ナポレオン -覇道進撃-

ナポレオン -覇道進撃-

フランス革命後の混乱を収束させ、皇帝となったナポレオン・ボナパルトの栄華と没落を描く大河史劇。基本的に物語は史実に沿って展開するが、過激な演出がふんだんに盛り込まれ、登場人物たちも過分にデフォルメされている。『ナポレオン -獅子の時代-』の続篇。

正式名称
ナポレオン -覇道進撃-
ふりがな
なぽれおん はどうしんげき
作者
ジャンル
時代劇
レーベル
YKコミックス(少年画報社)
巻数
既刊25巻
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概要・あらすじ

フランス革命の後、幾多の戦争と政変の末、ナポレオン・ボナパルトはフランス第一執政となり、権力の頂点に立った。全権を掌握したナポレオンは、優秀だがくせ者ぞろいの将軍たちを率いて、敵対姿勢を見せるオーストリア軍を撃破。その地位を盤石のものとし、ついには皇帝に即位する。皇帝となったナポレオンは、「イギリス本土上陸作戦」を開始するが、フランス艦隊は、トラファルガー海戦にてネルソン提督率いるイギリス海軍に惨敗してしまう。

一方、雪辱を誓うオーストリアは、ロシアと連合軍を結成してナポレオンに対抗しようとする。劣勢を挽回すべく、大陸軍(グランドアルメ)を電撃の勢いで展開させたナポレオンは、アウステルリッツの地にて「ロシア・オーストリア連合軍」と決戦。

この戦いに大勝利したことで、ナポレオンはさらなる高みへと昇っていく。

登場人物・キャラクター

ナポレオン・ボナパルト (なぽれおんぼなぱると)

登場当初は、フランス第一執政。後に国民投票により皇帝に即位した。フランス領コルシカ島出身の男性。黒髪で射るような鋭い眼光の持ち主。丸型のサングラスを着用することが多い。このサングラスはもともとはマクシミリアン・ロベスピエールの持ち物だった。天才的な軍事の才能の持ち主であり、卓越した戦略と用兵能力により、フランスをヨーロッパの覇者へと導いていく。 小柄な体格だが、闘争心にあふれた大陸軍(グランドアルメ)を率い、常に前線で指揮をとる。フランス第一帝政の皇帝ナポレン・ボナパルトをモデルとする。

ジョセフィーヌ

ナポレオン・ボナパルトの妻。ウジェーヌ・ド・ボアルネの母親。ナポレオンの皇帝即位にともない皇后となった。ナポレオンとは再婚であり、最初の結婚で2人の子供をもうけていた。浮気性であり、かつてはナポレオンを悩ませたが、夫が第一執政の座についてからは、その浮気も収まった。しかし、ナポレオンとの間に子供ができないことを悩み、妊活に励むようになった。 フランスに実在したナポレオン・ボナパルトの妻にしてフランス皇后のジョセフィーヌ・ド・ボアルネをモデルとする。

ベルティエ

ナポレオン・ボナパルトの頼りになる参謀。陸軍大臣。ナポレオンの命令のもと最強の軍隊を作り上げ、「ナポレオンの影」と呼ばれた男性。ナポレオンの皇帝即位後に元帥となる。冴えない風貌の小男だが、イタリアの名門貴族・ヴィスコンティ夫人と愛人関係にある。極めて有能な参謀であるが、ナポレオンの自分に対する評価を異常に気にするなど、俗な一面も持ちあわせている。 有能であるがゆえにナポレオンに酷使され続け、夜もまともに眠らせてもらえないのが悩み。アウステルリッツ会戦の後には、ヌシャテル公爵に叙勲された。フランスに実在した軍人で、フランス帝国元帥ルイ・アレクサンドル・ベルティエをモデルとする。

ミュラ

ナポレオン・ボナパルト麾下の将軍のひとり。騎兵を指揮する。ナポレオンの皇帝即位後に元帥となった。容姿に自信のある伊達男であり、ナポレオンの妹カロリーヌ・ボナパルトと結婚した。ナポレオンの義弟となったことで順調に出世し、ナポリ王にまでなるが、権勢欲旺盛なカロリーヌの策謀には終生振り回され続けた。フランスに実在した軍人で、ナポリ王国・国王のジョアシャン・ミュラをモデルとする。

ランヌ

ナポレオン・ボナパルト麾下の将軍のひとり。猟犬のような身のこなしを誇る禁欲的な軍人。ナポレオンの皇帝即位後に元帥となった男性。左右の頬に大きな傷がある。友人として対等に話すことを許されるなど、ナポレオンからは絶大な信頼を得ている。口ばかり達者で軽薄な人間を嫌っており、ミュラとは犬猿の仲である。ナポレオンの妹カロリーヌ・ボナパルトをめぐってミュラと争ったが、ナポレオンから彼女の傲慢な本性を教えられて身を引いた。 長髪を後ろで結わえたオサゲがチャームポイント。ナポレオンから「元帥になりたければ切れ」と命令されても、オサゲを切ることを拒否した。しかし、ナポレオンから紹介された美女に「古くさいかも」と言われると、あっさり切り落とした。 フランスに実在した軍人でフランス帝国元帥・ジャン・ランヌをモデルとする。

マッセナ

ナポレオン・ボナパルト麾下の将軍のひとり。ナポレオンの皇帝即位後は元帥となった男性。石鹸を作るための巨大な鋤を武器として闘う。優秀な将軍だが、金銭欲・物欲がとんでもなく強く、戦場では容赦のない略奪を繰り返す。その上、好色で性欲が強く、戦場に愛人をともなうこともあった。ナポレオンの第一執政時代、ナポレオンや将軍たちと酒場で「兎狩り」を行った際、銃弾で負傷して隻眼となった。 以降、眼帯を身につけるようになった。フランスに実在した軍人で帝国元帥のアンドレ・マッセナをモデルとする。

オージュロー

ナポレオン・ボナパルト麾下の将軍のひとり。ジャコバン派の軍人でなまりのある言葉で話す。ナポレオンの皇帝即位後は元帥となった男性。戦場での勇猛さには比類がないが、型にはめられることを嫌う性格で、素肌に直接軍服を着るスタイルを貫いている。また、独特の美意識の持ち主で、常に「乳首毛専用の櫛」を携帯して、乳首の毛を手入れしている。 ランヌとは気が合う仲で、彼が金銭に困った時、かなりきわどい形で手を貸した。粗野な面はあるが、人情に厚い性格であり、部下からは慕われている。また、非常な愛妻家であったが、妻には先立たれてしまう。フランスに実在した帝国元帥・シャルル・ピエール・フランソワ・オージュローをモデルとする。

ベルナドット

ナポレオン・ボナパルト麾下の将軍のひとり。ジャコバン派の軍人であり、心中ではナポレオンに反発している男性。だが、このことにはナポレオンも気がついている。ナポレオンの兄の妻の妹と結婚していることから、ボナパルト一族とは縁戚関係にある。ナポレオンの皇帝即位後に元帥に任命され、アウステルリッツ会戦の後には、ポンテコルヴェ公爵に叙勲された。 実在したフランスの軍人で、スウェーデン国王でもあるジャン・バティスト・ジュール・ベルナドットことカール14世をモデルとする。

スルト

ナポレオン・ボナパルト麾下の将軍のひとり。ナポレオンの皇帝即位後は元帥となった男性。物語当初は軍を離れ、腕のよいパン職人としてビクトルの店で働いていた。その後、「ナポレオン暗殺計画」阻止に協力したことでジョゼフ・フーシェと知り合う。彼の息子を救ったことで名画を贈られたが、それをきっかけに物欲がわきおこり、軍隊に復帰することとなった。 元帥になった頃には、すっかりどん欲な人間になっており、略奪や蓄財に励むようになった。フランスに実在した軍人・政治家で大元帥のニコラ・ジャン・スルトをモデルとする。

ダヴー

ナポレオン・ボナパルト麾下の将軍のひとり。ナポレオンの皇帝即位後は最年少で元帥となった男性。ナポレオンの士官学校の後輩であり、在学中に互いに面識があった。ナポレオンの義弟の妹と結婚していることから、ボナパルト一族と縁戚関係にある。稀代の戦略家であり、その軍事指揮能力はナポレオン麾下の軍人の中でもナンバーワンと評されている。 しかし、自分の軍才がナポレオンに及ばないことを誰よりも自覚している。また、行政・管理の方面でも実績を残した。その貫禄と頭頂部の薄さから、老けて見られがちだが、元帥の中では一番の年若である。フランスに実在した軍人で帝国元帥のルイ・ニコラ・ダヴーをモデルとする。

ジュノー

ナポレオン・ボナパルトの古くからの部下。ボナパルト一族との付き合いも古く、ナポレオンの母親から「六番目の息子」とまで言われている男性。無口で基本的には「うが」としか話さない。東方遠征でナポレオンに置き去りにされ、イギリスで捕虜になっていた。その後、ナポレオンによってパリに呼び戻され、パリ知事に任命された。 結婚もして幸せな日々を送っていたが、ナポレオンの妹・カロリーヌ・ボナパルトとの浮気が発覚。ナポレオンの前で夫のミュラと殴り合うことで決着をつけさせられた。その後、ポルトガルに司令官として派遣された。フランスに実在した軍人ジャン・アンドシュ・ジュノーをモデルとする。

ミシェル・ネイ (みしぇるねい)

ナポレオン・ボナパルト麾下の将軍のひとり。ナポレオンの皇帝即位後は元帥となった男性。かつての上官マッセナをして「勇猛さならフランス軍一」と言わしめた勇者。名誉を重んじ、略奪も行わないことから部下の信頼も厚い。「馬鹿と思えば賢く、厳しいかと思えば優しく、大胆かと思えば繊細」と評されるなど、まったく規格外の軍人として知られている。 一方で女性に振られる度に自殺未遂を繰り返す奇癖もあり、酒癖も悪い。樽職人の子供に生まれたことから、樽の中に入って寝ることを好む。また、部下を鼓舞する時、やたらと性器の呼び名を混ぜて叫ぶ癖がある。フランスに実在した軍人で帝国元帥のミシェル・ネイをモデルとする。

ビクトル

ナポレン・ボナパルトが指揮する戦いの多くに兵卒として参加し、その都度悲惨な目にあうツキのない男。元ギロチン処刑人見習い。兵隊仲間からは「疫病神のビクトル」とあだ名されている。ナポレオンの東方遠征では、多くの兵士同様エジプトに置き去りにされた。その後、フランスへの帰路で、イギリスのネルソン提督に捕虜にされる。 船員として売られた後、ポルトガルで牢に入っていたところをランヌに助け出され、彼の資金援助で、パリに食堂を開いた。後に元帥となるスルトは、この店でパン職人として働いていた。だが、店はその後「ナポレオン暗殺計画」の巻き添えで焼失。茫然自失の中、手を差し伸べてくれた処刑人の親方のために金が必要となったビクトルは、徴兵拒否者の身代わりとなって、新兵として軍隊に復帰した。 店が消滅したショックのためか、それ以前の記憶があいまいとなっている。しかし、兵士としては意外に優秀で、高い狙撃能力の持ち主。戦場で将軍クラスの大物を何人もしとめている。

ジョゼフ・フーシェ (じょぜふふーしぇ)

ナポレン・ボナパルトの懐刀の男性。陰謀と情報収集の天才。警察大臣。忠誠心がなく、常に策謀をめぐらすジョゼフ・フーシェを警戒したナポレオンは、皇帝即位の前に一度、彼を警察大臣の座から外している。しかし、結局はその情報能力が必要となり、フーシェを警察大臣に戻さざるを得なくなる。謀略を愛す策謀家だが、家族思いの愛妻家であり、人一倍子煩悩な姿も見せる。 フランスに実在した政治家ジョゼフ・フーシェをモデルとする。

タレイラン

ナポレン・ボナパルトのもとで外務大臣を務める政治家の男性。極めて有能な元貴族の外交官だが、ナポレオンはなぜか彼の名をタレイランと呼ばず、「タイユラン」と呼び続けている。片足が義足であり、常に杖を携帯している。「政治は女」という信条をもち、政治同様、女性を扱う手腕に関しては絶大な自信をもっている。「勢力均衡による平和」を志すタレイランは、覇権主義を突き進むナポレオンと意見が分かれるようになり、外務大臣を辞任。 しかし、その後もナポレオンの側近に留まり、彼の暴走を諫めることに注力した。フランスに実在した政治家で外交官のシャルル・タレイランをモデルとする。

ラザール・カルノー (らざーるかるのー)

「勝利の組織人」の通称をもつ軍人にして数学者にして政治家の男性。自称「あからさまな共和主義者」。登場時47歳。元総裁政府の5人の総裁のひとり。フリュクティドールのクーデターで失脚し、外国で亡命生活を送っていたが、人材を欲するナポレオン・ボナパルトの招きに応じて、表舞台に戻り、陸軍大臣となった。気力、体力がありあまっている男で、建物と建物の間を張り巡らせたロープを滑車で滑走し、全身で窓ガラスを突き破って会議の場に現れる。 フランスに実在した軍人であり、政治家・数学者でもあったラザール・カルノーをモデルとする。

カロリーヌ・ボナパルト (かろりーぬぼなぱると)

ナポレン・ボナバルトの妹。ミュラの妻。一見可憐な美少女だが、その実体は権勢欲の強いどん欲な女性。ナポレオンからは、「兄弟妹の中で一番自分と似ている」と評された。ヨーロッパ王家との婚姻も望める立場にあったが、操りやすいミュラを夫として、国内での権勢を高めることを選択した。万一ナポレオンが戦死した時には、ミュラを皇帝に即位させることを企み、そのためパリ知事であったジュノーを仲間に引き込むことを画策。 誘惑して肉体関係をもった。

ウジェーヌ・ド・ボアルネ (うじぇーぬどぼあるね)

ナポレン・ボナパルトの義理の息子。ジョセフィーヌの長男。偉大なる義理の父・ナポレオンにふさわしい息子になるべく、苦難を求めて奮闘する若者。ナポレオンが皇帝となった後には、イタリア副王となった。後にバイエルン国王の長女と結婚し7人の子供をもうけ、ノルエー、ギリシャ、スウェーデン、デンマークの王家の祖先になった。 実在したフランス帝国・帝室の一員であり、イタリア副王、ロイヒテンベルク公であったウジェーヌ・ド・ボアルネをモデルとする。

ネルソン

イギリス海軍・提督。過去の戦場で右目・右手を失っている。卓越した艦隊指揮官であり、トラファルガー海戦でフランス・スペイン連合艦隊を相手に戦い、圧倒的勝利をあげた。しかし、この戦いのさなか狙撃を受けて死亡した。実在したイギリスの海軍提督・ホレーショ・ネルソンをモデルとする。

集団・組織

大陸軍 (ぐらんどあるめ)

皇帝となったナポレオン・ボナパルトがフランス陸軍に対して与えた名称。「地上最強の陸軍」という意味が込められている。「イギリス本土上陸作戦」を前にしてブーローニュの森で行った15万人の兵士による演習で、初めてその名称が披露された。ナポレオンが「俺たち大陸軍はなんだ!」と呼びかけると、兵士は必ず「地上最強オオオ!」と応えることになっている。

ジャコバン派 (じゃこばんは)

フランス革命時の政治党派。パリのジャコバン修道院を本拠に結成された。マクシミアン・ロベスピエールがこの政党を率いて、急進的な政治を行ったことで知られている。この党派の活動から「左翼」、「テロリズム」の言葉が誕生した。オージュロー、ベルナドットはジャコバン派に属している。また、ジョセフ・フーシェも一時期属していたことがあった。

共和主義者 (きょうわしゅぎしゃ)

フランス革命時において、君主を抱かず、民衆の代表を選出して政治を行うことを第一の主義とした人々。ナポレオン・ボナパルト第一執政時代の軍事大臣・ラザーヌ・カルローは、自らを「あからさまな共和主義者」と称している。

場所

トラファルガー海戦 (とらふぁるがーかいせん)

1805年、スペインのトラファルガー沖で、イギリス艦隊とフランス・スペインの連合艦隊が激突した海戦。イギリス艦隊を率いるネルソン提督の卓越した戦法により、イギリスが圧勝した。ナポレオン・ボナパルトのフランス帝国は、この戦いで艦隊を失い、遂行中の「イギリス本土侵攻計画」をあきらめざるを得なくなった。 しかし、ナポレオンはこの海戦の2ヶ月後、アウステルリッツの地にて、オーストリア・ロシア連合軍を撃破し、傾きかけた情勢を一気に挽回した。

書誌情報

ナポレオン~覇道進撃~ 25巻 少年画報社〈YKコミックス〉

第23巻

(2022-09-01発行、 978-4785972240)

第24巻

(2023-04-28発行、 978-4785973803)

第25巻

(2023-08-30発行、 978-4785974756)

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