤真冬と出会う。真冬の錆びたギターの弦を直したことをきっかけに、真冬からギターの弾き方を教えてほしいとつきまとわれるようになる。最初は拒否していたものの、真冬の歌声を聴いて衝撃を受け、弾き方を教えるだけでなく、上ノ山立夏自身がギターを担当しているバンドに誘い、初ライブ後にあらためて「ギヴン」を結成する。いっしょに音楽を楽しんでいく中で、真冬に対して恋愛感情を抱くようになっていく。音楽へのこだわりは人一倍強く、真冬はもちろん年上のバンドメンバーの中山春樹、梶秋彦に対しても遠慮なくダメ出しをする。その真っすぐな性格故に、これまで組んだバンドは長続きしなかった。

佐藤 真冬 (さとう まふゆ)

高校2年生の男子で、年齢は16歳。誕生日は2月28日。身長は173センチ、血液型はAB型。父親が幼い頃から暴力を振るうために両親が離婚し、以降シングルマザーの家庭で育つ。父親から言葉を発するなと言われて育ったこともあり、自分の気持ちを言葉にして伝えるのが苦手で、周囲からは何を考えているのかわからないと言われている。しかし極めて強い意志の持ち主で、一度決めると最後までやり遂げる強い心を持つ。また、物事の核心にせまることを臆さず言い放つなど、見た目によらず頑固で度胸もある。父親からの暴力を振るわれて落ち込んでいた時、声を掛けてくれた幼なじみの吉田由紀と、中学生の時に恋人同士になる。ところが、つまらないケンカが引き金となり、由紀が死亡したことで、自分の生き方を見失ってしまう。由紀の母親から形見として愛用していたギター「ギブソンES-330」をゆずり受け、学校に行く際も持ち歩いていた。学校内で偶然に上ノ山立夏と出会い、錆びた弦を直してくれた立夏のギターの音に心惹かれる。以降、立夏からバンドに誘われ、ギター兼ボーカルとして加入し、初ライブ後にあらためて「ギヴン」を結成する。音楽に関してはまったくの素人ではあるものの、天性の才能を持つ。

中山 春樹 (なかやま はるき)

大学院生の青年で、年齢は22歳。身長は178センチ、血液型はO型。バンド「ギヴン」のメンバーで、ベースを担当している。田舎から上京し、現在は一人暮らし。「ギヴン」ではメンバー内の調整と雑務をこなし、ほかの誰もしないからと仕方なく引き受けているお人よし。人当たりがよく、社交的な性格をしている。天才肌がそろう「ギヴン」の中では唯一の凡人で、中山春樹自身もひそかにコンプレックスを抱いている。しかし実際は「ギヴン」のメンバーから信頼されており、なくてはならない存在だと思われているが、本人はまったく気づいていない。数年前、大学のキャンパス内で見かけた梶秋彦に一目ぼれし、以降は片思いをしている。秋彦を好きになってからなんとなく髪を伸ばし続けており、肩の下までの長さになっている。秋彦への恋心は募るばかりだが、いっしょに音楽活動ができれば満足で、告白をするつもりはない。村田雨月、上ノ山弥生と同じ大学に在籍しているが、顔を知っているだけでかかわりはない。美容師の花岡からの依頼で、動画サイトのチャンネル「男を殺す!モテカワ♥アレンジ講座」に顔出しNGで出演している。

梶 秋彦 (かじ あきひこ)

大学の音楽専攻科に在籍する青年で、年齢は20歳。身長は184センチ、血液型はA型。バンド「ギヴン」のメンバーで、ドラムを担当している。幼い頃からヴァイオリンに親しみ、国内のコンクールで入賞した経験があるほどの腕前を持つ。父親は音楽家を生業にしているイギリス人で、母親は日本人のハーフ。両親ともに子供に興味がなく、放任主義の家庭で育つ。無駄のない筋肉質な体にクールな雰囲気を漂わせた美男子で、何もしなくてもモテるタイプ。中山春樹、上ノ山弥生からも恋心を寄せられているが、気づいていないふりをしている。また、デートをするだけでお小遣いがもらえる女性がいるなど、素行の悪い一面を持つ。春樹、弥生と同じ大学に通っており、偶然春樹と同じ講義を受けた際に声を掛けられ、いっしょにバンド活動を開始する。元恋人で同じ大学の音楽専攻科に在籍する村田雨月と今でもいっしょに暮らしており、愛着や未練を残している。人の機微を感じ取る能力が高く、上ノ山立夏が佐藤真冬に恋心を抱いていることに、誰よりも早く気づいている。

村田 雨月 (むらた うげつ)

大学の音楽専攻科に在籍する青年で、年齢は21歳。身長は175センチ、血液型はO型。梶秋彦、中山春樹、上ノ山弥生と同じ大学に通っており、秋彦とは同級生。学生ながらもプロのヴァイオリニストとして、国内だけでなく海外でも活躍している。自分の演奏を聴いて心を動かされたという秋彦と親しくなり、そのまま恋人関係になる。しかし、お互いに深く音楽を愛するが故に、歪みが生じて破局。秋彦とは同棲しており、別れたあともいっしょに生活している。秋彦への愛情や未練を残しているが、当てつけのように新しい恋人を自宅に連れ込むことがある。秋彦を通して佐藤真冬と出会い、以降お気に入りとなる。真冬の音楽の才能を認めてアドバイスをしたり、村田雨月自身の恋愛経験や後悔を語って、作詞のヒントを与えたりしている。孤高の天才とも呼ばれ、人を寄せ付けない独自の雰囲気を持つが、一般的なコミュニケーション能力は高い。

上ノ山 弥生 (うえのやま やよい)

上ノ山立夏の姉で、年齢は20歳。身長は163センチ、血液型はB型。梶秋彦、中山春樹、上ノ山弥生と同じ大学に通っている。顔立ちは立夏と瓜二つ。立夏を頻繁にパシリ扱いしているが、彼女なりにかわいがっている。細身の体型にクールな雰囲気を漂わせた美女で、読者モデルとして活動している。非常にサバサバとした性格の持ち主で、思い切りのいい行動を取ることが多い。ただし片思いをしている秋彦の前では、女性らしい繊細さや、かわいらしさをのぞかせることもある。アプローチをしても振り向かない秋彦に対し、焦りを覚えている。

板谷 翔吾 (いたや しょうご)

高校2年生の男子で、年齢は17歳。誕生日は5月20日。身長は176センチ、血液型はO型。上ノ山立夏、植木涼とは1年生の時からのクラスメートで、行動を共にすることが多い。三人でいるときには立夏と共にバカな言動をすることが多く、それに対して涼がツッコミを入れるのを楽しみにしている。社交的且つ非常にノリのいい性格で見た目も悪くないが、女子生徒からは「ただのバカ」と認識されており、恋愛対象から外されている。部活はサッカー部に所属しており、関東でも有名なエースストライカーとして知られている。しかし、ふだんの言動からはまったくその才能を感じさせず、事実を知った立夏が大きなショックを受けた。球技全般が好きで、昼休みはバスケットボールをするのが日課となっている。立夏と佐藤真冬が親しくなってからは、真冬にも積極的に声を掛けて距離を縮めている。

植木 涼 (うえき りょう)

高校2年生の男子で、年齢は17歳。誕生日は5月31日。身長は180センチ、血液型はA型。上ノ山立夏、板谷翔吾とは1年生の時からのクラスメートで、行動を共にすることが多い。三人でいるときには立夏と翔吾がバカな言動ばかりするので、自然と鋭いツッコミを入れるポジションを担っている。立夏と佐藤真冬が親しくなってからは、真冬も植木涼自身のグループの一員として受け入れている。どんなときでも表情を崩さないポーカーフェイスで、バスケットボール部に所属している。

吉田 由紀 (よしだ ゆき)

佐藤真冬の幼なじみの男子で、シングルマザーの家庭に育つ。幼い頃に暴力を振るう父親に恐怖する真冬に声を掛け、以降行動を共にする。明るく社交的な性格で、人に自分の気持ちを伝えることが苦手な真冬とは正反対のタイプで、お互いの凹凸を埋めるかのように寄り添って成長していく。中学時代にどちらから言い出したわけでもなく、真冬との交際をスタートさせる。高校は別の高校にそれぞれ進学し、同時にバンド活動とアルバイトを開始して、多忙な日々を過ごすようになる。そんな中、真冬と些細なことでケンカをし、やけになって自室でアルコールを多量に飲んで急死する。バンドではギター兼ボーカルを担当していた。愛用のギターは「ギブソンES-330」で、彼の形見として真冬に引き継がれた。吉田由紀自身が鹿島柊、八木玄純と組んだバンドにあえて真冬を誘わなかったのは、真冬に自分が作った音楽を聴かせたかったため。

鹿島 柊 (かしま ひいらぎ)

高校2年生の男子で、年齢は17歳。誕生日は5月8日。身長は175センチ、血液型はA型。佐藤真冬、吉田由紀、八木玄純とは地元が同じで、幼い頃からいっしょに遊んでいた幼なじみ。真冬とは別の高校に通っている。由紀の生前は玄純を交えた三人でバンドを組んでおり、由紀が亡くなったあとも別のメンバーと音楽活動を続けている。バンドではベースを担当している。真冬と由紀が交際していたことも知っていたが、あえて黙って見守っていた。高校に進学してからバンド活動とアルバイトを優先する由紀と、真冬のあいだにすれ違いが起こっていることも知っていたが、自分がなんのフォローもしなかったために、由紀が死んだのではないかと後悔している。気が強い性格であまのじゃくなために、なかなか素直になれない。一方で玄純の前では嬉しさのあまり涙を流すなど、素直な一面を見せている。昔からなぜか真冬からのあたりが強いことを気にしている。上ノ山立夏と折り合いが悪く、顔を合わせればケンカばかりしているものの、立夏と真冬の恋をひそかに応援している。玄純に対して恋心を抱いていることを、真冬にだけは見透かされている。

八木 玄純 (やぎ しずすみ)

高校2年生の男子で、年齢は16歳。誕生日は11月22日。身長は180センチ、血液型はA型。佐藤真冬、吉田由紀、鹿島柊とは地元が同じで、幼い頃からいっしょに遊んでいた幼なじみ。真冬とは別の高校に通っている。由紀の生前は柊を交えた三人でバンドを組んでおり、由紀が亡くなったあとも別のメンバーと音楽活動を続けている。バンドではドラムを担当している。口数が少なく、何を考えているのかわからないタイプ。真冬からは「しずちゃん」と呼ばれている。

笠井 (かさい)

高校2年生の女子で、上ノ山立夏のクラスメート。同じクラスの和果と親しくしている。明るく社交的な性格で、立夏に片思いをしている。自分なりにアプローチを繰り返してはいるものの、立夏が鈍感なこともあり、何も進展せずにいる。友達のポジションのまま時間が経過していく中で、立夏が佐藤真冬と親しくなり、距離が開いていくことに焦りを覚え始める。

和果 (わか)

高校2年生の女子で、上ノ山立夏のクラスメート。同じクラスの笠井と親しくしている。佐藤真冬と同じ中学校の出身で、会話をしたことはないものの、真冬と吉田由紀が交際していたことや、由紀が真冬と揉めて自殺したのではないかといった話は噂程度で知っている。笠井が立夏に片思いをしていることも知っており、救いたい気持ちから思わず真冬と由紀の話を伝えてしまう。同じ中学校出身の彼氏がおり、二人とも音楽好きなこともあってバンド「ギヴン」のライブも見に行っている。

矢岳 光司 (やたけ こうじ)

小さな映像編集会社に勤務する男性で、年齢は24歳。誕生日は5月10日。身長は180センチ、血液型はA型。1年間の浪人生活を経て大学に入学後、中山春樹と同級生になり、卒業してからも親しくしている。春樹からは「タケちゃん」と呼ばれている。在学中に何度か梶秋彦とかかわる機会があり、何もしなくてもモテることを一方的にやっかんでいる。秋彦のことは決して嫌いという訳ではないが、自分にないものをたくさん持ち、さらに春樹を振り回しているために苦手としている。趣味で音楽活動もしており、ギター兼ボーカルを担当している。その場の空気を読むことに長け、社交的な性格の持ち主。バンド「ギヴン」のライブを見てからすっかりファンとなり、アーティスト写真の撮影に協力したり、今後の活動についてアドバイスをするようになる。春樹が髪を切る決意をした際には手伝うなど、手先も器用。

花岡 (はなおか)

自由が丘にある「ヘアサロン春雨(はるさめ)」で、美容師を務める男性。中山春樹と友達で、花岡自身が運営する動画サイトのチャンネル「男を殺す!モテカワ♥アレンジ講座」のヘアモデルとして春樹を出演させている。職業柄から一見華やかに見えるが、仕事を始めてからまったくモテないことを悩んでいる。過去に付き合った女性の数は三人。春樹に片思いをしている相手がいることは知っているが、相手が梶秋彦であることは知らない。

毛玉 (けだま)

佐藤真冬の愛犬で、犬種はポメラニアン。非常にやんちゃな性格の暴れん坊。気に入った人をペロペロと舐める癖があり、大のお気に入りの中山春樹に会った際には顔面を容赦なく舐め回す。真冬からは「タマ」と呼ばれている。

集団・組織

ギヴン

ボーカル兼ギター担当の佐藤真冬、ギター担当の上ノ山立夏、ベース担当の中山春樹、ドラム担当の梶秋彦からなる4ピースバンド。以前は立夏、春樹、秋彦の三人で活動しており、各々の名前に四季が入っているといった安易な理由から「シーズンズ」というバンド名で活動していたが、真冬が加入したことをきっかけに改名した。「ギヴン」というバンド名は真冬が吉田由紀から「ギターをもらった(give)」ことと、前身バンドの「シーズンズ」から「ギヴシーズンズ」として、発音しやすく短縮したことが由来。メンバー四人で焼き肉を食べている時に即決し、真冬はもっと真剣に考えた方がいいのではと、落胆を隠せなかった。

その他キーワード

カウントダウンフェスアマチュアコンテスト

アマチュアバンドが出場する音楽コンテスト。優勝したバンドには、国内でも有数な大規模音楽イベント「カウントダウンフェス」の出演権が与えられる。第一次審査は書類審査、第二次審査は動画審査となっており、最終の第三次審査では実際に観客の前でライブを行って優勝バンドが決められる。バンドマンのあいだでは略して「CAC」と呼ばれる。

書誌情報

ギヴン 1巻 新書館〈ディアプラス・コミックス〉

第1巻

(2014-11-29発行、 978-4403664496)

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