ペリリュー ―楽園のゲルニカ―

ペリリュー ―楽園のゲルニカ―

武田一義の代表作。昭和19年(1944年)、第二次世界大戦における激戦地・ペリリュー島が舞台となっている。漫画家志望の一等兵・田丸均が、戦争の悲惨さを目の当たりにする地獄のような日々の中、一日でも長く生き延びるために命懸けでもがく姿を描いた戦争ヒューマンドラマ。三頭身のコミカルタッチの絵柄や島の美しい風景が特徴的ながら、そのギャップがあまりにも悲しく、戦争の悲惨さを強く感じさせる。白泉社「ヤングアニマル」2016年4号から2021年8号にかけて連載された作品。2017年「第20回文化庁メディア芸術祭」で審査委員会推薦作品に選ばれたほか、2017年「第46回日本漫画家協会賞」優秀賞を受賞している。本作では描き切れなかった日米兵や、島民それぞれの視点で描かれたスピンオフとして、武田一義の『ペリリュー ―外伝―』がある。また2017年8月、ペリリュー島の戦いをテーマとしたドキュメンタリー映画『追憶』のDVD発売と、本作『ペリリュー ―楽園のゲルニカ―』第3巻刊行を記念し、東京など全国3か所で「終戦72周年企画「平和への思いを紡ぐ、ペリリュー島の記憶」ペリリュー原画展」が開催された。

正式名称
ペリリュー ―楽園のゲルニカ―
ふりがな
ぺりりゅー らくえんのげるにか
作者
ジャンル
第二次世界大戦
 
ヒューマンドラマ
レーベル
ヤングアニマルコミックス(白泉社)
巻数
全11巻完結
関連商品
Amazon 楽天

概要・あらすじ

登場人物・キャラクター

田丸 均 (たまる ひとし)

ペリリュー島に派兵された一等兵。目鏡をかけている。漫画を描くことを趣味にしており、戦争が始まる前は雑誌にも載ったことがある。島田少尉から物語を創作できる特性を見込まれ、死亡した隊員の最期の勇姿を内地の遺族に手紙で伝える「功績係」に任命された。派兵当初は、ペリリュー島を楽園のような場所だと感じており、日本に生還した暁には島での出来事を描いたロマンあふれる冒険漫画を描きたいと考えていた。しかし、ペリリュー島が日米軍の壮絶な戦場となり、多数の戦死者が出るにつれて戦争の恐ろしさや、自分がいつ死んでもおかしくないという実感を持つようになる。

吉敷 (よしき)

ペリリュー島に派兵された上等兵。田丸と同じく初年兵ながら、訓練時に優秀だったために飛び級で上等兵となった。勇猛果敢で判断力にも長け、射撃の腕も秀でている。しかし本来の性質は、戦争に向いていない優しい性格の持ち主。同期の初年兵を鼓舞して精神的に引っぱっていたが、ペリリュー島での攻防が米軍の撃破を目的としたものではなく、玉砕を前提としていることを知り、強く動揺する。そんな中、銃撃を主に担う片倉分隊に配属され、負傷兵たちをおとりにした作戦を目の当たりにして、人間の命を物のように扱う上層部に反感を抱くようになる。

クレジット

原案協力

平塚 柾緒(太平洋戦争研究会)

書誌情報

ペリリュー ―楽園のゲルニカ― 全11巻 白泉社〈ヤングアニマルコミックス〉

第1巻

(2016-07-29発行、 978-4592141877)

第11巻

(2021-07-29発行、 978-4592163657)

SHARE
EC
Amazon
logo