タイムスリップオタガール

タイムスリップオタガール

アラサーで独身のオタク女性の城之内はとこは、現代から1996年にタイムスリップし、2度目の中学時代を過ごす事になった。「身体は13歳、心はアラサー」という特殊な状況を存分に謳歌するはとこの様子を、ハイテンションかつコミカルに描いたコメディ作品。90年代当時のオタク文化が詳細に描かれているのが特徴。「COMICポラリス」2016年5月から連載の作品。

正式名称
タイムスリップオタガール
ふりがな
たいむすりっぷおたがーる
作者
ジャンル
青春
 
タイムトラベル
関連商品
Amazon 楽天

あらすじ

第1巻

同人誌の即売会に参加した城之内はとこは、帰り道に駅のホームから落ちて電車に接触しそうになり、そのまま意識を失ってしまう。この出来事がきっかけとなり、はとこは「高いところから落ちてケガをしそうになると、その高さとショックに応じて過去に戻る能力」を手に入れる。そしてはとこは運悪く大型トラックと接触して跳ね飛ばされ、はとこが中学2年生だった1996年にタイムスリップしてしまう。身体と周囲の環境は13歳、心は30歳のはとこは大いに戸惑うものの、すぐに当時のオタク文化の懐かしさも相まって、2度目の中学時代を満喫していた。学生でお金のないはとこは、自分の画力を利用してオタク活動の資金を得られないかと考え、当時漫画家を本気で夢見ていた事を思い出す。一方、昔の中学時代は一部生徒からオタクだと疎外されていたが、今回のはとこはそんな事はまったく気にしていなかった。そんなはとこは、昔はまったく縁のなかったリュータ長谷川と接点を持つようになっていく。はとこは再び漫画を描き始め、充実した時間を過ごしていたが、母親に隠していたひどい点数のテストが見つかり、漫画禁止を言い渡されてしまう。

第2巻

城之内はとこは、はとこの母からの漫画禁止令を適当にやり過ごし、所属していた吹奏楽部も退部する事に成功。こうしてはとこは、漫画制作に没頭できる時間を確保する。そんな中、はとこはみのりんタカちゃん安ちゃんから誘われるままに自転車で遊びに行き、こんな何気のない時間が自分にとって大切なものだった事を思い出し、タイムスリップをして以来マイペースに過ごしていた自分を反省する。そんなはとこは、初めての漫画が完成した暁には、リュータ達に本気で漫画家を目指すと宣言する事を誓う。そんな中、長谷川は自分の嫌がらせに対し、屈するどころか軽く受け流すはとこに苛立ちを覚えていた。長谷川はクラスメイトの前で、はとこが漫画のアイディアを書き溜めていたノートを奪い、水の入ったバケツに捨てると言い放つ。そのノートにはハードなボーイズラブ作品のアイディアを書き留めていたため、はとこは公開されて辱めを受けるくらいなら、いっそそのまま処分してほしいと懇願する。はとこがもっと嫌がると思っていた長谷川は憤り、ノートを窓の外に放り投げると、それを追ってはとこが窓から身を乗り出してしまう。

第3巻

窓から飛び出した城之内はとこは軽傷を負うものの、「高いところから落ちてケガをしそうになると、その高さとショックに応じて過去に戻る能力」が発動する事はなかった。さらに、ノートもいつの間にか自分のカバンの中に入っており、はとこはかすかな違和感を覚える。不思議に思いつつも、2度目の中学時代をハイテンションで楽しんでいたはとこは、図書館で偶然、安ちゃんの姉でオタクの奈々子と出会う。奈々子と意気投合したはとこは、数か月後に開催される同人誌即売会の情報を得る。そしてはとこはみのりんタカちゃん、安ちゃんの四人で合同誌を作成する事を思い立ち、自分はボーイズラブ作品を制作している事を三人に打ち明ける。しかし、はとこが隠れて漫画を描いている事を長谷川に知られ、その内容がボーイズラブだった事に、気持ち悪いし理解できないと、はっきり否定されてしまう。

第4巻

担任の岡田佑にボーイズラブ作品を制作している事を知られた城之内はとこは、大問題になると動揺する。しかし岡田ははとこを否定するどころか、自分の思いを他人にはっきり言えるようになった事を褒め、漫画家への夢を後押しする。そんな岡田を見たはとこは、昔の中学時代もきっと岡田は自分を心配してくれていたのだろうと、改めて感謝と共に反省をするのだった。そんな中、はとこはみのりんタカちゃん安ちゃんリュータ直輝の総勢六人で夏祭りに参加する。男子とも隔たりなく会話を交し、明るく社交的な性格になったはとこに対し、みのりんは寂しさと嫉妬の入り混じった複雑な感情を密かに抱き始めていた。一方、いっしょに同人誌即売会に参加する事になっている安ちゃんは、自分とはとこの画力の差に焦りを覚えていた。はとこから「上達するコツは繰り返し何度も描く事」と言われた安ちゃんは、その教えを実践しようとするが、みのりんやタカちゃんは原稿を描かずにおしゃべりばかりしていた。もっとまじめにやるべきだと主張する安ちゃんは、タカちゃんと対立してしまい、合同誌作りに暗雲が立ち込める。

登場人物・キャラクター

城之内 はとこ (じょうのうち はとこ)

30歳独身のオタク女性。仕事はスーパーのアルバイトをしている。漫画やアニメ全般が大好きで、特にボーイズラブ作品を好んでいる。また、2.5次元ミュージカルにも造詣が深い。イベントで同人誌を購入したあとに駅のホームから転落し、それをきっかけに、「高いところから落ちてケガをしそうになると、その高さとショックに応じて過去に戻る能力」を手に入れる。その後、大型トラックに跳ね飛ばされて、中学2年生だった1996年にタイムスリップ。見かけは13歳、心は30歳のまま2度目の青春を謳歌する事になる。自分の好きな事に関しては一気にポジティブ思考になり、テンションが上がり過ぎて周りが見えなくなってしまう。もともと、中学時代はオタクである事を理由に嫌がらせを受けていたが、30歳になった2度目の中学時代では周囲の反応をまったく気にする事なく、自分の思いを素直に言葉にできるようになったため、いじめられなくなった。最初はオタクとして活動する資金を稼ぐために絵を描き始めたが、次第に漫画家になってデビューしたいという夢を抱くようになる。画力は30歳のため、同年代よりも非常に高いスキルを持つ。

リュータ

中学2年生の男子。城之内はとこのクラスメイト。野球部に所属する坊主頭の素朴な少年。はとこの1度目の中学時代ではまったく接点がなかったが、社交的になった2度目のはとこの事は異性として意識しており、思わず赤面してしまう場面も多い。はとこが漫画家を目指している事を早くから知っており、応援している。兄が漫画好きなため、自宅には1年分の少年誌が置いてある。直輝とは幼なじみで仲がいいが、はとこから二人の友情をボーイズラブに置き換えられ、勝手に妄想されている事は知らない。

みのりん

中学2年生の女子。城之内はとこのクラスメイト。吹奏楽部に所属している。アニメや漫画が大好きな、はとこのオタク仲間で、ボーイズラブ作品よりも王道的な少女漫画を好んでいる。はとこがタイムスリップしたあとも、変わらず趣味の漫画の話で盛り上がっている。しかし2度目の中学時代のはとこが男子生徒と普通に会話をしたり、堂々と自分の趣味を公言するようになった事に、内心寂しさと嫉妬が混じった複雑な感情を抱いている。はとこの1度目の中学時代では、卒業後に別の高校へと進学した事で疎遠になってしまう。

タカちゃん

中学2年生の女子。城之内はとこのクラスメイト。ボブヘアでメガネをかけている。アニメや漫画が大好きで、はとこ、みのりん、安ちゃんとはオタク仲間。はとこがボーイズラブ作品を執筆している事で、密かに男性同士の恋愛に興味を抱き始めている。テニス部に所属している事もあり、ほかの三人よりも体力がある。

安ちゃん (あんちゃん)

中学2年生の女子。城之内はとこのクラスメイト。奈々子の妹。吹奏楽部に所属している。アニメや漫画が大好きで、はとこ、みのりん、タカちゃんとはオタク仲間。まじめな性格の持ち主で、はとこと自分の画力の差に焦りを覚えている。

長谷川 (はせがわ)

中学2年生の男子。城之内はとこのクラスメイト。クラス内でもヒエラルキーの高いグループの中心的人物で、長谷川に反抗的な態度を取るクラスメイトはいない。1度目の中学時代でははとこをオタクと言い放ち、掃除の時間に机を運ばれた際には汚いと発言するなど、嫌がらせをしていた。2度目の中学時代でも、はとこにちょっかいをかけるが、はとこには相手にされずにその地位を失いつつある。

直輝 (なおき)

中学2年生の男子。城之内はとことは別のクラスに在籍している。野球部に所属しており、キャッチャーを務めている。さわやかなルックスで、明るく社交的な性格の持ち主。リュータとは幼なじみで仲がよく、はとこの脳内ではボーイズラブに置き換えられる事も多いが、本人はまったく気づいていない。リュータとはとこが恋愛関係にあるのではと、密かに疑っている。

奈々子 (ななこ)

安ちゃんの姉。高校3年生。アニメや漫画が大好きで、同人誌や同人グッズを制作している。城之内はとことは図書館で偶然出会い、以降オタク仲間として親睦を深めている。親からはテストで100点を取るとお小遣いがもらえる事から、オタク活動をするために必死に勉強をしているので、成績は非常にいい。

岡田 佑 (おかだ ゆう)

城之内はとこが通う中学の教師を務める男性。はとこのクラスの担任をしている。独身で、年齢は26歳。はとこに対してはおとなしい生徒という認識を持っており、なにかと気にかけている。はとこからは30歳の自分よりしっかりしていると尊敬されている。

藤村 碧 (ふじむら みどり)

城之内はとこの中学校の教師を務める女性。音楽を担当している。吹奏楽部の顧問を務めており、部活動に参加しないはとこに対して厳しく当たっていた。はとこから吹奏楽部を退部すると聞いた時には必死で引き留めた。

はとこの母 (はとこのはは)

城之内はとこの母親。年齢は36歳。一般常識を持った母親で、はとこの成績が下がると漫画を禁止しようとした。はとこから自分は未来からやって来て、13歳に見えるが中身は大人だと告げられても、つまらない冗談だと相手にしなかった。

はとこの祖母 (はとこのそぼ)

城之内はとこの祖母。野菜を栽培している。2度目の中学生活を送るはとこが畑の手伝いをしたり、料理をしてくれる事に感謝している。たまに、はとこにお小遣いを渡しているが、そのほとんどをオタク関連グッズに使われている事は知らない。

SHARE
EC
Amazon
logo