パラレル同窓会

パラレル同窓会

藤子・F・不二雄によるSF短編の一作。パラレルワールドを題材とした作品。人生には様々な可能性があることと、どれほど成功しても満たされることのない人間をアイロニカルに描く。

正式名称
パラレル同窓会
ふりがな
ぱられるどうそうかい
作者
ジャンル
その他SF・ファンタジー
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概要・あらすじ

会社社長の高根望彦は人生の成功者であるという自負があるにも関わらず、どこか満たされない思いを抱えて生きていた。そんなある日、「パラレル同窓会のお知らせ」という奇妙な招待状が届く。やがてそれが何であるか知覚する「その時」が訪れ、様々な可能性の自分が一堂に会する空間へと導かれる。そして、そこで出会った「小説家の高根望彦」の人生にこそ自分が求めていたものがあると感じて人生を交換するが、それが思わぬ結果となってしまう。

登場人物・キャラクター

高根 望彦 (たかね もちひこ)

53歳。極東物産社長。ライバルを蹴落とし、様々な困難を乗り越えた「人生ゲームの勝利者」。しかし、欲しいものは何でも手に入るようになっても、何か満たされないものを抱えている。少年の頃は小説家を目指しており、今も誰に見せるつもりもない小説を書いている。また、自身の中にサディスティックな気質があることを自覚しているが、それを律することに誇りを感じている。 パラレル同窓会の世界を知覚後は、作家の高根望彦こそが自分が本当に望んでいた姿であるとの思いから強引に説得して互いの人生を入れ替える。しかし、そこに待っていたのは明日の食事にも窮するような生活であり、まったく違う意味で満たされないこととなる。

郷 咲子 (ごう さきこ)

46歳。実年齢よりもかなり若々しく、美貌の女性。旧姓は森山。高根望彦とはライバル関係にあった郷の妻だが、かつては高根望彦の恋人だった。高根望彦に極東物産を追い出され、転職先の小さな会社で定年を目前に失職した夫のことで相談に現れる。

幹事の高根望彦 (かんじのたかねもちひこ)

主人公とはかなり近いところで分岐した世界の高根望彦。何かをきっかけに吹っ切れた様子で、満たされた人生を送っている。パラレル同窓会を知覚するタイミングが早かったため、他の平行世界の高根望彦に声をかける幹事のような立場となっているが、この世界ではちゃっかり主人公の高根望彦になりすまして欲望を解放し、郷咲子とはSMショーが売りのクラブでハレンチな行為に及んでいた。

元極東物産の高根望彦 (もときょくとうぶっさんのたかねもちひこ)

パラレル同窓会の出席者のひとり。頭髪は禿げており、無精髭と安物のスーツというみすぼらしい姿が特徴。主人公とは反対に、郷と婚約した森山咲子をかっさらって結婚したが、彼女の虚栄心の強さに苦労するハメになったうえ、郷に会社を追い出されて現在に至る。

テロリストの高根望彦 (てろりすとのたかねもちひこ)

パラレル同窓会の出席者のひとり。学生運動の頃の理想と情熱を忘れずに、そのままベイルートでテロリストのリーダーとなっている。資本主義社会で成功している主人公を裏切り者と呼び、極東物産にいずれは爆弾を仕掛けると宣告。

死刑囚の高根望彦 (しけいしゅうのたかねもちひこ)

パラレル同窓会の出席者のひとり。サディスティックな嗜好が高じて殺人鬼となった男。現在は死刑囚で、坊主頭となっている。ヤケ酒をあおり、力づくで主人公の人生と入れ替わろうとする。

作家の高根望彦 (さっかのたかねもちひこ)

パラレル同窓会の出席者のひとり。少年の頃からの夢を叶えて作家となっているが、実情は作家としての仕事にはまったく恵まれず、肉体労働で生活費を稼ぐ。しかし主人公の高根望彦はそれにすら理想を感じ、人生を入れ替えることを持ちかけられる。

場所

パラレル同窓会 (ぱられるどうそうかい)

『パラレル同窓会』の舞台となる特集な空間。様々な要因で分岐した人生のパラレルワールドの自分と、一生に一度、一堂に集まる会。「その時」が訪れると「記憶を包んでいた硬い膜」が破れて、会場への道が開かれる。ただし全員が出席しているわけではなく、どうしても出席したくない者と、すでに死亡している自分はそこにいない。また、合意の上で他の世界の自分と人生を交換することができる場でもある。

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