ラキア

ラキア

異形の存在アブラクサスと契約してしまった美少女の葉月ルナは、超常の力を発現していく。その力をめぐってカトリックと異端のグノーシス主義者が大々的な交戦を始めるが、異形の存在の真の目的は人類の壊滅だった。中盤までオカルトアクション作品的展開だったが、終盤で一気にSFスペクタクルデザスターコミックとなり、作画者Boichiの、精緻で濃密な作画技術が存分に発揮されている。

正式名称
ラキア
ふりがな
らきあ
漫画
原作
ジャンル
その他SF・ファンタジー
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概要・あらすじ

交通事故で家族を失った美少女の葉月ルナは、家族の復活を望んで異形の存在アブラクサスと契約してしまう。しかし7年後、家族はルナ以外ふたたび全員死亡し、ルナは叔父の家族に引き取られる。やがてルナは契約のせいか、超常的な力を用いるようになり、その力をめぐってカトリックと異端のグノーシス主義者が、世界規模で大々的な交戦を始める。

しかし、アブラクサスの真の目的は人類の壊滅であり、太陽から現れた巨大な逆十字架群が、人類文明をほぼ壊滅に追いやる。風前の灯だった人類を救うために立ち上がったのは、意外な人物であった。

登場人物・キャラクター

葉月 ルナ (はづき るな)

黒いロングヘアの、美人女子高校生。家族や友人との絆をなにより大切に思っている。父親は科学者で、ルナが少女の時研究のためアメリカへ招致される。家族全員で渡米するが、交通事故でルナ以外死亡する。ルナは死体安置所に現れた異形の存在アブラクサスと契約して家族を復活させる。だが7年後、アメリカでの幸せな暮らしの最中、家族はふたたび事故でルナ以外全員死亡し、ルナは日本の叔父の家族に引き取られる。 日本で暮らす事になったルナは、突然グノーシス主義者の生け贄としてさらわれるが、アブラクサスとの契約のせいで超常的な力を引き起こす。そのためグノーシス主義者からは女神とされ、カトリックからは反キリスト(アンチクリスト)と認定されてバチカンの特殊部隊から命を狙われる。 これを発端として、カトリックとグノーシス主義者との戦闘が、世界で大々的に始まる。ルナの力も増大し、さらに太陽から巨大な逆十字架群が現れて人類文明を破壊していく。ここに及び、初めてアブラクサスは人類滅亡が目的であったことをルナに語り、ルナはエレーノート(グノーシスの天使)と出会い、アニマ・ムンディ(宇宙霊魂)となってしまい、人類滅亡を推し進めようとする。 それに対して意外な人物が立ち上がり、人類とルナを結末に導くのだった。

内村 依佐 (うちむら いさ)

葉月ルナが通学していたアメリカのハイスクールの同級生の男子で、日本からの留学生。髪型はアフロ。勉強もせず遊び好きで体力もないが、ルナのことが好き。ルナが事故で帰国するのと同時に、留学を途中でやめて日本に戻ってしまう。ルナと同じ高校に通うことになり、同学年の白柳俊也とルナを守ろうと努力を続ける。 カトリックと異端のグノーシス主義者が、世界規模で大々的な交戦を始めてからも、ルナを狙うカトリックの特殊部隊と渡り合う度胸を示す。彼の父内村賢が仕事の関係でドバイで関わった「方舟」とその付随物のため、作品終盤で活躍する。

白柳 俊也 (しらやなぎ としや)

内村依佐が日本にいた頃からの親友で、葉月ルナが帰国してからは高校の同級生(内村依佐も同学年)。ハンサムで長身。赤ん坊の頃カトリック教会の前に捨てられており、神父のステファノ白柳に育てられ、やがて養子となる。ステファノ神父の上司であるロンジェロ枢機卿は、俊也を養子にすることを許す代わりに、俊也をヴァチカンの特殊部隊「プネウマ トウ ストマトス」の一員として訓練するように命じた。 以後、俊也の裏の顔は、神に命を捧げる屈強な戦士となる。ルナがグノーシス主義者にさらわれたときは、「プネウマ トウ ストマトス」の装備の車や銃器類を使って追撃し、奪還に成功する。 だが、カトリックがルナを反キリスト(アンチクリスト)と認定した時、彼女を抹殺する側に回ってしまう。

葉月 チズ (はづき ちず)

葉月ルナのいとこの茶髪の女子高校生。事故で家族を失ったルナを引き取った、ルナの父の弟・葉月秀次の娘。母の名は幸子。家族全員、疲れたような顔をしているが、ルナをいじめるようなことはない。美人ではないが巨乳で、将来はその胸でAV業界を制覇するという野望がある。渋谷にルナと一緒に買物に出掛けた際、チズが最初にグノーシス主義者の生け贄としてさらわれかかるが、結局ルナが連れて行かれてしまう。 ルナが反キリスト(アンチクリスト)と認定されたあと、チズの一家はヴァチカンの特殊部隊「プネウマ トウ ストマトス」の襲撃を受ける。

ステファノ白柳 (すてふぁのしらやなぎ)

白柳俊也の養父。東京某所のカトリック教会の神父で、赤ん坊の頃捨てられていた俊也を拾って育て、養子にした。実は、ヴァチカンの特殊部隊「プネウマ トウ ストマトス」の一員であり、教会の地下には戦闘用の車両や重機が隠されている。俊也を養子にする条件として、俊也も特殊部隊の一員として訓練するよう命じられる。 日本を出ようとして成田空港にいた葉月ルナを、反キリスト(アンチクリスト)として抹殺しようとしたプネウマ トウ ストマトスの部隊に、俊也とともに参加した。

新渡戸 明 (にとべ あきら)

日本に誕生した世界最大の企業、新渡戸グループの会長(社名が「新渡戸グループ」となっている)。MITで博士号を取り、帰国して親族との後継者争いに勝ち抜き、新渡戸グループの経営権をつかみとった。34歳。「日本財界の怪物」と評されている。新渡戸グループは電子・重工業・石油から金融まで牛耳っており、防衛省にイージス艦と第4世代戦車、戦闘機を納品している。 しかし、新渡戸グループの裏の姿は、全世界のグノーシス主義者の力の集合体であり、新渡戸明はグノーシス主義者の頂点に立つ者である。社内の急進的グノーシス主義者たちが処女の生け贄を用いて儀式を行っていたのを、見て見ぬふりをしていた。 葉月ルナを「女神」あるいは再臨したイエス=キリストと認識し、彼女をめぐってカトリック側と全面的な「聖戦」を行うことを宣言する。また、部下である内村賢をドバイに送り、「ノアの方舟」の管理を任せる。

内村 賢 (うちむら まさる)

内村依佐の父親。新渡戸グループで家電関係の事業の万年係長であったが、考古学に興味があり、アラビア語その他が出来たせいで、ドバイの新渡戸グループの地下にある「ノアの箱船」の管理者に任命される。仕事をグノーシス主義者たちがどんどん勝手に進めてしまうので疎外感を感じていたが、遺跡である文献を見つけてから、結末にからむ重要な存在となる。

アスピリン・スノー

新渡戸グループで課長職に就いている外国人の中年男。裏の顔は、グノーシス主義者のための工作員で、儀式に使う処女の調達や敵対者の殺戮などを行っていた。葉月ルナを生け贄として誘拐するが、彼女がアブラクサスと契約したものと知ると、仲間のグノーシス主義者たちを殺し、ルナを連れて逃げようとする。 しかし真の姿は、二千年前にゴルゴダの丘に向かうイエス=キリストの休息を邪魔したせいで呪いをかけられ、死ぬことができなくなってしまった「さまよえるユダヤ人」のアハスフェルス。

レオ・ラウレンシオ一世 (れおらうれんしおいっせい)

ローマ法王。温厚かつ謙虚な人物で、これまでカトリック教会が行ってきたいくつかの行為を過ちだと考え、特に特殊部隊「プネウマ トウ ストマトス」の行動を疑問視している。グノーシス主義者のヴァチカン襲撃後、葉月ルナのいる東京へ向かい、結末を目撃する。

ジョセフ・シムマクス枢機卿 (じょせふしむまくすすうききょう)

カトリック教会の幹部で、特殊部隊「プネウマ トウ ストマトス」の首長。葉月ルナを、反キリスト(アンチクリスト)と認定し、プネウマ トウ ストマトスの精鋭たちにルナの抹殺を命じる。

マルコ神父 (まるこしんぷ)

カトリック教会の特殊部隊「プネウマ トウ ストマトス」の最精鋭メンバー。年齢・苗字は不明。外見は初老の男性。白髪で激しく乱れた蓬髪に、口ヒゲとあごヒゲがつながっている(ヒゲは黒い)。左目のまわりにすさまじい傷跡がいくつもある。かつて異端を殲滅するために自分の家族と一族すべてを殺した。ヴァチカンからロンギヌスの槍を持ってきて使おうとしたが、内村依佐に折られてしまう。 ルナを守る小さな逆十字架の攻撃で、仲間のほとんどを失うが、執念を燃やし続ける。

ノヴァ・アンダーソン

アメリカネバダ州にある「エリア51」に所属している科学者。「エリア51」に保管してあった逆十字架型の遺跡が細かく別れて飛び去ったのを見、さらに太陽から逆十字型の全長50--100キロメートルの物体が千個以上放出されたという報告をNASAから受け、日本に行く決心をする。 東京でルナが起こす大災害を解説し、結末を目撃する。

アーシュラ・ル・グイン

女性アメリカ大統領。容姿はヒラリー・クリントン、名前はSF作家アーシュラ・K・ル・グインから取られていると思われる。実はグノーシスであったフリーメイソンの代表である。アメリカ統合参謀本部議長グレッグ・ベアより、「これから起きることを黙認せよ」と命じられ、それを受け入れる回答をする。

アブラクサス

『ラキア』に登場する存在。葉月ルナが事故で家族を失った時、死体安置所に現れて、「契約をすれば家族を復活させるが、7年後に12の捧げ物を貰い受けに来る」と言ってルナと契約する。7年後、ルナの家族は再び事故で死に、日本に戻ったルナの前に再びアブラクサスが現れ、「お前は生き残り、神と呼ばれて人間を滅ぼす」と宣言する。 以後ルナは超常の力で守られ、グノーシス主義者とカトリックは闘いを始め、彼女の周りには死体の山が築かれる。作品終盤になって、アブラクサスは自らが「私たちは宇宙で一番古い知性体の一部で生命に近いものだったが、進化を繰り返して唯一絶対の存在になった。私たちは宇宙の未来を設計し、数千万年かけて計画を実行する」「地球を月のような荒涼たる惑星に作り変えることが我々の計画だ」と話し、物語はオカルトファンタジーからSFになる。

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