かんなぎ

かんなぎ

霊感のある少年御厨仁が、自分の彫った女神像から突然現れた、産土神(その土地のすべてを守る神)を名乗る少女、ナギと暮らしながら、なぜ彼女がこの地に現れたかを探っていく、コメディとシリアスが入り混じった伝奇ファンタジーコミック。作者がクモ膜下出血で入院し一時連載が中断したが、三年後に再開した。また、再開の一年半前から、作者の実兄、結城心一が、スピンオフ作品『かんぱち』の連載を開始している。

正式名称
かんなぎ
ふりがな
かんなぎ
作者
ジャンル
ファンタジー
 
怪談・伝奇
レーベル
REXコミックス(一迅社)
巻数
全12巻完結
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概要・あらすじ

御厨仁は、霊感のある高校1年生の小柄な少年。母が早逝し父が海外へ仕事に出かけてしまったため一人暮らしをしている。ある日、が切り倒された神木で彫った女神像の中から突然美しい少女ナギが現れ、自分はこの土地(神薙町)の産土神(その土地のすべてを守る神)だと告げ、の家の居候になる。神木が切り倒されたせいで土地に「ケガレ」が発生し、それは災厄をもたらすから自分が祓わねばならないとナギは主張し、はその霊感のために彼女を手伝うことになってしまう。

やがて、の幼なじみや、彼が所属する高校の美術部員、ナギの妹であるもう一人の産土神も現れ、ナギの周囲は賑やかになっていく。

そして大きな事件がいくつも続き、の精神の成長とともに、ナギの正体とその存在理由や過去の出来事と「ケガレ」発生の真の原因も、明らかになっていくのであった。

登場人物・キャラクター

御厨 仁 (みくりや じん)

霊感のある私立高校1年生の小柄な少年。母が早逝し、父が海外へ仕事に出かけてしまったために一人暮らしをしている。ひどい味覚音痴。隣に住む幼なじみの青葉つぐみが食事の世話をしてくれる。中学の時に知り合った響大鉄に影響され、高校の美術部に入っているが、美術のセンスは皆無である。展覧会に出品するために、切り倒された神社の神木で女神像を彫っていた際、中から突然美しい少女ナギが現れ、成り行きで同居することになった。 美術部の先輩の女性から、あざ笑われるほど純情。かつ、小柄な自分の体型に劣等感を抱き、自分を他人に認めてもらおうとしていつも空回りをしていた。霊感があるため、人には見えないものや「ケガレ」が見えたり触ることができ、そのためナギの「ケガレ祓い」のアシスタントとなる。 同時に「神」としてのナギの正体とその存在理由に疑問を持ち、追究しているうちにいくつも大きな事件に出会い、精神を成長させながら秘密の核心に迫っていく。

ナギ

細身の美少女。前髪は切り揃えられており、腰まで届く水色の長髪をしている。一人称は「妾(わらわ)」で、二人称は「そち」。高飛車な態度と口の利き方をする。廃された神薙神社の御神木が切り倒され、その一部を材料にして御厨仁が彫った女神像の中から現れた。自らをこの土地(神薙町)の産土神(その土地のすべてを守る神)だと名乗る。 神木が切り倒されたせいで土地に「ケガレ」が発生し、それは災厄をもたらすから自分が祓わねばならないとナギは主張し、霊感のある仁に手伝いをさせる。器具を使わないと「ケガレ」が祓えないくらい神力は弱っている。仁の高校に通うようになる(ある教師と取引をして、高校の籍を手に入れた)。 人々の心を惹き付ければ神の力が強くなると考え、自分のファンクラブの設立に力を貸す。美術部の部員と行動を共にすることも多い。話が進むうち、ナギのアイデンティティが崩壊して家出をしたり、仁が彼女の「上位人格・高位存在」と会話をするなどして、次第にナギの正体が明らかになっていく。 さらに大きな事件の連続を経て、ナギの過去の因縁が示される。

青葉 つぐみ (あおば つぐみ)

御厨仁の隣の家に住む少女で、幼稚園に入る前からの幼なじみ。仁とは高校の同級生でもある。赤みがかった茶色の髪で、眉毛は太め。親に言われて仁の食事の世話をしている。ただし、料理のレパートリーは玉子焼きとおひたしのみ(後半で焼き魚ができるようになる)。かなり長い間、仁が自分より小さかったため、自分が彼の保護者だと思っている。 ナギは仁の腹違いの姉であるという説明を、あまり疑わずに受け入れた。いつの間にか美術部の部員と行動を共にしている。ナギやざんげちゃんの登場により、自分のものと思っていた仁が去ってしまう可能性に気づいてうろたえる。

ざんげちゃん

ナギの妹。正確には、川で分離された地域でも参拝できるように、産土神であるナギの依代である神木を株分けし、その木が別の神格(分身霊)を持ったもの。その神格が自分の敏感すぎる霊感に疲れ果てた高校生の少女、涼城白亜に憑依し、意識の主導権をとった存在である。腰まである黒い長髪で、十字架型の髪留めを使っている。 神木が白亜の家である教会の敷地内にあるため、神としてのパワーはナギよりずっと強く、「ケガレ」を手で瞬時に祓うことができるし、集めて溜めておくこともできる。夜の街に立って人々の罪や悩みを1回100円で聞くという行為を行い、「ざんげちゃん」と名乗る(罪や悩みを持つ人々によくとり憑いている「ケガレ」の収集も目的)。 その姿が話題になり、地方テレビ局のタレントとして契約するに到り、神の力の増強に役立てている(ファンクラブも設立した)。見た目の可愛らしさとは裏腹に、腹黒い性格である。ある目的のために「ケガレ」を収集していた。

涼城 白亜 (すずしろ はくあ)

ナギの妹である神格ざんげちゃんの憑依を容認している人間の少女。御厨仁と同じ私立高校に通う。霊感が強すぎて、幼いころ母に死をもたらした「ケガレ」に類似したものがカラスのように見えたり、霊媒体質のため悪霊が集まって彼女に取り憑いてしまうという経験が何度もあった。神父である父親も正面から向き合ってくれず、悩み疲れ果てた白亜は、家の教会の敷地内にある巨木で首を吊ろうとした。 その時、神木が白亜に肉体を貸すように申し入れを行い、以後ざんげちゃんが誕生する。コントロールを完全に神木に渡してしまったわけではなく、意志を強く持つとざんげちゃんの支配を弱めることができる。仁と幼いころ夏のキャンプで出会ったことがあり、そこでの出来事のため彼に好意を持ち続けているが、「白亜」を「あくあ」と聞き間違えて覚えた仁は、ざんげちゃんとして出会うまで彼女と会えなかった。

響 大鉄 (ひびき だいてつ)

御厨仁の中学時代からの友人で、現在高校の同級生かつ美術部員仲間。大鉄は中学2年の時に、すでに身長190㎝に達していたほどの大男で、つり目に三白眼と恐ろしい容貌をしていた。また無口だったせいもあり、誰も彼と口をきこうとせず、教師を始めみんなから不良扱いされていた。しかし、自分の小柄な体格から、大きい人間や強い不良のような存在に憧れていた仁は大鉄に近づき、実は彼が不良でないと知って離れる。 が、本当の不良に手下にされかかっていた仁を、大鉄は身を呈して引き戻し、以後、真の友情を育むこととなる。美術センスは素晴らしく、先輩部員からも彼の絵は賞賛されている。廃された神薙神社の御神木が切り倒されたとき、木の一部を勝手に持ちだし、ひとつを仁に渡してナギ顕現の発端を作った。 しかし、その後ナギから木の一部を勝手に持ちだしたことを罵られ、またナギが仁を騙していると思い込み、以後、彼女とは何かと対立気味になる。

秋葉 巡 (あきば めぐる)

御厨仁と同じ高校に通う一年生で、美術部員仲間。髪は金髪に染めているが、いつもつむじのあたりだけ黒く戻っている。左利き。美術部員だが、いつも投稿用や同人誌用の漫画の原稿を描いている。漫画研究会は、口ばかりで漫画を描かないという理由で入部しなかった。巡の漫画は先輩部員から「何が起こっているかわからない」「世界観が既存の作品の影響を受けていてオリジナリティがない」などと評されている。 オタクだが、オタクは嫌い。そのくせオタクへの偏見に対しては、理論武装して反論する。オタク知識は非常に豊富で、町内のメイド喫茶に何度も行き、地元の同人誌即売会に自分で作った薄い本で参加する。 絵がうまい人の同人誌なら、女性向けでも平気で購入する。

木村 貴子 (きむら たかこ)

御厨仁と同じ高校に通う女子生徒で、先輩。美術部部長。額を出したおさげの髪型で、横に細い楕円形の眼鏡をかけている。極度の近眼で、外すと何も見えなくなってしまうほど。毒舌で、純真な仁を「トゥーピュアピュアボーイ」と呼んだ。私服姿がOLにしか見えない。カラオケは非常に上手いが、アニメ声になってしまう。 秋葉巡のせいで腐女子に目覚め、そっち方面の知識が豊富になる。「ナギ様公式ファンクラブ」の会員。

大河内 紫乃 (おおこうち しの)

御厨仁と同じ高校に通う女子生徒で、先輩。美術部副部長。おっとりとした雰囲気で、お嬢様しゃべりをする(実際、家は建築業系の資産家)。いつも部長の貴子と一緒にいる。髪型は肩甲骨くらいまであるセミロングで、目を閉じているように見えるほど細い。水着姿になると、非常にナイスバディ。 汐見市にプライベートビーチを持つ親戚がいる。また同市の海神の分身霊である幼い少女、神崎みうは親戚。

涼城 怜悧 (すずしろ れいり)

御厨仁の通う私立高校の宗教学の教師であり、神父の中年男性。涼城白亜の父親。年齢不明。霊媒体質の娘を助けるため、様々な知識を得たが、娘の心と真正面から向き合うことをしなかった。白亜をざんげちゃんから開放するという条件で、ナギに学校の籍を与えた。親バカ。

大東 (おずま)

タレ目で、常に前髪で右目を隠している男性。現在ではざんげちゃんが収集した「ケガレ」がひとつになったとき現れる人物。「ケガレ」の量が増えると、大人の姿になっていく。行動パターンや味の好みが、微妙に御厨仁やナギに似ている。ナギがらみの大きな事件の原因になる。実は過去(中世)の神薙町の場所にあった集落で、ナギと非常に深い縁があった人物。

火上 祥峰 (ひのうえ しょうほう)

ナギがらみの大きな事件の後に、やって来た御厨仁と同じ年くらいの人物。修験者として、辛く苦しい修行を行ってきた。人には見えないものが見えたため、親から疎ましがられ、修験道の寺に預けられた。その寺の古文書「大東記(おずまき)」を読んで、その寺の始祖と言われる大東に興味を持ち、彼の足跡をたどって神薙町へやって来た。 修験道の教えに則り、仁にアドバイスを行なって精神の成長を促し、大東とナギの過去の因縁を知ろうとする。験力で味方につけた枯木の精霊を2体連れている。

コノハ

火上祥峰が験力で味方につけた枯木の精霊。ふだんは蝶の姿で祥峰の近くにいるが、「樹の神」であるナギがいる神薙町では妖力が増し、人の姿になることができる。人としての姿は筋骨隆々のツインテールのゴスロリで、蝶の形の仮面を付けている。祥峰に命じられて、御厨仁の修行の手助けをする。

コノミ

火上祥峰が験力で味方につけた枯木の精霊。ふだんはテントウ虫(コノミ)の姿で祥峰の近くにいるが、「樹の神」であるナギがいる神薙町では妖力が増し、人の姿になることができる。人としての姿は眼鏡でスーツ姿の女性で、テントウ虫型の小さい帽子をつけている。祥峰に命じられて、御厨仁の修行の手助けをする。

アニメ

かんなぎ

美術部員の御厨仁が掘り出した木彫りの精霊像の中から少女が現れた。「この大地の母なる産土神(うぶすながみ)じゃ」と言い放った少女はナギと名乗り、何故か御厨仁の部屋に居候することに。 女神を自称する少女と... 関連ページ:かんなぎ

書誌情報

かんなぎ 全12巻 一迅社〈REXコミックス〉

第1巻

(2006-08-09発行、 978-4758060158)

第12巻

(2017-07-27発行、 978-4758066723)

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