宇宙船乗組員

宇宙船乗組員

萩尾望都がレイ・ブラッドベリの小説を漫画化したBradbury傑作選シリーズの作品。宇宙船乗組員の父を持つ少年ダグラスとその母リリーの心の葛藤と、二人に訪れた運命を描く。小説の原題は『TheRocketMan』であるが、漫画では『宇宙船乗組員』に「スペースマン」というルビが振られている(小説のタイトルは『宇宙船乗組員』のままで、ルビはない)。原作短編小説は『ウは宇宙船のウ』に収録されている。

正式名称
宇宙船乗組員
ふりがな
うちゅうせんじょうむいん
原作者
レイ・ブラッドベリ
作者
ジャンル
その他SF・ファンタジー
関連商品
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概要・あらすじ

宇宙船乗組員の父を持つ少年ダグラスは、母リリーから、父がもう宇宙へ行かないよう引き止めることに協力してほしい、と言われる。リリーは家庭より宇宙に惹かれる夫を悲しく思い、さらに彼が宇宙で死んでしまうことに恐怖を感じていた。そして父は宇宙から帰り、家族全員でつかの間のバカンスを楽しむ。リリーは様々な方法で、夫がもう宇宙へ行かないようにしようとするが、「こんど帰ってきたら、それきりずっと家にいるよ」という言葉を残して彼はまた宇宙船に乗り込んでしまう。

そして、残された二人に、運命の知らせが届くのだった。

登場人物・キャラクター

ダグラス

物語の語り手で、宇宙船乗組員の父を持つ少年。苗字は不明。父の仕事に憧れているが、母の「宇宙へ行かせたくない」という気持ちもわかるので、心境は複雑である。中学生くらいの黒髪の少年として描かれているが、具体的な年齢は不明(原作では「第九学年の」というセリフがあるので、中学三年くらいと思われる)。

リリー

ダグラスの母親。宇宙に惹かれている夫に対し、嫉妬と死の心配を感じ、つらい想いをしている。夫が宇宙へ行かないように、様々な努力を行うが、失敗する。夫が宇宙で死んだとしたら、その死に場所の星を二度と見ることができないだろうと息子に語った。

おとうさん

ダグラスの父親。十年前から宇宙船乗組員を続けている。年齢・名前ともに不明。宇宙船を飛ばしているのは政府組織らしく、近代ヨーロッパの軍服のようなデザインの黒い制服を着ている。「宇宙へ行くたびに地球に帰りたくなる。地球へ帰ると宇宙へ行きたくなる。お前をそんな生活のとりこにさせたくない」と言って、ダグラスにスペースマンになることを止めさせようとする。 妻リリーの思いを受け、「3ヶ月後に戻ったらもう宇宙へは行かない」と言い残して出かけるが、運命の結末を迎える。

その他キーワード

遠心分離器 (えんしんぶんりき)

ダグラスが宇宙から帰ってきた父親の洗濯前の制服をこれにかけ、宇宙の塵を集め、硝子の器に入れて大切にしていた。父親の仕事と宇宙へのあこがれが、非常に明確に示されるアイテムである。学校の工作で作ったものらしい(原作では、「第九学年の作業場で組み立てた」という記述がある)。

クレジット

原作

レイ・ブラッドベリ

関連

『Bradbury傑作選』シリーズ (ぶらっどべりけっさくせんしりーず)

萩尾望都がレイ・ブラッドベリのSF短編小説を漫画化した作品集。 関連ページ:『Bradbury傑作選』シリーズ

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