デート・ア・ライブ 十香デッドエンド

デート・ア・ライブ 十香デッドエンド

橘公司の小説『デート・ア・ライブ』のコミカライズ作品。平凡な男子高校生の五河士道は、ある日、世界を滅ぼす力を持つ精霊との交渉役に任命されるが、その交渉方法とは精霊とデートをして、彼女たちを惚れさせるというものだった。世界を救うため、精霊たちを必死に攻略していく士道の姿を描くアクション・ラブコメディ。「月刊少年エース」2014年1月号から12月号にかけて掲載された作品。

正式名称
デート・ア・ライブ 十香デッドエンド
ふりがな
でーとあらいぶ とおかでっどえんど
原作者
橘 公司
漫画
ジャンル
アクション
 
ラブコメ
関連商品
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あらすじ

名も無き少女

空間震」と呼ばれる現象が起きるようになって30年、時折起きる災害に怯えつつも人類はそれに適応し、何げない日常を過ごしていた。ふつうの男子高校生の五河士道も、妹の五河琴里と平々凡々な日々を送っていた。そんなある日、士道は空間震が近所で発生するのを知り、避難することとなる。しかし、琴里が空間震の現場に残されているかもしれないと思った士道は、避難する人の流れに逆らって妹を捜すために、一人空間震の現場に赴く。そしてそこで士道が目にしたのは、一人の少女だった。少女は突如現れた兵士たちと戦闘を繰り広げ、周囲を見境なく破壊して回る。士道はその戦闘の余波に巻き込まれかけるものの、村雨令音によって助けられ、琴里と再会する。しかし琴里の様子はいつもと違い、豹変した琴里は、士道が出会った少女こそが空間震の元凶である「精霊」だと語る。そして琴里は自分が精霊との対話を目指す組織「ラタトスク」に所属しており、士道を精霊との交渉役に任命すると告げる。士道は困惑しつつも精霊の見せた悲しげな姿が気になり、流されるまま交渉役となってしまう。しかし、琴里から告げられた交渉内容は驚くべきものだった。

デェト

五河士道精霊と平和的な関係を築くための交渉役に任命されるが、その方法は「デートをして精霊をデレさせる」というものだった。そして士道は五河琴里からのむちゃぶりで、女性の扱いに慣れるための特訓を受けていた。そんな騒々しい日々を送っていた士道だったが、ある日、再び空間震が起きる。空間震は士道の通う都立来禅(らいぜん)高校で起きるものの、幸い犠牲者はなく、周囲は人が避難したため、士道は運よく精霊の少女と再会することに成功する。少女は警戒心が強く、士道の言葉を拒絶していたが、言葉を重ねるうち、次第に心を開いていく。そして士道は、名前がない少女に「十香」という名を授け、今度デートをする約束を取り付けるのだった。その後、十香は駆け付けたASTと戦闘を繰り広げ、戦いに巻き込まれた士道はラタトスクに回収される。十香はそのまま帰還していたが、翌日、十香は士道の目の前に再び姿を現し、二人は約束どおりデートを楽しむ。世間知らずではあるものの、年頃の乙女のように振る舞う十香の姿を見て、士道は十香との距離を縮め、遂に人と精霊はわかり合える瞬間を迎える。しかしその瞬間、十香の存在に気づいたASTの攻撃が二人に襲い掛かる。いち早くそのことに気づいた士道は、十香をASTの攻撃からかばい、致命傷を負ってしまう。

精霊のいる風景

五河士道のクラスメートである鳶一折紙は、過去に精霊に家族を殺されたことから、精霊を憎み、自分のような人間を増やさないために精霊と戦うという使命感を持っていた。ASTの一員となり、厳しい戦闘にも耐え抜いていた折紙であったが、それでも人の身では精霊に太刀打ちできず、思いどおりにならない日々に忸怩(じくじ)たる思いを抱いていた。そんな中、クラスメートの士道にASTの一員である事実を知られ、秘密を共有したことで、彼にひそかに好意を抱き始めていた。そんな士道が精霊を連れているのを目撃した折紙は、精霊を倒すため、そして士道を守るために夜刀神十香を不意打ちで攻撃する。しかしその一撃は、十香をかばった士道に命中。結果、錯乱して暴走した十香は、これまでにない狂乱を見せるようになる。また怒れる十香を前にするものの、折紙は級友を殺したことで茫然自失し、戦意喪失してしまう。状況は最悪かと思われたが、その瞬間、士道は謎の復活を遂げる。そしてラタトスクのバックアップを受けた士道は、暴れる十香を止めるため、荒れ狂う力の前にその身を投げ出すのだった。

関連作品

小説

本作『デート・ア・ライブ 十香デッドエンド』は、橘公司の小説『デート・ア・ライブ』を原作としている。原作は「秘密組織のメンバーが大まじめにギャルゲーをやっていたら」というコンセプトのもと、平凡な少年の五河士道と、世界の命運をにぎる精霊の少女たちとの恋愛模様が描かれており、富士見ファンタジア文庫より刊行されている。キャラクターデザインはつなこが担当している。なお本作は、原作第1巻の内容をコミカライズした作品となっている。

登場人物・キャラクター

五河 士道 (いつか しどう)

都立来禅(らいぜん)高校の2年4組に在籍する男子。黒髪黒目の平凡な少年だが、幼い頃に母親に捨てられた過去があり、その体験から他人の絶望に敏感で、心優しい性格で面倒見がいい。義妹の五河琴里との仲は良好。ある日、空間震が起きて琴里を捜している際に、精霊の戦闘現場に遭遇。ラタトスクに助けられ、そのまま精霊との交渉役に任命される。司令官モードとなり、豹変した琴里に半ば強制的に交渉役にされるが、出会った精霊の悲しげな表情が気になり、流されるままそれを受け入れる。交際経験がないため、女性の扱いには慣れておらず、交渉役任命後は琴里に特訓と称される、恋愛シミュレーションゲーム(ギャルゲー)やナンパを強要され、学内で奇行を繰り返している。立ち位置は「リアルなギャルゲーの主人公」で、精霊と相対した際にはフラクシナスの解析AIが、行動を選択肢として表示。フラクシナスのクルーが理論的に選択肢を選び、通信機で士道がその行動を取るという流れとなっている。ただし、選択肢が必ずしも有効とは限らず、基本的にロクな目に遭っていない。主体性がなく、流されることが多いが、他者の心の機微に敏感で、土壇場では男気を見せることもある。キスをすることで精霊の力を吸収し、その力を封じる力を持つほか、一回くらいなら殺されても復活するなど謎が多い。致命傷を負った際には傷口から炎が広がり、短時間で無傷の状態へと復元する。この力のことを知っている者は数少なく、五河士道自身も自覚がない。琴里はかなり前から士道の力を知っており、その力を最大限活用するため、ラタトスクを結成した。

夜刀神 十香 (やとがみ とおか)

騎士甲冑を身にまとった精霊の少女で、黒い髪を長く伸ばしている。その戦闘能力は絶大で、巨大な騎士剣「鏖殺公(サンダルフォン)」を携え、たった一人でASTを撃退するほどだが、その力によって必要以上に周囲に破壊の被害をもたらしている。人間からは空間震を引き起こす元凶と思われているが、夜刀神十香自身はほとんど何も知らず、眠っているところを起こされるかたちで現実世界に引きずり込まれ、その余波で空間震が起きているのが真実だった。十香自身は人類に対して隔意はないが、現実世界に出現するたびに攻撃されるため、その反撃で暴れ回っている。人類にも世界に対しても絶望していたが、ラタトスクの対話計画の一環で、五河士道と対話し、素の性格を見せていく。人間に対して強い警戒心を持っていたが、素は溌剌とした性格で、人との交流が初めてなこともあり、好奇心旺盛な一面を見せる。また、当初は名前がなかったが、士道によって「十香」と名づけられる。名前の由来は士道が十香と出会ったのが「四月十日」だったため、「十日」をもじって名づけた。かなりの大食漢で、食べることが大好き。特に士道との初デートで食べた「きなこパン」が好物。言葉づかいが若干古風で、「デート」などの横文字を「デェト」と独特なイントネーションでしゃべる。根は聡明で、士道との交友を経て、世界の尊さとそれを破壊してしまう自分の危険さを認識。自分を排除しようとしたASTの行動も道理があると認めるようになる。交渉終了後は、世界を破壊しないため、士道に自分の力を吸収してもらい、力の9割を失って現実世界にとどまる。五河琴里たちに身の回りの生活のサポートをしてもらい、「夜刀神十香」という名で士道の学校に転入する。

五河 琴里 (いつか ことり)

五河士道の妹で、赤い髪と紅玉のような瞳を持つ中学生の少女。明るく無邪気な性格をしている。五河琴里の両親が、母親に捨てられた士道を引き取って育てたため、血のつながりはないが士道とは実の兄妹のように仲がいい。その正体はラタトスクの司令者。ふだんは白いリボンで髪を結っているが、司令時には黒いリボンをつけ、性格もクールに変貌する。士道に対しても毒舌で辛辣な態度となり、事情を知らない士道を強引にラタトスクの活動に巻き込む。士道の体質や精霊の正体に関して知っている節があり、それらを証明するために行動している。好物はチュッパチャプスで、つねに持ち歩いている。

鳶一 折紙 (とびいち おりがみ)

都立来禅(らいぜん)高校の2年4組に在籍する女子。白い髪をショートボブにした美少女で、無感情で冷静沈着な性格をしている。頭脳明晰でスポーツ万能、さらに容姿も整っているため、学内では人気が高い。しかし人付き合いは苦手で、学校では一人でいることが多い。5年前、両親を精霊に殺された過去があり、精霊から人を守るためにASTに所属している。ASTでの階級は一曹。若いながらも部隊では指折りの実力者で、危険な戦場に自ら飛び込んでいる。精霊への敵愾心は強く、精霊を目の前にすると憎しみの感情をあらわにする。ASTとしての活動は学校には秘密にしていたが、五河士道に目撃される。士道に秘密にするように頼み、これをきっかけにして士道と交流を持つようになる。物静かでミステリアスな雰囲気を漂わせているが、素の性格はかなりとんちんかん。士道が女性に慣れる特訓をしていた際、たまたま通りかかって士道にナンパされるが、一歩まちがえればストーカーと思われるような支離滅裂な口説き文句をあっさり受け入れ、士道を逆にとまどわせる。

神無月 恭平 (かんなづき きょうへい)

ラタトスクの副司令を務める男性。金髪を長く伸ばした青年で、誰もが認めるほどの美形。物腰も穏やかで、黙っていれば貴公子といっても通用する人物ながら、実はマゾで年下の女の子になぶられるのが好きという筋金入りの変態。五河琴里のことを気に入っており、司令官モードの琴里の機嫌が悪くなった際、殴られ役となってストレスを解消させている。実質サンドバッグ扱いされているのだが、神無月恭平自身もその役割に心の底から満足しており、琴里に殴られる際にはお礼を言っている。

村雨 令音 (むらさめ れいね)

ラタトスクに所属する女性で、灰色がかった銀髪をサイドテールにセットしている。重度の不眠症を患っており、つねに目の下に隈がある。年齢は不詳だが、本人は冗談交じりに30年間以上寝てないと言っている。寝ていないために時折倒れたり、人の名前を覚えられなかったりなど、マイペースな言動が多い。ラタトスクでは解析官を務めており、五河琴里と仲がよく、いっしょに行動することが多い。五河士道のサポートをするため、都立来禅(らいぜん)高校に物理教師として赴任し、彼の特訓に付き合ったりしている。

集団・組織

ラタトスク

精霊との対話を目指した秘密組織で、司令は五河琴里が務めている。五河士道の能力を前提とした組織で、士道を精霊との交渉役としてサポートするのを目的としている。拠点はステルス機能など多数の機能を搭載する空中艦「フラクシナス」で、多数のクルーが常駐し、士道の行動を助けている。

AST

陸上自衛隊の特殊部隊。精霊の排除を目的とした「対精霊部隊」で、所属する者は精霊に対抗するための「CR-ユニット」を装備している。CR-ユニットは顕現装置を戦術的にあやつるための装備だが、適性がある者が少ないうえに、装置をあやつるためには特殊な装置を体に埋め込む必要がある。そのため隊員数は少なく、未成年でも適性があれば隊員として所属することがある。なぜか適性を持つ者は女性が多いため、所属する隊員はほとんどが年若い女性となっている。CR-ユニットは精霊に対抗できる唯一の武器だが、彼我の戦力差は大きく、実態は辛うじて撃退するのが関の山となっている。

場所

天宮市 (てんぐうし)

五河士道たちの住む街。30年前、空間震が初めて観測されて以降、さまざまな最新技術を注ぎ込まれて再開発されたテスト都市で、街中には空間震の被害を最小にするための施設が至る所に存在する。士道たちが通う都立来禅(らいぜん)高校もその一つで、都立高校とは思えないほど設備が充実しており、また対空間震用の最新型地下シェルターが備えられているため、有事の際には避難所としても機能する。

その他キーワード

空間震 (くうかんしん)

「空間の地震」とも称される広域震動現象。一般的には発生原因不明、発生時期不定期、被害規模不確定の爆発震動消失そのほか諸々の現象と定義づけられている。人類史上、この現象が初めて確認されたのは30年前で、ユーラシア大陸のど真ん中で発生。当時のソ連や中国、モンゴルを含む一帯がくり抜かれるように消滅し、1億5000万人を超える死傷者を出した。この人類史上初にして、最大最悪の災害は「ユーラシア大空災」と呼ばれ、語り継がれている。ユーラシア大空災以降は、世界中で小規模な空間震が起きては、多くの犠牲者を出している。一般には秘密にされているが、空間震の原因は精霊が現実世界に現れる際に引き起こされる余波のようなもの。精霊の意思とは無関係に引き起こされ、また精霊自身も高い戦闘能力を持つため、精霊が暴れ回ることで二次的な被害が広がるのが空間震の真実となっている。

精霊 (せいれい)

本来は現実世界には存在しない謎の存在。空間震は精霊が現実世界に現れる際の余波で、精霊の存在そのものが災害を引き起こす引き金となっている。精霊自身も人類の既存科学では太刀打ちできない超越的な力を持ち、精霊が暴れ回ることで周囲への被害は広がる。ただし、精霊自身は意思こそしっかりしているものの、記憶は歪で曖昧で、破壊や戦いの意思は存在しない。ふだんはどことも知れない空間に存在し、そこで休眠状態となって漂っている。しかし、自分の意思とは関係なくたたき起こされるように意識を覚醒され、現実世界に引き寄せられる。空間震も自らの意思で引き起こしているのではなく、精霊が現れる際に勝手に巻き起こるものとなっている。だが、人類は精霊こそが空間震の原因とみなし、精霊を打ち倒せば、これ以上空間震が起きなくなると考え、精霊たちと敵対している。これが結果的に精霊が人類を敵視する原因ともなっている。

顕現装置 (りあらいざ)

超常現象を巻き起こす特殊な装置。コンピューター上での演算結果を現実世界に再現する特殊な装置で、その性質から「魔法」を再現する装置とも呼ばれる。そのため、顕現装置を使う者を「魔術師(ウィザード)」と呼ぶこともある。一般にはその存在は知れ渡っていないが、空間震の災害復旧などにも使われており、物質を修復する力で壊れた建物をあっという間に修繕することもできる。対精霊用に特化した顕現装置として「CR-ユニット」も存在し、戦闘に使用することもある。

クレジット

原作

橘 公司

キャラクター原案

つなこ

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