ベルンシュタイン

ベルンシュタイン

18世紀前半、中部ヨーロッパ。オーストリーの属国となったベルンシュタインを舞台に、運命に抗い翻弄される男女の悲恋の幻想奇譚。

正式名称
ベルンシュタイン
ふりがな
べるんしゅたいん
作者
ジャンル
悲恋
 
その他歴史・時代
関連商品
Amazon 楽天

概要・あらすじ

ボヘミア出身の元貴族オルギールは、琥珀を意味するベルンシュタインの地で、琥珀色の瞳をした男装の麗人ベリシウと出会う。「御身はいつか彼方の国で、琥珀の乙女に会うだろう」という予言を思いだしたオルギールは、嫌いだと思いながらもベリシウに惹かれ、ベリシウもまた周囲の取り巻きとは違うオルギールに惹かれていく。

登場人物・キャラクター

オルギール

『ベルンシュタイン』の主人公の1人。ボヘミア生まれの元貴族。生まれ故郷を離れ、ベルンシュタインへと流れ着く。医者の見習い。公爵の妹で男装の麗人ベリシウの剣の対戦相手に招かれ、ベルンシュタイン公爵の命令に反して勝つ。生まれた時、「琥珀の乙女に会うだろう」と旅の占い師に予言されていた。ベルンシュタインを去りトルコ軍に協力していたが、里帰り中のベリシウを襲った仲間としてベルンシュタインの兵に捕らわれる。

ベリシウ

『ベルンシュタイン』の主人公の1人。ベルンシュタイン公爵の妹。琥珀色の瞳の男装の麗人で剣の使い手。剣の使い手を城に招いては手合わせし、次々と負かしていた。オルギールに負けたことで興味を持つが相手にされず、腹いせにオルギールの婚約者ローサを騙して兄の妾にさせる。長期療養中だった、ハプスブルグ領ポーランドのカールパード王子と結婚。 初めての里帰りの際に、オスマン・トルコ兵に襲われ夫を亡くす。

ユーリス・アンドラーシュ

ベルンシュタインの城主。ベリシウの兄。政略結婚したハプスブルグ家出身の妻・コンスタンツェに、不義の疑いをかけ修道院に幽閉。戦場に於いて「死をも恐れない男」との異名を持ち、訪れたオスマン・トルコからの使者を猟犬に生きたまま食べさせる残忍さを持つ。妹を愛するあまり悲劇を招く。

レオンハルト

ベリシウの従者。金髪の少年。ベリシウへの想いは人一倍で、「結婚しても付いていく!」という忠義の臣。城に於いても、城を離れても、いつでもベリシウに付き添い、里帰りの際にも同行。手傷を負いながらも、果敢にオスマン・トルコ兵に挑む。

ローサ

ボヘミアから流れ着いた医師の娘。オルギールの婚約者。オルギールに相手にされないベリシウに、オルギールへの腹いせに騙され、ベルンシュタイン公爵の妾の1人となる。オルギールにはもう会えないと泣き暮らすが、公爵の取り巻きの楽士ケレティにいつも慰められ、心を通わせる。

ハインリヒ

城に出入りする貴族の1人。プラーグ伯。ベリシウに想いを寄せるも相手にされず、それでも優しく見守る紳士。自分を醜男と呼ぶが、心は優しい。最後までベリシウを見守り、ベリシウの近習レオンハルトの身の振り方をも心配する。

ケレティ

ベルンシュタイン城に出入りする楽士。ベルンシュタイン公爵の取り巻きの1人。ベリシウに騙されて公爵の妾となったローサを慰め、徐々に心を通わせる。ベリシウへの復讐心から、彼女が「魔女」であると密告する。

ウーデン

ボヘミア出身の医師。ローサの父。ボヘミアから流れて来たオルギールを、見習いとして使う。ベルンシュタイン公爵の妾となったローサと会い、オルギールにだけは会いたくないというローサの伝言を伝え、「娘心をわかって欲しい」と嘆く。

コンスタンツェ

ベルンシュタイン公爵ユーリスの妻。ハプスブルグ家出身で、ユーリスを田舎貴族とバカにしていた。ユーリスの企みで、不義を働いたとされ修道院に閉じ込められる。濡れ衣を晴らし城へ戻ったところでユーリスの死に遭遇。ベルンシュタインの領主となり、殺害犯オルギールの首を刎ねる。

カールパード

ハプスブルグ領ポーランドの王子。ベリシウの婚約者。体が弱く長期療養のため婚儀を延期していたが、5年後にようやく結婚。その2年後、ベリシウの初めての里帰りに付き添い、ベルンシュタイン領の手前でオスマン・トルコ兵に襲われ絶命する。

オルギールの伯父 (おるぎーるのおじ)

ボヘミアの地主。オルギールの伯父。独立戦争で反乱軍を組織し、オーストリーと戦った英雄。反乱軍の仲間を逃がして処刑される。それが元でオルギールの一族はボヘミアを追われることとなった。

ムスタファ

里帰りするベリシウ一行を襲ったオスマン・トルコ兵の1人。オルギールと共に偵察に出たところで負傷。ベルンシュタインの兵に捕らわれ、オルギールがオーストリーと戦った英雄の甥だと話す。

女官長 (にょかんちょう)

ハプスブルグ家からコンスタンツェの嫁入りに付いてきた女官長。コンスタンツェが修道院に幽閉されてからも、無実を晴らす証拠を掴むためベルンシュタイン城に残っていた。

場所

ベルンシュタイン

『ベルンシュタイン』の舞台となる架空の公国。オーストリー帝国とオスマン・トルコ帝国に挟まれる重要な土地であるため、オスマン・トルコから同盟を持ちかけられる。領主はヴァラキア公の血をひく、ベルンシュタイン公爵ユーリス・アンドラーシュ。「ベルンシュタイン」は「琥珀」を意味するイディッシュ語(ドイツユダヤ語)に由来する。

その他キーワード

予言 (よげん)

『ベルンシュタイン』に登場する、重要な予言。オルギールが産まれた時、母方の遠い北方の一族の風習で占い師から授けられた予言。糸車が紡ぎ出す運命の物語。「御身はいつか彼方の国で、琥珀の乙女に会うだろう。サロメとヨカナン。琥珀と緑玉。御身は愛し、失い、愛し、やがてすべてを得るだろう」と語る。サロメは聖書に出てくるユダヤの王女。

SHARE
EC
Amazon
logo