栞と紙魚子

栞と紙魚子

奇妙な事件に巻き込まれやすい栞と、物知りで怪異にも詳しい紙魚子のコンビが、さまざまな事件に巻き込まれていく一話完結型のシリーズ作品。クトゥルフ神話を素材とした要素など、パロディ的な手法も数多く見ることができる。2008年の第12回文化庁メディア芸術祭で、マンガ部門優秀賞を受賞した。

正式名称
栞と紙魚子
ふりがな
しおりとしみこ
作者
ジャンル
ギャグ・コメディ
 
ホラー
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概要・あらすじ

仲のいい普通の女子高生ふたり組が、胃の頭町に住む奇妙な住人たちと出会い、時には命の危険も伴うような怪奇現象と遭遇していく。怪事件に遭遇した人物から相談を受け、原因を調べたり事件そのものを解決する立場となることも多い。

登場人物・キャラクター

(しおり)

背中までのびた黒髪に、目が大きく整った顔立ちの美少女。珍しいものに魅了されやすく、見つけたり捕まえたものを持ち帰る性癖がある。奇現象を見つけやすい体質である以上に、見つけると危険と思っていても近づかずにはいられないため、不思議な事件の中心にいることが多い。家族には両親と、章という小学三年生の弟がいる。

紙魚子 (しみこ)

前髪を上げて太いフレームのメガネをかけていることと、三つ編み2本のお下げ髪が特徴の女子高生。現実的で奇妙な出来事に遭遇してもあまり動じないタイプだが、本好きで特に珍しい本には目がなく、見つけると我を忘れ手に入れようとする。ボーダー柄のTシャツにパンツといった格好が多く、飾らない性格が出ている。

ボリス

『栞と紙魚子』シリーズに登場する、栞の家で飼われている6歳になるオス猫。人間の姿になることができるが、額が後退した中年太りの男性という年齢に応じた姿となる。人間になっているときは栞や紙魚子を「姐(あね)さん」と呼び普通に会話もできるが、猫の習性を持ったままなのでネズミを捕まえて咥えてきたり、中年男性の顔のまま頬ずりや身体をなすりつける。 現実と隣り合う異世界で、「ねこや」という骨董品の店を経営しており栞たちがそこを訪れたこともある。

クトルーちゃん

段一知の娘でまだ幼いが、人間離れした奇妙な行動をとることが多い。ボサボサ頭に大きなリボンをつけており、大きなギョロ目が特徴。栞が友達のピンチヒッターでベビーシッターのアルバイトをして以来懐いている。「テケリ・リ!」と叫んで暴れ回ったり、虫が飛んでいると首を伸ばして食べるなど奇怪な行動をとるため、保育園に入れても断られてしまう。 名前はクトゥルー神話を象徴する存在でもある存在クトゥルーからきている。

段 一知 (だん いっち)

胃の頭町で長い間空き家になっていた“お化け屋敷”に引っ越してきた人物で、クトルーちゃんの父親。奇行で有名なホラー作家でもあり、紙魚子もその存在を知っていた。ぬいぐるみに化けて訪問者を脅かす趣味がある。名前は、クトゥルー神話に描かれる架空の村「ダンウィッチ」からきている。

クトルーちゃんの母

『栞と紙魚子』シリーズに登場する謎の存在。段一知の妻でクトルーちゃんの母親で、「外国人」と説明されているが明らかに人間ではなく、常に扉の隙間などから顔の一部と目だけが見える姿で描写される。色白の顔は巨大で、手は普通の人間と同じくらいの大きさだが異様に長い腕を扉の隙間から伸ばすこともできる。2本の足はあるものの魚に似た尻尾があり、全身にうろこがある人間に似た姿で現れたこともあるが、本人はその姿を恥ずかしがっていた。

ヨグ

『栞と紙魚子』シリーズに登場する怪物。クトルーちゃんが飼っている、赤いぐるぐる模様のある謎の物体、あるいは生物。ボリスが遊んでバラバラにしたため、ぬいぐるみか人形かと思った栞と紙魚子が縫い合わせて治したことがある。包丁を持って襲い掛かるなど、人に危害を加える危険な生物で、飛び出す絵本に隠れたり人間を引っ張り込んだりもできる。 クトゥルー神話に登場する「ヨグ・ソトース(あるいはヨグ・ソトホート)」を元に作られたキャラクター。

ムルムル

『栞と紙魚子』シリーズに登場する謎の小型生物。人に似た顔と、背中に生えた小さな翼、それと尻尾が特徴で、クトルーちゃんの母の実家の方にいっぱいいる食用生物。クトルーちゃんの母の両親がやってきた時に一緒についてきて、胃の頭町で繁殖した。性別が存在しないが、数匹で輪を作ってダンスを踊ると増える性質があり、人間を含め別の生き物が輪に加わるとその生き物の特徴を持ったムルムルが発生する。 クトルーちゃんの鼻に言わせると、佃煮にすると美味しいらしい。

早苗 (さなえ)

『栞と紙魚子』シリーズの登場人物で、栞や紙魚子と仲のいい女子高生。太り気味で、頭にカチューシャをしているのが特徴。ベビーシッターのアルバイトをしているが、段一知に脅かされたため、栞にピンチヒッターを頼んでおり、それがさまざまな出来事のきっかけともなっている。

マチ子 (まちこ)

『栞と紙魚子』シリーズの登場人物で、栞や紙魚子と仲のいい女子高生。ショートカットでボーイッシュな雰囲気の女の子。栞、紙魚子、早苗と4人で一緒に行動することも多く、時々奇妙な事件にも巻き込まれている。

鴻鳥 友子 (こうのとり ともこ)

学校で“蔦屋敷のお嬢さま”と呼ばれている女子生徒。栞や紙魚子とはクラスが異なり特に交流はなかったが、早苗に紹介され相談を持ちかけた。祖先の霊に取り付かれており、発作的に人肉料理を作ろうする傾向がある。

洞野 (ほらの)

栞たちの通う高校の文芸部に所属するメガネをかけた男子生徒で、奇妙な設定で話の筋もおかしなホラー小説を描いており同人誌も発行している。またホラー映画同好会にも所属しており、自作の小説を元にしたホラー映画も自身で監督し作っている。書いたものがなぜか時々現実化するのだが、ワープロの誤変換により意図しないものが出現することも多い。 紙魚子は「笑える」と洞野の小説を楽しんで読んでおり、同人誌に寄稿したこともある。栞には映画のヒロインになってほしいと何度もアプローチしている。

烏賊井 (いかい)

小説誌「ゲロゲロノベルズ」の編集者で、段一知の新しい担当となった人物。オールバックにした髪型と黒縁のメガネが特徴。担当作家の家を訪ね、常軌を逸した出来事に遭遇しても原稿を待ち続けることができるが、肝が太いというよりにぶい。

菱田 きとら (ひしだ きとら)

年齢不詳で放浪癖があるとされる新鋭の女流詩人。凄惨な作風の『殺戮詩集』を自費出版し注目されたが、恋人殺害の容疑で逮捕されたのち、心神喪失で無罪となり精神病院に入れられた。段一知のストーカーとなり胃の頭町にやってきて、ムルムルを食べながら路上生活をしている。

ゼノ奥さん (ぜのおくさん)

胃の頭町に住む身なりのいい夫人で、奇怪なペットをいくつも飼っているが、本人も空中を散歩している姿が目撃されるなど謎が多い。栞と紙魚子には時折ジョンという名のペットの散歩を頼んだりする関係。近隣の町では、胃の頭町の散歩道の先にいる「不思議な奥さん」が、悩みを忘れさせる不思議なお茶を飲ませてくれると噂になっている。

長姫 (ながひめ)

『栞と紙魚子』シリーズ登場する人間の女性の姿をした妖怪。十二単のような着物を着た長い黒髪の美女だが、性格が悪く栞たちの前に現れては嫌がらせをしていく。やや顔立ちも似ている栞に成り代わることも多い。胃の頭町の土地に古くから住んだ豪族・顎兼頼(あぎとかねより)の娘とされ、平安時代に討伐された平将門の首を投げたという伝説が残っているほか、戦国時代や江戸時代にも血なまぐさい伝説が残されている。

場所

胃の頭町 (いのあたまちょう)

『栞と紙魚子』の舞台となる架空の町。栞と紙魚子が住んでおり、町のいたるところに奇妙なスポットがある。現実の井の頭公園周辺をモデルとしているようで、町には胃の頭公園があり、「胃の頭駅」の周辺には「身肩台」や「首山」、「欝状寺」といった駅があって物語に登場することもある。

宇論堂 (うろんどう)

『栞と紙魚子』シリーズに登場する古書店。紙魚子の家で経営しており、一般の書店には出回っていないような奇妙な本ばかり並んでいる。紙魚子によれば、本の品揃えは父親の好みだという。

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