宵闇眩燈草紙

宵闇眩燈草紙

闇医者の木下京太郎は古道具屋の店主の麻倉美津里と眼鏡を誂えてもらったことから知り合いになり、人外の存在とも関わりを持ち始める。

正式名称
宵闇眩燈草紙
ふりがな
よいやみげんとうぞうし
作者
ジャンル
バトル
 
ファンタジー
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概要・あらすじ

回診専門の闇医師、木下京太郎は平凡な人物であった。彼の周囲には、何かとトラブルを持ち込んでくる友人、古道具屋の女主人である麻倉美津里や、異能力を持ち裏の仕事をしている居候の長谷川虎蔵などがいた。彼らの巻き添えをくらいつつも、京太郎自身も自らの行動により、世間に知られてはいけないような奇病や怪事件に立ち会っていくことになる。

登場人物・キャラクター

木下 京太郎 (きのした きょうたろう)

28歳の青年で回診専門の医者。顔立ちも背格好も平凡で小心者。医師を目指す書生だったが、手術の血が苦手なために挫折したところ、父の死で古い一軒家が遺された。一軒家で暮らし始めた頃に麻倉美津里の店に入り、近眼を指摘され眼鏡を作ってもらう。その後、手術とはあまり縁のない回診専門の医者となった。 相手の足元を見て稼ぐ闇医師でもあった。元々医者としての技量は中の上くらいだったが、美津里から教えられる知識や怪しげな治療法などのお陰で、かなり高度な医療を実施している。ただし、違法な技術が多くなり、事実上モグリと化している。家には長谷川虎蔵が居候している。美津里の眼鏡は人外のものまで観えてしまったため、父が関係をもっていた怪異と肉体関係に陥ってしまう。 あくまでも平凡な人間として、美津里や虎蔵が起こす事件の被害者の立場にいると認識している。

長谷川 虎蔵 (はせがわ とらぞう)

右目に眼帯をしていて、腰まで届く長い黒髪を三つ編みにしている青年。木下京太郎の家に居候している。大雑把な性格で女性に優しい。何本もの日本刀を扱うだけでなく、数々の修験道の術を使いこなす。天狗の団扇の力を借りることで背中にカラスの翼を出し、空を飛ぶことも可能。右目には天狗の力を封印しており、力を開放した低気圧モードでは左目よりもはるかに大きく開いて、爆発的な力を発揮する。

麻倉 美津里 (あさくら みつり)

木下京太郎に眼鏡を作った古道具屋、眩桃館の女主人。長い黒髪と眼鏡が特徴の一見20代後半の年齢不詳な女性。人外の存在やさまざまなことに多くの知識を持った謎の人物。見かけと異なりかなり年を経た魔女らしく、老人のアーノルド・ラスキンから御老体と呼ばれるほか、関係者ごとに異なる名前で呼ばれている。 自分は世界に干渉せず、自分も世界史等干渉されない、という立場。好奇心から世界に干渉してしまった場合は、揺り戻しに対応する必要がある。あくまでも「見る」ことと「知る」ことが目的。眩桃館も持ち物を並べているだけで、商売するつもりはない。一方で、知識や道具の効果・効用には興味があるので、京太郎たちに提供してコトの成り行きを見つめようとすることも多い。 ただ、そのことによって自らの手で事態を収拾しなければならなくなり、不本意ながら世界への干渉に至りやすい。

林 潤花 (りん るんふぁ)

ショートカットの美女。大陸系の組織の幹部。長谷川虎蔵にひどい目にあわされたが、組織の維持のために腕利きの虎蔵を用心棒として雇うようになる。裏社会の幹部らしい残虐性と商才を持っているが、人間離れした虎蔵たちの前では特別な力ではない。

馬 呑吐 (まー とんつー)

丸いサングラスをかけ、頬に筆のようなヒゲを生やした、小太りのおじさん。黒いシャツに白いスーツで、ネクタイに長いマフラーをしている幽棲道士。右腕を長谷川虎蔵に切り落とされ、この世のものではないモノの右手を繋いでいる。虎蔵とは相性が悪く、しばしば倒されている。真に古く、真の死を迎えていない存在。 800年以上修行を積んだとのこと。シホイガンでは黄人載(ホワン・レンダイ)というスリムな細い目のにこやかな男の姿で現れ、人載が頭を吹き飛ばされて正体を現すときに、新たな肉体を再構成。300年ぶりの新生だったという。

ジャック・セトフィーグド・カーライル (じゃっくせとふぃーぐどかーらいる)

同作者の別作品『ジャック&ジュネ』シリーズの主人公。丸い眼鏡をかけた25歳の青年魔法使い。銀色のストレートヘアを肩に付かないくらいでまっすぐに切り揃えている。胸に鋼鉄の錠前が施され、鍵はアーノルド・ラスキンに握られている。頭脳労働担当。怪しげな商談のために来日。椎名マコトが入っていた黒鞄を巡って、長谷川虎蔵たちと派手な争奪戦を繰り広げた。 椎名を対象にした研究は、御館様と呼ばれる忍者の一団の依頼で、より逞しい肉体を与えた「カイゾウニンジャ」作成についてのことだった。

ジュヌヴィエーヴ・コトフォード (じゅぬゔぃえーゔことふぉーど)

同作者の別作品『ジャック&ジュネ』シリーズの主人公。18歳くらいの長い黒髪の少女。悪魔憑き。ジャック・セトフィーグド・カーライルの助手で友人で恋人で親で子供という関係。本名のルーシーは訳あって捨て、ジャックが買い取った戸籍を使っている。肉体労働担当。普段はドレスを着用しているが、戦闘が始まると一瞬で男装。 手袋に施されたジャックの魔法で巨大な悪魔をその身にまとう。

大澤 操 (おおさわ みさお)

裏の人形師。少し垂れ目で明るい髪色の女性。資産家で天涯孤独の身の上だが、縁談があると相手を守役が始末してしまうので独身。人形師の祖父の工房に幼いころから出入りして、その技術をなにげなく身につけた。祖父の顔を移植した人形に守られていたが、長谷川虎蔵との戦いで人形が大破した後、従兄弟(実の兄だと発覚した)の大澤由貴彦の顔を移植して新たな守役にしている。 趣味で浄瑠璃人形や文楽人形を造っている他、麻倉美津里からの依頼で怪しいカラクリの制作を手伝っているらしい。

笹森 房八 (ささもり ふさはち)

白髪できれいにヒゲを揃えた丸い眼鏡の初老の男性。ちょっとトボけた人のよさそうな人物。麻倉美津里の古くからの知り合いで、美津里をご老体と呼ぶ。その正体は御館様配下からの抜け忍。

アーノルド・ラスキン (あーのるどらすきん)

左目にモノクルをかけ、アゴヒゲを生やした禿頭の西洋人。長谷川虎蔵と張り合える剣の腕を持ち、召喚術などを使う。正義と情熱の人。行きずりで人魚を助け、馬呑吐たちに奪われた人魚の子供を回収するために来日。

椎名 マコト (しいな まこと)

チベットに近い辺境の村の娘。褐色の肌に金髪碧眼の少女。特殊な言語に加えて激しい訛りで正しい名前は誰も発音できなかったため、この呼び名で妥協した。故郷は馬呑吐に襲われ、多くの村人が殺戮された。村人たちは全滅している可能性が高く、仮に誰かが残っていたとしても、村が好きではないため戻りたくない。 黒鞄に押し込まれジャック・セトフィーグド・カーライルの手に渡ったが、手違いから木下京太郎の手に渡り、鞄から救出された。京太郎の家に運ばれ、一カ月昏睡していたが、麻倉美津里の医術により意識を回復。その後、2年近く京太郎の家で暮らし、日本語もそれなりに話せるようになった。命の恩人である京太郎の助手として働く。 実は脳も肉体も獣になれる一族の末裔で、月に一度補助脳を生成・交換できる特異体質(女性だけの体質)。馬呑吐はこの体質を会得しようと狙っていたが、身につけられないと判明したため、興味を失った。変身した姿は、黄金の鎧装サイ。この姿のときは、触れただけで相手を粉砕する力がある。

場所

シホイガン

『宵闇眩燈草紙』に登場する舞台の一つ。新大陸の港町。約8万人が暮らす中規模のやや古い町で、麻倉美津里からの依頼で長谷川虎蔵が荷物の護衛として渡った。荷物の宛て先は、町の再開発に着手したストダード社。再開発に反対するサン・マルトレイク教会の地下には、超合金製の巨大梵鐘が祀られた現世と異なる物理法則に支配された広大な地下空間の聖地が広がっていた。 両者の争いに巻き込まれた虎蔵と、ストダード社に紛れ込んでいた馬呑吐も激突。その影響で異界の物理法則が地上に溢れだしてしまった。

眩桃館 (げんとうかん)

麻倉美津里が開いている店。怪しげなものが並んだ古道具屋ということになっているが、商売目的ではない。美津里が飽きた収集品を置いてあるだけらしい。蔵にはさらに怪しげなものが保管され、地下図書館などにも通じている。ずんぐりした卵形の体型の、同じ顔をした召使が何人もいる。木下京太郎が立ち寄って、人外のものと関係を持つきっかけになった。

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