愛人[AI-REN]

愛人[AI-REN]

過去に最終戦争が起きてしまい、人類が終末を迎えようとする世界。余命いくばくもない少年ヨシズミ・イクルの元に、精神の救済目的で作られた人造人間「愛人」のあいがやってきて、いつしか二人の間には愛が生まれるようになる。二人の恋愛模様と、世界で起きている終末へのカウントダウンが並列で描かれるSF作品。連載終了後、大幅に描き下ろしが追加されており、2009年にはさらにインタビューなどを追加した愛蔵版が上下巻で発売された。

正式名称
愛人[AI-REN]
ふりがな
あいれん
作者
ジャンル
その他SF・ファンタジー
 
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概要・あらすじ

もう助かる見込みがなく、末期に入った患者のヨシズミ・イクル。彼は精神的救済を得るための擬似的な人造人間の配偶者「愛人」を申請した。彼のもとにやってきたあいは、とても未成熟な少女。娘のように育てていくうちに、あいイクルにとって、死への恐怖を落ち着かせてくれる、そして守ってあげたいと感じる、大切な存在になっていく。

しかし「愛人」は人間以上に寿命が短い。彼女と二人で、残り僅かな時間どのように過ごしていくか模索する。一方で世界は戦争により余命わずかな状態にまで陥っていた。国連事務総長のカマロ・カレルレンは、人類の上位存在と思われる「HITO」との接触を試みる。

登場人物・キャラクター

ヨシズミ・イクル

幼いころ家族全員が交通事故にあい、身体の半分を失った際に何者かによって、生命維持をしつつも融合せず侵食をくりかえす「他者」を移植される。その後は人間の姿を保っている。一時期は実験動物のように研究所で見張られていたが、ナギ・ハルカによって連れだされ、先生となった彼女のもとで生きることを学ぶ。 「他者」に飲み込まれる夢を毎晩見て苦しむ中で、精神的補助の人造人間「愛人」システムに申し込み、あいに出会う。絶望が多かった彼も、あいと出会ってからは、毎日が充実したものとなり、彼女のために少しでも生きていこうと決意する。料理がうまくあいを喜ばせているが、彼の栄養は薬と点滴。 目の下には切り傷が残っていて、消えない。

あい

ヨシズミ・イクルが申請して手に入れた、死ぬ間際の人間を安らがせるために作られた人造人間「愛人」の一人。非常に子供っぽい性格で、イタズラ好き。最初は精神年齢も幼稚で、イクルを父親のように慕っているが、次第に彼に対して恋心を抱くようになる。ピアノやギターがすぐ弾けるようになるなど、「愛人」になる前の人間の能力が見え隠れするシーンがあるが、実際の彼女の原型になる人格は不明。 絵を描くのが大好き。通常の「愛人」と違うらしく、ナギ・ハルカが遺伝子調査したことがある。

ナギ・ハルカ

「スイックス」と呼ばれる、遺伝子操作によって生まれた人間の最終完成形の一人で、ヨシズミ・イクルの先生。イクルは生きることについての知識をほぼすべて彼女に教えてもらっている。かつて人類が行っていたセックスがどのようなものかをイクルも身をもって教え、卒業させた。 ただし生殖機能は持っていない。いつもは遺伝子操作を失敗した子どもたちを見守って、施設で共に暮らしている。最初はイクルが、先に死んでしまう「愛人」に依存してしまうことを恐れていた。

カマロ・カレルレン

黒い肌に金髪の、国連事務総長の女性。かつて国連の代表として世界中の戦場や難民キャンプに赴いて、数多くの人間の死を目の当たりにしてきた。生物兵器にされた数多くの難民を、自らの手で爆弾で虐殺したことがある。事務総長になってからは地球の存亡をかけて、ソン・ソンイル、マーク・ラインバーガーと共に、謎の存在「HITO」との会見に臨み、彼が人類の敵かどうかを確かめる。

ソン・ソンイル

カマロ・カレルレン、マーク・ラインバーガーと共に「HITO」との会見に望んだ国連代表者の一人。人類が衰退の一途をたどり、種の寿命を迎えつつあることをずっと悩んでいる。彼の息子は遺伝子管理上の事故がおき、動けなくなってしまっており、謎のバイオテロ・「呪い」の汚染がやってきたとき、息子と共にそれを受け入れる決意をする。

マーク・ラインバーガー

カマロ・カレルレンと共に「HITO」への会見に望んだ国連代表の一人。「呪い」と呼ばれる遺伝子汚染に犯され、帰還後、ナギ・ハルカに「呪い」についての現状報告と、解析データを渡す。

キリト

自らを「HITO」の代表であると名乗り、竜に乗って現れる謎の存在。眼の色が右と左で異なっており、左腕はなく機械化されている。肌と髪は白いが、遺伝子操作されて作られた完全な人間「スイックス」とは別物。世界中に向けて争いをやめるよう演説をする。ところがその時のキリトの記録は全て消えてしまっている。 国連事務総長のカマロ・カレルレン達と会見する。

メイホア

ナギ・ハルカが住む施設の側に住む女性。身体が弱く、大部分が機械化されている。ようやく妊娠することができ、死の危険を知りながら出産に挑む。

ナギ

ナギ・ハルカの母親で、遺伝子研究によって人間の最終完成形態「スィックス」を生み出した博士。「人類の母」とも呼ばれる。生まれた時は目が見えず、口もきけず、耳も聞こえない状態な上、動くことも息をすることもできなかった。そのハンディキャップを越えて、脳をラボそのものにつないで一体化し、研究を続けていた。 現在は幼児退行している。

兵士 (へいし)

遺伝子実験で失敗し、生命維持装置の中に詰め込まれて埋められている「ヒルコ」の番人。特徴的なメガネを目につけた黒服の男性。スペースソルジャーとして過酷に戦い、心も名前も捨てた。あいと出会って、心を取り戻す。

その他キーワード

愛人 (あいれん)

『愛人AI-REN』に出てくる用語。AGH-RMS(Artificial Genes Human Regenerated for Mental Support=精神的援助用再生人造遺伝子人間)。テロの自爆要員など、何らかの理由によって生かしておけなかった人造遺伝子人間を凍結し、元々の人格を失わせて「愛人」として再生させたもの。 死の間際にある患者が、精神的なケアを目的に、擬似配偶者として受け取ることが出来る。再生期間は約10ヶ月で、寿命は伸ばせない。

スイックス

『愛人AI-REN』に出てくる用語。遺伝子改良によって生まれた、人間の最終完成形態。真っ白な髪と真っ白な肌、東洋的な美貌を持ち、不死身に近い生命力を持っている。生殖能力は一切ない。ただし肉体は徐々に内部崩壊を起こすため、肉体の付け替えが必要。SF作家フィリップ・K・ディックの小説に出てくる単語から取られた言葉。

HITO (ひと)

『愛人AI-REN』に出てくる用語。竜に乗ってやってきた、謎のテクノロジーを持つ存在。世界中の大量殺戮兵器のコントロールをすべてジャックし、「人殺しをやめろ!」と演説をして戦争をやめさせる。国連は「HITO」との接触を試みる。ところがその後すぐに姿を消し、演説の記録は録画等すべて消滅してしまう。

ヒルコ

『愛人AI-REN』に出てくる用語。新しい人類をつくるべく遺伝子操作実験に使われ、失敗によって犠牲になった子どもたちのこと。廃棄されるものの殺すことが出来ず、施設内にある大型カプセルの生命維持装置の中で生きながらえており、一人の兵士が番人をしている。

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