TWIN SIGNAL

TWIN SIGNAL

主人公の少年、音井信彦と、彼の兄として作られた最新型の人間型ロボット、シグナルを描いた、SFロボットコミック。当初はドタバタコメディだったが、途中から数多くのシグナルの兄姉機や、対立するロボットたちが登場し、ロボット同士のバトルを描きながら、「ロボットのあり方」「人間とロボットの関係」について考察する作品となった。本編以外に、シグナルが製作される前の兄弟たちの活躍を描く『TWIN SIGNAL外伝 呪われし電脳神』が刊行されている。

正式名称
TWIN SIGNAL
ふりがな
ついん しぐなる
作者
ジャンル
その他SF・ファンタジー
 
バトル
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概要・あらすじ

ロボット工学の権威である祖父の家に預けられた小学5年の主人公、音井信彦は、完成間近の最新型の人間型ロボットに「自分の兄のような存在」というプログラムを入力してもらうが、事故のせいで完成したロボットのシグナルは、信彦のくしゃみによって、大きくなったり三頭身になったりする不完全なものになってしまった。

当初シグナル信彦とドタバタと暮らしていたが、海上都市に他のロボットたちと集まった時から、シグナルはシリアスなロボットバトルに巻き込まれていき、やがてはDr.クエーサーの作ったロボットたちと激しい戦いを繰り広げていくのだった。

登場人物・キャラクター

音井 信彦 (おとい のぶひこ)

小学5年生の男子(11歳)。元気で快活だが勉強は苦手(特に算数)。両親が海外で研究活動を行うため、日本のど田舎トッカリタウンに住む祖父、音井信之介 のもとに預けられる。天才ロボット工学者である祖父が作った最新の人間型ロボットのシグナルが立ち上がる際、彼が原因の事故が起き、以後シグナルは信彦のくしゃみによって、大きくなったり三頭身になったりするロボットになってしまう。 少年型シグナルを兄として、ちびシグナルを弟として大切に思っている。父もロボット工学者で、母はロボット心理学者。猫アレルギーで、作品当初はシグナルを変形させる際、猫でくしゃみを出して変形させていた。 作品が途中からシリアス路線に変更したため、変更以後は両親やシグナルらのロボットたちと行動をともにし、様々なトラブルに巻き込まれる。ロボットたちを、心の底から人間と対等と考えている。

シグナル

音井信之介 に造られた最新の戦闘型ヒューマンタイプロボット。伸縮変形自在、自己修復機能があり、情報の記録が可能という特殊金属「MIRA(ミラ)」と、「シリウス」と呼ばれる結晶体を用いた、光をエネルギーに転換する機構という、2つの画期的な新技術で作られたロボットである。 しかし、音井信彦が起こした事故のためシグナルは信彦のくしゃみによって、大きくなったり三頭身になったりする身体になってしまう(可変金属を使ったボディのせい)。大きい時(少年型)の設定年齢は16歳で、戦闘用に作られたため好戦的、かつ経験不足のために思慮に欠ける言動をとる。熱放出やエネルギーとして光を取り込む部位として用いるため、髪の毛が地面を引きずるほど長い。 顔のモデルは若いころの正信(信彦の父)。三頭身化した時は言動も3歳児化してしまい、ロボットのくせにチョコレートをむさぼり食う。信彦の兄としてプログラムされているが、小さくなると弟になってしまう。小さくなった時には、少年タイプの時の記憶データをある程度保持しているようだが、小さい時の記憶は元に戻った時には保存されない(一度だけ手紙で状況や意思を伝え合ったことはある)。 立ち上がる前の電脳空間での経験(トラブル)のせいで、お化けに弱く、フェミニスト。エララという女性型ロボットに好意を抱いている。シリアス路線変更以後は、戦闘能力を活かして、Dr.クエーサーの作ったロボットたちと激しい戦いを繰り広げる。

音井 信之介 (おとい しんのすけ)

音井信彦の祖父(父方)で、世界初の人間型(ヒューマンタイプ)ロボット(「HFR」と略すこともある)を作った超天才ロボット工学者。63歳。伸縮変形自在、自己修復機能があり、情報の記録が可能という特殊金属「MIRA(ミラ)」と光をエネルギーに転換する機構を開発し、シグナルを作る。 半隠居状態で、日本のど田舎トッカリタウンに「音井ロボット研究所」を構えている。隠居前は、シンガポールに本部がある「シンクタンク・アトランダム」というロボット研究施設で、人間型ロボットの開発・製作を行っていた。8歳年下の妻の詩織を、シンクタンク・アトランダムの施設の爆発事故で亡くしている(同じ事故でDr.カシオペアも夫と子供を亡くし、音井みのるも両親を失った)。 ロボット・プロレスのファン。

クリス・サイン (くりすさいん)

かなり初期に天才美少女ロボット工学者と名乗り、道場破りのような形で「音井ロボット研究所」に大型ロボットのセリオンを伴って現れた。17歳の白人少女。初登場時は、セリフの一部がカタカナになっており、変な日本語を喋っていた(2回めの登場時からは普通に喋るようになる)。セリオンをシグナルと戦わせるが、自滅してしまい、反省して「音井ロボット研究所」の住み込みの家政婦兼助手になる。 エプシロンというロボットを研究所の機材を勝手に使って作り、シグナルにリベンジを挑むが失敗する。パルスが来てからは、彼のメンテナンスを担当。作品途中でシンクタンク・アトランダムに所属しているロボット工学者の、コンスタンス・サイン・キムの年の離れた妹であることが判明し、セリオンも姉の製作物であったことがわかる。 実家に連れ戻されることを非常に恐れている。シリアス路線になっても登場回数はあまり減らず、最終決戦にも同行している。小説版では、かなり前からパルスに好意を抱いていた。

荒谷 光 (あらや ひかる)

トッカリタウンに住む小学5年生の女子。音井信彦のクラスメイト(5年1組)で、姉の晶 は警察官。ちびシグナルを激しく欲しがっており、そのため何度かトラブルを起こしている。

ロイ・マチス (ろいまちす)

トッカリタウンにある小学校の校長(学校名不明)。年齢不詳の中年男性。スキンヘッドで丸いサングラス(J・P・ゴルチエタイプ)をかけている。クリス・サインの叔父で、キティという凄くやんちゃな3歳の娘がいる。部品の収集が趣味で、初登場時はロボットを集めており、クリスが作ったとされるゴメイサというロボットを所有していた。

江神 美咲 (えがみ みさき)

トッカリタウンに住む小学5年生の女子で、音井信彦のクラスメイト(5年1組)だが、身体が弱くてめったに学校に来ない。実は吸血鬼で、大きな洋館に父のカーライト・江上侯爵と召使と住んでいる(父も吸血鬼で、召使は妖怪)。父は、魔界のカジノで億単位の借金を作っているギャンブラー。 母は、やたらと霊体が離脱する体質で、夫の借金癖を嫌がり、別居して温泉付きペンションを営んでいる。

エララ

『TWIN SIGNAL』に登場する女性型ロボット。初登場時はトッカリタウンの金持ちの初老の男性の養女となっていた。妻が死んだために精神を荒ませていた義父だったが、事故が起きてシグナルとエララが適切な対処を行ったため、反省して心の平穏を取り戻した。シリアス路線になってから、エララはDr.カシオペアの作った看護用人間型ロボットであることがわかる。 初老の男性の妻が、Dr.カシオペアの友人であり、彼女が病気になったことにより、エララが看護のために養女に入っていた。海上都市リュケイオンで行われる「ロボット博覧会」への参加を、音井信之介が拒否したため、シグナルの特殊金属MIRA(ミラ)のメンテナンスを行う者として、機能を追加して音井正信の家族に同行した。 ユーロパという双子の女性型看護用ロボットが存在し、「海上都市リュケイオン編」では対立した。その後、ユーロパとは事件解決によって和解する。コードという兄、エモーションという姉がいる。エララという名前は木星の衛星からつけた。

真城 守 (しんじょう まもる)

トッカリタウン警察署にやって来た新任の警官の青年。熱血漢で、熊狩り用の罠を縄につけた奇妙な武器を使用する(「投げベア」)。ロボットが大嫌いで、シグナルら人間型ロボットを「人真似カカシ」などと罵るが、自分の怪我にシグナルが命を張ってくれたことに感謝してからは、その感情はやわらいだ。 パルス窃盗事件の際は、犯人の梅小路星麿を逮捕する手柄を上げる。

パルス

『TWIN SIGNAL』に登場する人間型ロボット。音井信之介が造り、息子の音井正信が改造した戦闘型の人間型ロボット。改造された後の、正式な形式名称は、<A-P>PULSEVer.2.0。シグナルと同じく、顔のモデルは若いころの正信。シグナルの前機種で、つまりは兄(音井ブランドロボットでは、次兄になる)。 設定年齢は19歳。髪をオールバックにして、いつも黒いコスチュームを身に着けている。格闘技のみならず、目からはレーザーを発射し、両方の手首に高分子ブレード(炭素クラスター製)を装着している。ただし、レーザーを撃ちまくると、眼球部分のレンズが溶けて視力が低下してしまう(補完するため、耳の部分にセンサーが付いている)。 炭素素材が多用されているが、特殊金属MIRA(ミラ)を素材にしたシグナルほど放熱効率は良くないため、電子脳や体内の電子部品冷却のため、頻繁に休息を取らねばならない。シグナルほどではないが、放熱用の髪の毛は長い。初登場時、音井信之介に恨みを抱く梅小路星麿に拉致され、「シグナル破壊」を命じたプログラムを入れられてしまう。 シグナルとの戦闘中にこれは無力化されるが、プログラムを取り込んでしまった結果、やたらとシグナルに張り合おうとするバグが生じることになる。

音井 正信 (おとい まさのぶ)

音井信彦の父で35歳のロボット工学者の助教授。素顔のままだと若くみられるため、これを嫌い、度の入ってない伊達メガネをかけている。少し長髪気味の髪型。子供の頃から父の音井信之介の職場だったシンクタンク・アトランダム本部に出入りし、ハッカーとして様々なプログラムを作成していた。 自分で人間型ロボットを開発・製作したことはないが、父の作ったロボットを改造しまくっている。妻は、ロボット心理学者の音井みのる。作品開始時は夫婦で海外に出て研究旅行をしていたが、後にシンクタンク・アトランダムの幹部に就任する。12歳で仲良くなった人間型ロボットのカルマを兄と慕っていた。 外伝の『呪われし電脳神』では、正信が14歳の時に、暴走した人間型ロボットのギアを、コード、エモーション、カルマと協力して倒す姿が描かれた。

音井 みのる (おとい みのる)

音井信彦の母で36歳のロボット心理学者。年齢よりかなり若く見える上、一見天然の癒し系だが、心理学者として非常に鋭い観察力を持っている。子供の頃、シンクタンク・アトランダムの施設の爆発事故で両親を亡くしている。同じ事故で夫と子供を亡くしたDr.カシオペアが彼女を養女にした。 爆発事故がトラウマとなり、火を使えなくなったため、料理には、IH加熱器や電子レンジを使っている。Dr.カシオペアの家で、ホログラフのコードとエモーションに会い、兄や姉のように慕うようになる。

ハーモニー

『TWIN SIGNAL』に登場するロボット。音井信之介やDr.ハンプティたちが作った世界初の人間型ロボット(ヒューマンフォームロボット。「HFR」と略されることが多い)だが、性別はなく、身長30㎝の妖精のようなボディでいつも宙に浮いている。一人称は「ボク」。初起動時から、すでに30年以上が経過している。

アトランダム

『TWIN SIGNAL』に登場するロボット。シンクタンク・アトランダムが、初めて製作しようとしたロボット。だが、開発・製作者たちが気張りすぎて、ソフトとハードのバランスが非常に悪く、音井信之介に引き渡されたものの、暴走やボディ破壊を繰り返し、ついには頭だけの存在となって封印されてしまう。封印から20数年後、海上都市リュケイオンで行われる「ロボット博覧会」でのメイン展示として復活するが、封印された恨みをDr.クエーサーに利用され、リュケイオンとリンクしていた人間型ロボットのカルマをコントロールしてリュケイオンを乗っ取ってしまう。 アトランダム はカルマに、シグナルの特殊金属MIRA(ミラ)を奪わせる。 また看護用女性型ロボットのユーロパは、「自分は製作者に捨てられた」という記憶データをDr.クエーサーに植え付けられ、製作者Dr.カシオペアへの復讐を誓ってロボット工学を身に付け、奪った特殊金属MIRA(ミラ)でアトランダム に新しいボディを作る。MIRA(ミラ)製の身体はアトランダム の強力なソフトウェアに合致し、リュケイオンで大暴れする。 同時に音井正信 や信彦の殺害まで企てる(信彦のくしゃみに、シグナルの特殊金属MIRA(ミラ)で作った自分のボディが反応して変調をきたすため)。だが、Dr.クエーサーの企みに気がついてユーロパとともに海中に身を投じる。 その後、修理されたアトランダム は、許されてDr.カシオペアの家でユーロパと住むことになる。しかし、後にDr.クエーサーの作った人間型ロボットのクォーターの脅迫によって、アトランダム はまた事件を起こすことになる。

ユーロパ

『TWIN SIGNAL』に登場する女性型ロボット。Dr.カシオペアによって作られた看護用人間型ロボットで、エララと同時に製作された双子。Dr.カシオペアの弟のDr.クエーサーに預けられた時に「自分は製作者に捨てられた」という記憶データを植えつけられ、エララやDr.カシオペアに復讐を誓い、ロボット工学を身に付けて自身を改造し、アトランダム の暴挙にも手を貸す。 が、すべてDr.クエーサーの陰謀と知ってからは改心し、Dr.カシオペアの家でアトランダムと住むことになる。

カルマ

『TWIN SIGNAL』に登場する人間型ロボット。シンクタンク・アトランダムのメンバー合同で製作された。海上都市リュケイオンとリンクし、都市をコントロールする「市長」として作られた。設定年齢21歳。製作されてから、非常に長期にわたって調整され、一時は音井信之介の家にも預けられていたため正信 とも仲がよく、音井正信 はカルマを兄と慕っていた。 Dr.ハンプティからダーツを教わっていたので、投げナイフがとてもうまい。「海上都市リュケイオン編」でアトランダム に身体のコントロールを奪われ、正信 を攻撃してしまったため、トラウマが残っている。その後は、「A-ナンバーズ統括」プロジェクトで、シンクタンク・アトランダムで作られた人間型ロボット、すなわちA-ナンバーズロボット(アトランダム-ナンバーズロボット)のリーダーとなり、彼らの管理を行うことになる。 任務についた直後、Dr.クエーサーが作った人間型ロボットのクォーターの暗躍による事件の数々に対処しなければならなくなった。

コンスタンス・サイン・キム (こんすたんすさいんきむ)

ロボット工学者の女性で、音井正信 の大学の研究室の後輩。かつ、クリス・サインの歳の離れた姉。ロボット雷電や、クリスが勝手に持ちだした大型ロボット、セリオンの製作者。やたらと人見知りするマリエルという娘(初登場時9歳)と、やんちゃなテリエル(テリー)という息子がいる(マリエルの弟)。

オラトリオ

『TWIN SIGNAL』に登場する人間型ロボット。音井信之介が作った、巨漢の青年の外見をしたロボットで、白が基調の冷却用コートを着ており、それを脱ぐと19世紀の軍服のようなコスチュームになる。音井ブランドロボットでは、長兄になる(長女ラヴェンダーからは弟)。設定年齢25歳。初期は江戸っ子のような伝法な口調だったが、普通に軽い感じの話し方になる。 やたらと女性を口説く。情報処理専門に製作されたロボットで、世界最高の演算能力を持つスーパーコンピュータを使用する情報管理ネット「オラクル(神託)」を守る非常に強力な守護プログラムであり、同時にオラクルが壊れたりした場合のスペアとなる予定の存在である。 オラクルに許可無く侵入しようとする者は、相手のハードごと焼ききってしまえるような権限を持っている。「ロボット三原則」的な倫理観はなく、「敵」とみなせば、たとえ人間であろうと対決姿勢をとる。戦闘型として作られてはいないが非常に強く、かつてロボットプロレスチャンピオンを「秒殺」した事がある。 以後、A-ナンバーズロボット(特に音井ブランド)は、ロボットプロレス出場禁止になってしまった。Dr.クエーサーは彼の設計図を基にして、クォーターを製作した。

ラヴェンダー

『TWIN SIGNAL』に登場する人間型ロボット。音井信之介が単独で初めて作った、女性型ロボット。音井ブランドのファーストナンバー。設定年齢24歳。女性高官などをガードするために製作されたもので、戦闘用ではないが、格闘性能は非常に高い。ただ力の加減ができないようで、戦闘中は周囲の施設が粉々になってしまう。 女性の要人から人気があり、仕事の依頼は多い。テレビなどによく映るため、シンクタンク・アトランダムや音井ブランドの広告塔的な存在である。

コード

『TWIN SIGNAL』に登場するロボット。シンクタンク・アトランダムが二番目に作ろうとしていたバンドル(<A-B>BUNDLE)のサポート用ロボットとして計画されたが、バンドルが失敗して廃棄されたため、先にDr.カシオペアによって作られていたコードの自我プログラムだけが電脳空間に残っていた。 後に音井信之介博士がシグナルのサポートとしてコードのボディを作ることとなった際、自ら鳥形を選び、特殊金属MIRA(ミラ)製の身体を得た。現実空間での経験は少ないながらも、A-ナンバーズロボットとしては一番稼働時間が長く、経験も豊富である。その分一番頑固で偏屈だが、もし人型であれば、A-ナンバーズロボット最強であろうと謳われている。 対アトランダムの戦闘では、シグナルとMIRA(ミラ)で融合し、シグナルを飛躍的に強化して、アトランダムの能力を凌駕するに至った。また、電脳空間では人型になり(少年の侍のような姿)、「細雪(ささめゆき)」と呼ぶ日本刀型をした攻撃プログラムで、いかなるプログラムも塵芥と化してしまう。 以前に、斬り過ぎて「音井ロボット研究所」の電脳空間の壁も斬って穴を開けてしまい、そこから起動前のシグナルの自我プログラムが迷いでる事件を起こしたことがある。Dr.カシオペアが作ったエモーション、エララ、ユーロパ、そしてをDr.カシオペアに引き取られたみのるを妹と見なしており、大切にしているが、時として度を超えて近づく男性型ロボットなどを攻撃するシスコン的傾向がある。 オラトリオは彼を師匠と呼ぶ。

マーガレット・くえーさー・カシオペア (まーがれっとくえーさーかしおぺあ)

年老いた女性ロボット工学者かつロボット心理学者。81歳。両親が立ち上げたシンクタンク・アトランダムを、弟のDr.クエーサーとともに継承し、大きくした。「ロボット・プログラミングの母」と呼ばれて世界中から賞賛されている。コード、エモーション、エララ、ユーロパという自我プログラムもしくはロボットを製作した。 引退していたが、Dr.クエーサーの不穏な動きのため、シンクタンク・アトランダム本部に出向いている。むかし、シンクタンク・アトランダムの施設の爆発事故で夫と子を失い、事故唯一の生きのこりであったみのるを養女として引き取って育てた。

エリオット・S・クエーサー (えりおっと・すていしー・くえーさー)

年老いた男性ロボット工学者。両親が立ち上げたシンクタンク・アトランダムを、姉のDr.カシオペアとともに継承し、大きくした。シンクタンク・アトランダム総帥。物事にあまり興味を示さず、感情を表に出さない。気難しく、ニヒリストで、ロボットや人間を道具としてしか見ていない。 人々がロボットに求めるのは、「自分に都合の良い存在」だと言い切り、「人間を甘やかすロボットは、いずれ人類を滅ぼす」とまで考えている。作品が後半に入った途端、施設の爆発事故で死んでしまうが、その裏には恐ろしい真実が隠されていた。どんどん人間臭くなる音井ブランドのロボットを嫌うが、ラヴェンダー、オラトリオ、パルスそれぞれのコピーである人間型ロボットのクワイエット、クォーター、クィーンを製作していた。 信彦にとっては、戸籍上は「大叔父」に当たる。

クォーター

『TWIN SIGNAL』に登場する男性型ロボット。シルクハットを被り、モノクルを左目につけている。Dr.クエーサーによって作られた、音井ブランドロボットのオラトリオのコピー。オラトリオがオラクルを絶対的に守るように、クォーターはDr.クエーサーに絶対的忠誠を誓い、様々に暗躍する。 情報処理能力の高さから、たやすくオラクルに侵入し、オラクルを監禁してMIRA(ミラ)とシリウスの情報を奪った。その辿り着いた先は、あまりに恐ろしい結末だった。

クィーン

『TWIN SIGNAL』に登場する女性型ロボット。Dr.クエーサーによって作られた、音井ブランドロボットのパルスのコピー。戦闘型で、非常に好戦的。戦闘依存症と言っても良いほど。しかし、ラヴェンダーとの戦闘に苦戦する。最後までクォーターに付いて行こうとするが、途中で彼が恐ろしくなる。

クワイエット

『TWIN SIGNAL』に登場するロボット。忍者装束の青年という外観をしている。Dr.クエーサーによって作られた、音井ブランドロボットのラヴェンダーのコピー。戦闘力は非常に高いが、クオンタムシリーズのうち一番最初に作られたので、プログラムなどはDr.カシオペアに手伝ってもらっており、そのせいか一番良心的でクォーターをなんとかして止めようとしているうち、最終決戦に突入する。

オラクル

『TWIN SIGNAL』に登場する人格プログラム。世界最高の演算能力を持つスーパーコンピュータを使用する学術研究機関専用の情報管理ネット「オラクル(神託)」で走っている。サービスを利用するには登録が必要。不法侵入しようとすると、オラトリオによって焼きつくされる。電脳空間や、一般に公開していたCG画像は、色違いのオラトリオという感じ(帽子を被ってない)。 侵入者ハッカーに対して、非常に強い恐怖感を示す。また、現実世界の知識が乏しく、時々トンチンカンな発言をする。

エモーション

『TWIN SIGNAL』に登場する人格プログラム。シンクタンク・アトランダムでDr.カシオペアが製作した女性型人格プログラム。機械のボディは存在せず、人間はモニターかホログラフを見るしか無い。初めて会った存在には、自分の長い名称を全部言う。非常に長い緑色の髪を左右に伸ばしているが、いつも浮いているので毛先は地面につかない。 コードの妹で、エララ、ユーロパ、そしてDr.カシオペアに引き取られたみのるを妹と認識している。立ち上げ前に、自我プログラムが電脳空間に迷い出てしまったシグナルを、元の場所に返したりした。そのためシグナルは、エモーションと類似の存在であるエララに惚れてしまったようだ。

ジョルジオ・ハンプティ (じょるじおはんぷてぃ)

シンクタンク・アトランダム幹部クラスのロボット工学者。音井信之介 と同世代。明るい性格で、本名のゲオルグ=アイシュタントではなく、芸名のような本名からもじった名前を使っている。人間型ロボットのメッセージ <A-M-1>MESSAGEの製作者。非常に明るい性格の、イタリア好きのドイツ人。 妻は、やはりロボット工学者のアーシュラ=アプサラス=ハンプティで、褐色の肌をしている。彼女もシンクタンク・アトランダムに勤務していた。子供が3人いて、ロボットのメッセージが面倒を見ている。

マリア・プルニエ (まりあぷるにえ)

シンクタンク・アトランダム幹部クラスの女性ロボット工学者。音井信之介 と同世代。人間型ロボットのメッセージ <A-M-1>MESSAGEの製作者。人間型ロボットの您好ニイハオ <A-N>Ni-haoの製作者でもある。Dr.クエーサーの死亡の知らせを受け、弔問に訪れた。 ロボットのカルマの「A-ナンバーズ統括」を承認する。

ダミュエル・ホーン (だみゅえるほーん)

シンクタンク・アトランダムで、Dr.クエーサーの助手をやっていた白人の青年。Dr.クエーサーの死後、それまで公開されていなかったクオンタムシリーズ3体をシンクタンク・アトランダムのコンピュータに登録した後、シンクタンク・アトランダムを辞任して姿をくらます。

クイック

『TWIN SIGNAL』に登場する人間型ロボット。中学生男子くらいの容姿を持つ。Dr.クエーサーがシグナルのコピーロボットとして、作りかけで放置していた人間型ロボットで、Dr.クエーサーの死後にクワイエットが組み立てて動くようにしたもの。そのため、彼は正式なクオンタムシリーズではなく、シンクタンク・アトランダムに登録されなかった。 それゆえクォーターから「出来そこない」と罵られ、ただでさえ情緒不安定なプログラムが、一層おかしくなる。そのため、遭遇したA-ナンバーズロボットのニイハオを、必要以上に攻撃して破壊した。しかし、後にシグナルに負けて傷つく。結局最終決戦には参加せず、シンクタンク・アトランダムに引き取られた。

黄 履荘 (うぉん りーちゅわん)

シンクタンク・アトランダムを、Dr.カシオペア・Dr.クエーサーの両親とともに立ち上げた中国系の元ロボット工学者で、かなりの高齢男性。カシオペア姉弟の両親の死後、姉弟の後見人となってシンクタンク・アトランダムの存続に貢献した。引退してからは、クアラルンプールで占い師をやっている。 信彦やシグナルたちに会い、Dr.クエーサーの別荘がクォーターのアジトだろうと教える。Dr.クエーサーを「エリー坊や」と呼ぶ。

その他キーワード

シンクタンク・アトランダム (しんくたんくあとらんだむ)

『TWIN SIGNAL』に登場する機関。ロボット工学技術の向上を目指し、Dr.カシオペア・Dr.クエーサーの両親であるクエーサー・ステイシー夫妻が、私財でシンガポールに土地を購入して研究所を建造した。数々の失敗や事故を乗り越えて、人格プログラムや人間型ロボットの開発に成功し、今日に至ったもの。 シンクタンク・アトランダムで製作される人間型ロボットは、「A-ナンバーズ(アトランダム-ナンバーズ)」と呼ばれ、その品質の高さやあまりに人間臭い言動に、人々は驚愕するのだった。

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