ミライザーバン

ミライザーバン

松本零士が各作品で提唱する「時間の輪」をテーマにした大スケールのSF。現在・過去・未来は循環しており、その輪の上を彷徨い続ける永遠不滅の存在であるミライザーバンを中心とした物語が描かれている。

正式名称
ミライザーバン
ふりがな
みらいざーばん
作者
ジャンル
その他SF・ファンタジー
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概要・あらすじ

西暦1976年。冴えない少年・バン(井台半)は、科学者である両親を実験による爆発で失ってしまう。その後、怪しげな組織に狙われるバンを救ったのは、両親の助手・有紀螢であった。螢によって両親の研究の実験体にされたバンは、現在・過去・未来、先祖から子孫に至る全ての記憶を持つ、超人ミライザーバンへと覚醒してしまう。

その知識を我が物とするべく、様々な敵がバンの前に立ち塞がるのだった。

登場人物・キャラクター

井台 半 (いだい ばん)

短足ガニ股ド近眼の冴えない少年。両親は優秀な科学者だが、彼の学校の成績は常に低迷している。両親が開発した技術により、脳細胞の全てが活性化、過去から未来、全ての時代の記憶を持つミライザーバンへと覚醒してしまう。覚醒後は頭脳明晰、武芸百般に通ずる超人となり、彼の無限の記憶を狙う謎の組織と戦うことになる。 バン自身は本来の自分へ戻ることを切望している。

有紀 螢 (ゆうき けい)

井台博士夫妻の助手で、謎めいた美女。自身も優れた科学者で、事故死した夫妻の研究の総仕上げをするため、遺児である井台半をミライザーバンへと覚醒させる。秘密結社コスモナータの一員でZ7号やS27号と呼ばれたこともあったが、彼らを裏切り、バンを守って逃避行を続ける。 各地に協力者がおり、秘匿された研究施設を多数所有している。これらの施設を用いて、ミライザーバンの真相を究明するため尽力している。

キャプテン・ズーム

コスモナータの一員で、破壊工作艦ゼーゼー号の艦長。ミライザーバンの拉致と裏切り者であるZ7号こと有紀螢の抹殺の指揮を執る。配下にはブレーンであるナイバンス博士と作戦を実行するGX75号がいる。

山野 レイ (やまの れい)

コスモナータの工作員。テスト機ミステリアス1号の強奪と開発者切破博士の拉致を任務とする。切破博士をミライザーバンの変装と見抜いていたが、逆に有紀螢に捕らえられてしまう。

ゼンペスト

100世紀の未来からやって来た、時間の果てまでミライザーバンを追い続ける殺し屋で、バンの永遠の命に終止符を打つことに執念を燃やす。神出鬼没の存在で、初登場時は三次元と四次元の狭間で待ち伏せていた。超小型の熱線銃を携帯している。

イルマ博士 (いるまはかせ)

西暦7777年の世界でミライザーバン追跡省長官を務める。過去の記録から、その出現周期を算出し、血統測定時間レーダーによって過去1週間以内にミライザーバンが誕生したことを突き止める。ミライザーバンを抹殺するために、この1週間に生まれた赤ん坊を全員捕らえ、焼却炉で処分してしまった。

千螢 (せんけい)

瀬戸内海の水軍の聖なる姫君にして予言者。海賊間の抗争によって四国にある壺神山の万年杉の根本で自害した。その記憶は有紀螢の夢に度々甦り、彼女もまたミライザーバンの因子を持っていることが判明する。

存在 (そんざい)

ミライザーバンとは別の偉大なる存在を名乗り、女性のシルエットが浮かび上がる。ミライザーバン同様、自らも多数の存在の中の一つに過ぎない、と語る。ミライザーバンを操って、全ての歴史を支配しようと企む。

集団・組織

ミライザーバン

『ミライザーバン』に登場する一族。井台博士の実験を基に誕生した超人類。肉体は死滅しても、その記憶は不滅で子々孫々へと受け継がれていく。過去から未来、全ての時代のミライザーバンに意識のみを転位させることもできる。そのため、永遠の時間のリングの上を彷徨い続ける存在とも言われている。ミライザーバン自体は、不定期に世に現れ、同時代に多数のミライザーバンが存在し、数万人規模に膨れあがったこともあった。 ミライザーバンが出現する時代は、必ず大きな戦乱が起こるため、人々は、神や悪魔としてミライザーバンを畏怖したが、同時に抹殺計画が練られることも多かった。ミライザーバンは、地球にしか存在しないため、異星人や異次元の敵から、その能力を狙われ続けている。

コスモナータ

『ミライザーバン』に登場する組織。謎の大総統によって率いられる新国家。美しい人類のための美しい世界を未来に築くことを使命とする。それにふさわしい国土である地球を支配するため、ミライザーバンの無限の知識を狙う。血盟の同志の集団であり、裏切りは許されず、死の制裁が下される。

ドクラス星人 (どくらすせいじん)

『ミライザーバン』に登場する一族。コスモナータを影で操っていた異星人で、ミライザーバンの記憶と知識を狙っている。その策謀は長きにわたり、1000年後の世界でもミライザーバンと戦い続けていた。姿を現すことは無く、黒い布のようなもので全身をスッポリと覆っている。彼らの母星は、空洞惑星の中に内惑星が入っている二重構造の奇妙な星で、127億3000万人が棲息している。 他にも約17億人のドクラス星人が多数の植民惑星を支配している。

その他キーワード

転送機 (てんそうき)

『ミライザーバン』に登場するマシン。ミライザーバンとなった井台半の精神を過去や未来のミライザーバンへと転送する装置。井台博士夫妻の研究成果の一つで、助手の有紀螢が受け継いだ。各時代のミライザーバンが見聞きした情報は、映像音声データとして記録できる。また、リアルタイムで視聴もできる。有紀螢によって複数製造されており、破壊されてもバン自体に影響は無い。

ゼーゼー号 (ぜーぜーごう)

『ミライザーバン』に登場する艦艇。コスモナータの破壊工作艦。艦長はキャプテン・ズーム。外見は大型客船に偽装しているが、実体は大型原子力潜水艦で、海中に潜伏することもできる。垂直離着機を搭載し、ミライザーバン捕獲の移動基地となる。

ミステリアス1号 (みすてりあすいちごう)

『ミライザーバン』に登場する航空機。双胴の大型機で地球上最大歴史上最大の航空機と呼ばれる。設計者は切破博士という新進の技術者で、彼の開発した航空機は、全ての世界記録を破り、先進国から30年は遅れていると言われた日本の技術を一躍トップに押し出した。切破博士はバンの変装で、ミステリアス1号はバンの持つ未来の技術までが動員されていた。 その性能は、コスモナータの狙うところとなり、テスト飛行の最中に強奪されてしまう。

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