概要・あらすじ
讃岐桃子は雑誌で見たショウモデルの久保田健に憧れて、メイクアップアーティストになるために信州から上京。売れっ子メイクアップアーティスト「ロッキー池田」こと池田六樹に弟子入りし、メイクのノウハウや業界での礼儀作法を学んでいた。しかも憧れの健とも知り合い、冷たい態度を取りながら実は優しい心の持ち主である彼と、次第に気持ちを通い合わせていく。
しかしある日、桃子の周囲で殺人事件が発生し、交錯する憎しみの感情に刺激されて、記憶とともに封印されていた桃子の特殊能力が目覚めてしまう。それは桃子が生まれつき持っている能力で、触れた相手の考えていることや気持ちがわかってしまうというものだった。この特殊能力を利用して事件の真相をつきとめた桃子は、自首するように犯人を説得し、口封じに殺されそうになったところを健に助けられる。
事件は解決したが、かつてこの特殊能力のせいで周囲から迫害された経験がある桃子は、愛する健がわずかでも自分をうとましく思う気持ちを聞き取って傷つく前に、彼のもとを去って信州の田舎へ戻った。しかし事件の裏には黒幕がおり、まだ完全に解決したわけではないと気づいた桃子は、健の命を救うために再び東京へ駆けつける。
登場人物・キャラクター
讃岐 桃子 (さぬき ももこ)
信州から上京して来たばかりの女性。かつて雑誌で見たショウモデルの久保田健に憧れ、メイクアップアーティストになることを決意して上京。現在は池田六樹に弟子入りし、メイクのノウハウやモデル業界について一から教わっている。怒られてもめげない根性の持ち主で、仕事に対して常に一生懸命な努力家。6歳までいじめられっ子だったという過去を持つ。 実は触れた相手の考えや気持ちを読む能力を持っており、過去の記憶とともにその能力を封じられている。
久保田 健 (くぼた けん)
「ケン」の芸名でショウモデルをしている男性。周囲からもその実力を高く評価されているカリスマモデル。芸名は「ケン」。讃岐桃子の憧れの人物で、言葉は冷たいが、実はとても優しい心の持ち主。おべんちゃらを言って近寄ってくる他人を信用できず、熱帯魚に愛情を注いでいる。桃子のひたむきさに惹かれ、桃子の持つ不思議な能力を信じて受け入れる。
池田 六樹 (いけだ むつき)
売れっ子メイクアップアーティストの男性。業界内では「ロッキー池田」の名で知られる。讃岐桃子にとってはメイクの先生。男だが化粧をしており、話し方もオネエ口調。桃子に厳しくあたっているが、可愛がってもおり、桃子には見どころがあると感じている。築地の卵焼きが好物で、いつも桃子に使いっぱしりをさせている。
片桐 礼子 (かたぎり れいこ)
「レイカ」の芸名でショウモデルをしている女性。背が高く髪はボブヘア、きりっとした目元をしている。いつも池田六樹にメイクを頼んでおり、その縁で知り合った讃岐桃子に対しても優しく気遣う。山陰良と付き合っており、プロポーズまでされた。しかし、そのわずか2時間後に彼が自殺したことを不審に思い、何者かに殺されたのではないかと疑っている。
山陰 良 (やまかげ りょう)
「RYO」の芸名でモデルをしている男性。久保田健と交流があり、彼のことを深く信頼していた。誰にも内緒で片桐礼子と付き合っており、プロポーズをしたが、そのわずか2時間後に海に飛び込んで自殺した。
伊勢 行路 (いせ こうじ)
有名デザイナーをしている男性。芸名は「コージ・イセ」。日本人でありながら、ファッションの本場であるイタリアでファッションショーを成功させるなど、その活躍が話題を集めている。久保田健をモデルとして高く評価しており、イタリアのショーに抜擢する。
桃子の父 (ももこのちち)
讃岐桃子の父親。信州で陶芸をしている男性。幼い頃に母親を亡くした桃子を男手一つで育て、現在も独身でいる。封印されている桃子の特殊能力について唯一知っている存在で、桃子のことを心から心配している。
桃子の母 (ももこのはは)
讃岐桃子の母親。既に亡くなっている。他人の気持ちを読み取れてしまうという特殊能力を持って生まれた桃子を、愛しいと思うと同時に、不気味に思う気持ちを抱いてしまい、苦しんでいた。トラックに轢かれそうになった桃子を身を挺して庇い、死ぬ間際に彼女の幸せを願ってその能力を封印した。
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