嘘喰い

嘘喰い

「嘘食い」の異名を持つギャンブラー斑目貘を中心に、賭博組織倶楽部「賭郎」を介したギャンブルを描く。迫稔雄のデビュー作。

正式名称
嘘喰い
ふりがな
うそぐい
作者
ジャンル
ギャンブル・賭博
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概要・あらすじ

とあるパチスロ店にて、青年・梶隆臣は、嘘喰いと呼ばれるギャンブラー・斑目貘に出会う。梶はスロットの当たりに気付かず席を立ったに、当たりが来ていることを教える。はスロットの当たりを教えてくれたお礼にと、多額の借金を抱えていた梶の借金返済を手伝うと宣言。この日をキッカケに、梶とは金と暴力とイカサマが支配する賭博の世界に足を踏み入れていく。

登場人物・キャラクター

斑目 貘 (まだらめ ばく)

銀髪にオールバックの青年。賭博組織倶楽部「賭郎」を介して行われたギャンブルで勝利を重ね続けた伝説のギャンブラー。相手の嘘やブラフ、イカサマを見抜き食らい尽くすことから「嘘喰い」と呼ばれている。かつては賭郎会員であったが、切間創一に「屋形越え」を挑むも敗れ、命の取り立てを課されるが創一の気まぐれで生かされていた。 パチンコ店でスロットの当たりについて教えてくれた梶隆臣に対し、恩返しとして彼の借金の返済を手伝い、その後、行動を共にするようになる。廃坑で創一と再会した際にはミサイルが発射されるか否かを賭けたギャンブルで勝利し、再び賭郎会員となる。また警視庁でのアリバイを賭けた「ラビリンス対決」の際には自らが「屋形越え」に敗れた日のアリバイを選択し、あえて負けることで雪井出薫に命の取り立てを擦り付けた。 帝国タワーでのギャンブルの中で捨隈悟に左目を潰され、以降は眼帯をつけている。運動能力は低く常人以下、また体も弱い。カリカリ梅が好物で、自分の企みが上手くいっている際はカリカリ梅を食べる癖がある。 決め台詞は「あんた嘘つきだね」。

梶 隆臣 (かじ たかおみ)

黒髪短髪の青年。多額の借金を抱えている。パチンコ店で斑目貘がスロットの当たりに気付かず席を立った際、当たりであることを教えると、貘がその恩返しとして梶の借金返済を手伝ってくれることとなる。これがきっかけで、次第に倶楽部「賭郎」を通じた賭博の世界に足を踏み入れていく。 貘が「廃ビル脱出対決」に勝利した後には、貘の代わりに賭郎会員となった。専属立会人は夜行妃古壱。ギャンブラーとしての実力は乏しいが、数々の修羅場や二階堂鮫丸や羽山郁斗といった敵とのギャンブル対決の中で次第に成長していく。幼少期には親の命令で当たり屋行為をしており、現在も母親は隆臣の名義で借金をして浪費を繰り返している。 親からの愛を得られなかったために承認欲求が強く、貘に憧れを抱くと同時に依存に近い感情を抱いている。貘に褒められた際には「もうこの魔力から逃れられない」とまで感じている。

マルコ

「廃ビルの悪魔」と呼ばれる九重太郎の私兵。幼いころから兵士として教育がなされていた。脳細胞の実験が施されており反射神経と身体能力が極限まで高められている。その影響で知能や倫理観が衰退しており、精神年齢は子供のままである。実験による過度のストレスから注射器を刺されると「ロデム」と呼ばれる凶暴なもう一つの人格が目覚める。 「廃ビル脱出対決」で斑目貘に敗れ、以降は行動を共にするようになる。無垢な性格をしており正義感が強い。戦闘における実力は倶楽部「賭郎」の兵や伽羅、箕輪勢一、カラカルといった猛者に打ち勝つほど。

夜行 妃古一 (やこう ひこいち)

巻いた眉尻と口髭が特徴的な老紳士。倶楽部「賭郎」の弐號立会人。立ち会いにおいては、基本的には中立の立場だがゲームを楽しむために多少口をはさむ癖がある。立会人としてでなく取立人としても敏腕であり、単身で暴力団が護衛する取立て相手の元に乗り込み、命の取立を遂行した。廃坑での「ハングマン対決」からは梶隆臣の専属立合人となる。 「屋形越え」を目指す貘の説得を受け、立会人の頂点である零號立会人になるため、切間撻器に「號奪戦」を挑む。執事喫茶・「百鬼夜行」を経営しているが、淹れる珈琲の味は不味い。

切間 創一 (きるま そういち)

眉間のほくろが特徴的な青年。倶楽部「賭郎」の頂点であり、お屋形様と呼ばれる。聡明な頭脳と冷静な判断力を持ち、また自分が勝ち続けることが天命と言う。政府や司法、メディアのエリート達を集め賭郎を通じて国家を操る目論見を立てる一方で、宇宙人の真似など子供じみた言動や行動を取ることもある。 一度読んだ本の文字を一字一句覚える程の優れた記憶力を有しているが、突発的に記憶が失われる症状がある。その際の忘却時間にも変動があり、帝国タワーでの「號奪戦」の直前に記憶が失われた際は、かなりの時間、記憶を喪失している。貘が「屋形越え」に敗れる以前、貘と親交を持ち行動を共にしていた時期があったが、その時の記憶は失われている。

伽羅 (きゃら)

屈強な体と非常に高い戦闘能力を持つ青年。左目に火傷の痕のような傷がある。元倶楽部「賭郎」零號立会人で、かつては斑目貘の専属立会人であった。古今東西の武術を身に着け、香港の暗黒街で暴力を嵐の如く撒き散らしていたところを能輪に見出され立会人となる。伽羅という名前はこの際に、能輪によって付けられた。 貘が「屋形越え」で敗北した後に賭郎を抜けているが、「生きたまま賭郎を抜けることは許されない」というルールがあるために賭郎から命を狙われている。強面な外見とは裏腹に面倒見が良い。「ハングマン対決」の際に廃坑の外で戦ったマルコに敗れ、以降は再び賭郎会員となった貘と協力関係となる。

門倉 雄大 (かどくら ゆうだい)

リーゼントが特徴的な青年。倶楽部「賭郎」拾陸號立会人。「ラビリンス対決」の立会人を務めた。立会人を務める際、興奮すると不謹慎な表情を見せることがある。高校生の頃、ツメエリを身に纏い暴力団をも凌駕する統率力と組織力で自分の街を支配しており、同じく街を支配していた南方恭二と決闘している。 この因縁から警視庁地下の迷宮で南方と再会した際には、対立している。警視庁地下での「ラビリンス対決」にてルール違反を犯した箕輪勢一を粛清する際に頭部に攻撃を受け生死が不明の状態となる。後に弐號立会人として左目に眼帯をした姿で梶隆臣とマルコの前に姿を現した。普段は丁寧な口調で話すが怒りを露わにすると広島弁になる。

鞍馬 蘭子 (くらま らんこ)

花魁のような格好をした女性。暴力団鞍馬組の女組長。レオや雹吾といった配下を抱える。極道ではあるが「善人や女子供、弱い人間には手をかけない」という考えを持つ。佐田国一樹に自分のカジノを荒らされた因縁から、「ハングマン対決」の際には斑目貘を支援した。以降も貘とは度々協力体制をとっている。 夜行妃古壱に惚れている。

佐田国 一輝 (さだくに いっき)

無精ひげに眼鏡をかけた男性。賭郎会員で専属立会人は目蒲鬼郎。革命家であり、日本から北に亡命をしていた。テロ資金を得るために賭郎会員となり、貘との勝負を受ける。実は全盲で人工視覚によって視界を再建しており、斑目貘との「ハングマン対決」の際には天井に設置されたカメラの映像を視覚に繋ぎ貘の手札を盗み見ていた。 ハングマンに敗れて首を吊られ、生への未練を叫びながら絶命した。

雪井出 薫 (ゆきいで かおる)

甚平を着た青年。賭郎会員。倶楽部「賭郎」を通じてギャンブルで対戦相手のアリバイを奪い、官僚やエリートによる犯罪のスケープゴートを作り出す「懲役ギャンブル」の実行者。嗜眠性脳炎を患っており10数年の間昏睡状態にあった。人生の10年間の空白を埋めるために思い出を賭ける「0円ギャンブル」を行っていると言い、カモを騙していた。 「懲役ギャンブル」の際はラビリンスと呼ばれる卓上ゲームを用いる。幼い頃から警察である父親に秩序を守ることを教え込まれ、秩序を乱すものを「蟻」と呼ぶ。斑目貘との戦いに敗れ命の取り立てが実行されることとなるが、再び嗜眠性脳炎が発症。この状態を「死んでいるようなもの」とする貘の提案により、取り立てを逃れた。

能輪 美年 (のわ みとし)

車椅子で移動をする小柄な老人。倶楽部「賭郎」壱號立会人。立会は多くの私兵を連れて執り行うスタイル。梶隆臣と二階堂鮫丸のセブン・ポーカーの立合いを務めた。人の値段をつける癖がある。賭郎における人材発掘を行っており、伽羅を賭郎へスカウトした。賭郎と敵対する組織や人物の分析なども行っている。 登場時は子供をあやすような口調で喋っていたが、次第に普通の口調になった。孫に八號立会人の能輪巳虎がいる。

ビリー・クレイグ

漫画に出てくる外国人のような、わざとらしい喋り方で話す白人男性。世界的犯罪組織「アイデアル」のボスの側近。聡明な頭脳と強い暴力を持つ。耳に斑の痣があることから能輪によってトルコ語で「黒い耳」を意味する「カラカル」と名付けられた。飛行機に乗るときはファーストクラスの席を全て買い占める。 アジア系の人間を猿と呼び蔑み、触られることに強い抵抗を見せる。口癖は「DIE YOBBO(弱者は死ね)」。

立会人

『嘘喰い』に登場する役職。「☆倶楽部賭郎」においてギャンブルの立ち合い及び取り立てを行う役職。確実な取り立ての遂行のため立合人は強力な「暴力」を有しており、その実力は常人を遥かに超越している。立会人には強さに応じて零から百までの號が与えられており、かつては號が若い順に位の高い立会人とされていた。上位の立会人に挑戦することで自らの號を上げるが可能で、これを「號奪戦」と呼ぶ。 「號奪戦」は単なるショーと化していたが、切間創一が「屋形越え」に挑戦できるのは、挑戦者の専属立会人が零號立会人である者のみと条件をつけたことで、再び意味を取り戻した。

集団・組織

倶楽部「賭郎」 (くらぶかけろう)

『嘘喰い』に登場する組織。組織の頂点であるお屋形様、101名の立会人とその私兵、その他多数の掃除人や黒服、さらに48名の会員から構成される。会員の希望に応じて立会人を派遣し、ギャンブルを仕切らせ、勝敗の際には賭けの代償の取り立てを行う。会員は己の全てを賭けてお屋形様に対して「屋形越え」と呼ばれる戦いを挑むことが可能で、勝てば倶楽部「賭郎」の全権を掌握することができる。 現在のお屋形様は切間創一であり、先代お屋形様はその父である切間撻器。

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