ニライカナイ

ニライカナイ

日本独自の存在である神と、それを操り、時に殺していく音使いたち。世界の命運を握る彼らの戦いを描く怪奇バトルアクション漫画。「アフタヌーン」1999年5月号から2003年1月号にかけて掲載された作品。

正式名称
ニライカナイ
ふりがな
にらいかない
作者
ジャンル
怪談・伝奇
関連商品
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世界観

純血の日本人は死後にになることができるという思想のある世界が舞台となっている。ちなみに純血の日本人というのは縄文時代に日本に住んでいた種であり、現在、純血の日本人は全員が沖縄に追いやられたとされている。そのため、神になると全員が沖縄語で話すようになる。この世界観は、沖縄の民話「黒金座主」がモチーフとなっている。

あらすじ

姉の死を政府によって隠匿された女性・新垣みかみは、真相を探るため、「探求者」を名乗る音使い皇言霊とその助手・柊乱空と出会う。真相を探る過程で、みかみはという存在が事態の根底にあること、そして、言霊とは最強の音使いである乱空が生み出した意識ある幻影であることなどを知っていく。やがてみかみは、自身も神となりながら、音使いと人間に災いをもたらす神・禍神との戦いに身を投じていく。

作風の変遷

物語開始当初は新垣みかみを主人公とし、新垣都子の死の真相を探る物語として描かれているが、第2巻からは柊乱空を主人公とした皇言霊との静かな恋物語に重きを置いた内容にシフトする。この点について、作中でははっきりとした説明や理由付けはされていない。

表現上の特徴

本作『ニライカナイ』においてはたびたびインパクトのあるフォントを使用した印象的な描写がされており、「神(真)罰」「麗(霊)姿」「神道(浸透)」「雲散霧(無)消」「精神(心)(真)力」といった、他に類を見ないダブルミーニングが繰り返し描かれる。

関連作品

本作『ニライカナイ』には作者・岡田芽武が手がけた作品に登場するキャラクターが複数登場している。それぞれ甲斐深紅は『影技 SHADOW SKILL』、毀槍正成は『幻想世界魔法烈伝 WIZバスター』、は『朧 O-BO-RO』がもともとの出典となっている。なお、第6巻に登場し甲斐から身分を購入した少年は『幻想世界英雄烈伝 フェアプレイズ』にて「柊前」として登場している。

作家情報

岡田芽武は東京都出身の漫画家および漫画原作者。同人誌として発行していた『影技 SHADOW SKILL』が商業誌連載となりデビュー。細かな絵柄とスクリーントーンを多用した華美な画面が特徴で、『幻想世界英雄烈伝 忍ザード』から『幻想世界英雄烈伝 フェアプレイズ』に至る3作品はてんま乱丸と合作で発表していた。

登場人物・キャラクター

柊 乱空 (ひいらぎ らんくう)

探求者・皇言霊の助手で、毀槍正成の血の繋がらない娘。出席日数と単位がギリギリではあるが、私立知恩高等学校に通っている女子高校生。スピード感のある殺法を使用し、傭兵相手なら素手で渡り合うことのできる実力者。普段はミディアムの黒髪ウィッグとカラーコンタクトを着用しているが、実際は白髪と赤目、ひときわ白い肌を持つアルビノである。 実は最強の音使いであり、当初は八音の指輪を用いた強力な催眠によって記憶と視覚を操作され、戦闘能力を身につけるまでの間は、自身が音使いであることを忘れさせられていた。皇家の分家にあたる柊家の出身だが、初見の儀を介さず言霊を顕現させたことから、「秩序を乱した存在してはならない(空の)者」という意味の「乱空」と命名された。 幻影としての言霊が消えてからはニライカナイで暮らしつつ、柊乱空自身が探求者となり、「白修羅」と名乗る。この頃には右腕と左足がなく、義肢で補っている。乱空自身は知らされていないが、柊八皇の妹である。

新垣 みかみ (あらがき みかみ)

姉である新垣都子の死の真相を知るために、探求者である皇言霊と助手の柊乱空を訪ねた女性。幼くして両親を亡くしていたため、都子だけが唯一の肉親と語っている。着眼点の鋭さから一時はアメリカの機密機関にも命を狙われていたが、大佐が神人となってからは狙いから外れている。実験体の魂を救おうと努めたことから、神となる力を受け取り、乱空の危機に呼応する形で任意で神の姿に変化することが可能となった。 言霊が姿を消してからは、探求者となった乱空の助手をしながらニライカナイで暮らしている。不知火一族の1人であることを隠しており、幼少時は沖縄に住んでいる新垣みかみの祖母に育てられた。なお、普段は新垣みかみと表記されているが、漢字では「新垣霊神」と書く。

皇 言霊 (すめらぎ ほつま)

探求者をしている音使い。肩下まである銀髪が特徴の青年で、盲目。軍事衛星や神の力に依っても存在を認識できないとされる謎の存在。真の姿となると、髪色が月光をもはじき返す黒髪に変化する。当初は八音の指輪を所持する最強の音使いとして認知されていたが、甲斐深紅の調査によって出生届や戸籍をはじめとするすべての記録がない、「存在しない」人物だということが明らかになった。 直後に皇言霊自身の口から、最強の音使いである乱空が生み出した、意思を持つ幻影であるとの真実が明かされている。北谷王子を模して作られたとされており、皇家の当主を守護する存在として代々初見の儀を介して受け継がれてきた存在。

毀槍 正成 (きそう まさなり)

柊乱空の血の繋がらない父親にして、情報本部第八別室の室長を務めている男性。部下である雪野羅衣からは「室長」と呼ばれている。左目を縦に断ち切る傷痕があり、全体は短く刈り込んでいながら後ろ髪だけが長い特徴的なヘアスタイルをしている。槍を用いる殺法の達人で、本来の名は受け継がれてきた「服部半蔵正成」とされており、名字として使用されている「毀槍」は「槍の半蔵」を示す「毀す槍」を縮めたものとされる。

望月 有現 (もちづき ゆうげん)

情報本部第八別室に所属している男性。階級は三等陸曹で、同じ部署に所属している雪野羅衣からは「望月三曹」と呼ばれている。マチュ・ピチュに渡り、かつて日本人がペルーに渡っていたことを調査、証明した。アメリカの機密機関に囚われていた神人の実験体を救出した際には、自身を「忍者」と称している。能力を隠しているが音使いの1人。 新垣都子の恋人であり、紐に繋いだ2つの鈴を用いて都子殺害の手引きをした人物でもある。

甲斐 深紅 (かい しんく)

高額な依頼料を支払えばどの組織とも隔たりなく情報の売買などを行う情報屋、及び始末屋。どんな大きな事件も、依頼があれば情報操作を行い事故として処理することができる。甘いものが苦手な喫煙家。一時期は皇業のパートナーとして活動していた。

黒貂 (こくちょう)

不知火に所属している、陰陽術を使用する暗殺者の少年。パフスリーブになっている革ジャケットを着用し、常に右肩に貂を乗せている。毀槍正成の暗殺を企て、巨大な式神をけしかけたが雪野羅衣に一蹴され、失敗に終わっている。

黒・晴暗 (こくせいあん)

黒貂の陰陽術の師匠で、タイトな黒のタートルネックワンピースを着用している女性。御方様の側近として常に側で警護しており、御方様の体調管理なども請け負っている。黒貂の呼び出した式神くらいであれば、鞭の一振りで一蹴することができるほどの実力を持つ。

新垣 都子 (あらがき みやこ)

新垣みかみの姉。写真家で、自身の本を出版する直前、宇宙ステーションの墜落に巻き込まれて亡くなった。当初はその墜落に神が関わっていることを隠蔽するために事故死と扱われたと考えられていたが、神と交信する力を持つ不知火一族であるため、国の命令を受けた情報本部第八別室、そして望月有現の手引きによって殺害されたというのが真相である。 死亡後に魂が3つに裂かれ、御方様、朧、化石の女となった。

御方様 (おかたさま)

不知火の最高権力者を務める女性。朧、化石の女と同じ顔を持っており、新垣都子が殺害された際に3つに裂かれた魂の1つが同じ時代に転生し直した姿。身体に多大なダメージを受けるものの、祈祷や儀式なしに神の一柱・「天照坐皇大御神(アマテラシマススメオオミカミ)」を呼び出せるほどの力を持っている。

(おぼろ)

御方様、化石の女と同じ顔を持っており、新垣都子が殺害された際に3つに裂かれた魂の1つが神となった姿。両乳房をさらけ出した黒のボンテージ衣装を身につけている。都子の前世にして北谷王子の娘であった、「北谷朧」としての意識が濃い。

化石の女 (かせきのおんな)

新宿六丁目の地下30メートル付近で発掘作業が進められていた、女の化石。邪悪法典と呼応、共鳴することによって化石化が解け神の一柱として降臨した。御方様、朧と同じ顔を持っており、新垣都子が殺害された際に3つに裂かれた魂の1つが、遙か過去に飛躍したものとされている。

皇 業 (すめらぎ かるま)

皇家の正当後継者であり、皇言霊の実弟を名乗る音使いの少年。しかし幻影である言霊に弟が存在するわけもなく、本来は初見の儀を経ても言霊の姿を可視することができなかったため、皇瑠璃の命令で弟を名乗って能力を鍛えていた。一時期は甲斐深紅のパートナーとして行動をともにしていた。

柊 八皇 (ひいらぎ やつみ)

柊乱空の兄で、私立知恩高等学校に勤めている男性教師。そのかたわら、不知火にも所属している。牧師に似た衣服と丸眼鏡を着用している青年。手のひらにカスタネットの片側がついたような手袋を着用し、打ち合わせることで禍神を分解することのできる音使いである。妹の乱空には教師として接しており、素性も知らせていないが、静かに見守りながらも苛烈に愛している様子が見られる。 神を使役する際には主に「素戔嗚尊(スサノオノミコト)」を呼び出している。

雪野 羅衣 (ゆきの らい)

情報本部第八別室に所属している、左目下にある泣きぼくろが特徴の女性。階級は士長。毀槍正成の警護も務め、また思慕してもいる。黒貂の使役する式神を文字通り一蹴できるほど戦闘能力が高い。音使いが音によって存在を透過していた巨大な禍神を前にしても前線に立って戦い、自衛隊他、禍神に対処する者たちを力強く鼓舞した。

黒・戴天 (こくたいてん)

「呪い屋」の男性。皇言霊とは同業者を自負しており、「呪うのが好きな曲がったもの同士」と語っている。石垣島で12件もの爆発事故を起こして人命を奪い続けていたが、これは禍神に人の魂を食べさせて強化するため、ある人物より依頼を受けての行動であった。

グレッグ・ブラッドレー (ぐれっぐぶらっどれー)

アメリカの機密機関に所属している黒人男性。大佐ら機関所属の人間の間では「軍曹」と呼ばれている。新垣都子の死の真相を探っていた新垣みかみが神の真相に近いとして、確保しようとしていた。神を降ろすのに不十分な神人であり、背後には巨大な禍神を顕現させることができるが、そのために愛娘を殺害している。

大佐 (たいさ)

アメリカの機密機関で、神を手に入れるためのさまざまな工作・作戦の指揮を執っている白人男性。グレッグ・ブラッドレーや実験体を用いて、神の力をアメリカのために利用しようと画策している。理論的に物事を考える人物で、「理論理性」という言葉を頻繁に用いる。しかし神人を弄んだとして、禍神の一柱・這い寄る混沌によって殺害され、その肉体を操られることになった。

北谷王子 (ちゃたんおうじ)

かつて琉球王国と呼ばれていた頃の沖縄に存在した男性。皇家の「神祖」と呼ばれる人物で、神人となり禍神を持った黒金座主を討ったことで、永遠に時の止まった闇の中で「神に懲罰を与える天敵」として存在し続けている。また皇言霊はこの北谷王子を模して、娘である朧(北谷朧)が作り出した幻影とされている。

黒金座主 (くるがにざーしゅ)

かつて琉球王国と呼ばれていた頃の沖縄に存在した妖僧。神人となり禍神を持って国民を害したため、北谷王子によって討たれた。しかし討たれる直前、永遠に時の止まった闇の中に存在し続ける呪いを北谷王子にかけた。

本城 ミカ (ほんじょう みか)

探求者への依頼を口実に皇言霊に接触した女子学生。黒・戴天の引き起こした爆発事故の最初の犠牲者であり、言霊が接触した際には黒・戴天が造り出した人工的な幽霊としての姿だった。黒・戴天に操られるだけの存在だったが、柊乱空の説得によって自我を取り戻した。

新垣みかみの祖母 (あらがきみかみのそぼ)

不知火一族の1人。幼くして両親を亡くした新垣みかみと新垣都子の祖母であり、2人を引き取り育てた老女。幼少期のみかみと都子を学校に通わせない代わり、神と交信し、思うとおりに操るための術を教えていた。

皇 瑠璃 (すめらぎるり)

皇家の当主を務める音使いであり、皇業の祖母。家督を譲り受けてからおよそ50年間、禍神から地上を守護してきたと自負している。頭部のほとんどをはじめとして体のあちこちが欠損しているが、言霊(ことだま)を使って欠損部分を補っている。初見の儀を介さず皇言霊を可視し、八音の指輪の所持者となった柊乱空を敵視している。 業に「言霊の実弟」を名乗らせ修行させていたのもこの皇瑠璃の指示によるもの。八音の指輪の所有権を巡り、望月有現に殺害された。

実験体 (じっけんたい)

アメリカが神を手に入れるために捕獲、観察していた神人の少女。300年前から一度も死なずに生き続けているとされ、禍神と同化することができる。アメリカの機密機関から逃亡しようとしているところを望月有現によって助けられたが、人間に利用される状況やそれを画策されることに我慢できず完全に禍神と化した。しかしうっすらとではあるが人間だった頃の自我も残っており、神として死を迎える直前、新垣みかみから人間として魂の救済を与えられたことで浄化された。 またその礼として、自身の持つ禍神をみかみに進呈している。

這い寄る混沌 (にゃるらとほてぷ)

大佐を殺害し、その肉体を操っている巨大な禍神。人間は神が現世に留まるための器、食料でしかないと考えている。頭部が細長くねじれた人型や古代エジプトの王墓に埋葬された仮面のような姿など複数の姿が存在する。柊乱空を殺害するために、巨大な姿を捨て48柱の小さな神の姿で戦い、乱空の右腕と左足を奪う死闘の末、すべて分解された。

法王 (ういやくうむ)

かつて日本からマチュ・ピチュに送られた神。日本の内閣総理大臣とペルー大統領の合意のもとで降臨させることができ、対這い寄る混沌に際して一度だけ出現した。ただし出現させるためには生け贄を必要とし、出現しただけでペルーの首都リマの人口の半数が死亡した。この法王は「太陽(てぃだ)」というもう一柱の神を制御するために作られたとされる。

集団・組織

情報本部第八別室 (じょうほうほんぶだいはちべっしつ)

毀槍正成が室長を務める、日本の機密機関。裏世界に通じている人間が多く所属している機関といわれており、また任されている仕事も日本の闇の部分とされている。所属者の雪野羅衣や望月有現など、個人の戦闘力が高いことも特徴。

不知火 (しらぬい)

御方様を頂点とした、不知火一族が中心となって構成されている組織。政治に参加せずとも直接国の運営に口を出せる独立した組織とされる。また、古代中国の陰陽五行に基づく陰陽術師の集団でもある。

場所

沖縄 (おきなわ)

かつて独立国家琉球王国として存在していた列島。大陸から渡来した弥生人に追いやられた縄文人の楽土だったとされ、純血の日本人は沖縄にしか存在しないとされている。また縄文土器が火を象っているように、縄文人の末裔は火を愛するがために不知火一族と称されている。

ニライカナイ

沖縄にある「石敢當(いしがんどう)」と呼ばれる魔除けの石をすり抜けることでたどり着ける、日本の48番目の土地。神の地とされており、足を踏み入れるためにはシーサーによる審査が必要となる。また住人たちは全員、琉球王国時代の衣服を身につけている。

日本 (にほん)

世界で唯一神を所有しており、またそれを使役することで、世界を守護してきた国家。国家公務員、国会議員は禍神や音使いのことを知らされているが、一般国民は知らされておらず、這い寄る混沌を目にした後も「毒ガスによる集団幻覚」として納得していた。主に禍神に対峙する人員を鼓舞する際には、「大和」と称されることもある。

アメリカ

沖縄に神や神人が存在することを知り、沖縄を奪うために第二次世界大戦を起こした世界最強の新興国家。沖縄を手にすることで神を奪い、歴史と神の力を手に入れようと画策したとされる。這い寄る混沌が現れた際には混乱に乗じ、沖縄だけでなく日本そのものを占領下に置こうと首都圏に向けてICBMを発射し、攻撃を仕掛けた。

マチュ・ピチュ (まちゅぴちゅ)

かつて日本から法王と「太陽(てぃだ)」の二柱とともに多数の日本人が渡って移り住み、神の能力を100%活用するための生け贄に捧げるために血脈を繋いでいた場所。民族自体が「太陽の許から来た存在」と語り継いでいる。

私立知恩高等学校 (しりつちおんこうとうがっこう)

柊乱空が通い、柊八皇が教師として勤めている高校で、京都市左京区今出川通にある。宿直制度が残っており、宿直室には料理ができる程度の設備がある。女子の制服はミニ丈のタイトスカートにノーカラーのブレザー。男子の制服は不明。

イベント・出来事

初見の儀 (しょけんのぎ)

皇家の次期当主を決めるための儀式。皇家に生まれた赤子が48日目になると、言ノ葉ノ掛ケ軸の前に寝かせられ48時間の絶食を行う。赤ん坊にとって自殺行為となる極限状態の中で、選ばれた者のみに掛け軸に絵が浮き上がり、皇言霊の幻影が具現化して八音の指輪を託されるとされる。しかし柊乱空は赤ん坊の頃、この初見の儀を行うことなく言霊から指輪を受け取っている。

その他キーワード

八音の指輪 (はちおんのゆびわ)

当代最強の音使いの指に嵌められる8つの指輪。それぞれに秀真文字のト・ホ・カ・ミ・エ・ヒ・タ・メの文字が彫られており、暦と人の寿命を司る「八皇子神(やみこがみ)」が宿っているとされる。当初は皇言霊の手にあると思われていたが、のちに本物は柊乱空の指に填められていたことが判明する。

邪悪法典 (じゃあくほうてん)

不知火の最高機密とされている、表紙にグロテスクな彫刻が装丁された書物。スペイン語、ラテン語、ギリシア語での翻訳版もあるが、不知火の所有しているものが原書とされ、内容はすべて沖縄語で記されている。この邪悪法典と共鳴することで、化石の女が神として降臨した。

言ノ葉ノ掛ケ軸 (ことのはのかけじく)

皇家本家、当主が使用する部屋に飾られている掛け軸。秀真文字で「ゑひため すめらきほつま・あうわ とほかみ」と書かれている。初見の儀を行う際に使用され、当主となるべき者の前では絵が浮き上がり、やがて皇言霊として具現化するとされる。

探求者 (たんきゅうしゃ)

皇言霊、及びのちに柊乱空が名乗る職業。「さがし者(物)みつけます」という謳い文句で新聞広告なども出している。もともとは新宿にのみ事務所を構えていたが、沖縄の石垣島にも第二分室を構えた。また、乱空が探求者を名乗ってからは、事務所はニライカナイに移されている。

音使い (おとつかい)

殲滅言語といわれる秀真文字を自在に操り、他人の行動、視覚、記憶までもを操作することができる術者で、皇家の関係者と望月有現しか確認されていない。音使いの発する言葉は強力な強制力があり、這い寄る混沌ほど強力な神以外は、「見なさい」などの命令形式の言葉に逆らうことができない。

秀真文字 (ほつまもじ)

音使いが用いる言葉で、四十八音で森羅万象を表し、相手の名称・名前を呪いとして操る殲滅言語とされている。この言葉で発した音は、人間を操ることができる。高天原に配座されている最高霊力・精霊の宿る神なる言葉とも言われる。八音の指輪の他、言ノ葉ノ掛ケ軸にも使用されている。

沖縄語 (うちなーぐち)

神、及び神人、禍神が用いる言語。これは死んだ後に神になることができるのは純血の日本人のみとされているためで、縄文時代から日本に住んでいた人間は、弥生人によって沖縄に追いやられたためとされる。

(かみ)

日本が所有している独自の存在。純血の日本人が死ぬと神になるとされる他、純血の日本人以外が死後神になろうとするならなんらかの「業(罪)」を背負わなくてはならないとされる。人知を越えた力を所持し、多くは巨大な体躯を持っている。「天照坐皇大御神(アマテラシマススメオオミカミ)」など儀式を経て人に使役され活用される神の他、大量の生け贄を必要とする法王、這い寄る混沌を含めた禍神もこれに含まれる。

神人 (かみんちゅ)

神に寄生された人間。グレッグ・ブラッドレーや実験体がこれに当たる。神になる資格が不十分な状態や、神との同化が完全でない場合に用いられている。

禍神 (まががみ)

這い寄る混沌を代表とする、人間に災いをもたらす神。本来は暗黒の宇宙に漂う兇悪な力。人間が自身のみの幸せを願い、それ以外の者を征服・屈服させるための暴力を求めた結果、混沌とした人間の心と兇悪な力が融合して生み出されるものを禍神と称している。従って人間の心が残っており、秀真文字によって操ることも可能。人間の魂を食らうことで力をつけることができる。

皇家 (すめらぎけ)

皇瑠璃を当主とする、日本で公認された音使いの一族。皇家を本家として、柊乱空の生家である柊家が分家として存在する。初見の儀を経て次期当主を決める掟があり、本来は皇言霊はこの皇家の歴代当主を守護する存在だった。

不知火一族 (しらぬいいちぞく)

独立組織不知火を統率している一族にして、かつて沖縄に追いやられた純血の日本人・縄文人の末裔。弥生人以降の日本人を侵略者と断定しており、沖縄を吸収した日本を影で操りながら琉球王国としての独立を企てている。

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