THE MOMOTAROH

THE MOMOTAROH

桃太郎の子孫であり、「二代目・桃太郎」を襲名する主人公が、プロレスラーとして活躍するプロレス・ギャグ漫画。桃太郎以外のお伽話の人物も歴史上に実在していた設定であり、その子孫などがライバルとして登場する。特に、酒呑童子と鬼ヶ島の鬼の総大将を同一視して解釈するなど、一貫した歴史の因縁を作り出しているのが特徴。作者にわのまことの連載デビュー作である。続編に『THE MOMOTAROH PART2』がある。

正式名称
THE MOMOTAROH
ふりがな
ざ ももたろう
作者
ジャンル
ギャグ・コメディ
 
プロレス
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概要・あらすじ

太平プロレスというプロレス団体に所属する若きプロレスラー、ザ・モモタロウ。「二代目・桃太郎」を襲名する彼だが、かつて実在したという桃太郎の子孫である。さらに鬼ヶ島の鬼の子孫であるオニガシマ・ブラザーズや、坂田金時の子孫のサカタ・ザ・ゴージャス・キンタロウ、武蔵坊弁慶の子孫のザ・グレート・ベンケー、浦島太郎の子孫のウラシマ・まりん、一寸法師の子孫の七尺兄弟、かぐや姫の子孫のカグヤ・ザ・ムーンバトラーの他、酒呑童子倭建命(ヤマトタケルノミコト)など、伝説やお伽話の登場人物の子孫、もしくはモデルとしたキャラクターが数多く登場。

1987年以降の日本を舞台に、モモタロウとそのライバルたちのプロレス勝負が繰り広げられる。

登場人物・キャラクター

ザ・モモタロウ

日本のプロレス団体、太平プロレス所属の男性プロレスラー。8月1日生まれのB型。身長187cm、体重102kg。二代目・桃太郎を襲名した「桃太郎の子孫」で、ご先祖様の神通力が宿るももん羽織を裁断して仕立てたモモ・マスクを被って戦う覆面レスラー。素顔も本名も不明だが、日本中の大衆食堂で用心棒をしていた過去があり、その時出会った松平馬七の弟子となる。 実績はエース並だがレスラー歴は短く、団体内では若手扱い。空中技のダイビング・ピーチ・ボンバー、極め技のアグラ・ツイストなど四種の必殺技、モモ・スペシャルを持つ。さらに打・投・極を複合させた新必殺技、モモタロウ・ストライク・スリーを戦いの中で完成させる。 明るい性格で、試合中でもギャグを欠かさず、「おチャラカレスラー」と呼ばれることも。一人称は「ボク」「モモちん」。もんがーというキャラクターに変身するギャグが特徴で、次第にモモタロウともんがーは異なる意志を持つようになる。

松平 美樹 (まつだいら みき)

ザ・モモタロウに好意を抱くヒロイン。高校生で、学校の制服はセーラー服。父は太平プロレス社長の松平林吾(まつだいらりんご)、祖父は同会長の松平馬七(まつだいらばしち)である。モモタロウや父・祖父のギャグに対するツッコミ役を行うことが多い。嫁探しに日本を初めて訪れたウラシマ・まりんが、ひと目で求婚した美少女で、スタイルも抜群。 また、メディアを通じて、知人以外にも姿を見られる機会があり、太平プロレスの入門前に美樹と会話した三郎太が「(テレビなんかでしか見たことなかったけど)ジッサイかわいい~~っ」と見惚れていた。太平プロレスの雑用をこなす他、バーガール姿でリングガールをさせられたこともある。 一人称は「わたし」。

吉備津彦命 (きびつひこのみこと)

初代の桃太郎。ザ・モモタロウのご先祖様であり、彼の前に姿を現して手助けや助言を行う。幽霊だが、その霊力の強さから実体化しており、現実の物に触れることが可能。桃太郎は実在した人物として鬼ヶ島の鬼退治の伝説を残したとされており、さらにザ・グレート・ベンケーの先祖である武蔵坊弁慶を牛若丸よりも先に五条大橋で倒したとされている。 瞬発力と持久力を兼ね備えた「桃色筋肉」を有し、モモタロウが二代目・桃太郎を襲名できたのは、この筋肉を子孫の中で唯一受け継ぐからでもある。また、鬼征伐のために桃源流という剣法を編み出し、古代の忍法の「食術」を応用したハイパー・キビダンゴという秘薬を作ることができる。 「おとぎ話スーパー辞典」という本で日本の昔話の正確な記録を調べるなど、解説役もこなす。一人称は「オイラ」。

サカタ・ザ・ゴージャス・キンタロウ

ザ・モモタロウのライバルを自認する男で、金太郎(坂田金時)の子孫。神奈川県出身、1965年3月9日生まれのAB型、人呼んで「エンドレス・ファイター」。元は「“戦う貴公子”ゴージャス坂田」というリングネームだったが、自身の頭髪とモモタロウのマスクを懸けた試合に敗北し、頭頂を剃られる。 その後、現在の名に変えて金太郎の腹掛けに似たコスチュームで戦う。頭頂で倒立回転して蹴るカポエイラの応用技「アシガラ・スピン・キック」が必殺技。中国武術の一指禅を会得し、ムエタイやテコンドーの蹴りを放つなど、打倒モモタロウのため半年間の海外武者修行で様々な格闘技を身に付けた天才。 父は日本人事業家の坂田鋼鉄郎で母はフランス人タレントのフランソワーズ・モレソージャンという、日仏ハーフ。弟に坂田銀二郎、坂田銅三郎の双子がおり、ムッシュ・ガブリエルという熊を友人とする。潔癖症だが、女性にはモテる女たらし。一人称は「わたし」。

アカオニ・トム

作中においては、ザ・モモタロウの最初の試合相手となる男性プロレスラー。アメリカのデトロイト州出身で、1957年生まれのO型。身長185cm、体重140kg。全米で五指に入る強豪で、NWAとWWFのトップコンテンダー常連だった。「赤い金棒」の異名を取るトムさん・ラリアットを必殺技とする。 かつて日本に漂流した北欧の海賊の子孫であり、その先祖こそが桃太郎の退治した「鬼ヶ島の鬼」だった。オニガシマ・ブラザーズの長男であり、次男がアオオニ・マイク、三男がクロオニ・ジョニーという。三人まとめて「バカオニ3兄弟」と呼ばれることも。一人称は「オレ」(マイクとジョニーも同様)。

影幻 春架 (えいげん はるか)

奈良県出身の1964年11月7日生まれ、A型の男性。身長188cm、体重95kg。400年以上の昔から続く暗殺者集団、「黒武術」のリーダー(師範代)で、その創始者の子孫。黒武術は日本の歴史の黒子に徹していたが、先祖が創始した格闘術を闇に埋もれさせないため、ザ・モモタロウに代わって「真の二代目・桃太郎」を名乗ろうとする。 そのため、左源五郎を攫って銀綾地の反物からモモ・マスクを作らせ、ブラック・モモ・マスクを被るブラック・モモタロウとなった。元々は明るいナルシストな性格だったが、モモタロウに顔を傷付けられた恨みから暗い性格に変貌している。 一人称は「オレ」(性格が変わる前は「ボク」)。なお、黒武術の門下生として黒木麗羅、大波黒潮丸、ドン・栗五郎などがおり、太平プロレスとの対抗戦では、助っ人に七尺一寸と七尺二寸の七尺兄弟を呼んでいた。なお、影幻はアマチュアなのでプロレスラーではない。

イワン・シュテンドルフ

身長216cmの七尺二寸をも超える体格の大男。妖術で作った「鬼麹亜空間」が広がるとっくりを所有する。その中で絶えず溢れる「永遠の酒」に、屈強な強者を漬けることで強者のエキスを絞り出し、その酒を飲んで一千年もの間、若さと強さを保ってきた。その正体は、古の日本に漂流した異人の船の船長で、「大江山の酒呑童子伝説」に登場する酒呑童子や、鬼ヶ島の鬼の総大将である「鬼王温羅」でもある。 そのためサカタ・ザ・ゴージャス・キンタロウの先祖の坂田金時や、初代・桃太郎である吉備津彦命との因縁を持つ。1998年度のアース・クラッシュ・トーナメントに参戦、ザ・モモタロウたちの最大の強敵となる。 同大会では、かつての部下の子孫でもあるオニガシマ・ブラザーズ(アカオニ・トム、アオオニ・マイク、クロオニ・ジョニーの3人)に強者のエキスを与えてパワーアップさせ、配下としていた。一人称は「ワシ」。

倭建命 (やまとたけるのみこと)

600年後の未来の日本から来た男。その未来では世界大戦によって国家が崩壊し、武力が絶対の正義となり、一番強い者である倭建命が「神」と呼ばれていた。そして最強の軍隊である「神の軍団」を作るために、「桃太郎計画」と名付けた実験を遥か過去の日本で行っていた。現代を訪れた際も「神」を自称し、「神の摂理」の名のもとにザ・モモタロウを一方的に抹殺しようとする。 熊曾崩壊拳、草薙剣(クサナギソード)、曲玉散弾光、鳳凰逆落とし(フェニックス・ドライバー)などの必殺技を持ち、モモタロウを圧倒する。大和時代風の衣や鎧を身に付け、総角(みづら)と呼ばれる大和時代の髪型をしているが、モデルである大和武尊と直接の関係は描かれていない。 体重は252ポンド。一人称は「わたし」。

集団・組織

太平プロレス (たいへいぷろれす)

『THE MOMOTAROH』に登場する組織。松平馬七がコーチ兼オーナー兼会長、その息子であるGWA認定世界ヘビー級チャンピオン、松平林吾をエース兼社長とするプロレス団体。ザ・モモタロウが所属する他、モモタロウの後輩となる宮川三郎太(みやがわさぶろうた)や、バッカス木桜、ザ・ヒネクレマンズなどが在籍する。 また、破門された元門下生に猿田彦大輔(さるたひこだいすけ)という男がおり、モモタロウとの出会いののち彼の弟分として太平プロレスに復帰している。建物は一階が道場、二階が合宿所になっていて、若手のモモタロウと三郎太は同室である。なお、隣の敷地にはクラマ軍団の道場であるクラマ道場(正式名称はクラマ流格闘術フィットネスジム)が建てられることになるが、馬七はその敷地を「ウチの庭」だと抗議している。

クラマ軍団 (くらまぐんだん)

『THE MOMOTAROH』に登場する組織。クラマ・キッド・テングテングを長とするプロレスラー軍団。クラマ・キッドはテングリアン民族の末裔を名乗る天狗族の生き残りで、その弟子として、牛若丸と武蔵坊弁慶の血をそれぞれ引く牛馬鹿丸(牛バカ)とザ・グレート・ベンケーがいる。また、昔から天狗族に仕えてきたという烏天狗の子孫としてカラス・キッド・ブラザーズの三兄弟も軍団に所属。 元レスラーであるクラマ・キッドは松平馬七の現役時代のライバルであり、かつて再起不能にされた復讐(実際は自滅による逆恨み)のため、馬七の弟子のザ・モモタロウに挑戦する。この復讐劇に、弟子2人の「源氏を再興したい」という夢が合わさるだけでなく、ベンケーには先祖の武蔵坊弁慶が初代・桃太郎に倒されていたという私的な因縁も加わっている。 なお、道場のクラマ道場(正式名称はクラマ流格闘術フィットネスジム)を太平プロレスの隣の敷地に建てている。

イベント・出来事

アース・クラッシュ・トーナメント

『THE MOMOTAROH』における架空のプロレス大会。略してETC。毎年、世界各都市で開催されるプロレスラーの夢の祭典。文字通りに「地球をブッ壊す(アース・クラッシュ)ほどの男」という意味で、世界一強いレスラーを決める大会である。日本の選手は人材不足で今まで参加できていなかったが、太平プロレスの活動によって1988年度の参加が認められ、開催会場も東京ドームに決まる。 そこでは8プロックの予選リーグののち、勝ち抜いた8人でトーナメントを競う形式となった。なお、この東京大会の後援は臭衛社(しゅうえいしゃ)で、大会委員長の名前はサラマンチョである。

場所

ムー帝国 (むーていこく)

『THE MOMOTAROH』に登場する組織。幻の帝国であるムー帝国と、お伽噺の竜宮城とイースター島の文明がモデルとして合わさった、海底都市国家である。浦島太郎から数えて50代目となる子孫、ウラシマ・まりんを王子とし、まりんの嫁探しのために浦島太郎の故郷である日本を訪れる。高性能なセンサーとコンピューターを内蔵したウラシマ・メット'88年型や、移動要塞オヤガメFX-1など、高度なメカを開発する科学力を有している。 「強い男にすべてが与えられる」のが帝国の掟であり、そのため王子であるまりんは格闘技において帝国一の強さを誇る。まりんの侍女である3人のムー・ムー・ダンサーズの他、まりんのボディガード1号のシャーク・サメザメ、乳母のドラゴン・おババ、そしておババが仕込んだ戦士のモアイ・ザ・バーバリアン、国王(まりんの父)のウラシマ・ら・むーなどがムー人として登場する。

その他キーワード

ももん羽織 (ももんばおり)

初代・桃太郎である吉備津彦命が着て戦った陣羽織で、特殊な神通力を宿している。素材の銀綾地は「シルバー・ファブリック」とも呼ばれる特殊装甲繊維であり、現代では名工・左甚五郎の血を継ぐ左源五郎にしか加工できない。彼が銀綾地を裁断して仕立てたのがザ・モモタロウとブラック・モモタロウの被るモモ・マスクであり、これらのマスクの額には桃を象った「ピーチ・エンブレム」が施され、このエンブレムが様々な神通力を起こす。 なお、モモタロウは普段、紐ではなくファスナーで閉じるプライベート用のマスク(銀綾地ではない普通の生地のもの)と使い分けて着用している。

モモタロウ・ストライク・スリー

『THE MOMOTAROH』に登場する架空のプロレス技。ストライク・スリーという、鉄球・ギャロット・剣を組み合わせた白兵戦の武器(黒武術ではこれを真似て三位一体棒を開発した)をヒントに編み出された、ザ・モモタロウの第五の必殺技。格闘技における打・投・極のみっつの要素を複合させ、相手の両肘を交差させて「極め」ながらその交差点を膝で「蹴り」、背後へ「投げ」るというスープレックス技である。 従来の必殺技である、四種のモモ・スペシャルが通用しないイワン・シュテンドルフ対策として、影幻春架と松平林吾の協力のもと見出された技だが、シュテンドルフとの対戦前までは「打」と「投」のみしか含まれておらず、実戦の中でモモタロウ・ストライク・スリーとして完成した。

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