ファンタジスタ ステラ

ファンタジスタ ステラ

草場道輝作『ファンタジスタ』の続編。坂本轍平、本田圭佑を擁するサッカー日本代表チームが2014年のワールドカップブラジル大会に出場し、数々の強豪国を相手に奮戦する姿を描いたサッカー漫画。フィクションだが、実在のサッカー選手である本田圭佑が主要人物として登場する。「週刊少年サンデー」2012年45号から2015年38号にかけて連載された。原案協力は本田圭佑。

正式名称
ファンタジスタ ステラ
ふりがな
ふぁんたじすた すてら
作者
ジャンル
サッカー
関連商品
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世界観

2010年および2014年のワールドカップと、その間の期間が主な舞台となっている。2010年の結果を受けて本田圭佑が提唱した「個の成長」がひとつのテーマとなっており、4年の間に成長を遂げた日本代表の活躍が、2014年のブラジル大会で結実するという流れが魅力。

作品誕生のいきさつ

草場道輝と本田圭佑の対談が行われた際、本田は前作『ファンタジスタ』を愛読していたことを明かした。この時、同席していた担当編集者が、本田圭佑が作中に登場する続編を提案し、本田自身もそれを快諾。これがきっかけとなり、本作『ファンタジスタ ステラ』の連載が決定した。

あらすじ

ワールドカップ 南アフリカ大会編

本田圭佑坂本轍平らを擁する日本代表チームは、2010年のワールドカップ南アフリカ大会でベスト16入りを果たす。しかし、本戦第1試合のパラグアイ戦において、PK戦まで持ち込むも敗れてしまう。悔しさに打ち震える日本代表メンバーだったが、その敗戦のなかで本田は、チームが強くなるには選手一人一人のレベルアップ、すなわち「個の成長」が不可欠であると語る。日本代表のメンバーは、4年後に雪辱を果たすべく、さらなる飛躍を誓う。

CSKAモスクワ編

本田圭佑は、ロシアリーグのCSKAモスクワに入団。たちまちのうちに頭角を現し、現地でも高い人気を得る。しかし、彼の希望ポジションであるセンターフォワードではなく、ボランチを任されてしまう。そして迎えたCSKAモスクワとアンジ・マハチカラの一戦。本田は攻守ともに活躍を見せボランチとしての役割を果たすが、本田自身にはある狙いがあった。

R・マドリッド編

坂本轍平(てっぺい)は、プロサッカー最高峰チームと称されるR・マドリッドに入団。さらに、かつての恩師であったヨハン・ファー・ハーレンと再会する。一方、同期入団となったオズマとは今一つかみ合わず、因縁の相手であるFCバルセロナ戦のピッチに立っても、てっぺいは疑念を隠しきれずにいた。だが、試合開始後わずか1分で、オズマの絶妙なパスから直接ボレーシュートを放ち、1点をあげることに成功。言葉ではなくプレイで互いの相性の良さを確認したてっぺいとオズマは、積極的な攻勢に出ることになり、さらにチームのエースストライカーであるクローノス・ロナウドも怒涛の攻めを見せ、結果1点のリードを保ったまま前半を終える。対するFCバルセロナは、ブラジルのエースであるネストールを投入し、試合は乱打戦にもつれ込む。

日本代表選出編

日本代表は2014年のワールドカップに備えて、カルロ・グロッソを新たな監督に迎える。しかし、所属リーグから帰国した坂本轍平(てっぺい)、本田圭佑らを待っていたのは、グロッソの選別した新しい日本代表のメンバーたちだった。その中には、坂本琴音の教え子であり、てっぺい以上の資質を持つとされる大久保塁の姿もあった。呆然とするてっぺいたちを尻目に、旧代表と新代表の練習試合を組むグロッソ。代表選抜を賭けた大勝負の幕が上がろうとしていた。

親善試合編

代表同士の練習試合で、大きなケガを負ってしまった本田圭佑。しかし彼はこれを、肉体改造のための好機と捉え、坂本轍平(てっぺい)およびリカルド杉山に対し、より強力な選手となって舞い戻ることを宣言する。そして2週間後。カルロ・グロッソ率いる新生日本代表チームは、強豪のイタリア代表との親善試合に臨む。最強のファンタジスタであるマルコ・クオーレこそ不在であるものの、アンドレア・ファルコーニら、てっぺいのかつての戦友を擁するうえに、フィジカルに長けた若手スター選手であるマリオ・パンテッラを加え、イタリア代表は充実した戦力を誇る。本田圭佑が欠けているという不安に駆られながらも、日本は全力でイタリアに挑む。

登場人物

本田圭佑をモデルとしたキャラクターが主要人物として登場するほかに、ネストールなど、実在するサッカー選手をモデルとしたキャラクターが多数登場している。また、本作及び前作『ファンタジスタ』がきっかけとなり、「ビッグコミックスピリッツ」や「週刊少年サンデー」誌上において、作者の草場道輝と本田圭佑の対談記事が掲載された。

メディアミックス

OVA

「週刊少年サンデー」の企画として、単行本の特別版にDVDが付属する形で、アニメ化がなされている。制作会社はXEBECが担当しており、坂本轍平役を柳田淳一、本田圭佑役を石川英郎、坂本琴音役を松井恵理子が務めている。

作家情報

草場道輝は、長崎県出身の男性漫画家。大のサッカー好きとして知られており、1999年より連載されたサッカー漫画『ファンタジスタ』および本作『ファンタジスタ ステラ』執筆の原動力となっている。草場道輝のもとでは、『だめてらすさま』の藤木俊や、『トキワ来たれり!』の松江名俊などがアシスタントとして活動していたことがある。

登場人物・キャラクター

坂本 轍平 (さかもと てっぺい)

スペインのR・マドリッドに所属する日本代表選手。九州出身の青年で、姉の坂本琴音からサッカーを学び、成長を重ねてきた。温和な性格だが、試合では勝つこととゲームそのものを楽しむこと、この2つを貪欲なまでに求める。「ファンタジスタ」と称される独創的なプレイスタイルの持ち主。2014年ワールドカップブラジル大会においても技量にはますます磨きがかかり、チームのエース、およびムードメーカーとして大いに活躍する。 ブラジル代表戦終盤、負傷退場を余儀なくされてしまうが、その際に自らの意志を日本代表のメンバーに託した。

本田 圭佑 (ほんだ けいすけ)

ロシアのCSKAモスクワに所属する日本代表選手。日本が誇るエースストライカーの一人で、ストイックに上を目指すことを惜しまない努力家。自分にも他人にも厳しい性格で、半月板損傷というアクシデントに見舞われつつも、故障期間中に徹底した肉体改造を施し、より強力なプレイヤーに生まれ変わった。坂本轍平とは当初息の合ったプレイができなかったが、2014年ワールドカップブラジル大会のイタリア代表との試合で、大久保塁のアシストをきっかけに、次第に息が合うようになっていく。 実在の人物、本田圭佑がモデル。

坂本 琴音 (さかもと ことね)

坂本轍平(てっぺい)の姉。C級ライセンスを持つサッカーの指導員で、幼い頃のてっぺいに、サッカーを教えている。現在は高校教師を務める傍らでサッカー部の監督も務めており、教え子の一人に大久保塁がいる。三十路を控えながら気になる男性がいないことに悩んでいたが、あることがきっかけで森川竜司が自分に想いを寄せていることを知り、2014年ワールドカップブラジル大会のブラジル代表戦では、彼に向けて「勝ったら結婚してあげる」と大胆な告白をした。

森川 竜司 (もりかわ りゅうじ)

イタリアのフィレンツェーナに所属する日本代表選手。2014年ワールドカップブラジル大会本戦のブラジル代表との試合では、ネストールに対する抑え役として活躍。坂本轍平の怪我による退場で窮地に陥った中で、同点ゴールを決めた。若い頃から坂本琴音を慕っていたが、その想いが実り、大会終了後結婚する。

沖田 薫 (おきた かおる)

ドイツのレーファクーゼンに所属している日本代表選手。冷静沈着な性格と、卓越した技量を誇り、坂本轍平(てっぺい)と並びもう1人のファンタジスタと称されている。ポルトガル代表戦においては、てっぺいと大久保塁によって切り崩された守備の隙を突き、単独で追加点を得る活躍を見せた。

近藤 敦 (こんどう あつし)

スペインのバレンシアに所属している日本代表選手。自他ともに厳しい性格で、プレイ中もシュートのような勢いのスルーパスを放つことが多い。しかし内心ではチームメイトに多大な信頼を置いており、勢いのあるパスを出す理由もチームメイトを信頼しているが故である。本田圭佑とは似た者同士ということもあってか彼を気にかけており、モスクワまで様子を見に行ったこともあった。

藤堂 祐介 (とうどう ゆうすけ)

ベルギーのリエージュFCに所属する日本代表選手。ゴールキーパーとして大黒柱の役割をまっとうする強固な意志を持っている。ポルトガル代表戦で次の試合に出場できないほどの怪我を負ってしまうが、代わって出場することになった桐野亜希彦を叱咤激励し、奮起させた。ブラジル代表戦においても彼にアドバイスを送り、PK戦を勝利に導く。

山波 健介 (やまなみ けんすけ)

フランスのマルセイユFCに所属する日本代表選手。クロスボールの扱いに定評がある技巧派のプレイヤー。2010年ワールドカップ南アフリカ大会にてPKを外しており、それが敗因になったため、2014年ワールドカップブラジル大会にかける熱意は人一倍。ナイジェリア代表戦では得意のクロスプレイを駆使することによって敵方のオウンゴールを誘い、ロスタイムで同点ゴールを決めた。

西郷 政光 (さいごう まさみつ)

イングランドのリヴァプールFCに所属する日本代表選手。センターバックとして藤堂祐介を支えてきた。藤堂が怪我で欠場した際には、代わって出場した桐野亜希彦を激励。イタリア代表戦では彼とともに敵の猛攻からゴールを守り抜き、失点を1に抑える。

木戸 政孝 (きど まさたか)

日本代表のコーチを務める、中年の男性。どちらかと言えば常識的な考えの持ち主で、2014年ワールドカップブラジル大会ではカルロ・グロッソの破天荒な采配に戦々恐々とする姿も見られた。一方で木戸歩美を溺愛する様子も見られ、彼女の交際相手である大久保塁に対しては、時折厳しい目を向けることもあった。

ジャギエフ

ロシアのCSKAモスクワに所属する選手。軍人学校出身の少年で、愛国心が人一倍強く、祖国のために勝利を得ることを最上としている。本田圭佑とはトップ下を競っており、彼を強く尊敬していると同時に越えるべき壁であると認識している。2014年ワールドカップブラジル大会では、ロシアの代表選手として出場。予選リーグにおけるブラジル代表との対決では、ネストールにライバル心を抱き、果敢に挑みかかった。 実在の人物、アラン・ジャゴエフがモデルと思われる。

レオタード・キルスキー (れおたーどきるすきー)

ロシアのCSKAモスクワの監督を務める壮年の男性。本田圭佑の実力を高く評価している一方で、本田自身の希望であるトップ下に置くことを良しとせず、守備もできることを望んでボランチへとコンバートした。しかし、アンジ・マハチカラとの試合において、守備をこなしつつもトップ下のジャギエフを差し置いてゴールを決めた場面を目の当たりにし、本田をトップ下に起用することを決める。 実在の人物、レオニード・スルツキーがモデルと思われる。

イゴール・アカンエフ (いごーるあかんえふ)

ロシアのCSKAモスクワのキャプテンを務める選手で、ポジションはゴールキーパー。キャプテンシーに長け、チームメイト一人一人をしっかりと観察しており、本田圭佑が加入したことによりチームの意識向上が見られたことや、ジャギエフが2010年ワールドカップ南アフリカ大会に出場できなかったことを強く気にしていることなどを見抜いている。 セーブ力も高く、練習試合ではジャギエフ渾身のシュートを防ぐなどの活躍も見せた。実在の人物、イゴール・アキンフェエフがモデルと思われる。

パグネロ

ロシアのCSKAモスクワの選手。髪型はドレッドヘアで、ポジションはフォワード。人懐っこい性格で、本田圭佑にも馴染もうと努力するが、覚えたての日本語を連呼しまくり、若干鬱陶しがられている。試合では味方との連携を得意としており、アンジ・マハチカラとの試合においては、ジャギエフとともに前線で活躍をした。実在の人物、ヴァグネル・ラヴがモデルと思われる。

ミルコ・バイエビッチ (みるこばいえびっち)

ロシアリーグのアンジ・マハチカラに所属する男性。かつてイタリアのACミランに所属しており、坂本轍平(てっぺい)とともにプレイした経験を持つ。てっぺいやマルコ・クオーレにも匹敵するプレイを見せるファンタジスタの一人で、歳を経た現在でもそのスキルはまったく衰えていない。ロシアリーグでCSKAモスクワと対戦した際には、本田圭佑と激突。 本田のプレイスタイルに確かな手ごたえを感じ、日本にはてっぺい以外にも注目すべきプレイヤーがいると言わしめた。

クローノス・ロナウド (くろーのすろなうど)

ポルトガル代表選手の1人。スペインのR・マドリッドにおけるチームメイトである坂本轍平(てっぺい)からは、「兄貴」と呼ばれている。フィジカルに長けており、それを生かしたパワフルなドリブルで相手を寄せつけず、ゴールを奪う戦法を得意とする。2014年ワールドカップブラジル大会では、予選において日本代表、イタリア代表、ナイジェリア代表とのすべての試合においてハットトリックを達成するという、化け物じみた実績を残す。 ディフェンスも卓越しており、日本との試合においては終盤、古波蔵英達とてっぺいの連携からゴールを守り、引き分けに持ち込んだ。実在の人物、クリスティアーノ・ロナウドがモデルと思われる。

オズマ

スペインのR・マドリッドに所属する選手。坂本轍平(てっぺい)同様、瞬時に複数のパスルートを見つけ出す戦術眼を持つファンタジスタで、それを称えて「オズの魔法使い」と呼ばれている。貧民街の出身でハングリー精神が強く、クローノス・ロナウドには強いライバル心を抱き、おおらかな雰囲気を持つてっぺいとは馬が合わないと予感していた。 しかし、FCバルセロナとの試合において、オズマが繰り出した鋭いパスを得点に繋げたてっぺいを見て、その印象を撤回。てっぺい、ロナウドとともに息の合った怒涛の攻めを見せるようになる。2014年ワールドカップブラジル大会ではドイツ代表選手に選出され、優勝の立役者の一人となった。実在の人物、メスト・エジルがモデルと思われる。

ヨハン・ファー・ハーレン (よはんふぁーはーれん)

スペインのR・マドリッドの監督を務める、オランダ人の男性。かつてアテネオリンピックで日本の監督を務めていたこともあり、坂本轍平(てっぺい)とは旧知の間柄。FCバルセロナとの試合では、ファンタジスタ同士の連携を見極めるため、てっぺいとオズマを同時に起用し、彼らを得点源として機能させることに成功する。

フェルディナンド・パレス (ふぇるでぃなんどぱれす)

スペインのR・マドリッドの会長を務める男性。坂本轍平(てっぺい)の起用に対して懐疑的で、オズマを優先したいと考えていたが、ヨハン・ファー・ハーレンがてっぺいとオズマの両方を使うと決めた時は渋々ながら采配を任せた。その後FCバルセロナ戦において、てっぺいとオズマ、そしてクローノス・ロナウドが見事な連携でゴールを奪う場面を見て、考えを改める。 実在の人物、フロレンティーノ・ペレスがモデルと思われる。

ネストール

ブラジル代表選手の1人で、喜びを意味する「アレグリア」の異名を持つ。スペインのFCバルセロナに所属しており、坂本轍平との勝負経験がある。本来の性格は温和だが、2014年ワールドカップブラジル大会では国の皆の笑顔のため勝ち続けなければならないと頑なに信じるがあまり、精神的に追い詰められ、勝利のために手段を選ばなくなっていく。 さらに、PK戦では強いプレッシャーにがんじがらめになってしまい、それがブラジルの敗因につながってしまった。

福田 しおり (ふくだ しおり)

スポーツ関連の記者を務めている女性。坂本轍平(てっぺい)とは高校時代の同級生で、ずっと想いを寄せている。また、坂本琴音とも親しい。てっぺいがスペインから帰国した際にプロポーズを受け、結婚。そのことで、先を越されたと琴音からからかわれるが、しおり自身も、琴音が森川竜司の想いに気づいていないことをもどかしく思っている。

クアトディアナ

スペインリーグのFCバルセロナの監督を務める中年男性。選手を強く信頼しており、唯一無二の攻撃力を誇るチームであると自負している。采配も巧みで、開始早々に失点しても焦る素振りを全く見せず、普段通りのプレイを心掛けさせることで即座に同点に追いつかせた。実在の人物、ジョゼップ・グアルディオラがモデルと思われる。

カルロ・グロッソ (かるろぐろっそ)

2014年ワールドカップブラジル大会の日本代表監督。かつてセリエAの、ACミランに、選手・監督として在籍していた。過去に起こったある出来事が原因で深酒をするようになり、インタビューや試合前においても飲酒をする場面が見られたが、監督としての実力は本物。スタッフェッタ、ステラシステムなど、数々の奇策を実行に移し、日本をベスト8まで押し上げた。 実在の人物、フランコ・バレージがモデルと思われる。

大久保 塁 (おおくぼ るい)

カルロ・グロッソによって新たに見出された日本代表選手の一人。学生時代は坂本琴音の教え子で、才能だけなら坂本轍平(てっぺい)を上回ると言われているが、気が小さく消極的なプレイが目立っていた。しかし周りの影響を受けることで、徐々に心身ともに鍛え上げられていく。トゥーキック(爪先蹴り)と持ち前の直感を利用した搦め手を得意としており、2014年ワールドカップブラジル大会においてその真価を発揮。 てっぺい、本田圭佑に並ぶ殊勲者となった。

リカルド杉山 (りかるどすぎやま)

カルロ・グロッソによって新たに見出された日本代表選手の一人。体格に恵まれており、パワフルなプレイを得意とする。同じポジションとしてスタメンを争う本田圭佑に敵がい心を燃やしていたが、練習試合中の事故で怪我をさせてしまう。そのために消沈していたところ、逆に本田に叱咤されることで奮起する。2014年ワールドカップブラジル大会においては、本田からも頼られる選手に成長した。

由利 速人 (ゆり はやと)

カルロ・グロッソによって新たに見出された日本代表選手の一人。小柄な体格で、大人しそうな外見をしているが、負けず嫌いの一面を持つ。スピードとスタミナに秀でており、ポルトガル代表戦においては体を張ったディフェンスで敵の猛攻をしのぎ、引き分けに持ち込んだ。

古波蔵 英達 (こはぐら えいたつ)

カルロ・グロッソによって新たに見出された日本代表選手の一人。小柄ながらも俊敏な攻めが高く評価されているフォワード。大久保塁ほどではないもののプレッシャーに弱い。しかし性格は明るく、チームが得点すると口笛を吹く癖がある。ポルトガル代表戦においてもその敏捷性をいかんなく発揮し、得点をあげることはできなかったがあと一歩のところまで相手を追いつめた。

桐野 亜希彦 (きりの あきひこ)

カルロ・グロッソによって新たに見出された日本代表選手の一人。元はバレーボールの選手としてセリエAに所属しており、そこから日本代表のゴールキーパーに抜擢されるという異例の経歴の持ち主。2014年ワールドカップブラジル大会では、怪我で欠場した藤堂祐介に代わりポルトガル代表戦より出場。日本のゴールを守り抜いた。

沢村 雪之丞 (さわむら ゆきのじょう)

頭をスキンヘッドにした青年で、カルロ・グロッソによって新たに見出された日本代表選手の一人。自らがマークした相手にボールを持たせない能力に特化しており、グロッソの組んだ練習試合においては一時的とはいえ坂本轍平を封じ込めた。この特性とスキンヘッドという風貌により「イレーサー」の異名を持つ。

陸奥 武彦 (むつ たけひこ)

Jリーグ発足時から活躍を続けているスター選手。日本が初めてワールドカップに出場した際に、初ゴールを決めるなど、さまざまな逸話で知られている。最近は調子が良くなく、年齢のこともあって引退を考えていたが、カルロ・グロッソの依頼によって、代表選出のための練習試合に新人側として出場する。技術こそ優れているもののメンタル面に問題のある新人たちを巧みに激励して、彼らの闘志をよみがえらせることに成功した。 2014年ワールドカップブラジル大会では、解説役として放送席に座った。実在の人物、中山雅史がモデルと思われる。

マルコ・クオーレ (まるこくおーれ)

坂本轍平のライバル。イタリア代表が誇るサッカーの至宝で、天才の名をほしいままにするファンタジスタ。人当たりが良く親しみやすい性格だが、フィールドに立つとチームメイトすら予測不可能のスーパープレイを連発する。料理の腕も天才的で、病気がちになってしまった母親の面倒を見るためにサッカーから長く離れ、両親の経営していたレストランを継いでいた。 しかし、2014年ワールドカップブラジル大会において復帰。ブランクをものともしない奇抜な戦術を披露し日本代表を大いに苦しめた。

アンドレア・ファルコーニ (あんどれあふぁるこーに)

イタリア代表のキャプテンを務める選手。かつてイタリアのACミランに所属しており、坂本轍平とともにプレイした経験を持つ。ピッチを俯瞰的に見渡し、極めて正確なパスを出すことから、鷹の目を持つと言われている。マリオ・パンテッラやサルバトーレ・ビアンキの奇行に悩まされることが多いが、彼らの使い道についてもしっかりと把握しており、特にイタリアでプレイしていた由利速人からは強い警戒心を向けられている。

ファビオ・カステッリーニ (ふぁびおかすてっりーに)

イタリア代表の選手で、ポジションはセンターバック。マルコ・クオーレの幼なじみで、彼がサッカー界から離れてしまったことに悔いを残す一面が見られる。また、カルロ・グロッソの教え子でもあり、彼が招集したリカルド杉山がマリオ・パンテッラを抑えた時は、グロッソの手腕に感服する姿勢も見せている。一方で、大久保塁がノーモーションのスルーパスを繰り出した時は、その正体をトゥーキック(爪先蹴り)であると瞬時に見抜く目の良さも持ち合わせている。 実在の人物、ファビオ・カンナヴァーロがモデルと思われる。

ディノ・シルベストリ (でぃのしるべすとり)

イタリア代表の選手。かつてイタリアのACミランに所属しており、坂本轍平とともにプレイした経験を持つ。彼を味方として頼もしく思っていたため、日本における脅威にもなることを確信しており、強い警戒心を向けている。マリオ・パンテッラに対しては、その問題児ぶりに手を焼く一方で、マルコ・クオーレに代わる、イタリアの新しい象徴として注目している。

アントニオ・ダンテ (あんとにおだんて)

イタリア代表の選手で、ポジションはゴールキーパー。かつてイタリアのACミランに所属しており、坂本轍平とともにプレイした経験を持つ。面倒見がいい反面、苦労人的な気質を備えており、アンドレア・ファルコーニやファビオ・カステッリーニ同様、マリオ・パンテッラの問題行動にたびたび呆れている。

サルバトーレ・ビアンキ (さるばとーれびあんき)

イタリア代表の選手。かつてイタリアのACミランに所属しており、坂本轍平とともにプレイした経験を持つ。自らのプレイに絶対の自信を持っており、果敢に敵陣に攻め込んでは、得点に繋げることができる。一方で、自己中心的でやや思慮に欠ける面があり、アンドレア・ファルコーニを悩ませることもある。マリオ・パンテッラとツートップを組むようになってからは殊更にその傾向が見られるようになってきたが、2014年ワールドカップブラジル大会では、マルコ・クオーレによってその悪癖を逆に良い方向に活かされ、得点に繋げられる場面も見られた。

マリオ・パンテッラ (まりおぱんてっら)

イタリア代表の選手。大柄な体格を持ち、それを活かしたすさまじいまでの突進力と、態勢を崩されても即座に立ち直る身体能力を備えており、「黒豹」の異名を持つ。マルコ・クオーレを欠いたイタリアの新たな象徴とされているほどの優れたストライカーだが、常識やぶりな面が多数見受けられ、それをとがめられてイエローカードを出されることも多い。 サルバトーレ・ビアンキ(トト)とは互いを強くライバル視しているが、2014年ワールドカップブラジル大会における日本代表との試合では、マルコの作戦に乗る形でトトとのワンツーによって1点を奪っている。実在の人物、マリオ・バロテッリがモデルと思われる。

城戸 歩美 (きど あゆみ)

城戸政孝の娘。惚れっぽい性格で、坂本轍平(てっぺい)に憧れている。友人たちの企みによっててっぺいにアプローチをする羽目になるが、うやむやのまま終わり、てっぺいからはアプローチを受けているとすら思われなかった。のちに福田しおりの弟子として、スポーツ記者として働くことになり、大久保塁と交際することになる。

高山 源 (たかやま げん)

ナイジェリア代表の監督。元は高校サッカー部の監督をしていたが、体罰すらいとわないやり方が問題となり、指導者の地位を追われていた。逃げるように海外に渡り、「ン・タカ・ヤマゲ」と名乗ってナイジェリア代表の監督に就任した。粗野な態度は相変わらずだが、攻撃に偏り気味だったナイジェリアの改革に成功し、選手からは厳しいやり方に反感を抱かれつつも、手腕を認められている。 「大三元」や「四暗刻」など、麻雀の役にちなむ作戦名を用いる。

ベン

ナイジェリア代表の選手。本田圭佑より後にCSKAモスクワに入団してチームメイトとなっており、本田からはフットワークの俊敏さに注目されている。2014年ワールドカップブラジル大会ではセンターフォワードを任されており、日本代表との試合において、鋭いスローインに合わせたオーバーヘッドを繰り出し、点を奪っている。 実在の人物、アーメド・ムサがモデルと思われる。

メウレレス

ポルトガル代表の選手。ポルトガルがクローノス・ロナウドのワンマンチームとなっている現状に、チームメイトともどもまったく不満を抱いておらず、むしろロナウドの活躍を望んでいる節が見られる。常に広い視野で試合を追っており、大久保塁と相対した時は、トゥーキック(爪先蹴り)の巧みさとフィジカルの弱さに驚きの目を向けている。

ディディー

ブラジル代表の選手。小癪な性格の持ち主で、よく人をからかう悪癖がある。しかし、プレイにかける熱意は非常に強く、ピッチの上では明るい表情の裏に殺気にも似た気配をまとわせる。軽さに反して面倒見が良い一面も持ち、ネストールが精神的に不安定になった時は、気遣いを見せることもあった。2014年ワールドカップブラジル大会で日本代表と対戦した時は、持ち味であるボールコントロールの上手さで相手をさんざんに翻弄し、1点を奪う活躍を見せている。

ヒクソン・ジウバ (ひくそんじうば)

ブラジル代表のキャプテンを務める選手。父親が柔術家で、それを活かした動きを見せる。かつてイタリアのACミランに所属しており、元はフォワードとして活動していたが、当時コーチであったカルロ・グロッソによってディフェンダーにコンバートされると、ミルコ・バイエビッチすらうならせる守備を見せるなど頭角を現していき、世界最強のサイドバックとまで呼ばれるようになる。 2014年ワールドカップブラジル大会の日本代表戦においても、その守備力を遺憾なく発揮し、猛攻を幾度となくしのぎ続けた。ファビオ・カステッリーニ同様、グロッソを強く尊敬している。

集団・組織

CSKAモスクワ (ちぇすかもすくわ)

ロシアリーグに属するチームのひとつ。本田圭佑、ジャギエフ、イゴール・アカンエフ、ベンなどが所属している。もともと個性派の集まりであったが、本田が加わってからは加速度的に各々のプレイに熱が入るようになり、ミルコ・バイエビッチを擁するアンジ・マハチカラを破るなど、着実な強化を見せている。実在のサッカーチーム「CSKAモスクワ」がモデル。

R・マドリッド (りあるまどりっど)

スペインリーグに属するチームのひとつ。最高峰のサッカーチームと名高く、「銀河系軍団」の異名を持つ。坂本轍平(てっぺい)、オズマ、クローノス・ロナウドなどが所属している。監督であるヨハン・ファー・ハーレンの方針により、攻撃を重視したチームへと生まれ変わっており、てっぺい、オズマの両ファンタジスタを競合させることで、他の追随を許さない爆発力を見せる。 実在のサッカーチーム「レアル・マドリード」がモデル。

日本代表 (にほんだいひょう)

日本のサッカー代表チームで、2014年ワールドカップブラジル大会に出場した。2010年ワールドカップ南アフリカ大会で敗れた際に本田圭佑が提唱した「個の成長」を課題とし、それぞれの所属チームで選手は著しく成長。さらにカルロ・グロッソが監督に就任すると、大久保塁ら若手選手も加わり盤石の態勢が整った。大会では予選を2位で通過し、決勝トーナメント第1試合でブラジル代表を下し、ベスト8に進出。 2010年の記録を見事に塗り替えた。

イタリア代表 (いたりあだいひょう)

イタリアのサッカー代表チームで、2014年ワールドカップブラジル大会に出場した。ナイジェリア代表、ポルトガル代表を下した後に日本代表と対戦することとなった。マルコ・クオーレの活躍によって点を奪い、以後はディフェンスを重視する作戦にシフトする。しかし大久保塁の猛攻により守備にかげりが見え始め、最後は坂本轍平のコーナーキックからのダイレクトシュートが決勝点となり、敗退。 これにより日本は決勝トーナメントへの出場権を獲得した。

ナイジェリア代表 (ないじぇりあだいひょう)

ナイジェリアのサッカー代表チームで、2014年ワールドカップブラジル大会に出場した。本来はフィジカルを活かした攻めが持ち味だったが、監督である高山源の手により守備に重きを置いたチームに生まれ変わった。ブラジル大会において日本代表と初戦で対決。スローインからのダイレクトボレーによってナイジェリアは先取点を奪取。 その1点を鉄壁の防御布陣で終盤まで守り抜いたが、山波健介のクロスボールによってオウンゴールを誘発され、1対1の引き分けに終わった。

ポルトガル代表 (ぽるとがるだいひょう)

ポルトガルのサッカー代表チームで、2014年ワールドカップブラジル大会に出場した。クローノス・ロナウドのワンマンチームに近いが、彼の力任せの個人技は常に相手チームのディフェンダーを圧倒する。ワールドカップブラジル大会で、日本代表は対抗策として、前半と後半で選手をほぼ一新する戦略「スタッフェッタ」を発動。 これによって日本に3-1と差をつけられるが、ロナウドのフィジカルを活かしたプレイが功を奏し、最終的には同点へと持ち込んだ。

ブラジル代表 (ぶらじるだいひょう)

ブラジルのサッカー代表チームで、2014年ワールドカップブラジル大会に出場した。日本代表とは決勝トーナメント1回戦で対戦する。開催国という地理的な強みもあって、前半は圧倒していた。しかし後半になると日本の奇策「ステラシステム」によって逆に押されだし、ついには同点を許す。決着はPK戦に委ねられたが、ネストールがホームというプレッシャーに押しつぶされた結果、一敗地にまみれた。

その他キーワード

ファンタジスタ

優れた技術を持ち、独創性豊かなプレイを行うサッカー選手に与えられる呼び名。この言葉の発祥の地であるイタリアで、よく用いられている。作中には、坂本轍平、沖田薫、マルコ・クオーレ、ミルコ・バイエビッチ、オズマといったファンタジスタが登場しており、いずれも既存の流れにとらわれない、奇抜なプレイで観客を魅了している。

スタッフェッタ

ポルトガル代表との対戦に向けて、日本代表がとった戦術。カルロ・グロッソにより提唱された。同時にピッチにあげるといまいち噛み合わない坂本轍平(てっぺい)と本田圭佑を活かすため、前半は本田を中心に、後半はてっぺいを中心に戦術を組み立てる。グロッソいわく苦肉の策で、交代枠を大きく圧迫するという問題点がある。 一方で、大久保塁のポテンシャルを引き出すことに成功しており、イタリア戦以降は、塁を介しててっぺいと本田が息を合わせられるようになった。

ステラシステム

ブラジル代表との対戦に向けて、日本代表がとった戦術。「スタッフェッタ」同様、カルロ・グロッソにより提唱されたものだが、ブラジル戦前に坂本琴音も同様の戦術を考案していた。中盤を森川竜司1人に任せ、2ライン間と呼ばれる、ディフェンスラインと中盤の間の主導権を握るため、フォワード全員が巧みにポジションを変え、相手のディフェンダーを釣り出す。 誰がシュートを決めるかわかりづらいという利点があり、優秀なディフェンダーほど翻弄されることが多い。とりわけヒクソン・ジウバは、深読みをするあまり、最後の最後で坂本轍平に釣り出されてしまった。

クレジット

原案協力

本田 圭佑

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