ありがとう

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単身赴任中に、暴走族の少年たちによって、家庭が破壊された鈴木家を再興しようとする父親の奮闘を描く。少年たちによる暴力・強姦、家庭崩壊、家出、新興宗教、いじめ、トラウマなど、残酷で深刻なテーマが、作者山本直樹特有の繊細な絵柄と淡々としたタッチで描かれる。深刻な状況でありながら、登場人物たちの少しズレた言動が、時にコミカルに描かれる。

正式名称
ありがとう
ふりがな
ありがとう
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ジャンル
ヒューマンドラマ
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概要・あらすじ

五年の単身赴任を終え半年ぶりに帰宅した鈴木家の家長である鈴木一郎が目にしたのは、角間アツシ率いる暴走族のメンバーたちに占拠された自宅。長女である鈴木昌子は薬を飲まされ、自我を失ったまま犯され、妻である鈴木さくらはアルコールに溺れていた。激昂した鈴木一郎は、暴走族たちを追い出す事に成功するもボロボロになった家庭を復興する事は並大抵の事ではなかった。

優等生であった長女の鈴木昌子は悲惨な事件後にも気丈にふるまおうとするも、トラウマに悩まされ徐々に精神を病み、外出ができなくなる。次女で主人公の鈴木貴子は父親に反発し家出、母親は新興宗教にはまっていく。

登場人物・キャラクター

鈴木 貴子 (すずき たかこ)

鈴木家の次女で中学生。黒髪のショートカット。自宅で犯される姉鈴木貴子とアルコールに溺れる母鈴木さくらを横目に、自室でコンビニで購入した弁当を食べるなど、冷静・淡々と過ごす。素直で優等生タイプの姉と比べると、無表情・無感動でやや可愛げのない性格ではあるが、一度キレると歯止めがきかなくなる。 口うるさく、何かと論点のズレる父、鈴木一郎を心の中で見下し、最初こそは嫌々従うが、徐々に反抗的な態度を取るようになる。自らの卑猥な写真が雑誌に掲載された事がきっかけで、家出をする。家出後は角間アツシ宅に滞在。性行為に明け暮れ、暴走族の集会で飲酒したり無免許運転をしたり不良行為を繰り返す。無理矢理家に引き戻されるも、父と顔を合わせたくないという理由で、中学には一応通うようになるも孤立。 昼休みは屋上で過ごす。

鈴木 一郎 (すずき いちろう)

鈴木家の家長で主人公鈴木貴子の父。家庭崩壊した家族を復興するために奔走する。オールバックのヘアスタイルで三白眼のため人相は悪いが、決して悪人ではなく熱血漢。不良たちから身を守るために自宅に籠城中にも関わらず、娘の誕生日を祝うため、ケーキを作ろうとするなど、家族思いで一本気な性格ではあるが、融通がきかない頑固者。 次女である鈴木貴子には心の中で疎ましく思われている。行動が突飛で強引。不良たちに臆することなく立ち向かうが、それが仇となり返り討ちに合うも全くめげない。時々昌子を貴子と言い間違えたり娘達の年齢を間違えたりする。角間アツシによって殴られたハート型の傷跡が額に残ってしまう。 課長という立場であったが、リストラ対象となり退社。その後ファミリーレストランステーキハウス 死んだ牛の店長となるも後に無断欠勤により解雇。

鈴木 昌子 (すずき しょうこ)

鈴木家の長女で主人公鈴木貴子の姉。名門女子高に通う高校生。黒髪のミディアムヘア。美人で頭も良く、家族思いの素直で優しい性格。自転車での帰り道に角間アツシたちにからまれ、輪姦されてしまう。それをきっかけに、父不在の自宅を占拠され、単身赴任中の父鈴木一郎が帰宅するまでの間、薬を飲まされ朦朧とした状態のまま犯され続ける。 事件後はおぞましい体験によるひどいトラウマに悩まされ続ける。気丈にも登校を再開するが、事件の事が同級生の知られることとなり、自宅で自殺未遂。それがきっかけで高校を中退。父鈴時一郎の再就職先のファミリーレストランでステーキハウス 死んだ牛のウェイトレスとして働くが、母親が入団したニコニコ人生センターの処置によりトラウマが再発。 外出ができなくなってしまう。

鈴木 さくら (すずき さくら)

鈴木家の母。ショートカットで糸目。45歳。不良たちに占拠された自宅の台所で、現実から逃げるようにひたすら酒を飲み続ける。事件以前から隠れてトイレで酒を飲んだり、アルコール依存症であったようだ。タバコも吸う。基本的に自立心がなく父の言う事を何でも聞くが、怪しげな新興宗教ニコニコ人生センターに入団後は父親に意見するようになる。 ローンのための定期預金を解約して教団につぎ込んだり、主催者として名義貸しをした挙げ句、容疑者として指名手配されるなど、家族を巻き込んでいく。

角間 アツシ (かくま あつし)

鈴木家の長女、鈴木昌子に目をつけ、鈴木家を占拠するという犯行に及んだ暴走族のリーダー。肥満体で髪型はモヒカン。父親が医者で、地元の権力者のため、自ら起こした犯罪の数々はもみ消されてきた。自宅は裕福であるが、母親は息子を恐れるあまり、機嫌を伺うばかりでその行動に対しては何も咎めない。 鈴木一郎の反撃により、ケーキ用のパテナイフで口の中を負傷。今回の事件も父親によりもみ消され、すぐに釈放。その後も懲りずに同じ手口で別の女子高生に手をかけているようだ。

ヒロミ

鈴木家の長女、鈴木昌子に目をつけ、鈴木家を占拠するという犯行に及んだ暴走族のメンバー。リーゼントでたらこ唇。筋肉質。帰宅した鈴木一郎により、耳かき中の耳を裏拳をくらわされ全治三か月の重傷を負う。そのまま鈴木家の人質として捉えられ、鈴木一郎により、傷口にアルコールをかけられたり、足蹴にされたりする。 事件後、仲間内では耳かきというあだ名で呼ばれるようになってしまう。

イマダ イサム

鈴木家の長女、鈴木昌子に目をつけ、鈴木家を占拠するという犯行に及んだ暴走族のメンバー。自称鈴木昌子の小学時代の同級生。真ん中分けのミディアムヘア。額にほくろがある。いかにも暴走族という風貌ではないが、リーダーである角間アツシの右腕的存在で、腕力はないが悪知恵が働く。 ポラロイドカメラを持ち歩き、犯罪の際に使用。鈴木貴子の同級生よっちゃんの従兄弟。

よっちゃん

鈴木貴子の同級生。鈴木貴子同様、黒髪のショートカット。運動部に所属しており食欲旺盛。弟が鈴木貴子が映ったエロ本を所持しており、それを発見し他言無用を誓うが、それを鈴木一郎に知らせてしまう。鈴木家を心配する様子を取り繕いつつも心の中では面白がっているのを鈴木貴子に見透かされる。 結局他の同級生に言いふらし、学校中の噂にしてしまう。典型的偽善者キャラ。

頓田林 (とんだばやし)

鈴木家の母鈴木さくらを自身が取り仕切っている新興宗教団体、ニコニコ人生センターへ勧誘。鈴木さくら曰く、父鈴木一郎の若い頃に似ているらしい。鈴木昌子に対しメソッドなるものを施行しトラウマを克服させようとするも、逆に悪化させてしまう。武道もたしなんでおり、元医者であるため医学にも精通。

書原

鈴木貴子の同級生。メガネをかけており、冴えない風貌。鈴木貴子と共に昼休みを学校の屋上で過ごす。元ヒッピーであったという母親が隠し持っていたマリファナを吸う。同級生である高見からいじめられている。

高見

鈴木貴子と同級生。真ん中分けの長髪。仲間と共に書原をいじめているが、鈴木貴子にからんだ際、彼女から鼻に箸を突っ込まれ負傷。逆恨みのため鈴木貴子に対しても嫌がらせをするようになる。

場所

鈴木家 (すずきけ)

札幌市内にある閑静な住宅街にあるごく普通の一戸建て。作品冒頭で不良達に占拠される。番犬として愛犬チロがいたが、不良達によって殺される。隣人は何か異常を感じつつも関わりたくないため見てみぬふりをする。

ステーキハウス死んだ牛 (すてーきはうすしんだうし)

主人公鈴木貴子の父、鈴木一郎が会社を退職後に部下から斡旋された再就職先。鈴木一郎が店長として、姉の鈴木昌子がウェイトレスとして勤務。

ニコニコ魂の故郷 (にこにこたましいのふるさと)

主人公鈴木貴子の母、鈴木さくらが入会した新興宗教集団、ニコニコ人生センターの本拠地。山奥の廃校になった校舎を買い取り、信者達が無農薬野菜を育て、自給自足の共同生活を送っている。

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