ブックエンド

ブックエンド

年の離れた兄弟と、彼らの父親が経営する病院に入院する一人の少女。彼らのそれぞれの想いは、少女の「死」が近づくにつれ複雑な様相を呈していく。「週刊ビッグコミックススピリッツ」1998年第34号から1999年第11号まで掲載された作品。

正式名称
ブックエンド
ふりがな
ぶっくえんど
作者
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あらすじ

第1巻

利根川総合病院の院長の息子、利根川洋二は、名門、私立御園光学園に通っているが、成績はパッとしない普通の高校生。一方、洋二の兄、利根川周一は、私立御園光学園創立以来の秀才だったが、東大を中退し、今やアメリカ先住民の研究に没頭する変わり者だった。そして、洋二の親友だった都築シンヤの双子の妹、都築さおりは、利根川総合病院に長期入院している。洋二は12歳で病死したシンヤから、「ぼくの代わりにさおりを守って」と言われていたが、さおりのエキセントリックな行動のせいで二人のあいだには喧嘩が絶えなかった。一方、周一はさおりのわがままは寂しさの裏返しだと見抜き、さおりは周一の大人っぽさに惹かれるようになる。そんな中、私立御園光学園の音楽教師、福田マサ子は、その天真爛漫さで、自身の初恋の相手である周一との距離を縮めていく。しかし、周一は亡くなった母親の溺愛により、性的不能に陥っているという悩みを抱えていた。

第2巻

試験的に共学となった私立御園光学園で、都築さおり利根川洋二は同じクラスになる。学園生活に張り切るさおりだったが、ふとしたことから洋二と大喧嘩してしまう。しかしその後、洋二とさおりは別の異性と接して、お互いの存在の大事さに気づき、初めて気持ちを通じ合わせるのだった。そんな中、さおりの容態が悪化し、学園生活は続けられなくなってしまう。死ぬまでに一度SEXがしてみたい、と思ったさおりは洋二のベッドに忍び込むが、さおりの体を心配した洋二はそれを拒む。その翌朝、洋二は周一の部屋で裸のさおりを見るが、周一とさおりは関係を否定。洋二がモヤモヤした気持ちを抱いていたある日、周一が車で電柱に激突。奇蹟的に命は助かったものの、下半身にマヒが残ってしまう。それからほどなく、さおりの容態が悪化し、彼女は洋二に見守られながら亡くなってしまう。

登場人物・キャラクター

利根川 洋二

名門進学校、私立御園光学園に通う男子高校生。利根川周一の年の離れた弟。気弱でお人よしな性格をしている。成績は悪いが、夢は父親、利根川正勝のような、患者に真摯に向き合う医者になりたいと考えている。親友だった都築シンヤの双子の妹、都築さおりをいつも気にかけているものの、さおりのわがままに嫌気がさすことも多い。 ようやくさおりと心を通じ合わせるが、周一とさおりの姿に、周一と母親、さち子の姿を重ね、二人の関係に疑いを抱くようになっていく。さおりからは「ヨッチ」と呼ばれている。

都築 さおり (つづき さおり)

16歳の美しい少女。12歳で心臓病を発病し、それから4年間、利根川総合病院に入院している。12歳当時、双子の兄、都築シンヤを自身と同じ心臓病で亡くしている。寂しがり屋にもかかわらず、強がって噓ばかりつくため、うまく人と付き合うことができない。利根川周一の大人っぽいところに魅力を感じていたが、私立御園光学園に一時転入して利根川洋二と学園生活を送るうちに、自分の洋二に向ける本当の気持ちに気づく。 のちに、周一と母親、利根川さち子が関係してできた子供が利根川洋二ではないか、という周一のやり場のない悲しみを知ってしまう。その秘密を周一と共有し、彼と特別な関係を築く。洋二や周一から「サオ」と呼ばれている。

利根川 周一

利根川洋二の年の離れた兄。年齢は26歳。ロングヘアのイケメンで、ナルシストの男性。名門進学校、私立御園光学園創立以来の秀才で、東大理Ⅲにストレート合格したが、突然中退してアメリカ先住民の研究に没頭するようになった。重度のマザコンで、今は亡き母親、利根川さち子の溺愛が原因で、性的不能に陥っている。さらに、利根川正勝からさち子と肉体的交渉を二度しか持っていないと打ち明けられ、洋二は自分とさち子のあいだに出来た子供ではないのかという、やり場のない苦しみを抱えるようになった。 死が間近に迫っているが強く生きる都築さおりに、その苦しみを打ち明け、彼女と特別な絆を築くようになる。その後、車で事故を起こし、左眼を失って下半身マヒの体になってしまう。 のちに福田マサ子と結婚し、アメリカに渡ってアメリカ先住民の研究を認めてくれた教授の助手となり、博士の資格を取得。研修医となった洋二に、子種の提供を頼むために帰国する。洋二やさおりから「シュウ兄」と呼ばれている。

福田 マサ子

名門進学校、私立御園光学園の音楽教師を務める女性。年齢は25歳。明るくて天真爛漫で、一本気な性格をしている。S女学院時代に利根川周一に告白したことがあり、利根川洋二の伝で周一と再会してからは、積極的にアプローチをかけるようになる。周一の性的不能な部分は特に気にしていない。周一の異常な嫉妬心を理由に一旦別れるが、周一が事故に遭って入院している時に復縁、のちに結婚する。 学校で『源氏物語』の作者を生徒に問われた際、間違えて「江戸紫」と答えたので、生徒達にはそのニックネームで呼ばれている。

利根川 正勝

利根川総合病院の院長を務める男性。小心者なところがあるが、真面目な性格で、患者とは真摯に向き合っている。婿養子で、妻、利根川さち子とは8年前に死別している。長男は利根川周一、次男は利根川洋二。息子達に病院を譲り、自分は悠々自適に過ごすはずだったが、妻が急死したため状況が一変する。周一は東大を中退し、洋二の成績は学年最下位レベルであるので、そんな状況にストレスを感じる毎日を送っている。 都築さおりの敵意のある目が苦手で、さおりが悪化したのは自分の判断ミスだと悔やんでいる。これを引きずり、彼女と同じ目をしていたさち子が、自分との肉体的交渉を拒んでいたと、周一に打ち明ける。

利根川 さち子 (とねがわ さちこ)

利根川洋二と利根川周一の母親。利根川正勝とは見合い結婚し、彼を婿養子に迎えた。利根川総合病院の令嬢であり、女子校育ちで世間知らずのお嬢様。今から8年前に他界している。無邪気な性格で、周一を溺愛し、彼が18歳になるまで添い寝をしていたが、それにより周一が性的不能に陥る原因となった。夫に男性的魅力を感じておらず、彼との肉体的交渉は、息子達を授かるために行った二度のみ。

都築 シンヤ (つづき しんや)

都築さおりの双子の兄。眼鏡をかけた少年。利根川洋一とは親友だったが、12歳で心臓病を患い、そのまま病死した。繊細で心優しい性格。姿は見えなくても、いつもお互いを感じているという「ぼく達はブックエンド」という詩を作った。死に際、洋二に「ぼくの代わりにさおりを守って」と言い残した。

南原 哲

名門進学校、私立御園光学園に通う男子高校生。利根川洋二の友人。女子と付き合いたいという願望が強く、音楽教師の福田マサ子に想いを寄せている。学校が試験的に男女共学になってからは、花井マリコの友人の木島則子と付き合い、のちに結婚する。洋二の代わりに、都築さおりと乗町隆史の仲を見張ったりと友達想いな面がある。 洋二には「てっちゃん」と呼ばれている。

学園長 (がくえんちょう)

名門進学校、私立御園光学園の学園長を務める男性。成績至上主義で、在学中から利根川周一を可愛がっていた。福田マサ子の解任問題が持ち上がった際に、周一に脅され、その腹いせに、彼の弟の利根川洋一を退学させようと企む。

乗町 隆史

名門進学校「私立御園光学園」に通う男子高校生。「女に乗りマチ」と揶揄されるほどの有名なナンパ男。利根川洋一と大喧嘩した都築さおりに声をかけ、自転車の後ろに乗せて連れ回した。基本的に相手のことはあまり考えておらず、さおりが疲れているのにもまったく気がつかずにいた。

コンビニ店員 (こんびにてんいん)

コンビニで働く青年。肩までの長髪で、ニキビ面に眼鏡をかけている。下世話な話題が大好きで、同僚の利根川周一に、「今は若い男性でもSEXがダメな奴が多く、女性も欲求不満がたまる」と週刊誌で得たネタを、悪意なく吹き込んでしまう。

佐々木

名門進学校、私立御園光学園で、利根川周一と同じ学年だった男性。現在は代議士の秘書を務めている。コンビニ店員をしている周一の前で、東大ストレート組の自分達は生粋のエリートであると、今の自分の立場を自慢気に語る、空気の読めない人物。

花井 マリコ

名門進学校、私立御園光学園に通う女子高校生。ショートカットの髪型で、テレビの話題が大好きな今時の女性。一見おとなしそうだが、恋愛に関しては積極的で、利根川洋二に電話で交際を申し込んだ。さおりと大喧嘩した洋二と付き合うが、すぐふられてしまう。

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