さよならタマちゃん

さよならタマちゃん

精巣腫瘍を患ったベテラン漫画アシスタント武田一義。彼は、愛する妻や、共にがんと戦う人々との関わり合いの中で、がんという病気との向き合い方について考えを巡らせる。作者の闘病生活の実体験に基づいて描かれた、穏やかで切ないエッセイ漫画。

正式名称
さよならタマちゃん
ふりがな
さよならたまちゃん
作者
ジャンル
エッセイ
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概要・あらすじ

武田一義は人気漫画家O先生の元で働く漫画家志望の35歳ベテラン漫画アシスタント。ある日、精巣腫瘍というがんが見つかり、さらに肺に転移していることも判明する。若くしてがんという病気と向き合うことになった彼は、抗がん剤による入院治療を始める。そして一義は、闘病生活の中で様々ながん患者とふれあい、身の回りのこと、自分を支えてくれる妻早苗の存在、そして今までとこれからの人生について考えるようになる。

登場人物・キャラクター

武田 一義 (たけだ かずよし)

本作の原作者。人気漫画家O先生のアシスタントをしている漫画家志望の35歳の男性。アシスタントとしてはベテランだが、漫画家としての芽は未だに出ていない。34歳の春に精巣腫瘍が見つかり、さらに肺への転移も認められたため、某医大病院へと入院、長い闘病生活が始まる。 抗がん剤による副作用が強い体質で、ちょっとした匂いや刺激で吐いてしまうこともある。妻の武田早苗との仲は良好で、結婚7年目。闘病生活中も、早苗がそばに居てくれることが精神的な支えとなっていた。もともと人付き合いが苦手な性格だが、入院中は妻を安心させようという思いから、明るく社交的に振舞っていた。そのため、入院中は様々な患者と会話し、そのふれあいの時間の中でがんという病気について様々な思いを巡らせるようになる。

武田 早苗 (たけだ さなえ)

武田一義の妻。たれ目の女性。朗らかで優しい性格をしており、いつも夫を気遣っている。一義の闘病生活を献身的に介抱し、度々見舞いに訪れては彼にとっての精神的な支えとなっている。夫婦仲は良好で、結婚7年目。一義のがんが発覚する以前に、子宮の腫瘍を取り除く手術を受けている。 10センチを超える大きな腫瘍だったものの、悪性の子宮肉腫ではなく良性だったため、大事には至らなかった。

桜木 (さくらぎ)

強ばった顔立ちの老年男性。前立腺がんを患っている。元鉄道員。入院歴が1年にも及ぶ病棟の主。病棟にいるすべての患者と顔見知りであり、入院生活に関するノウハウに詳しい。誰に対しても堂々とした態度で快活に話すため、周りの人からわ慕われている。その明るさのあまり抗がん剤の副作用に慣れているのかと田原に問われるが、本人によれば“から元気”だという。 ただ、検査で芳しくない結果が出る時だけは落ち込んだ様子を見せる。

吉田 (よしだ)

のっぺりとした顔つきの若い医師。武田一義のがん治療の主治医。真面目で誠実な性格で、一義の治療にも真摯に対応する。一義の治療後は、病院を去り、災害派遣の仕事に携わるようになる。

ビッグ

『さよならタマちゃん』に登場する犬。武田家の愛犬。雑種の小型犬。4年前、喧嘩が絶えず何もかも上手くいかない夫婦生活を打破するために、武田一義が知人から譲り受けた。その後ビッグを飼うことをきっかけに武田夫妻は笑顔を取り戻した。今ではすっかり家族の一員として溶け込んでおり、夫婦ともども大事に育てている。

田原 (たはら)

元魚屋。武田一義と同時期に入院してきた老年男性。いつもにこやかに目を細めている朗らかで優しい性格の男性。前立腺がんを患っている。子供5人に孫が9人と大家族のため、見舞いの際は大変に騒がしくなる。一義と共に退院するが、その4ヵ月後にがんが再発し、再び入院していたところ、検査に来た一義と再会する。

(はやし)

眼鏡をかけた中年男性で高校教師をしている。前立腺がんを患っている。入院当初は手術に怯える三浦をヘラヘラと笑っていたが、手術後は切開部が炎症を起こし、終始辛そうな表情を浮かべていた。

三浦 (みうら)

中年男性。前立腺がんを患っている。ナイーヴな性格の男性で、手術前はミスが起きないかとひどく不安がっていた。手術後は緊張から解放されたためか、あっけらかんとした様子になり炎症を患った林にお節介を焼く。

大和田 (おおわだ)

町工場を経営する中年男性。膀胱がんの疑いで検査入院をしに来た。堂々とした性格だが、声が非常にうるさく、身振り手振りも大げさ。検査前は自信たっぷりのセリフが多かったが、重い病状であると判明した後は、やせ我慢のためか笑顔を引きつらせ汗を吹き出しながら以前にも増して大きな声量で話すようになる。

坪井 淳 (つぼい じゅん)

武田一義が入院している病院の研修医。眼鏡を掛けたで大人しい性格の男性。研修医のため治療の手順が拙く、また気が弱いため失敗するとすぐにオドオドしてしまう。実は元東大生で成績も良かったが、どうしても医者なりたかったため医大を受け直した。

佐藤 (さとう)

穏やかな顔つきの老年男性。顔が縦に長く、眼鏡をかけている。元会社役員。前立腺がんを患っており、手術で尿管と腎臓も切除している。元役員というだけあって人脈があり、病院の医院長とも家が隣である。病状は軽く、桜木の外泊と入れ違う形ですぐに退院していった。

岡本 幸一 (おかもと こういち)

前立腺がんの除去手術のために入院してきた。明るく快活な中年男性。会社員。女癖が悪く、浮気が原因で離婚している。手術当日に元妻と現在交際している歳の離れた女性が来ることになっている。

O先生 (おーせんせい)

武田一義がアシスタントを務めている漫画家の男性。漫画家奥浩哉がモデル。人気漫画家で、アシスタントの数も多い。数人のアシスタントを引き連れて一義の見舞いに訪れた。病床に伏した一義を見限ることなく、アシスタントとして復帰してもらいたいと考えている。

遠山 (とおやま)

武田一義の入院初期に、一義の隣のベッドにいた患者。かなりの老齢で、末期がんを患っているため、緩和ケアのため退院した。亭主関白で厳しい言葉で妻に怒鳴り散らすが、時折妻への愛情が垣間見える。

市川 (いちかわ)

黒いニット帽をかぶった若い男性。精巣腫瘍を患っている。患者の中では珍しく、武田一義と同じ精巣腫瘍を患っており、同じ若者ということもあって一義も気にはなっていたが、退院直前まで会話する機会がなかった。

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