勇者ヴォグ・ランバ

勇者ヴォグ・ランバ

人類を哲学的ゾンビ化させることで全面核戦争の危機を回避しようとする超技術・ペインフリーの導入をめぐり、ヴォグ・ランバ(セカンド)らによる反ペインフリーの戦いを描くSF漫画。庄司創の連載デビュー作。一部の設定は伊藤計劃の小説から影響を受けている。

正式名称
勇者ヴォグ・ランバ
ふりがな
ゆうしゃゔぉぐ らんば
作者
ジャンル
その他SF・ファンタジー
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概要・あらすじ

全面核戦争による破滅の危機を回避するため、脳とサーバを無線接続して苦痛を打ち消すことで人類の精神安定を図る新技術・ペインフリーを全人類に導入することが決まった世界。イリ連邦共和国で軍人をしていたヴォグ・ランバ(オリジナル)は、大学生時代の恋人であり、今では反ペインフリーを掲げた反体制テロリストとなっているガアダ・メリが機密物質を強奪したことを知る。

追撃部隊の指揮をとることになったヴォグだったが、ガアダとその妹・キーハ・メリの特殊技術・発現の前に敗れて捕虜にされてしまい、そこでペインフリーの本当の危険性を知る。脳に発信機を埋め込まれており、政府を裏切ると死ぬ運命にあったヴォグは、自身の脳をコピーした人工生命体であるセカンド・ヴォグに後事を託した。

こうして、反ペインフリー国家であるイーソーのリーダーとなったセカンド・ヴォグは、世界を変えるための戦いに挑むこととなる。

登場人物・キャラクター

ヴォグ・ランバ

オリジナルのヴォグ・ランバから作られたコピーである人工生命体・這脳であり、オリジナルのクローン体のボディに入っている。オリジナルの後を継ぎ、反ペインフリー体制の共同体国家・イーソーの初代大統領となって新たな世界体制の樹立のため奔走する。

ヴォグ・ランバ(オリジナル)

イリ連邦共和国陸軍の軍人である男性で、階級は少佐。名門の家の出身であり、叔父は大統領を務めている。ガアダ・メリとは大学生の頃恋人同士だったが、人類の行方を左右する新技術・ペインフリーに対する考え方の違いから袂を分かっていた。ペインフリーを使った新たな世界体制が発足する直前になってガアダに拉致され、ペインフリーの問題点を知ったことで反体制派となる。 だが、政府への忠誠の証として脳に発信機を埋め込んでおり、一定期間政府からの信号を受け取れない状態になると死ぬ運命であったため、自身のコピーであるセカンド・ヴォグに後を託して死亡する。

ガアダ・メリ

ヴォグ・ランバ(オリジナル)の学生時代の恋人であり、特殊能力・発現の技術者である女性。新技術・ペインフリーに反対する立場を学生時代から取り続けており、ヴォグと別れてからも反体制活動を続けていた。ペインフリーを使った新たな世界体制が発足する直前になってヴォグを拉致し、ペインフリーの問題点に気づかせて自分たちの運動のリーダーに据える。

キーハ・メリ

ガアダ・メリの妹。特殊能力・発現の技術を非常に鍛えており、一人で一個師団を相手にできるほどの戦闘能力を持つが、その代償として見た目は異形の怪物のような姿になっており、発声もやや不明瞭なものとなっている。新技術・ペインフリーを憎む気持ちが誰よりも強く、ガアダとともに反体制活動を続けている。 クズだと思う人間には一切口を利かないなど性格は苛烈だが、姉を思う気持ちは強い。

ヴォグ・ランバ(サード)

イーソーの副大統領を務めるために、セカンド・ヴォグからさらに作り出されたコピーである人工生命体・這脳。セカンドとは違い、人間体のボディには入らず這脳の姿のままでおり、オリジナルのヴォグの姿を模した拡張現実をまとっている。

這脳 (しゃのう)

『勇者ヴォグ・ランバ』に登場する人工生命体。貝類に似た足が付いている脳のような見た目をしており、元となった人間の記憶と知性が完全に移植されている。単眼を持つほか、体表全体に視細胞がついており、体全体を目のように使うことも可能。万能細胞を吐いて人の神経と接続することができ、脳のないクローン人間の体に入ることで普通の人間のように生きていくことも可能。

オクト・ハルベ

社会学者ヤィン・ハルベの息子で、ペインフリーという技術なしで継続可能な世界体制を研究する地下組織に入っていた。セカンド・ヴォグに勧誘され、イーソーの政策局長に就任する。

ホタリ

ガアダ・メリと行動を古くから共にしている、人工生命体・這脳の一人。オリジナルは100年前の発現学者。後に人間の体を得て、兵士としてセカンド・ヴォグと共に作戦を行う。

場所

イーソー

『勇者ヴォグ・ランバ』に登場する国家。セカンド・ヴォグをリーダーとする、ペインフリー技術に反対する勢力が樹立したもの。初代大統領はセカンド・ヴォグ。

その他キーワード

ペインフリー

『勇者ヴォグ・ランバ』に登場する科学技術、およびその利用を基本とした世界体制。脳とサーバーを無線接続し、個々人が苦痛を感じたら脳に演算を送り込んで苦痛を消失させるというもの。それにより、世界体制を安定させられると見込まれている。「50年以内に起きる可能性が91%」と計算された全面核戦争の危機を避けるために導入が進められているが、ガアダ・メリらからは「人類をみな哲学的ゾンビにしてしまうもの」として批判されている。

発現 (はつげん)

『勇者ヴォグ・ランバ』に登場する能力。脳運動を演算によって現実の物理現象に変換することができ、魔法のようにさまざまな効果を生み出すことができる。ただし、能力を鍛えすぎるとキーハ・メリのように異形の見た目に変わってしまい、この状態は「半竜」と呼ばれる。

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