7人のシェイクスピア

7人のシェイクスピア

謎多き劇作者・詩人ウィリアム・シェイクスピアの半生を紐解きながら、16世紀のイギリスにおけるカトリックとプロテスタント、富裕層と貧民層の問題を通じて、いかにしてウィリアム・シェイクスピアという人間が成長したのか、なぜランス・カーターという名を名乗らなくてはならなくなったのかを明らかにしていく真実の物語。

正式名称
7人のシェイクスピア
ふりがな
しちにんのしぇいくすぴあ
作者
ジャンル
演劇
 
その他歴史・時代
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概要・あらすじ

16世紀のイギリス、リヴァプールの街に幼馴染のワース・ヒューズと従僕のミルと共に塩商人を営む青年ランス・カーターの姿があった。彼はある日、ボロボロになって川に流れ着いた黒髪の中国人の少女リーを拾い、屋敷に連れ帰り介抱する。かろうじて声が出るくらいに喉を潰されていた上に英語の話せないリーだったが、ミルの熱心な教育で言葉を理解し、彼女が綴った詩(ソネット)は、教会で行われる芝居の脚本に悩んでいたランス・カーターに衝撃を与えた。

リーのソネットを採り入れた脚本は瞬く間に評判になり、さらにリーの持つ未来を知る能力で商売も成功し、新たな可能性を求めてロンドンに移る準備を進める4人。だが、そんな折にリーは3人の秘密に触れてしまう。

彼らには、隠さねばならないもうひとつの「顔」があったのだ。その謎を明らかにするため、物語はランス・カーターことウィリアム・シェイクスピアの幼少時代まで遡っていく。

登場人物・キャラクター

ランス・カーター (らんすかーたー)

16世紀のイギリス、リヴァプールで塩商人を営む。弁の立つ男で、自分にとって得になる計算を頭の中でしているときに口ヒゲを撫でるクセがある。幼馴染のワース・ヒューズ、従僕のミルらと共に暮らしていたが、未来を予知できる中国人の少女リーが持つ詩の才能に触れたことで、芝居の脚本家として目覚めていく。 少年期、青年期に起きた事件をきっかけに故郷を離れ、とある目的からワースたちとロンドンへ行くことを決意する。イギリスの劇作家であり詩人のウィリアム・シェイクスピアをモデルにしたキャラクター。

ワース・ヒューズ (わーすひゅーず)

幼馴染のランス・カーターと共に食料品ギルドで商売を営む。商才に長けているものの、自他共に厳しくランスのような愛想もないことが欠点。初めはリーが屋敷に留まり続けることに対して懐疑的であったが、商売の窮地を救ってくれたことをきっかけに次第に態度を軟化させる。本名はジョン・クーム。

リー

リヴァプールのマージー川にあるチャイナタウンで育った黒髪の中国人。少女。未来を予知できる力を持っていたがゆえに、「黒い女神」という名の魔女として中国人からも恐れられる。実父に喉を焼かれ、嵐の夜に生贄として差し出されたが、氾濫した川に流され辿り着いた場所でランス・カーターに拾われた。 ミルらの献身的な教育のおかげで覚えた英語を使い、詩の才能を発揮する。未来視の力は健在だが、か細くて弱々しく、やや聞き取りにくい声でしか喋ることができない。

ミル

従僕としてランス・カーターとワース・ヒューズに仕える中年の男性。言葉の話せないリーに英語を教え熱心に世話をするなど心優しい性格。熱心なキリスト教徒であるが、新教(プロテスタント)が国教であるイギリスでは禁止されている、旧教(カトリック)の司祭であったため公言することはできない。 本名はラドクリフ。

クレタ

ロンドン帰りのワイン商で、リヴァプール一の美人と評判のアネット・ミラーに惚れている。アネットに求愛されているランス・カーターに嫉妬し、同じ脚本家としてギルド間での芝居対決を持ちかける。結果として観客からの評価はランスに及ばなかったが、市参事会を買収し勝利を得たことをアネットに見破られ愛想を尽かされてしまう。

ジョン・シェイクスピア (じょんしぇいくすぴあ)

ランス・カーターことウィリアム・シェイクスピアの父親であり、「ヨーマン」という身分の手袋職人。階級第一主義者で、支配階級である「ジェントルマン」になることを夢見て賄賂を贈り続けるが挫折し、堕落してしまう。気の触れてしまった妻メアリーとの関係は冷めきっている。

サイモン・ハント (さいもんはんと)

オックスフォード大学卒で、ランス・カーターことウィリアム・シェイクスピアが通うグラマースクールの教師をしているが、禁止されている旧教(カトリック)の司祭としてミサを執り行う裏の顔を持つ。新教(プロテスタント)による旧教狩りから逃れるためにフランスへと亡命する。

ジョン・コタム (じょんこたむ)

サイモン・ハントが去った7年後にストラトフォードへ秘密裏に赴任してきた旧教(カトリック)の司祭。ウィリアム・シェイクスピアたちを始めとしたカトリックを信仰する町民から慕われるものの、政府により連行されてしまい、弟のトマス・コタムと共に壮絶な拷問を受けることになる。

キャシー・ハムレット (きゃしーはむれっと)

ワース・ヒューズことジョン・クームのいとこであり、ジョンに一方通行に好意を寄せる女性。しかし、そのことを良しとしなかった両親によって強引な縁談を押し付けられ、思いを打ち明けたジョンに拒絶されたことから、川に身を投げ非業の死を遂げてしまう。

サー・トマス・ルーシー (さーとまするーしー)

ジェントルマン階級である「ナイト」の称号を持ち、ウォリクシャーの治安判事として一帯を治めている。熱心な新教(プロテスタント)の信仰者として旧教(カトリック)を弾圧している。鹿を盗んだ容疑で無実のウィリアム・シェイクスピアとジョン・クームを捕らえ、二人に絶望と苦難を与えた。

続編

7人のシェイクスピア NON SANZ DROICT (しちにんのしぇいくすぴあ のん さんず どろいくと)

ハロルド作石の『7人のシェイクスピア』の続編。16世紀のロンドンを舞台に活躍した謎多き劇作家であるウィリアム・シェイクスピアの真相を、大胆にアレンジして描く。副題は、シェイクスピア家の紋章に刻まれてい... 関連ページ:7人のシェイクスピア NON SANZ DROICT

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