異骸 -THE PLAY DEAD/ALIVE-

異骸 -THE PLAY DEAD/ALIVE-

突如人間がゾンビ化した世界。無事に生き延びた男子生徒と、ゾンビに噛まれゾンビ化した男子生徒が、協力しながら共存を目指すゾンビパニックホラー。「COMICリュウ」2014年3月号から連載中。

正式名称
異骸 -THE PLAY DEAD/ALIVE-
ふりがな
いがい ざ ぷれい でっど あらいぶ
作者
ジャンル
その他ホラー・オカルト
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世界観

ゾンビが題材。突如人間がゾンビ化した世界で、無事な人間たちとゾンビ化した人間たちがそれぞれ懸命に生きようとする姿が描かれる。ゾンビ化した人間たちが、特定の時間帯のみ正気に戻るという特殊な設定を活かし、人間とゾンビの対立構造ではなく、共存しようと奮闘する様を描いているのが特徴。

あらすじ

高校2年生の弐階堂アキラは、幼なじみの阿久津くるみに想いを寄せつつ、友人の梅澤礼次とボクシングで切磋琢磨する充実した日々を送っていた。しかし、ある日突然校内の生徒がゾンビ化。くるみと礼次も被害に遭い、人を襲うようになってしまう。周囲の人間たちの恐ろしい変化にショックを受けつつ、アキラはくるみを助けるため、生きる手段を模索する。

特殊設定

本作『異骸 -THE PLAY DEAD/ALIVE-』独自の設定として「セーフタイム」の存在が挙げられる。本作におけるゾンビ化した人間は、即座に理性を失った化け物になるわけではなく、「セーフタイム」に該当する特定の時間帯であれば以前のように意思疎通が可能な存在として描かれている。そのため、ゾンビ化した人間たちのなかでも特に人間性に優れ理性的な者たちと、ゾンビ化していない無事な人物たちとの間に協力関係が培われていく姿が描かれるのが、本作の大きな特徴となっている。

登場人物・キャラクター

弐階堂 アキラ (にかいどう あきら)

2年A組に所属する男子高校生。前髪を目の高さで切り、肩につかない長さの金髪をしている。部活動はボクシング部に所属し、階級はバンタム級。阿久津くるみに想いを寄せているが、ライバルである梅澤礼次のことも尊敬していた。くるみと礼次の2人がそろってゾンビ化したことで深いショックを受けつつも、くるみを助けようと尽力する。 以前は自分自身に対して根拠のない自信を抱いていたが、事件を機に考えを改め、礼次と協力して勇敢に戦う。ボクシングに打ち込む姿から礼次には深い尊敬と信頼を寄せられている。身長170センチ。

梅澤 礼次 (うめざわ れいじ)

弐階堂アキラの友人で、2年E組に所属する男子高校生。阿久津くるみの想い人でもある。黒髪短髪ヘアに左目尻のほくろ、耳につけた大量のピアスが特徴。部活動はボクシング部に所属し、階級はライト級。ボクシングの高い才能に加えて努力も怠らない真面目な性格で、アキラにも尊敬されていた。しかし、強い正義感ゆえにトラブルに巻き込まれやすい一面があった。 アキラと同様にインターハイ予選を控えていたが、アキラに迷惑をかけたくない一心から、ゾンビに噛まれてしまう。ゾンビ化した後も「セーフタイム」を利用してアキラをかばい、助ける行動を続ける。アキラを強く信頼しており、たとえ世界中が敵になっても、アキラとだけは仲間でいたいと考えている。家庭環境は非常に複雑で、ボクシングに打ち込み、プロ選手になることで苦しい境遇から這い上がろうとしていた。 身長173センチ。

阿久津 くるみ (あくつ くるみ)

弐階堂アキラの想い人で、2年C組に所属する女子高校生。前髪を目の上で切り、胸のあたりまで伸ばした茶髪ストレートロングヘアを黄色い玉のついた髪飾りで結びおさげにしている。アキラとは幼稚園時代からの幼なじみだが、彼の想いには気が付いておらず、梅澤礼次に想いを寄せ、「梅ちゃん」と呼び慕っていた。そのため、アキラよりも礼次を優先するところがある。 ケンカに巻き込まれた礼次を助けようとしたところでゾンビに噛まれ、正気状態とゾンビ状態を行き来することになってしまう。身長154センチ。

古池 円 (ふるち まどか)

弐階堂アキラのクラスメイトで、同じ2年E組に所属する男子高校生。前髪を真ん中で分けて額を全開にし、肩のあたりまで伸ばしたオレンジ色の長髪をしている。アルファベットの「Z」の文字が入ったキャップを反対向きにかぶり、眼鏡をかけているのが特徴。部活動は映画部に所属し部長も務めており、映画から得たゾンビの知識もある。 突然学校中に広がったゾンビ化現象に怯えつつ、状況を記録する義務があると感じ、ビデオカメラで撮影している。やや頼りないが、頭がよく判断力に長けている。キャップは、亡くなった映画部員の森の遺体から受け取ったもの。身長165センチ。

如月 尊 (きさらぎ たける)

1年D組に所属する男子高校生。前髪を上げて額を全開にし、肩まで伸ばした長い黒髪を右に向かって流している。ネックウォーマーが特徴。突如ゾンビ化した生徒たち相手にも落ち着いており、ゲーム感覚で容赦なく倒していく冷酷な性格。わざと他人を挑発するような発言も多く、自分の欲求を満たすためならば、他人を犠牲にすることもいとわない残虐な一面がある。 ゾンビに対する知識は深く、バット1本で次々と対処していく。部活動は手芸部に所属している。身長161センチ。

五十嵐 薫 (いがらし かおる)

3年B組に所属する男子高校生。大柄でがっしりとした体格とスポーツ刈りが特徴。部活動はラグビー部に所属し、主将も務めている。部自体はあまり強くなく、大会では毎年1回戦負けが続いていた。しかし、弐階堂アキラと梅澤礼次をはじめとする周囲の生徒には、一人で懸命に努力を続けている姿がひそかに尊敬されていた。礼次や阿久津くるみと同じタイミングでゾンビ化してしまうが、即座に自分たちの状況を冷静に見極める。 そしてゾンビ化した生徒たちをまとめながら、無事な生徒たちを守ろうと行動する。身長197センチ。

姫花 沙良 (ひめはな さら)

2年B組に所属する女子高校生。前髪を真ん中で分けて額を全開にし、肩まで伸ばしたストレートヘアをしている。部活動はテニス部に所属し、生徒会副会長も務めている。弐階堂アキラがゾンビ化した阿久津くるみを無理やり拘束したのを知って以来、アキラに敵対心を抱いている。密かに宝条俊一と交際しており、俊一とは行動範囲がよく似ているのと、音楽の趣味が近いことがきっかけで親しくなった。 身長163センチ。

宝条 俊一 (ほうじょう しゅんいち)

生徒会会長を務める、3年C組に所属する男子生徒。前髪を真ん中で分けて額を見せ、肩につかない長さまで伸ばしたストレートヘアをしている。眼鏡と、長い下まつげが特徴。事件が起きる前は一流大学を目指しており、黙々と勉強する姿と無表情なところから、交際相手の姫花沙良には「能面のよう」と評されていた。生徒たちがゾンビ化した事態については、噛まれていない無事な生徒たちを優先すべきと感じており、批判を覚悟でゾンビたちを排除しようとしている。 部活動は将棋部に所属し、副部長も務めていた。身長171センチ。

武田 剛史 (たけだ ごうし)

弓道部主将を務める、3年C組に所属する男子高校生。前髪を目の高さで切り、肩につかない長さの髪を立てている。太い眉が特徴。関東大会に出場するほどの弓の腕前の持ち主で、宝条俊一の命令により、ゾンビ化した生徒たちを射殺することになる。今でこそ優秀な選手だが、実は弓道部入部当時はあまり意欲的ではなく、練習に参加しないこともあった。 しかし日々懸命に部活動に取り組む五十嵐薫を見て考えを改めたという過去があり、彼には精神的に支えられていた面がある。身長169センチ。

佐川 政一郎 (さがわ せいいちろう)

2年D組に所属する男子高校生。前髪を真ん中で分けて額を見せ、肩につくほど伸ばした長髪をひとつに結んでいる。部活動は弓道部に所属しており、宝条俊一の命令でゾンビ化した生徒たちを弓で射殺することになる。しかし彼自身は知り合いを殺すことに反対しており、いっそのこと皆でゾンビ化してしまった方が良いのではないかとすら考えている。 身長180センチ。

美島 雅幸 (みしま まさゆき)

剣道部主将を務める、3年E組に所属する男子高校生。剣道用の防具を着こみ、素顔が見えない。武田剛史と佐川政一郎同様、宝条俊一の命令でゾンビ化した生徒たちを竹刀で殺すことになる。殺人に関しては覚悟を決めており、迷いの残る剛史と政一郎とは異なり懸命にゾンビたちと戦う。身長178センチ。

野田 公誠 (のだ こうせい)

1年B組に所属する男子高校生。頭に巻いたバンダナが特徴の、かわいらしい雰囲気の人物。ゾンビ化した生徒たちに襲われたところを如月尊に助けられ、行動を共にするようになる。そのため尊を尊敬しており、同級生だが「如月さん」とさん付けで呼ぶ。部活動は天文部に所属しているが、校内には居場所がないと感じていた。身長164センチ。

久保 竜平 (りゅうへい)

1年D組に所属する男子高校生。前髪を上げて額を全開にし、白い髪をツンツンに立てている。ゾンビ化しているうえに怪我を負い、顔の右半分が崩れ、右の眼球が露出している。友人だと思っていた如月尊のせいで大怪我を負い、校内には他に友人も居らず不安な気持ちで過ごしていた。しかし、梅澤礼次には信頼を寄せている。家は母子家庭。 部活動は手芸部に所属している。身長172センチ。

牧村 忠信 (まきむら ただのぶ)

バスケットボール部の主将を務める、3年D組に所属する男子高校生。前髪を目の高さで切り、肩につかない長さのボブヘアをしている。指揮のとれなくなった宝条俊一の代わりに、噛まれていない無事な生徒たちをまとめることになる。しかし俊一に比べるとやや考えが甘く頼りない一面もある。身長174センチ。

杉山 夏帆 (すぎやま かほ)

1年生の女子高校生。前髪を眉の上で短く切ったベリーショートヘアと、制服の上にジャージの上着を着ているのが特徴。ゾンビには噛まれておらず無事で、牧村忠信や弐階堂アキラと共に行動するようになる。部活動は陸上部に所属しており、以前からアキラの存在を知っていた。そのためアキラを案じており、好意的に接する。一方で、阿久津くるみのことは快く思っていない。

宇佐 定晴 (うさ さだはる)

3年A組に所属する男子高校生。モヒカン頭にピアスの派手な容姿に加え、ゾンビ化して怪我を負い鼻が潰れてしまっているのが特徴。宝条俊一ら無事な生徒たちに命を狙われたことを強く恨んでおり、無事な生徒たちに攻撃的な態度をとっていたが、古池円の働きかけにより、交渉に応じるようになる。部活動は軽音楽部に所属しており、ギターを弾いていた。 身長179センチ。

江崎 (えざき)

バスケットボール部に所属する高校3年生の男子。目が隠れそうなほど伸ばした長い前髪に、後ろ髪は肩につかないほど伸ばしている。家庭科室にいたところをゾンビ化した生徒たちに襲われたが、無事救助される。以降は部活動が同じ牧村忠信と岸との3人で行動することが多い。情報収集力に長ける。

(きし)

バスケットボール部に所属する高校3年生の男子。大きな鼻と三白眼が特徴。無事な生徒の一人で、家族とも奇跡的に連絡がとれたが、妹が無事なのに対して母親がゾンビ化したことを知る。ゾンビ化した人間たちに強い恐怖を感じており、彼らと距離を置いてなお怯えている。

戸川 (とがわ)

軽音楽部に所属する高校3年生の男子。眉よりもだいぶ高い位置で作ったラウンド前髪と、寝癖が特徴。ゾンビ化しているが大きな怪我はない。ゾンビ化した後も同じ軽音楽部の宇佐定晴と行動を共にし、彼の指示に従っている。軽音楽部ではドラムを叩いていた。

板倉 (いたくら)

阿久津くるみの中学生時代の交際相手。前髪を眉上で短く切り、ウルフカットにしている。丸い鼻とニキビだらけの顔が特徴。モラルに欠ける反社会的な人物で、いじめ、恐喝、窃盗に加え、交際相手との卑猥な写真をインターネットに投稿するなどの行為で、弐階堂アキラからは「くそみてーなやつ」と評されていた。特に自転車泥棒の常習犯で、アキラは過去に板倉が盗んだ自転車を1台受け取ってしまったことを後悔している。

その他キーワード

ゾンビ

ゾンビに噛まれ、自らもゾンビになった存在のこと。古池円は狂犬病と同様の症状が出ると捉えており、最初は症状も軽く、意識が戻り正気になることもある。しかし次第に意識は遠のき、やがて死に至ると考えられている。ゾンビ化した人間たちは正気を失った「ゾンビタイム」と意識を取り戻す「セーフタイム」を交互に行き来し、「ゾンビタイム」の間は生きている人間もゾンビ化した人間も見境なく襲う。 しかし目を合わせない限りは襲われず、頭部を破壊することで活動が停止する。また、ゾンビ化の証として、瞳が白くなる。なお、ゾンビに噛まれても、その時点で出血多量などで死に至った場合はゾンビ化しない。

セーフタイム

ゾンビ化した生徒たちが、意識を取り戻して正気を保っている時間のこと。対義語として「ゾンビタイム」があり、ゾンビタイムとセーフタイムは交互に訪れる。セーフタイムの間は人間同様に意思疎通ができ、ゾンビ化する前とほぼ変わらない状態に戻る。しかし「ゾンビタイム」に起きたことを忘れるわけではなく、記憶は継続される。そのため、弐階堂アキラと梅澤礼次は、礼次が「セーフタイム」にいる間を利用して協力し行動するようになる。

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