センチメントの行方

センチメントの行方

榎本ナリコの『センチメントの季節』の続編。前作と同様、欲望、性欲、報酬、快楽、そして愛情の狭間で生きる人間の、細やかな心理と過激なセックスを描いたオムニバス作品。各エピソードには必ず高校生が登場するのが特徴となっている。「月刊コミックバーズ」2017年7月号から2018年7月号にかけてと、「デンシバーズ」42号から45号(2018年10月〜2019年1月)にかけて連載され、その後は「comicブースト」2019年2月から連載の作品。

正式名称
センチメントの行方
ふりがな
せんちめんとのゆくえ
作者
ジャンル
ヒューマンドラマ
関連商品
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あらすじ

第1巻

売春など女子学生の非行を未然に防ぐ活動をしているNPO法人「天使のつばさ」に所属している見守りの女性は、ある日の夜、パトロールしていた繁華街で「ON SALE」と書いたボードを持つ神待ちの女子高校生を発見する。見守りの女性は自分でよかったら話を聞くと優しく声を掛けるが、女子高校生は放っておいてほしいと拒否する。すると見守りの女性は、あなたを今夜一晩買うからいっしょにいようと話を持ちかけ、女子高校生はその提案を受け入れる。その後、見守りの女性は女子高校生の家庭環境を聞き出すが、あまりに複雑で壮絶な内容に、自分はこの子を救えるのだろうかと不安を覚える。さらに女子高校生は「一晩いっしょにいるとは言ったが、時間まで売ったつもりはない」と、声を掛けてきた男性と共にラブホテルへ向かう。見守りの女性はそんな女子高校生を放っておく事もできず、売春相手の男性と共に三人でラブホテルへチェックインする。すると、女子高校生は見守りの女性を気にする事なく、売春行為を始める。(第1話「神待ち天使」。ほか、3エピソード収録)

第2巻

学校では地味で目立たない存在の相川歩美は、五人組アイドルユニット「MEGA★NECO(めがねこ)」のメンバーとして活動していた。歩美はファンのために清純な自分を演じ続けているが、アイドル活動をすればするほどむなしくなり、心は冷めていくばかりだった。そんなある日、歩美は「MEGA★NECO」のファンの中に担任の及川の姿を見つける。歩美は及川に片思いをしており、及川は偶然にも歩美のファンだったという事実が発覚。歩美は及川に対し、アイドルの自分と学校にいる地味な自分が同一人物である事に気づいてほしいと願うが、実際に叶う事はなく、時間ばかりが過ぎていく。そんな中、歩美は学校帰りにマネージャーから誘われ、制服のままラブホテルへと向かう。その場面を及川に目撃されてしまった歩美は、失恋を覚悟する。(第5話「私は供物です」。ほか、3エピソード収録)

第3巻

ある日の放課後、教室に忘れ物をした影山は、学校内でも清楚な美人と評判の天野あかりが、寺島の机を使って自慰行為に耽る姿を目撃してしまう。さらに影山は、見た目や性格が幼い寺島にも、年相応の性欲がある事を知る。そんなある日、影山は自慰行為をしているあかりに話し掛け、寺島の事が好きならば告白をするべきだと助言する。しかしあかりは、淫らな自分が純粋な寺島に受け入れられるわけがないと涙する。(第9話「麗しの距離」。ほか、3エピソード収録)

登場人物・キャラクター

見守りの女性 (みまもりのじょせい)

エピソード「神待ち天使」に登場する。NPO法人「天使のつばさ」に所属している女性。売春など若い女子学生の非行を未然に防ぐ活動をしている。年齢は30代。現在は夜の繁華街を中心に見守りパトロールを行っている。女子高校生時代は自分の存在価値を確認するために売春行為を繰り返しており、結局自分自身を傷つけるだけの行為だったと後悔している。そのため、以前の自分と同じような、誤った価値観を持つ女子学生を救うために活動していたところ、神待ちの女子高校生と出会う。女子高校生と過去の自分を重ね、どうにかして売春を止めさせようと行動を共にする。

瀬里 (せり)

エピソード「フランケンシュタインの娘」に登場する。R18指定のアダルト漫画家を生業とする青年で、ペンネームは「シェリー君」。実際の女性には縁がなく、自宅アパートに引きこもって黙々と絵を描いていたところ、恵利に声を掛けられて知り合った。以降はアパートに恵利が入り浸るようになり、下着を見せたりと挑発的な態度を取られるが、いっさい手を出さずにいる。

生方 千年 (うぶかた ちとせ)

エピソード「さきだつ不孝」に登場する。無口で存在感のない男子高校生で、友達はいない。同じクラスの八月朔沙希に片思いをしている。ある日の放課後、資料室で自慰に耽る沙希を目撃して以来、沙希に誘われるがまま互いの体を触り合う行為を繰り返すようになった。勝手に清純だと想像していた沙希と、自分を誘惑してくる沙希とのあいだに大きなギャップを感じつつも、体の関係から抜け出せなくなる。

永野 (ながの)

エピソード「永いお別れ」に登場する。独身のOLで、年齢は20代。会社内ではまるで流されるように課長と体の関係を持っている。課長とは交際しているわけではなく、周囲も二人が身体の係がある事を知らない。また高校生時代も、その場の空気に流されて先生とセックスをして、強く口止めをされた過去を持つ。

相川 歩美 (あいかわ あゆみ)

エピソード「私は供物です」に登場する。五人組アイドルユニット「MEGA★NECO(めがねこ)」に所属する女性アイドル。ふだんは地味な女子高校生として生活している。ユニット内でも目立つタイプではなく、どこか冷めた性格からメンバーとも距離を置いている。そのため、相川歩美自身は狙っているわけではないものの、いつも独りの「ぼっちキャラ」としてファンのあいだでは定着している。また、定期的にマネージャーと体の関係を持っている。自分の担任教師で自身のファンでもある及川に片思い中。ファンからは「あゆみゅー」の愛称で呼ばれている。

黒沢 虹美 (くろさわ にじみ)

エピソード「白と黒(ビアンコ・エ・ネーロ)」に登場する。高校2年生の女子で、白川純子をいじめている主犯格。最初は靴に砂を入れたり、持ち物を隠したりする嫌がらせだったが、なんの反応も示さない純子に苛立ちを覚える。そして純子が唯一嫌がる反応を見せる、下着を脱がせるなどの性的な嫌がらせへとシフトしていく。純子とは中学時代からの付き合いで、かつて陸上部でいっしょに走り高跳びをしていた。しかし、才能のある純子との記録の差が開いていき、高校に入学して間もなく退部した。その後は女友達と遊んだり、彼氏とのセックスに興じている。

金田 (かねだ)

エピソード「死を記憶せよ(メメント・モリ)」に登場する。独身の男性会社員で、年齢は30代。高校生の頃に恋人だったカオリと二人きりで海に旅行し、些細なミスからカオリを堤防から突き落としてしまい、死亡事故を起こした。社会人になってからはブラック企業に勤務して、仕事に忙殺されている。いつもカオリへの思いが頭の中にあり、通勤電車の中でカオリに似た女子高校生を発見し、思わず声を掛ける。

吉原 (よしはら)

エピソード「善悪の彼岸」に登場する。リアルタイムのアダルト動画配信サイトにのめり込む男子高校生。芥谷演じる「にち」のファンで、学校でも配信がスタートしていないかチェックしている。芥谷がほかのチャットレディと差別化するために作った設定の「ご主人様に飼われているかわいそうな女の子」が本物だと信じ込んでおり、助けたいと声を掛けた。その事がきっかけで、芥谷の配信の手伝いをする事になる。

影山 (かげやま)

エピソード「麗しの距離(distance)」に登場する。非常に整った顔立ちの男子高校生。これまでの人生は女性の方から寄ってくる事が多く、影山本人も断る事なくすべての女性を受け入れてきた。寺島は昔からの親友。放課後に誰もいない教室で、寺島の机を使って自慰行為に耽る天野あかりの姿を目撃し、あかりに興味を抱いて接近する。

つぐみ

エピソード「悲しき玩具」に登場する。地方の村出身の独身女性で、年齢は20代。刺激のない故郷を退屈に感じて上京し、お金欲しさから風俗嬢をしている。東京では奔放に遊び回っていたが、好きだった男性に多額の借金を負わされ、地元に戻ってきた。村の人たちには、つぐみがなぜ地元に戻ってきたのかを知られており、同級生からは距離を取られたり、噂話をされている。親からはスマートフォンもお金も取り上げられ、時間はあるが自由のない閉塞的な日々が続いている。はじめが小学生の時に、いっしょに入浴をして裸体を見せつけ、挑発的な言動をした過去を持つ。

反町 梨都 (そりまち りと)

エピソード「二律背反」に登場する。おとなしい性格で、クラスでは目立たない存在の女子高校生。教師の今沼に片思いをしていたところ、妻の今沼律子とは別居している事実を知る。律子がいないならと今沼の自宅マンションに入り浸るようになり、ついに体の関係を持つ事に成功する。しかし、性行為の最中に偶然帰宅した律子と顔を合わせてしまう。その後、律子から自殺した今沼の遺書を受け取る。

神待ちの女子高校生 (かみまちのじょしこうこうせい)

エピソード「神待ち天使」に登場する。夜の繁華街に立って売春行為を繰り返している女子高校生。街角で「ON SALE」と書いたボードを持ち、表向きは神待ちの女子高校生自身のヘアピンを売っているという事にしているが、実際は声を掛けてきた男性と交渉して売春を行っている。自宅ではブラック企業に勤務する父親から激しいDVを受けている。母親は情緒不安定のために助けてくれず、自宅に帰りたくない気持ちから売春をするようになった。その界隈では有名な存在で、リピート客も多くいる。見守りの女性から声を掛けられるが、相手にしていない。

恵利 (えり)

エピソード「フランケンシュタインの娘」に登場する。黒髪ショートカットの女子高校生。瀬里がインターネット上にアップした情報から近くに住んでいると確信し、住所を特定する。以降は毎日、勝手に瀬里の自宅アパートを訪れて漫画を読んだり、瀬里のスマートフォンアプリに課金したりしている。スカートをめくって下着を見せるなど、挑発的な態度で瀬里をからかっている。瀬里の前では明るく振る舞っているが、実は父親と性交渉をしている。その事実に加え、行為中に「優しい」「気持ちいい」と感じている自分に嫌悪感を抱いている。

八月朔 沙希 (ほづみ さき)

エピソード「さきだつ不孝」に登場する。生方千年と同じクラスに所属している女子高校生。美しく整った顔立ちをしているが、近寄りがたい雰囲気を漂わせ、クラスメートからは距離を置かれている。千年からは「清純で孤高な存在」だとあこがれのまなざしを向けられており、恋心を抱かれていた。放課後は資料室で自慰に耽るのを日課としており、偶然千年に目撃される。自分ではない他人に体を触られるとどうなるのか興味を抱き、体を触ってほしいと千年にせまる。

課長 (かちょう)

エピソード「永いお別れ」に登場する。会社員の中年男性で、永野の上司にあたる。ある日の残業中に永野と半ば強引に体の関係を持ち、以降二人きりになるとセックスをしようとする。職場では適度な距離を取っているため、永野との関係に気づいている者はいない。

先生 (せんせい)

エピソード「永いお別れ」に登場する。若い男性教師で、高校時代の永野の担任だった。教室で永野と二人きりになった際、強引に体の関係を持つ。絶対に誰にも言うなと永野に強く口止めした。

及川 (おいかわ)

エピソード「私は供物です」に登場する。整った顔立ちの若い男性。相川歩美の担任を務めている。女子生徒に人気があり、本気で恋心を抱かれる事も珍しくない。歩美からも好意を寄せられている。五人組アイドルユニット「MEGA★NECO(めがねこ)」のファンで、歩美を推している。学校では芸能活動が禁止で、さらにふだんは地味で目立たない歩美が「MEGA★NECO」のメンバーである事実に気づいていない。

ののこ

エピソード「私は供物です」に登場する。五人組アイドルユニット「MEGA★NECO(めがねこ)」に所属する女性アイドル。センターを務め、ファンからは「のんちー」の愛称で呼ばれている。明るい性格でリーダー的な役割も担っており、新メンバーのふうこをフォローするなど面倒見もいいが、絶対に芸能界で成功するという強い野心を抱いている。また、ユニット内では年長者のために、少し焦りを覚えている。ふうこがマネージャーに強姦されたと泣きながら打ち明けた際は、自分一人で目立とうとしているんじゃないと冷たくつき放し、ふうこが脱退するきっかけをつくった。

ふうこ

エピソード「私は供物です」に登場する。五人組アイドルユニット「MEGA★NECO(めがねこ)」に所属する女性アイドル。最近、新メンバーとして加入したため、まだアイドル活動には不慣れ。すべてのスキル不足から、マネージャーからダメ出しをされる事も多いが、ののこにフォローされている。ユニット内ではののこを信頼していたが、マネージャーに強姦された事を打ち明けた際には、冷たくつき放されてしまう。この出来事をきっかけに「MEGA★NECO」を脱退する。

マネージャー

エピソード「私は供物です」に登場する。五人組アイドルユニット「MEGA★NECO(めがねこ)」のマネージャーを務める中年の男性。「MEGA★NECO」をメジャーな存在にするため、パフォーマンスのレベルを上げようと、メンバーに対して厳しい態度で接している。一方で、定期的に相川歩美と体の関係を持ち、性欲を発散している。また、ふうこを強姦し、彼女が脱退するきっかけをつくった。

白川 純子 (しらかわ すみこ)

エピソード「白と黒(ビアンコ・エ・ネーロ)」に登場する。高校2年生の女子で、黒沢虹美が所属するグループからいじめを受けている。嫌がらせを受けてもなんの反応も示さないため、虹美達を苛立たせる。ただし下着を脱がされるなど、性的な嫌がらせをされた際だけは唯一嫌がるため、虹美に変態的な行為をさせられるようになる。虹美とは中学時代からの付き合いで、かつて陸上部でいっしょに走り高跳びをしていた。高校入学後も持ち前の才能を生かして、顧問からも期待を寄せられていた。しかし、虹美が退部した時期とほぼ同じタイミングで退部する。

カオリに似た女子高校生 (かおりににたじょしこうこうせい)

エピソード「死を記憶せよ(メメント・モリ)」に登場する。まじめそうな雰囲気の女子高校生。外見はカオリに酷似している。電車で通学中に金田から声を掛けられた。勉強もそつなくこなし、ごく一般的な家庭で育った。しかしこれまで明確に自分の意志を表現した事がなく、自分はいてもいなくても同じ存在だと考え、自傷行為を繰り返している。

カオリ

エピソード「死を記憶せよ(メメント・モリ)」に登場する。故人で、死亡時は女子高校生だった。金田と交際しており、二人きりの時間を過ごしたいと海への一泊旅行を計画。堤防で話題の映画のワンシーンを再現しようと金田に提案し、手をすべらせた金田に堤防から突き落とされた形となり、そのまま海の底に沈んだ。死体は未だに発見されていない。

芥谷 (あくたに)

エピソード「善悪の彼岸」に登場する。リアルタイムのアダルト動画配信サイトで、チャットレディとして登録している女子高校生。吉原と同じクラスに在籍しており、学校ではサバサバとした男っぽい人格を装っている。インターネット上では「にち」の名前で活動中。配信中はよけいな話はせずに、自然と漏れる喘ぎ声しか出さない。また、自ら眼帯と首輪を付けて「ご主人様に飼われているかわいそうな女の子」を演じて、ほかのチャットレディと差別化するための設定を作っている。学校で頻繁にスマートフォンをチェックする様子から、吉原が自分の配信を見ている事には気づいていた。かわいそうな目に遭っているのなら助けたいと声を掛けてきた吉原に興味を抱き、配信の手伝いをしてくれないかと依頼する。

寺島 (てらしま)

エピソード「麗しの距離(distance)」に登場する。年齢のわりに童顔で、元気で活発な性格の男子高校生。影山とは昔からの親友。見た目も言動もやや幼く、周囲からはピュアな人物だと思われている。性的な事にはまったく関心がないタイプに見えるが、年相応に興味を持っている。天野あかりに片思いをしており、あかりが自身の机で自慰行為に耽っている事実は知らない。

天野 あかり (あまの あかり)

エピソード「麗しの距離(distance)」に登場する。清楚でおとなしい雰囲気を漂わせた女子高校生。男子からは絶大な人気を誇る。性的な事に興味がないように見えるが、放課後の誰もいない時間を狙って、片思いをしている寺島の机で自慰行為に耽るのを日課としている。本当は寺島に告白をしたいが、本来の乱らな自分を知られると嫌われるのではないかと恐れ、自慰行為で我慢している。

はじめ

エピソード「悲しき玩具」に登場する。地方の村に住む男子高校生で、シングルマザーの家庭で育つ。つぐみとは幼なじみで、小学生の時にいっしょに入浴をし、つぐみの裸体で興奮した過去を持つ。感情の起伏がほとんどなく、淡々と話をする。

今沼 (いまぬま)

エピソード「二律背反」に登場する。高校教師を務める中年の男性。反町梨都のクラスでは現代文を教えている。既婚者で妻は元教え子の今沼律子だが、長らく別居中。淡々と教科書通りに授業を進めるだけで、一部の生徒からは気持ちが悪いと陰口を叩かれている。自宅マンションに押しかけてきた梨都の誘惑を受け、流されるがまま体の関係を持つ。性行為の最中に律子が帰宅し、数日後に律子と梨都あてに遺書を書いて自殺する。

今沼 律子 (いまぬま りつこ)

エピソード「二律背反」に登場する。今沼の妻で、元教え子。高校生の頃に今沼に恋をし、そのまま交際がスタートして結婚に至る。しかし、ここ数年は別居をしている。偶然今村のマンションを訪れた際、反町梨都と性行為をしている場面に遭遇する。その数日後に今沼が自殺し、梨都にあてられた遺書を手渡しに彼女の高校を訪れた。今沼の考えている事が最期まで理解できず、梨都に遺書を見せてほしいと依頼した。

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