左ききのイザン

左ききのイザン

遠未来、遺跡しかない砂漠の惑星プロメに逃げてきた、左手に武器を仕込んでサイボーグ化した殺人者イザンと、彼の逃避行に巻き込まれた遺跡の研究者ブール博士の心の交流と、イザンの末路を描いた短編SF漫画。イザンの犯した殺人とその理由は、萩尾望都自身が書いた短編小説『ヘルマロッド殺し』で、克明に示されている(短篇集『音楽の在りて』に収録)。また、ブール博士と惑星プロメは、同作者の長編SF漫画『銀の三角』にも登場する。

正式名称
左ききのイザン
ふりがな
ひだりききのいざん
作者
ジャンル
サイボーグ
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概要・あらすじ

遠未来、砂漠の惑星プロメでたった1人で発掘調査を行っていたブール博士は、殺人罪で逃げてきた左腕をサイボーグ化した若い男イザンによって、居住区を潜伏先として利用されてしまう。その後、荒れ狂う太陽嵐の磁気異常と激しい砂嵐によってふたりは閉じ込められてしまう。イザンが自分の小型宇宙艇を修理しようとした際、ブール博士の抵抗と事故によって、イザンは左腕を失う。

追い打ちをかけるように巨大な規模の砂嵐が2人を襲い、物語は終結へ向かうのだった。

登場人物・キャラクター

ブール博士 (ぶーるはかせ)

遺跡しか無い砂の惑星プロメで発掘調査を行っている。初老のがっしりした体格の男性。口ヒゲを生やしている。太陽嵐の時期、他の調査員は引き上げるが、ブール博士だけ、遺跡を見るために残っていた。殺人者イザンの逃避行に巻き込まれ、遺跡を壊されかけ、自身も彼の暴力の被害にあう。イザンが自分の小型宇宙艇を修理している最中に抵抗を試み、同時に起きた事故でイザンの左腕を無力化するが、巨大な砂嵐に巻き込まれかける。 同作者の長編SF作品『銀の三角』にも登場し、そちらでの名前は、666・グレイ・ブールで、年齢は「177中央年齢」。(正確には、これは彼のデータをコピーしたアンドロイド)。

イザン

若いハンサムな男。自己中心的で粗野。左腕を機械化しており、武器を仕込んでいる。恋人だったヘルマロッド殺しの罪で逃げている途中、太陽嵐の磁気異常で乗っていた小型宇宙艇が壊れ、遺跡しか無い砂の惑星プロメに不時着する。ブール博士を左腕の武器で脅迫して、居住区を乗っ取る。砂に飲まれようとした小型宇宙艇を修理しようとしたとき、ブール博士の抵抗と事故のため左腕を失う。 短編小説『ヘルマロッド殺し』での名前は、イザン・ツップ。

ヘルマロッド

若い女性で、恋人だったイザンに殺されたが、クローン再生された。イザンの最期の話を聞くために、惑星プロメにやって来る。短編小説『ヘルマロッド殺し』での名前は、ヘルマロッド・ヴァンサ。小説中では、クローン再生されるごとにイザンを追い、2回彼に殺されている。何度もクローン再生されながら、そのつど相手を追う、というモチーフは、同作者の長編SF作品『銀の三角』『銀の三角』でも用いられる。

場所

プロメ

『左ききのイザン』の舞台となる砂漠の惑星。大量の遺跡があり、壁に描かれたレリーフから、原住生物は翼の痕跡がある人間型種族であることがわかっている。発掘が開始されてから10年が経っている。時折、巨大な砂嵐が起き、また太陽嵐の磁気異常が80日続くことがある。同作者の長編SF作品『銀の三角』にも登場し、原住種族が滅亡する前の姿も描かれた。

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