突撃ラーメン

突撃ラーメン

トップスターとして活躍する鮎沢錦が、屋台のラーメン屋を営んでいたおやじの死の秘密を握る伝説の料理人竜玉師に復讐を誓い、九竜城飯店を始めとする各地での厳しいラーメン修行に身を投じていく事で、一流の料理人へと成長していく姿を描く。ラーメン作りをテーマとしながらグルメ漫画に留まらず、GUNや自動車並びに日露戦争を舞台とした戦場での活劇要素をふんだんに盛り込んだアクション漫画。

正式名称
突撃ラーメン
ふりがな
とつげきらーめん
作者
ジャンル
アクション
 
ラーメン
 
料理バトル
関連商品
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概要・あらすじ

トップスターとして活躍する鮎沢錦には、命懸けで味を追求した祖父の魂を引き継ぎ、東京の外れでラーメン屋として屋台を引くおやじがいた。店も持たないおやじをどこかで恥じている人気商売の息子と、派手な仕事を辞めて鮎沢錦には三代目を継いで欲しいと願う頑固なラーメン職人の父との関係は、ずっと疎遠になっていたが、鮎沢錦のタレント生命を脅かす事件に親子で挑む中で、徐々に互いの気持ちを理解し始め、復縁の道を歩むようになっていく。

しかし鮎沢錦おやじの為に店を開き、一緒に暮らす準備をしていた矢先、おやじは店で謎の焼身自殺を遂げる。おやじの死の原因は伝説の料理人と呼ばれる竜玉師にあると確信した鮎沢錦は、復讐を誓い一度はその命を狙うが、知人のの説得もあり、同じ料理の世界で敵を討つことを決める。

やがて鮎沢錦は日本各地を転々とした後に神戸一の中華料理店九竜城飯店に流れ着き、過酷な修行に挑んでいく事になる。

登場人物・キャラクター

鮎沢 錦 (あゆざわ にしき)

主演のテレビドラマ突撃刑事が人気の新鋭スター。格好悪い事を嫌い、店も持たず屋台を引いて貧しい暮らしをしているおやじの事を軽蔑し、世間にその関係を秘密にしている。相手に真正面からぶつかっていく向こう見ずな性格で、プライドが高く身の潔白を証明するためにテレビ中継で公開自殺を行った。同じタレントの泣かせのターベとはライバル関係で激しく対立し、その事が原因となりひき逃げ事件の犯人に仕立て上げられ、スター生命の危機に陥る。 やがて三代目としてラーメン屋を継ぐ決心がついた時に、おやじが謎の焼身自殺を遂げる。おやじの死の原因が大物料理人の竜玉師にあると確信すると、敵を討つために店を開いて対抗するが、スター人気だけでは徐々に客足が遠のき、腕を磨くために料理の修業に出る事を決める。 親譲りの頑固さで、修行先でもトラブルは絶えず、各地を転々と苦労をしながら料理人として成長をしていく。やがて神戸一と言われる中華料理店九竜城飯店に勤め、これまで以上の過酷な修行を受ける事になる。親子三代に渡る毒の回りが遅い体質。幼い頃に別れた母がいる。

鮎沢【父】 (あゆざわ)

鮎沢錦の父。先代の味に命を掛ける精神を引き継いだ突撃ラーメンの店主として屋台を引いている。鮎沢錦のことは、幼い頃に妻が家を出て以来、貧しい中を男手一つで育ててきたが、息子がスターになってからは疎遠になっている。派手な鮎沢錦の今の仕事には反感を持ち、本心では三代目としてラーメン屋を継いで欲しいと思っているが、自分の都合のいい時だけ親子の繋がりを持ち出したくはないと、名乗り出る事もせず見守り続けている。 料理人としての腕は一流で、高い高速代を使って遠方から食べにくる馴染み客もいるほどだが、頑固で例え金を払っていても冷やかしで食べ残すような客に対しては皿洗いをさせる。他人に審査される事を嫌いコンテストに参加してこなかったが、伝説の舌を持つという竜玉師が審査員という事でラーメン極東コンクールに出場し、見事優勝している。 しかし肝心の竜玉師には認めてもらえず、味見すらしてもらえなかった事で何かを感じ取り、店に火を付け自ら命を絶ってしまう。窮地に追い込まれた鮎沢錦には、男としてどういう態度を取るべきかを教えるために、一代目が日露戦争で命を掛けて味を求めた逸話を聞かせている。

鮎沢【祖父】 (あゆざわ)

鮎沢錦の祖父。悩む鮎沢錦におやじが、男として取るべき態度を伝える逸話の中で登場。日露戦争に軍夫として戦地での食事係をしていた。納得できる味を追求して、朝から3時間以上も兵達を待たせて調理をするが、それだけの価値がある味と兵達からは絶賛されている。例え時間を掛けても、自分が満足できない時には鍋を足蹴にして台無しにしてしまうため、上官の中隊長からは、国の一大事に軍人らしからぬ意気地なしと罵られる。 圧倒的不利な戦況にも関わらず、敵陣に一流の料理人である台三元が居ると分かると、次々と兵が倒れていく中をたった一騎で司令官の元へと突撃をして、周囲を驚かせる。敵地に乗り込むと、降伏した将校を尻目に台三元の元へ行き、そのまま弟子入りを志願する。 度胸と味を見極める舌の確かさを認められ、弟子として迎えられ奉天に移り修業を受けた。

台 三元 (だい さんげん)

満州一のスープの味付けをするという、この道40年の一流料理人。日露戦争の時にロシア軍大陸司令官の宿舎で料理人を務める。一人で敵陣に乗り込んできた一代目の、味に命を掛ける度胸は認めたものの、これまで自分が覚えてきた料理のコツは、突撃10回以上に匹敵する険しい道だと、最初は耳を貸さなかった。 しかし目の前で一代目の舌の確かさを実感すると弟子入りを認め、やがて修行のため奉天に連れて行った。

乃木 希典 (のぎ まれすけ)

モデルは実在の大日本帝国陸軍大将乃木希典。首元山での一代目の突撃が、壊滅的な状況から自軍を大勝利に導いたとして戦地を訪れ、直々に褒美を与えようとしたが、当の一代目は戦況には全く関心が無く台三元から料理を教わる事に没頭していた。この時に授かった勲章と記念に持って帰ってきた騎兵の帽子が形見となり、鮎沢家で代々受け継がれていく。

泣かせのターベ (なかせのたーべ)

鮎沢錦とはライバルのトップスター。キザで腹黒い嫌味な性格。言葉巧みに仕事のない岸波六に大勢の前で服を脱がせ、ボロの下着をからかい恥をかかせたため鮎沢錦の怒りを買う事になる。対立関係が激しくなり、鮎沢錦を陥れるためにおやじを挑発して事件を起こさせ新聞記者を集めて二人の関係を暴露しようと企んだ。 バイキンが起こした人身事故も鮎沢錦の人気を落とすために利用した。

バイキン

泣かせのターベの一の子分で鮎沢錦とはテレビ局のスタジオで殴り合いをするほどの犬猿の中。父親の存在を隠していた鮎沢錦とおやじの関係を探りだし、弱みを握るためにチンピラを雇っておやじを挑発し事件を起こさせ、鮎沢錦を脅そうとした。鮎沢錦の愛車を無断で乗り回した挙句、老女をひき逃げし、その罪を鮎沢錦に着せる事でスター生命を断とうとした。 鮎沢錦が身の潔白を証明するために行った公開自殺を、高みの見物をしながら冷やかしていた姿がテレビ中継され、真犯人であることが明らかになる。

岸 波六 (きし なみろく)

5年前は大スターだった男。今はすっかり落ちぶれて仕が無く、幼い子供たちを食べさせる事もできずに仕事をもらいに来たテレビ局の水を飲ませて空腹を満たしていた。いまだスター気取りな事を泣かせのターベに物笑いの種にされ、大勢の前でツギハギだらけの下着姿を晒して恥をかかされる。自分のプライドのせいで子供たちに貧しい思いをさせてる事が我慢できないくらい格好悪いと鮎沢錦に殴られるが、その後おやじの屋台を紹介され家族全員にラーメンを振舞ってもらった。

松田 ハナ (まつだ はな)

バイキンがひき逃げした老女。轢かれた車が鮎沢錦の愛車で日本に数台しかないダッジ・クーダ70だった事と、犯人はテレビでよく見る顔と証言したまま意識不明になってしまったため、鮎沢錦に容疑が掛かってしまった。意識を取り戻した病室で、たまたま公開自殺のテレビ中継を見ていて画面に映ったバイキンこそが真犯人だと訴えた。

(ちゃん)

おやじの味に惚れ込んだ常連客で、わざわざ横浜から高速に乗って東京の外れまで屋台に食べに来ている。自分も中華料理店を経営し、ラーメン極東コンクールに向けて超一流のコックを香港から呼び寄せながら、おやじにも出場を勧めた。おやじの死は竜玉師によるものだと信じているが、その事を鮎沢錦が知れば暴走しかねないと案じた警察官から打ち明ける事を止められる。 銃を持って竜玉師の元へ行き、おやじの敵を取ろうとしていた鮎沢錦に、身を挺して味の敵は味でつけろと説得する。おやじに代わりラーメン作りを通じて人の道を教えようと鮎沢錦を自分の店で修業させる。

(とう)

張の店で鮎沢錦と一緒に修行をしている見習い料理人。鮎沢錦よりも一日後に入ったものの、料理学校を卒業して基礎ができているため、先に包丁を握る事ができ、先輩達からの受けもよく態度も大きい。その事が面白くない鮎沢錦は、大暴れをして店を飛び出してしまう。

警察官 (けいさつかん)

おやじとはガキ大将を張りあった古い仲。鮎沢親子の関係を気に掛けており、事件を犯して捕らえられたおやじに、この機会に鮎沢錦と一緒に暮しラーメン屋を継がせるよう勧めた。張とともにおやじの死に涙し、家を飛び出して、仲間と盛大に行おうとした通夜も断った鮎沢錦の事を不人情だと叱った。 しかし夜中に一人父を思い出し大声で叫ぶ姿に、警察官でありながら住民からの苦情を退け温かく見守った。修行の途中で行方が分からなくなっていた鮎沢錦を心配し、神戸それらしい人物がいる事を張に知らせる。

竜玉師 (りゅうぎょくし)

世界に二人といない舌の持ち主で、一口でも味わってもらえれば一流の折り紙を付けられた事になる料理人達の憧れの人物。味に厳しく残らず飲み干すほどのスープを作った者は、今までに9人しかいない。審査員を務めるために来日したラーメン極東コンクールに10人目を目指したおやじが挑み優勝を果たしたが、出されたスープで手を洗い味見すらしなかった。 日本では中華街やホテル・ニューホンコンといった一流ホテルの料理顧問をしている。腕に絶対の自信があり、料理の指導中に鮎沢錦が銃を向けても決して動じず、また弟子が師匠を思い勝手に行った嫌がらせも厳しく罰している。開店当時スター人気だった鮎沢錦の屋台が1か月で潰れる事を預言した。 また、一代目が日露戦争でロシア軍に乗り込んだ話を知っていた。

おじょうさん

神戸で鮎沢錦が出会った少女で、典型的なお金持ちの御嬢さん。逃げ出していたペットの文鳥が、川原で寝ていた汚れた身なりの鮎沢錦に懐いていたため、金を払って買い戻そうとした。鮎沢錦が九竜城飯店で修業を始めてからは、使用人として週に一度買い物に付き合わせた。

奥さん (おくさん)

神戸で鮎沢錦が出会った少女の母親だが、後妻でおじょうさんとは血の繋がりがない。夫は神戸一の料理店九竜城飯店や東洋一のホテル・ニューホンコンの経営者。娘が無礼を働いたお詫びとして、仕事のなかった鮎沢錦に九竜城飯店を紹介する。その後も川本を通じて鮎沢錦の面倒を見るようになり、先輩達と大立ち回りをする鮎沢錦の事を命を張って止めようとした。

十五年先輩 (じゅうごねんせんぱい)

九竜城飯店で修業を重ねる料理人達の中で15年のキャリアを持つベテラン達の事を後輩たちはこう呼び、恐れている。厳しく後輩を指導し、規律を乱して鮎沢錦をひいきした川本の事を、身体が壊れるまでしごき倒した。料理の研究と称して、鍵の掛かった冷蔵庫にしまってある謎の食材を大鍋で煮込み、鮎沢錦はその中に人間の手らしきものを発見する。 茶ボウズ達の噂では、自分達に立てついた者を始末しているらしい。

三公 (さんこう)

九竜城飯店では茶ボウズと呼ばれる鮎沢錦と同じ一番下の見習いの1人。鍋、釜、皿洗いから先輩達にお茶を入れるサービスまで行う。茶ボウズ達は牢獄のような大部屋で暮らし、少しでも先輩に気に入られるために鮎沢錦を目の敵にし、相棒のドンと陰で修行の邪魔を続ける。十五年先輩が研究と言って大鍋で煮込んでいるのは先輩達に歯向かった人間だという噂を聞かせて鮎沢錦を脅す。 川本が何かと鮎沢錦の面倒を見るようになり、おじょうさんのお供も自分から奪った事に腹を立て、十五年先輩を頼り厳しく制裁してもらった。

川本 (かわもと)

九竜城飯店で修業をしている料理人で鮎沢錦の先輩。何かと鮎沢錦の面倒を見てくれて、短気を起こして店を飛び出していこうとするのを引き留め、周りとの摩擦が起きそうな時にはかばってくれる。荒々しい先輩達の中では珍しい落ち着いた人柄。やがて鮎沢錦から兄と慕われるようになり、誕生日にはライターをプレゼントされるが、周りの先輩達に目を付けられてこき使われるようになり身体を壊してしまう。 無理をして心臓を病み、突然店から姿を消す。

場所

突撃ラーメン (とつげきらーめん)

『突撃ラーメン』に登場するラーメン店。三代続いている鮎沢家の屋号。日露戦争の時に一代目が命を懸けて敵地に突撃していった事から、二代目となるおやじは屋台にこの名前を掲げていた。やがて父と一緒に暮らす事を決めた鮎沢錦が、おやじのために用意した新しい店もこの名を付けた。さらに、修行を重ねた後に鮎沢錦がマスターとして始めた屋台のラーメン屋にもこの名前が付けられ、盛況のあまり専属のソバ茹で職人を雇っている。

九竜城飯店 (きゅうりゅうじょうはんてんん)

『突撃ラーメン』に登場する神戸一の規模を誇る一流中華料理店。コック40人が5班に分かれて働く大型店で、城のような巨大な店舗の厨房は地下に迷路のように広がり牢獄のように薄暗い。先輩達からの指導は厳しく15年、10年、3年、茶ボウズといったキャリアに応じた序列がある。

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