アーティスト アクロ

アーティスト アクロ

アーティストと呼ばれる、特殊な能力を持つ芸術家たちが、それぞれの目的を果たすために戦ったり手を取り合ったりする、長編アクション作品。「週刊少年サンデー」の2008年31号から2009年47号まで連載され、その続きとして、「クラブサンデー」の2009年11月3日配信分から2010年3月16日配信分まで連載された。

正式名称
アーティスト アクロ
ふりがな
あーてぃすと あくろ
作者
ジャンル
アクション
関連商品
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世界観

中世ヨーロッパを彷彿とさせる世界が舞台。作中ではまっとうな文化活動に精を出すものや、他者を犠牲にした芸術活動で私腹を肥やす悪役などが存在し、それらの対立などが物語のテーマとなっている。また、能力バトル漫画の側面を持ち、技巧という能力を使ったアーティスト同士の戦いにおいてそれが強調されている。

あらすじ

アート協会編

アーティストの少年アクロ・ハンバッカは、故郷である青天の都を復興させるため、7大アーティストの協力を仰ぐべく旅を続けていた。最初に目指したのは、アクロの師匠でもあるヴルー・シエル。彼が住むという芸術の都を訪れるが、芸術の都はアート協会によって圧政が敷かれており、人々はアーティストを恐れていた。アクロは、都で出会ったデコ、そしてヴルーの息子であるスバル・シエルとともに、アート協会の陰謀に立ち向かう。

青天の都編

アート協会の野望を潰し、7大アーティストの1人であるレオンジ・モンターニャを救出したアクロ・ハンバッカ。レオンジは青天の都復興のための作品造りを快諾し、アクロも一度故郷である青天の都に戻ることとなった。同行を申し出たデコスバル・シエルを加えたアクロは、道中で幼なじみであるネネ・ハルモニーと再会する。ネネは、青天の都を滅ぼした犯人を知ると語るが、彼女が示した人物はなんと、ヴルー・シエルその人だった。

単行本の装丁

カバーの折り返しに、本作『アーティスト アクロ』の登場人物を題材にしたおまけ漫画が掲載されている。コマ数はほとんどが3つだが、2コマの場合もある。

登場人物・キャラクター

アクロ・ハンバッカ (あくろはんばっか)

7年前に突如として滅び去ったといわれる、青天の都の生き残りである15歳の少年。後天タイプのアーティストで、ヴルー・シエルの作品に刺激されることで粘土細工師の技巧を身に着けている。天真爛漫で正義感が強いが、幼い少女が大好きという一面を持つ。青天の都を復興させるため7大アーティストを探して旅をしており、その一環として師匠であるヴルーを訪ねて、芸術の都にやってきた。 そこで人々を苦しめるアーティストと、その黒幕であるアート協会の暴挙を目の当たりにし、彼らに立ち向かうことになる。

ヴルー・シエル (ゔるーしえる)

7大アーティストの1人に数えられる男性。アクロ・ハンバッカの師匠でもあり、時間鑑賞の技巧を持つ。7大アーティストの中では変人と知られており、弟子であるアクロや、息子であるスバル・シエルからも、掴みどころのない性格をしていると考えられている。一方で、アーティストとしての能力は秀でており、ヴルー・シエルを慕うアーティストも多い。 アクロはヴルーを追って芸術の都を訪問しているが、その足取りは掴めていない。

デコ

芸術の都で、アーティストとしての修業を積んでいる少年。エア・モンスターの技巧を持っているが、これが原因で家族や友人などに辛く当たられた過去があり、そのことが自らの能力に自信を持てない原因となっている。のちにアクロ・ハンバッカと知り合い、彼の助力を得たことで、住んでいる地域をナジーの手から解放するが、そのことがアート協会の目に留まり、拉致されてしまう。 しかし、囚われた先で出会ったレオンジ・モンターニャの指導を受けることで、アーティストとしての技能が飛躍的に向上した。

ナジーの使い (なじーのつかい)

デコの住む芸術の都の地区で暴虐を振るっている、大きな剣を持つ巨漢。主であるナジーの威光を笠に着て、住民の拉致や反対する者への制裁などの非道を働いている。しかし、街に飾られていた作品を破壊したことでアクロ・ハンバッカの怒りを買い、彼の粘土細工師による攻撃を受け、あっけなく倒された。

ナジー

アート協会に所属するアーティストの青年。マイナスDシャッターの技巧を持つ。芸術の都の、デコの住む地区の統治をアート協会に任されているが、住民を自らの作品を作るための実験台にしているなど、傍若無人な振る舞いを見せている。アーティストは他者を犠牲にしてでも高みを目指すべきだと公言してはばからず、デコをはじめとした住民たちにとっては恐怖の対象となっている。

女の子 (おんなのこ)

アクロ・ハンバッカが芸術の都で出会った、6歳の女の子。アクロにとってはその年齢や仕草がたまらなかったようで、花を渡されただけでメロメロになってしまっていた。しかし、そこに現れたウニマルの、アクロに対する攻撃に巻き込まれかすり傷を負ってしまい、そのことがアクロの怒りに火をつけた。

ウニマル

アート協会に所属する、アーティストの青年。閃光の刺繍の技巧を持つ。ナジーを倒したアクロ・ハンバッカに興味を持ち、近くにいた女の子を囮に使い、彼女もろとも攻撃を仕掛けた。しかし、アクロの粘土細工師の前では相手にならず、柔らかくされた針を逆に撃ち込まれたことで敗北した。

ニコ

スバル・シエルの住む屋敷で、メイドとして働いている女性。スバルが心を許している数少ない人物だが、その正体は人間ではなく、ログが技巧で作成した仕掛け人形である。自らを「作品ナンバー25」と称しており、その外見とは裏腹に、10万馬力ものパワーを発揮することができる。スバルが引きこもっていることには内心心を痛めているが、今の時代では彼の安全を優先するならその方がいいと割り切ってもいる。

スバル・シエル (すばるしえる)

郊外の豪邸に住む、アーティストの少年。言霊の詩の技巧を持つ。ヴルー・シエルの息子だが、彼のことを「奴」などと呼び、あからさまに嫌っている様子を見せている。過去の事件で、大切な人であるログを失い、さらに、言霊の詩の力によって負の感情が見えてしまうことを厭い、長らく屋敷の中に引きこもっていた。しかし、アクロ・ハンバッカとの出会いを経て、自らのしたいことを見出し、アクロとともに、アート協会に立ち向かう決意を固める。 なお、アクロとは対照的に、年上の女性が好み。

ピクルス

スバル・シエルの住む屋敷で、執事として働いている仕掛け人形。小型の羊のような、あからさまに人間とは呼べない形状をしている。ニコ同様、スバルが引きこもっていることに心を痛めており、なんとか外に出てほしいと願っている。その願いが通じて、スバルがアート協会に立ち向かうようになってからは彼と同行。マーロンとの戦いにおいては、見事な連携プレーを見せつけた。

ゲゲ

アート協会に所属する、アーティストの青年。影絵劇場の技巧を持つ。指名手配されたアクロ・ハンバッカを追って、スバル・シエルの屋敷に現れた。影による攻撃でアクロを捕縛、そのまま連れ去ろうとするが、スバルの言霊の詩を受け、空高く吹き飛ばされた。

バロック

アート協会に所属する、アーティストの青年。光の君臨の技巧を持ち、青騎士のリーダーを務めている。敵対する相手には酷薄だが、味方に対しては情を見せることも多い。かつては光を素材とした作品を創作していた努力家だったが、素材が光である故に誰の目にも見ることができなかったため、今でも光が映える闇というものを切望している。 スバル・シエルを、守られてるだけの子供と罵り、因縁の間柄となるが、アート協会における戦いで惜敗する。アート協会壊滅後は、アーティストとしての再起を誓って芸術の都を発ち、エイロ・ソールの弟子になった。

マーロン

アート協会に所属する、アーティストの青年。青騎士のメンバーの1人で、増える自画像の技巧を持つ。戦闘を好む青騎士きっての武闘派で、バロックにも頼りにされている。青騎士の任務としてアクロ・ハンバッカを捕らえるため、スバル・シエルの屋敷に襲来。増える自画像の特質を活かしたさまざまなフォーメーションでアクロを大いに苦戦させる。 しかし、助太刀に現れたピクルスの活躍によって活路を見出され、最後は駆けつけたスバルとの連携に敗れた。

オリオ

アート協会に所属する、アーティストの少年。青騎士のメンバーの1人で、プレス・ペーパーの技巧を持つ。ドーナのかつての教え子で、彼の洗脳じみた教育の影響で情緒不安定な面が目立つ。アート協会本部で、アクロ・ハンバッカと対決した時も、ドーナの心無い言葉に半ば暴走してしまい、危うく本部を破壊しかけるほどだった。

メメンサ

アート協会に所属する、アーティストの女性。青騎士のメンバーの1人で、キスをした相手の気力を奪い取り、左目に蓄えるといった技巧を持つ。また、蓄えたエネルギーは右目から涙状の液体として放出し、それを振りかけた相手を治療することも可能としている。常に気だるげな様子を見せているため、仲間たちからも信頼されておらず、メメンサ自身も仲間の青騎士たちを信用していない。 しかし、内心では嫌っておらず、アート協会が壊滅した際は、バロックとともにエイロ・ソールのもとを訪れている。

モグラ

アート協会に所属する、アーティストの青年。青騎士のメンバーの1人で、ブロック・パーツの技巧を持つ。身に着けているコートで全身を覆っており、顔を見ることができない。適当な性格で、返事すら真面目に返さないため、バロックからは特に扱いづらい相手と認識されている。しかし、そんな性格とは裏腹に知能に優れており、アート協会での戦いにおいては、スバル・シエルと巧みな心理戦を繰り広げ、彼の言霊の詩による暗示すら跳ねのけるほどの暗躍を見せた。

世界一周も夢ではない大木 (せかいいっしゅうもゆめではないたいぼく)

青騎士が所有している作品の1つ。森の中でもひときわ目立つほどの巨大な木で、翼と顔を備えている。地面に降りている際は大地に根を張っているが、根を地面から切り離すことや、翼を用いて飛行することも可能としている。青騎士の移動手段として用いられている。

ログ

ヴルー・シエルの友人で、「人形技師」と呼ばれる技巧を持つアーティストの青年。ニコやピクルスの生みの親で、スバル・シエルとも仲がいい。弟子であるパスタを伴い、スバルの屋敷にやって来るが、パスタが実はアート協会の刺客であることが判明すると、彼の手により殺害されてしまう。このことはスバルの心に深い傷を残し、彼が引きこもってしまった原因の1つになっている。

パスタ

ログの弟子にあたる青年で、物質に穴を開ける技巧を持つアーティスト。しかしその正体はアート協会からの刺客で、スバル・シエルの屋敷の制圧を目論んでいた。それを止めようとしたログを殺害するが、激高したニコの全力を込めた一撃を受け、パスタ自身も死亡した。

マリオ

アート協会に所属する、アーティストの男性。真実の操演師の技巧を持つ。協会においては情報収集の任務を請け負っており、青騎士によって捕縛されたデコに対し、アクロ・ハンバッカの詳細を聞きだそうとした。しかし、真実の操演師をもってしても大した情報を得られず、落胆してしまう。

番犬 (ばんけん)

巨大な犬を象った作品。アート協会本部の番を任されている。知能を持ち、二足歩行や会話なども可能としている。ピクルスを捕えることで、アクロ・ハンバッカとスバル・シエルに対し降伏を迫るが、隙をついた2人の技巧を立て続けに受け、倒された。

ドーナ

アート協会に所属している、アーティストの男性。意志を持つペンキの技巧を持ち、アート協会本部で教育指導をしている。極めて独善的な性格をしており、教え子であるアーティストの子供たちも単なる道具としてしか見ておらず、それは優秀な能力を持つオリオであっても例外ではない。さらに、技巧の実験台としてクマタローを虐待していたため、アクロ・ハンバッカの怒りを買ってしまう。

クマタロー

アート協会によって囚われている巨大な熊。「教材」の名目で、ドーナの教え子たちによる技巧の実験台として虐げられていたが、アクロ・ハンバッカによって救出される。さらに、ドーナの本性が明らかになったことで改心した教え子たちによって治療された。なお、「クマタロー」はその際にアクロによって付けられた即席の名前で、本当の名前は不明となっている。

モカ・バレンシア (もかばれんしあ)

アート協会に所属している、学芸員の女性。実際はレオンジ・モンターニャを救出するためにアート協会に侵入しており、本部で遭遇したアクロ・ハンバッカたちと協力することになる。本部の仕掛けについての知識を持っているが、とんでもないドジであるという欠点によって、その知識は上手く活かされなかった。のちにスバル・シエルから好意を抱かれるが、モカ・バレンシア本人はレオンジに想いを寄せている。

バク

アート協会の幹部を務めている男性。「右の側近」の異名を持つ。普通の人間を強制的にアーティストとして覚醒させようと実験を繰り返し、多くの犠牲者を出している。千変万化の演者の技巧を持ち、戦闘においてはさまざまな姿を取ることでアクロ・ハンバッカを翻弄する。なお、実験における最初の被害者はバクが可愛がっていた孫で、バク自身も内心では実験に対して罪悪感を抱いていたが、芸術の都発展のためと信じ込むあまり、止められずにいた。

シャープ

アート協会の幹部を務めている男性。「左の側近」の異名を持つ。レオンジ・モンターニャの救出を阻止するため、アクロ・ハンバッカおよびモカ・バレンシアの前に現れた。彫刻師の技巧を使いアクロに攻撃を仕掛けるが、アーティストでありながら刀も自在に操る彼に圧倒されてしまう。

レオンジ・モンターニャ (れおんじもんたーにゃ)

7大アーティストの1人に数えられる男性で、芸術の都を作り上げた人物。神の宿る石の技巧を持つ。アート協会のやり口に反発したことで幽閉されてしまうが、その際に隣の牢屋に入れられたデコと会話をすることで、彼に秘められた能力を引き出した。やがて、駆けつけたアクロ・ハンバッカと、モカ・バレンシアによって救出されると、クラウンの奸計によって動き出したアート協会本部の破壊活動を止めるべく、決別の刻を起動させた。 アート協会壊滅後は、芸術の都の新たなリーダーとして君臨し、多くの人々の尊敬を集めている。

ブラッド

アート協会の幹部を務めている青年。「中の側近」の異名を持つが、アクロ・ハンバッカからは「ギザ髪」と呼ばれている。バクを退けたアクロたちの前に現れ、襲い掛かった。ハート・クリムゾンの技巧を使いアクロを追い詰めるが、気まぐれな女神の援護を受けた彼の手で反撃を食らう。さらに、デコの援護を交えた合成刀「爆咲」によって火花とともに吹っ飛び、敗北した。

気まぐれな女神 (きまぐれなめがみ)

芸術の都に時折現れるという、神出鬼没の作品。出現する条件は一切不明で、ブラッドをして超レア級作品といわしめるほどの希少性を誇る。また、意志を持っているというが、人間に味方をすることはないとされている。ブラッドと戦っていたアクロ・ハンバッカに対して助力をするが、その真意は一切不明。

決別の刻 (けつべつのとき)

レオンジ・モンターニャが作り上げたとされる、石造りの作品。巨大な双頭獣の形状をしている。クラウンの手によって暴走したアート協会本部を止めるために、レオンジの手によって起動した。その戦闘力はアート協会本部を大幅に上回り、アート協会壊滅後は、新しい芸術の都の象徴として人々から称えられた。

ネネ・ハルモニー (ねねはるもにー)

青天の都を目指すアクロ・ハンバッカたちの前に現れた少女。かつてアクロに告白した過去を持つが、アクロはそのことはおろか、ネネ・ハルモニーのこと自体をすっかり忘れていた。青天の都を滅ぼしたとされる犯人を追っているが、その犯人はヴルー・シエルだと発言し、アクロたちを驚かせる。歌が得意で、のちに貴方のための歌の技巧を修得した。

トトイ

青天の都の周辺で盗みを働いているアーティストの少年。糸編みの木の技巧を持つ。ネネ・ハルモニーから荷物を盗み出し、逃走を図る。さらに、追跡して来たアクロ・ハンバッカの手を糸編みの木で封じて技巧を使えないようにするが、木そのものを振り回されることで攻撃され、降参した。

トンだら速かったブタ (とんだらはやかったぶた)

青天の都の周辺を走っているブタの形をした車の作品。ドアがついており、中に入ると自動的に目的地まで走ってくれる。しかし、ブタごとに性能にムラがあり、製作者が眠い時に製作した個体は走行中に居眠りをしてしまうことがある。また、尻尾を勢いよく引っ張るとイノシシの形に変貌し、スピードが大幅にアップするが、使用料を余計に取られてしまう。

ラウ

クラウンの部下を務めるアーティストの青年。演出効果の技巧を持つ。マルルとは幼なじみで、現在もコンビを組んで暗躍している。戦闘においては裏方担当で、演出効果の力で相手の足止めをし、マルルの技巧でカウンターを食らわせるという戦法を得意としている。青天の都に侵入し、アクロ・ハンバッカの家から日記を持ち去っている。

マルル

クラウンの部下を務めるアーティストの少女。技巧の名称は不明だが、スバル・シエルの分析により、パントマイムであることがのちに発覚する。ラウを強く信頼しており、彼を傷つけるものを決して許さない。それはクラウンに対しても同様で、彼がマルルにラウの始末を命じた時は、迷わずクラウンに対して反抗する姿勢を示した。

ブッチー

クラウンの部下を務めるアーティストの青年。負の空中遊戯の技巧を持つ。ハイテンションな性格で、身に着けている衣装は億単位を下らないとされている。「いけにえの男」を自称しており、アクロ・ハンバッカの使用する技巧の詳細を、自分の身を犠牲としてクラウンに伝えるという任務を言いわたされるが、ブッチー自身はクラウンに強い忠誠を向けているため、むしろ嬉々としてこの任務を請け負っている。

エレバス

クラウンの部下を務めるアーティストの青年。クラウンの手によって仲間たちと分断されたデコを始末するために派遣された。恐怖によって他者を縛りつけることをよしとする外道で、技巧によって作り上げた作品を、暴力を振るうことで従えている。

クラウン

アート協会の統率者だった、謎の少年。贋作師の技巧を持つ。得体の知れない思想と性格を持ち、アート協会を従えていたこともただの気まぐれである様子で、崩壊してもさしたる興味を示さなかった。アクロ・ハンバッカに強い興味を抱いており、自らのもとに来ることを望んでいる。

ドレッド・ヘルツ (どれっどへるつ)

7大アーティストの1人に数えられる男性。空間漂音の技巧を持つ。現在はクラウンに仕えており、彼の側近を務めている。ヴルー・シエルをライバル視しているが、ドレッド・ヘルツ自身もきわめて強力なアーティストで、盲目でありながら、スバル・シエル、デコ、ネネ・ハルモニーを圧倒するほどの力を見せつける。

ダダ

レオンジ・モンターニャの弟子にあたる、アーティストの青年。レオンジから青天の都復興の総指揮を任される。モカ・バレンシアとも知り合いで、彼女のことを「姐サン」と呼ぶ。また、物を教えることが得意で、弟弟子となったデコからも慕われている。

エイロ・ソール (えいろそーる)

7大アーティストの1人に数えられる男性。気まぐれな女神を製作したとされているが、本人はそれに対するコメントを一切控えている。アーティストとしての能力は非常に高いが、エロいという欠点があり、青天の都に作品を展示しようとアクロ・ハンバッカに頼まれた時は、交換条件としてネネ・ハルモニーの尻を触ることを要求した。 光を素材とする技巧を使うため、同じタイプの技巧を使うバロックを弟子に取っている。

グリ・ゼルバ (ぐりぜるば)

7大アーティストの1人に数えられる少年。7大アーティストの中では最年少で、アクロ・ハンバッカとほぼ同年代である。紙を素材とする技巧を使うため、火気厳禁をモットーとしている。ヴルー・シエルに憧れており、青天の都に作品を展示しようとアクロに頼まれた時は、交換条件としてヴルーのサインをねだっていた。

インディー・タラッタ (いんでぃーたらった)

7大アーティストの1人に数えられる女性。水を素材とする技巧を使い、常に風呂に入っているという変わり者。青天の都に作品を展示しようとアクロ・ハンバッカに頼まれた時は、代金として2億もの大金をせしめようとしたが、彼の冒険譚を聞くことで負けてあげるという一面も見せている。

パプル・スペル (ぱぷるすぺる)

7大アーティストの1人に数えられる男性。年齢は66歳と、7大アーティストの中では最高齢である。ロマンチストな性格で、「詩的創造とは神がかりの状態で行われる」と説くが、現在はアート協会の台頭についていけず、生まれ故郷に隠居してしまっている。

集団・組織

アート協会 (あーときょうかい)

芸術の都を支配しているとされる、アーティストたちの集団。20年ほど前にアーティストの育成機関として設立され、ここから輩出された人材は、一般社会とアーティストを繋ぐ役割を担った。また、さまざまな技巧や作品を提示することで、人々の心の支えともなっていた。しかし、7年前に突如として豹変。アーティストの創作活動に人の魂を使うことを推奨し、瞬く間に一般市民の恐怖の対象となる。 それからは逆らうものは粛清することを徹底しており、アーティストであっても例外ではない。そのため、アート協会に所属していないアーティストたちからも強い反発を受けるようになっている。

青騎士 (あおきし)

アート協会の擁するアーティストの集団で、逆らう者の討伐や拉致などを命じられている。いずれも強力な技巧を持つ凄腕のアーティストだが、性格に難がある者ばかりで、リーダーであるバロックすら、ほぼ全員を「何を考えているかわからない」と評している。

7大アーティスト (ななだいあーてぃすと)

アーティストの存在を世に知らしめたとされる、7人の凄腕のアーティストたち。アクロ・ハンバッカは青天の都を復興させるため、師であるヴルー・シエルをはじめとした彼らを探し求めている。なお、創作の腕は抜群だが、いずれも変わり者であるともいわれている。

場所

芸術の都 (げいじゅつのみやこ)

レオンジ・モンターニャの手により拓かれたという都。芸術の名の通り、数多くのアーティストが暮らしており、都の中は彼らの作品によって栄えていた。ヴルー・シエルの所在地でもあり、アクロ・ハンバッカは彼を訪ねるために芸術の都を訪れた。しかし、現在ではアート協会の台頭により、住民たちは苦しい生活を強いられている。

青天の都 (せいてんのみやこ)

アクロ・ハンバッカの生まれ故郷。7年前、「無惨な質問」と呼ばれる災害が発生したことで、突如として滅び去った。滅んだのはアーティストの仕業によるものであると噂されたが、真相は不明。アクロは、青天の都を復興させるため7大アーティストの力を借りようと奔走している。

アート協会本部 (あーときょうかいほんぶ)

レオンジ・モンターニャによって造られた、アート協会の中枢となる施設。巨大なモアイ像のような形状をしている。内部には、アート協会に所属するアーティストたちの住居や、アーティストを養成するための教育施設のほか、アート協会に逆らった人々を収容する牢屋なども存在する。クラウンによって秘かに改造されており、彼の意思を受けて自立稼働することも可能となっている。

何とも首の痛くなる海 (なんともくびのいたくなるうみ)

レオンジ・モンターニャの弟子によって造られた作品。見た目は普通の建物だが、屋根に水が溜まっている。アート協会本部に流れている水路とつながっており、アクロ・ハンバッカとスバル・シエルは、アート協会本部に潜入するためにこの作品を利用している。

その他キーワード

作品 (さくひん)

アーティストが技巧によって、生み出したり、変化させた物体などの総称。単純に人の目を楽しませるものから、衣食住に関わるものなど、さまざまな用途の作品が存在する。エア・モンスターによって生み出されたモンスターたちや、ニコ、ピクルスなどの仕掛け人形、決別の刻など、自意識を持つものなども作品に該当する。

仕掛け人形 (ぎみっくどーる)

ログによって生み出された作品。いわゆるからくり人形に近いが、完全な自意識を持っており、主のために自ら考え、行動している。また、普通の人間はおろか、アーティストすら上回る身体能力を持っており、ニコとピクルスはスバル・シエルのボディガードとして機能している。

アーティスト

人々を魅了し、感情を揺り動かす力を持つとされる者の総称。技巧と呼ばれる特殊能力を所有している。アーティストは、生まれつき技巧が使える先天性のアーティストと、他者の作品を見たことで創作意欲を刺激された結果技巧を身につける後天性のアーティストの2種類に分かれている。

技巧 (すきる)

アーティストが駆使する、特殊能力の総称。触れたものを素材として別の物質に変化させたり、自在に操ったりすることができる。素材は物質である必要はなく、歌や言葉、光や時間などの概念を素材として用いるアーティストもいる。また、人の身体を素材とすることもできるが、その場合は素材とした相手が危険な状態に陥ってしまうため、心あるアーティストはそれを自制している。

学芸員 (きゅれーたー)

アーティストの作品の管理や研究、あるいはアーティスト自身の技巧の成長などをバックアップするための役職。アーティストと違い特殊な能力などは必要ないが、学芸員に就くためには難解な試験に合格する必要がある。アート協会に所属する学芸員は、ほぼ協会のアーティストの技巧を強化する研究をさせられており、潜入していたモカ・バレンシアは、人を殺すための武器を作らされているようだったと語っている。

引力を知らないリンゴ (いんりょくをしらないりんご)

アクロ・ハンバッカとスバル・シエルがニコから受け取った作品。重力の影響をまったく受けないリンゴで、これを持ちながら衝撃を受けると、空を飛ぶことができる。しかし、持った人間たちの体重の影響は受けるため、持ち続けているといつか所有者ごと落下してしまう。

合成刀「爆咲」 (ごうせいとうばくさき)

アクロ・ハンバッカが、レオンジ・モンターニャのヒントをもとに作り上げた作品。柔らかくした炎と石を、粘土細工師で混ぜ込むことで完成する。斬撃と爆発を同時に食らわせることが可能で、強力なアーティストすら一撃で撃破できるだけの威力を秘めている。

技巧増幅道具 (すきるぞうふくあいてむ)

クラウンが所有している、指輪の形状をした作品。この作品を指にはめることで、使用する技巧の威力を飛躍的に増大させることができる。貴方のための歌を受けたことで強化されたアクロ・ハンバッカへの対応策として使用された。

粘土細工師 (くれいわーかー)

アクロ・ハンバッカが使用する技巧。手に触れた物を粘土のように柔らかくする能力である。変化させた粘土の柔らかさや吸着力は本人の意思で変えることができるほか、物質を自在に変形させたり、地面にもぐったりすることも可能となる。また、技巧を解除することで即座に硬さを戻せるため、攻撃の際にも有用。アクロは成長を重ねることで、のちに水や炎、空気といった、形のないものや、他者の使用する技巧までをも自在に粘土化できるようになった。

時間鑑賞 (らいふむーびー)

ヴルー・シエルが使用する技巧。ヴルーが指定した範囲や物体などの時を加速させる能力である。これを利用することで、一瞬で草木を成長させたり、人体を白骨化させたりすることができる。時間を巻き戻すことも可能ではあるが、それを実行するには、使用者の命を削られるという大きなリスクが伴う。

エア・モンスター (えあもんすたー)

デコが使用する技巧。空間に筆を走らせることで、コミカルな怪物の形をした作品を召喚する。召喚されたモンスターはデコの命令を受け、敵対するものを攻撃したり、デコやその仲間を守る役割を担う。召喚できるモンスターは小型、中型、大型とさまざまで、大きく強力なモンスターほど、描くための時間がかかる傾向にある。

マイナスDシャッター

ナジーが使用する技巧。指で囲った部分からレンズ状の光線を飛ばし、命中した物体を平面状に変える。平面化した物質は壁などに貼り付けることができ、貼り付けられた物質は壁に刻まれた模様のようになる。ナジーは人体に向けてこの能力を使うことを好むが、使用された人間は身動きが取れないまま、意識だけが残るという状態に陥ってしまう。

閃光の刺繍 (ぽいんとふらっしゅ)

ウニマルが使用する技巧。針などの突起を作り出し、それに刺された物質の内側からさらに突起を発生させることができる。この特性を活かすことで、小さな針を命中させることでも大きなダメージを与えられるが、アクロ・ハンバッカに使用した際には、針を柔らかくされてしまったためまったく効果が見込めなかった。

言霊の詩 (わーどそうる)

スバル・シエルが使用する技巧。他者が発した言葉をキャッチし、その言葉に宿る「言霊」と呼ばれるエネルギーを操る。言霊を純粋な破壊エネルギーに変えて飛ばしてダメージを与えるほか、その言霊を相手の身体に宿して、言葉通りの行動をとらせることができる。例えば、相手が「寝る」という言葉を発した場合、それをキャッチし投げ返すことで相手を眠らせることができる。 ただし、スバル自身が発した言葉をそのまま使用することはできない。

影絵劇場 (だーくしあたー)

ゲゲが使用する技巧。影を具現化し、操ることができる。操った影で相手を拘束したり、締め付けてダメージを与えることも可能。さらに、ゲゲ以外にとっては影でしかないため、触ることもできない。ただし、光がない場所では使用できないうえに、ゲゲ本体がダメージを受けると具現化が解けてしまうという欠点がある。

光の君臨 (ぶらっくれい)

バロックが使用する技巧。光を取り込み増幅し、目から光線にして撃ち出すことができる。また、腕部などにバロック本体の眼球を移して、そこから光線を発射することなども可能となっている。光線は非常に強力だが、光が当たらない箇所では使用できないという欠点を持つ。

増える自画像 (ぐるーぷれぷりか)

マーロンが使用する技巧。他者と目を合わせることで、その瞳に移っている自分の姿の数だけ分身を複製する。分身は技巧などで破壊できるが、相手と視線を合わせることにより容易に補充が可能となっている。マーロンは分身同士でフォーメーションを組むことで、的確な攻撃を繰り出すことができる。

プレス・ペーパー (ぷれすぺーぱー)

オリオが使用する技巧。触れた対象を折り紙状に変化させ、折り目を付けることでダメージを与える。また、折って作った手のひらサイズの物質を操ることもでき、操った物質が対象に触れることでも、折り紙状にできる。オリオはドーナの教えにより、多数の折り紙をポケットなどに忍ばせることで、武器として扱う術を覚えた。

ブロック・パーツ (ぶろっくぱーつ)

モグラが使用する技巧。触れたものを即座に分解することができる。分解された切れ目はブロックのような形状に変化し、身体の一部分が分解されることで対象がダメージを受けることはないが、動かせなくなるため大幅な行動制限が課せられる。なお、能力が解除されると、分解された部分は所有者のもとへ自動的に戻る。

真実の操演師 (ゆあせるふぱぺったー)

マリオが使用する技巧。マリオ自身が作った料理を食べさせることで、対象の腹部から人形を分離させることができる。分離した人形は対象の記憶を持っており、マリオの質問にはなんでも答えてしまう。そのため、情報を引き出すために役立つ能力といえる。なお、分離した人形を攻撃すると対象本体にダメージが返るため、情報を引き出される前に人形を破壊することはできない。

意志を持つペンキ (びっぐぺいんたー)

ドーナが使用する技巧。地面にペンキを垂らすことで、地面から巨大な怪物を具現化させる。具現化した怪物はドーナの意思に忠実で、彼の命により他者を襲撃することも可能。ただし、ドーナ自身の技量が未熟であるため、アクロ・ハンバッカに向けて差し向けた際は、手傷を負わせることもできず一方的に倒されていた。

千変万化の演者 (えんどれすぱふぉーまー)

バクが使用する技巧。他者になりきることで、自身の身体を自由自在に変身させる。体格のみならず能力を変化させることも可能で、アクロ・ハンバッカと対決をした際には、巨大な獣に変身。強大な破壊力を持つ拳と、攻撃をはじく強靭な筋肉を備えることで彼を追い詰めた。

彫刻師 (えっじまん)

シャープが使用する技巧。彫刻刀の刃を自在に操り、触れるものすべてを削り取る武器として機能させる能力である。操作される刃はいかなる技巧を用いても無効化できないという特質を持ち、現にアクロ・ハンバッカが粘土細工師で柔らかくしようとしたが、まったく効果がなかった。

神の宿る石 (ごーすとすとーん)

レオンジ・モンターニャが使用する技巧。石に宿る心を探り、対話をしたり、石自体を自立稼働させることができる。レオンジはこの技巧を使うことで、巨大な石造りの作品や、芸術の都の建物などをいくつも作り上げている。また、完成した作品そのものにも使用可能で、この技巧を用いることでかつて作り上げた決別の刻を目覚めさせ、手懐けている。

ハート・クリムゾン (はーとくりむぞん)

ブラッドが使用する技巧。手から放たれる気配を血液に撃ち込むことで、血液を変形させる。生物に撃ち込むことで体内の血液を無理やり変形させ、破壊するようなこともできる。気配は目に見えないため、避けることは非常に困難だが、まっすぐしか飛ばせず射程距離が短いうえに、遮蔽物を貫通することもできない。

貴方のための歌 (ぎふとこーる)

ネネ・ハルモニーが使用する技巧。歌うことで音符型のエネルギーを具現化させ、それを集合させることで「ナイチンゲール」と呼ばれる鳥型の作品を召喚。ナイチンゲールの持つ注射針を受けた相手の技巧を強化させる。強化の度合いは受けたアーティストの潜在能力に比例し、スバル・シエルに対して使用した際は、彼の使う言霊の詩の威力を、ドレッド・ヘルツの技巧を圧倒するほどまで押し上げた。

糸編みの木 (いとあみのき)

トトイが使用する技巧。木を糸のように編み込み、遠くまで伸ばしたり、物体を縛って固定することができる。一度縛られると技巧を使わない限り脱出できなくなる。木がないと使用できないため、トトイは森に潜むことで常に技巧を使えるようにしている。

演出効果 (すてーじえふぇくと)

ラウが使用する技巧。両拳を合わせることで、空間にさまざまな変化をもたらすことができる。一度拳を合わせることで目くらましの煙を発生させる「煙(スモーク)」を発動させたり、3回合わせることで風を起こし敵を吹き飛ばす「暴風(ストーム)」を発動させるなど、拳を合わせた回数によって効果が変化するという特性を持つ。

負の空中遊戯 (えねるぎーぶらんこ)

ブッチーが使用する技巧。感情エネルギーをブランコの形に変化させ、自由自在に操ることができる。操られたブランコは、ブッチー以外の人間が触れると拒絶反応を起こしダメージを与える。感情を具現化させるため、生きた人間が傍にいれば無限に使用が可能となっている。

贋作師 (ふぇいかー)

クラウンが使用する技巧。他者の使用する技巧を受けることで、クラウン自身の技巧として使用できるようになる。一度に1種類の技巧しか使えないが、一度コピーさえしてしまえば、その技巧は何度でも使用することが可能。また、コピーした技巧の威力は本来の持ち主には及ばないが、クラウンはこの弱点を補うために技巧増幅道具を利用している。

空間漂音 (てるみんゔぉっくす)

ドレッド・ヘルツが使用する技巧。異なる2つの高周波を合わせることで音圧と呼ばれる物質を発生させ、それをドレッドの望む形に具現化し、相手にぶつける。また、目に見えない音波で相手の脳に負担を与えることも可能で、具現化した音圧に気を取られている隙に、音波による攻撃でダメージを与えるという二段構えの技巧となっている。

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